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バクエット・ド・パクス(12)
暗黒山脈(2)
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「暗黒山脈自体は目視でも確認できます。ですが、その内部で起きているコトは外部から認知できないんです」
ノワールが続ける。
「より正確に言うと、暗黒山脈の“表面上”の樹々や植物は視認できるようです。ですが動物は外部からは確認できません。
U.J.Iの受け売りになりますが、可視光線以外の手段――赤外線やX線というモノを使っても、確認ができないようです」
「なるほどね。ソレが“暗黒”の所以と」
「そうです、ミサトさん。尤も、あくまで確認できないのは外部からだけで、内部に入って様々な生物や事象を確認した例はありますが」
「聞くべきか聞かざるべきか、ソレが問題だ」
ミサトが頭を振る。
「お楽しみにしておきましょう、ミサトさん♪ 大丈夫、私たちが守ります!」
抱き着いてくるカトリーヌに対し舌打ちをしながら、テメーは山脈について伝えるコトすら忘れてたじゃあねーかとミサトは思った。
「こわーい。つい忘れてただけですよ」
いや、思っただけじゃあなく言ってしまっていた。
◇◇◇
一行は山脈に入った。
少し入った段階でも別に何というコトはない、普通の山だった。
一応、道らしきモノはある。
獣道というよりは、何らかの力でソコだけは樹々や植物が生えるコトはできない、というふうに形作られている道だ。
「昔からこの道があります。山に人を誘っているようですよね」
「『誘っているようですよね』もいいが、誘われたにしてはお前のドレスコードは不適当じゃあないか」
「そうですか? バッチリかと思います♪」
カトリーヌの服装は完全にお姫様のソレだ。
日傘まで差して、とてもコレから山登りの準備には見えない。
「ブレーズだってそうじゃあないですかぁ」
確かに、ブレーズもカトリーヌの小ぶりなソレ、という出で立ちではあった。
「ブレーズはムカつかないからいいの」
「えー厳しい」
無視してミサトは歩みを進めた。
しかししばらく歩みを進めながらチラチラと観察していると、カトリーヌやブレーズの服装は不思議にも樹々の枝の擦れを弾いていた。
見た目よりも軽やかに二人は行動しており、どうやら場違いなその服装の障害を魔術的なコーティングでカバーしているようだ。
思ったよりも、山登りに不向きな装備というワケではないらしいとミサトは思った。
そこまでしてその服装に拘る理由は依然わからなかったが。
そもそもミサトのいた世界では、昔ながらの考えによると山の神は嫉妬深い女らしい。
よりアイツらの方が罰当たりだろうが、男装をしたトコロで欺けるワケもなし。女連れで来ている時点で服装など関係ないか、と一人で変な納得をした。
ノワールが続ける。
「より正確に言うと、暗黒山脈の“表面上”の樹々や植物は視認できるようです。ですが動物は外部からは確認できません。
U.J.Iの受け売りになりますが、可視光線以外の手段――赤外線やX線というモノを使っても、確認ができないようです」
「なるほどね。ソレが“暗黒”の所以と」
「そうです、ミサトさん。尤も、あくまで確認できないのは外部からだけで、内部に入って様々な生物や事象を確認した例はありますが」
「聞くべきか聞かざるべきか、ソレが問題だ」
ミサトが頭を振る。
「お楽しみにしておきましょう、ミサトさん♪ 大丈夫、私たちが守ります!」
抱き着いてくるカトリーヌに対し舌打ちをしながら、テメーは山脈について伝えるコトすら忘れてたじゃあねーかとミサトは思った。
「こわーい。つい忘れてただけですよ」
いや、思っただけじゃあなく言ってしまっていた。
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一行は山脈に入った。
少し入った段階でも別に何というコトはない、普通の山だった。
一応、道らしきモノはある。
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「昔からこの道があります。山に人を誘っているようですよね」
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「そうですか? バッチリかと思います♪」
カトリーヌの服装は完全にお姫様のソレだ。
日傘まで差して、とてもコレから山登りの準備には見えない。
「ブレーズだってそうじゃあないですかぁ」
確かに、ブレーズもカトリーヌの小ぶりなソレ、という出で立ちではあった。
「ブレーズはムカつかないからいいの」
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しかししばらく歩みを進めながらチラチラと観察していると、カトリーヌやブレーズの服装は不思議にも樹々の枝の擦れを弾いていた。
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そこまでしてその服装に拘る理由は依然わからなかったが。
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