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南山城国(2)
出雲
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「宜しくお願い申し上げ奉ります、まれびと殿」
いやいや、そう申し上げ奉られてもと彼女、高尾カオルは思った。
目が覚めてから異世界の説明、彼女が飛ばされた理由、そして今後の役目を聞かされ、今に至る。
「えっと……童仙さんでしたっけ。まず、茶園に倒れてた私を助けていただき、ありがとうございます。ちょっと寝起きなので、色々話された結果、混乱してるんですけど……まとめますね。
ここは異世界の国、南山城国。今、国の存亡の危機で、私が手助けすればそれを回避できるんですね。で、皆さんをサポートする役目を担ってほしいと……」
「その通りにございます」
「それ、私に拒否権あります?」
「正直に申し上げて、ございません……」
ございますとかございませんじゃあなくてよお、とカオルは思った。
「えーっと、個人的には童仙さんに協力したいんですよ。ただ、帰りたいってのも山々なんですね」
「それならば、虫の良い話と思われるやもしれませんが……我々に協力いただいた暁には、まれびと殿の帰路が再び発生いたします」
「帰れるってこと?」
「御意に」
うーん……と、開け放たれた襖から外の景色を見るカオル。
風景手前の庭園には緑濃く木々が茂っており、風景奥には頂点を雲が隠している山々が見えていた。
畳の上に敷かれた布団からカオルは上半身を起こしており、横には童仙が人間3人分の距離を開けて正座している。
「じゃあ、ちゃっちゃと協力して帰ります。それでいいですか?」
「誠に、有難く思います」
「で、何を協力すれば?」
「まず我々の現状ですが此の国、南山城国の周辺には他に4か国がございます。それら4か国と我らの国を合わせた5か国は、まとめて“キョート”と呼ばれております」
「え? 京都ですか?」
「左様」
「ええ? 京都ってあの……」
空中に文字を書いてみせるカオル。しかし上手く伝わらない。
「紙と筆をご用意します故、しばしお待ちを」
すぐに童仙は、それらを持参して現れた。
京都の文字を書くカオル。
「これは……『うんた』ですか?」
「『うんた』?」
「我らの世界ではそう申します。我らの世界での“キョート”は……」
さらさらと童仙も文字を書く。
「『出雲』……ですか?」
「『いずも』? この字にて“キョート”と読み申す」
んーなんか意味わからんくなってきたぞ、とカオル。
「まあ、とにかく“キョート”なんですね。話の続きをお願いします」
いやいや、そう申し上げ奉られてもと彼女、高尾カオルは思った。
目が覚めてから異世界の説明、彼女が飛ばされた理由、そして今後の役目を聞かされ、今に至る。
「えっと……童仙さんでしたっけ。まず、茶園に倒れてた私を助けていただき、ありがとうございます。ちょっと寝起きなので、色々話された結果、混乱してるんですけど……まとめますね。
ここは異世界の国、南山城国。今、国の存亡の危機で、私が手助けすればそれを回避できるんですね。で、皆さんをサポートする役目を担ってほしいと……」
「その通りにございます」
「それ、私に拒否権あります?」
「正直に申し上げて、ございません……」
ございますとかございませんじゃあなくてよお、とカオルは思った。
「えーっと、個人的には童仙さんに協力したいんですよ。ただ、帰りたいってのも山々なんですね」
「それならば、虫の良い話と思われるやもしれませんが……我々に協力いただいた暁には、まれびと殿の帰路が再び発生いたします」
「帰れるってこと?」
「御意に」
うーん……と、開け放たれた襖から外の景色を見るカオル。
風景手前の庭園には緑濃く木々が茂っており、風景奥には頂点を雲が隠している山々が見えていた。
畳の上に敷かれた布団からカオルは上半身を起こしており、横には童仙が人間3人分の距離を開けて正座している。
「じゃあ、ちゃっちゃと協力して帰ります。それでいいですか?」
「誠に、有難く思います」
「で、何を協力すれば?」
「まず我々の現状ですが此の国、南山城国の周辺には他に4か国がございます。それら4か国と我らの国を合わせた5か国は、まとめて“キョート”と呼ばれております」
「え? 京都ですか?」
「左様」
「ええ? 京都ってあの……」
空中に文字を書いてみせるカオル。しかし上手く伝わらない。
「紙と筆をご用意します故、しばしお待ちを」
すぐに童仙は、それらを持参して現れた。
京都の文字を書くカオル。
「これは……『うんた』ですか?」
「『うんた』?」
「我らの世界ではそう申します。我らの世界での“キョート”は……」
さらさらと童仙も文字を書く。
「『出雲』……ですか?」
「『いずも』? この字にて“キョート”と読み申す」
んーなんか意味わからんくなってきたぞ、とカオル。
「まあ、とにかく“キョート”なんですね。話の続きをお願いします」
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