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宇宙との交信19 ~モンスター銀河~
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私は宇宙人と交信していた。
いや、まだ現在進行形か。私は宇宙人と交信している。
そんなことを人に言ったら十人中十人が痛い子を見る目で私を見るだろう話だ。だけどたった四人だけ、その話をニヤニヤ笑って面白そうに聞いてくれる人たちがいる。その付き合いももう三年になるだろうか。
私の友達でもあり、私の大切な人でもあり、私の好きな人でもある四人だ。その繋がりは、下らないとも言える宇宙人との交信がきっかけを作ったと言っていいだろう。
予想外の宇宙人との遭遇がなければ、私の宇宙への興味は、早い段階で消えていたかもしれない。そう思えるほど、宇宙人との遭遇は衝撃的で、知的好奇心が満たされる出来事だった。星を見上げる回数が増えたのは、その事と無関係じゃない。
だけど、世の中には予想もしない出来事がいくらもあるって、私は気付いていなかった。
「へ? 八代どうしたの? 男装なんかして」
十二月。暖房の効く学食に現れた男の娘に、私はあっけにとられた。
今年は寒すぎて女装が無理だったとか? でも、三年まで真冬も女装続けてたのに?
当の男の娘は、ふ、と普通の男子のように笑っている!
「ちょっとね」
そう言って男の娘がなぜか私の隣にいる偽勇者を見る。するとまたなぜか偽勇者が肩をすくめる。このやりとりって一体何? 私の中に生まれた疑問は、ある意味すぐ解けた。
「あー! タケノシンと会田さん、付き合うことになったんだね!」
解けはしたけど、あまりに唐突だと思える内容の宇宙人の友達の言葉にぎょっとする。
「いえ、ち……」
「そうです」
否定しようとした男の娘を遮り、偽勇者が肯定する。ますます意味が分からない。
当の男の娘が間抜けな声を出して偽勇者を見る。隣にいる偽勇者を見れば、なぜか男の娘から目をそらしたようだった。……意味が分からん。
「そっかそっか、ついにねー」
のほほん、と頷いている宇宙人の友達に、私は我に返る。
「いや、あの、」
「私たち、婚約したんです」
戸惑ったような男の娘に対して、偽勇者がきっぱりと宣言した。……何ですと?!
「はー?!」
私の驚きの叫びが学食に響く。
「実明うるさい」
私の隣にいた宇宙人が慌てたように私の口を押える。
「そっかそっか。良かったね、会田さん」
宇宙人の友達の言葉にコクリと頷く偽勇者の耳は赤い。偽勇者よ、本気か、本気なのか?!
「えーっと、俺には青天の霹靂ってやつなんだけど、志朗はいつからこの二人のこと気付いてたわけ?」
私の口をふさいだまま、宇宙人が宇宙人の友達に問いかける。
「えー? いつからって言うか……。最近は大分いい雰囲気だったよねぇ」
「え?」
なんで当人である男の娘が疑問の声をあげてるんだろう。
「鈍感!」
偽勇者が男の娘を罵っている。これ、本気で言っている。
「……ねえ、どうして婚約したって言ってるのに、鈍感って罵られてるわけ?」
宇宙人の手をべりっとはがして、男の娘に疑問を向ける。
「……えー?!」
今度は男の娘が叫び、隣にいた宇宙人の友達が慌てて男の娘の口をふさぐ。
「……俺も知りたいねぇ。会田さん、一体どうして気付いてない人間と婚約できたわけ?」
ニヤニヤしている宇宙人の友達に、明らかに傷ついている様子ではない偽勇者がため息をつく。
「全くもって不本意ではありましたが、カモネギってやつです」
「全然分かんねぇ」
「私にも分かりません」
宇宙人が首を振るが、私も首を振る。
「ま、俺にもよく分からないけど、めでたしめでたしなわけだしいいんじゃない?」
男の娘の口から手を離した宇宙人の友達が、男の娘の肩をポンポンと叩く。
とりあえず、私に言えることはただ一つ。
「会田の趣味が分からん」
私の言葉に、なぜか男の娘が頷く。当人が頷くって何なの。
「みゃーに説明する義務はないでしょ。……武之進には……気が向いたら説明するから」
照れたような偽勇者に、ああこれは本当に現実らしいと納得するほかはない。
それもこれも、実はお嬢でお見合い結婚が定められていた偽勇者のためだとか、男の娘がそこそこいい会社の御曹司だったとか、三年目にして初めて知る事実のオンパレード。
まあ、偽勇者がお嬢だとか男の娘が御曹司だったとかで私の態度が変わるわけもなかったけど、私の疑問と驚きはただひとつ。
え? 偽勇者、男の娘のこと本気で好きなの?!
いつぞや偽勇者が、宇宙人の友達のあまりの鈍さに心折れて、宇宙人の友達を諦める話をしてるときがあった。多分、二年くらい前になる。
でも、あれがあながち有りうる選択肢だったということに驚くしかなかった。
*
二人が付き合い出してから一年は経っているというのに、いまだに二人が付き合っているという事実に実感がわかない。
まあ、付き合い始めた頃は四年の終わりで、二人とも大学に残ることなく社会人になってしまったので、会う時間が減って二人がいるところを頻繁に目にすることがないってことも、実感がわきにくい理由の一つだとは思うんだけど。
……未だに、偽勇者ののろけは宇宙語を聞いているような気分になる。
「それよりも私、いまだに信じてないんですけど」
私は何年経っても変わり映えしない宇宙人の部屋で、宇宙人に訴える。
「いや、信じてやれよ。二人とも自分の親友だろ」
「まあ、そうですけど……。那奈にいくらのろけられても、他人の話をされてるような気分にしかならなくて……」
何だか狐につままれたような気分、分かるだろうか? あり得ないことがありうるようになった時、人はその理解を拒絶するように出来てるんだと思う。
「それくらい素直に聞いてやれよ」
「タケノシンがかっこよく見える話に同意ができなくて」
「まあ、それは贔屓目も入ってるからな」
宇宙人がクククと笑う。一体何がどうなってそうなったのか、未だに理解はできていない。
「みゃーちゃんも、那奈ちゃんとタケノシンを親友って認めるようになったんだね」
感慨深そうにウンウンと一人頷いているのは、宇宙人の友達だ。宇宙人の友達は、博士過程を一年でドロップアウトした後、今は普通に会社員をしている。研究がしたいんじゃないって気付いた、とそれこそ今更ながらの気付きを持って、一般企業に就職した。自分のことに鈍いのは恋愛だけじゃなかったらしい。
「まあ、これだけ付き合えば」
知り合った当事、私が友達だと認めなかったのを思い出したらしい宇宙人がニヤニヤと笑っている。私はそれを一睨みして、顔を背けた。
宇宙人は今も博士課程にいる。そして私は、宇宙人を追いかけて修士課程で頑張っている最中だ。
「ねー、ねー。圭介達はどうなの?」
宇宙人の友達の問いかけに、私は首を捻る。
「ケイスケ先輩、彼女いたんですか?」
もしいるんだとしたら、全然気付いてなかった。もうひとつの感情を押し込めて、私は何気ない風に質問する。
「いねーよ」
ギロリ、と宇宙人が宇宙人の友達を睨む。
「みたいだね」
苦笑する宇宙人の友達が、私を見る。
「圭介とみゃーちゃんはどうなってるの? って意味なんだけど」
宇宙人の友達の言葉に、私はパチクリと瞬きをする。
「どうにもなってませんけど」
あの日、どうにもならないと決めたのだ。たとえ宇宙人が他の誰かと付き合うことになっても、他の誰かと結婚しても、研究者としての先輩後輩の形は、絶対なくならないと分かっているから。
私は、なくなるかもしれない形など求めてない。……勿論、男の娘と偽勇者が別れるとか考えている訳じゃ絶対ない。でも私の恋愛の形はとてもあやふやでいつかなくしてしまいそうな気がするのだ。だから私は、壊れそうにない形を選ぶ。
「……ね、圭介。この間泊りで星見に行ったって言ってたよね?」
「行ったぞ。何もなかったぞ」
「ね、圭介? まさか、まだ、ど……」
「志朗、うるさい」
「マジで?」
「二人で何こそこそしゃべってるんですか?」
聞こえていたけど、あえて聞こえないフリをした。この二人だって私に聞かせるつもりで話してたのは分かっている。
「何で圭介とみゃーちゃんがくっつかないかについて議論してみた」
悪気もなくニヘラと笑う宇宙人の友達が、単刀直入に告げる。
「くっつかないからですよ」
「えー。もう何年になる?」
「何のカウントですか」
「二人で出掛けるようになってから……」
「二年?」
宇宙人が指を折って首をかしげている。
「二年だよ、二年! ……何してるんだよ、圭介」
「うっさいな。仕方ないだろ。実明の意思尊重したらそうなるんだよ」
「……圭介、強引に行けよ」
「シロー先輩、ご自分が彼女が出来たからって、余裕ですね。あんなに自分の感情に疎いくせに待ってくれる彼女で良かったですね」
「当たり前でしょ。俺の彼女なんだから」
完全に嫌みで言ったのに、ノロケで返された! 宇宙人の友達はその特性ピッタリの素晴らしいとしか言い様のない彼女が出来て幸せらしい。……まあ何よりだ。
「ま、俺らは俺らだから」
何も気にしてないように告げる宇宙人だけど、どうにかなる予定はそもそもない。
「ま、シロー先輩が思うようなことはそもそもないですから」
「みゃーちゃん……頑固だな」
苦笑する宇宙人の友達に、頑固で何が悪いと思う。
「関係なくないですか?」
私が頑固でも、私たちがどうもならなくても。その二つの意味は宇宙人の友達に伝わったらしく、宇宙人の友達は肩をすくめた。
ピーンポーン。
その音に、私は迷わず立ち上がる。その音を鳴らしたのは、誰だか分かっているからだ。
「それでは、圭介の門出を祝して、乾杯!」
宇宙人の友達の声が、宇宙人の部屋に響く。宇宙人は相変わらずあの星を見るには最適な部屋に住んでいる。いや、もう少しで住んでいた、になる。
「おめでとうございます」
私も、男の娘も、偽勇者も、口々に祝いの言葉を載せて、宇宙人のグラスと合わせる。
今日は、宇宙人がアメリカの大学に行くことになったお祝いだ。偽勇者と男の娘が婚約してから約一年。私が院生になって約一年。いつか来るかもしれないと覚悟していたその日は、あっという間にやってきてしまった。
「ありがと。なんかわざわざこんな風にされると照れるな」
そういいながら宇宙人は、いつもの顔でコップをあおる。
「見送りに行けたらよかったんだけどな。どうしても抜けられない打ち合わせが入ってて」
そういってコップを置いたのは宇宙人の友達。
「あれ、那奈はお茶?」
私はお茶の入ったコップを持つ偽勇者に首をかしげる。偽勇者は間違いなくザルだ。なのにお茶。その心は?
「仕方ないよね」
そう言って照れた顔をする偽勇者に、私は目を見開く。
「本当?!」
「嘘言ってどうするわけ。外に出るとこんな感じでつわりもないんだけど、家にいると結構辛くて。結婚式の準備が大変なんだけど、武之進が頑張ってくれてるんだよね」
偽勇者と男の娘の結婚式はあと一か月ほどに迫っている。
つわり、という言葉を耳ざとく拾った宇宙人の友達が、男の娘に質問している。そちらはそちらでやるがよい。と思ったら、視界の端で男の娘がもみくちゃにされている。
「おめでとう!」
「だからケイスケ先輩の見送りは、パスね。タケノシンは仕事で仕方ないんだけど。だから、みはる見送りよろしくね」
なるほど、それで三人が三人とも宇宙人の見送りにいかないのかと、ようやく納得する。実は、変に気を利かせての行動なのかとうがった見方をしていた。反省。
「わかった」
確かに承った!
「ところで、みはるはどうすんの?」
急にひそひそとした偽勇者の問いかけに私は首を捻る。
「どうするって?」
問われている意味が分からない。
「ケイスケ先輩と!」
声は立てずにでも力強くという離れ業をやってのけた偽勇者に流石偽勇者だなと感心しつつ、私は首を横にふる。
「何も」
「何やってんの! ケイスケ先輩!」
どうやら矛先は私にはならないらしい。よかった。責められても困るだけだし。私は見慣れたカオスなやり取りに、クスリと笑った。
結婚して新しい家庭を築いていく男の娘と偽勇者。研究のために、海外に飛び出していく宇宙人。研究者とは違う道を選んできっと今付き合っている彼女と結婚するだろう宇宙人の友達。
大学四年間で交わった私たちの人生は、こうやって新たな道を見つけて進んでいく。その人生が二度と交わらないなんてことはないだろう。私たちは友達だから。
それでも、変わっていくその環境が寂しいと思うのは、私が一人だけ取り残されたような気がするからかもしれない。私が大事だと思っている友達たちに取り残されたのが、きっと寂しいのだ。
こんなことを思ってるとか、きっと、大学に入った頃の私は思ってもみなかっただろう。
ケイスケ先輩にシロー先輩、那奈にタケノシン。こんなにも大切な友達ができるとか、全然想像もしていなかった。
……こんなに大切で好きな人ができるとも、思ってもみなかったけど。それでも私は宇宙人の夢を応援して、私もそれに追いつけるように頑張るしかないのだけど。
妊娠初期の偽勇者を気遣って、会は早めにお開きになった。
片付け手伝うよ、と言ってくれた宇宙人の友達には、感謝しつつも、大丈夫だからと帰って貰った。こうやって、私と宇宙人が顔を合わせてゆっくりしゃべれるのも、あと僅かだからだ。
私は、宇宙人との別れを間違いなく惜しんでいる。これが今生の別れってわけでも、二度と会えないって訳でもないと頭では分かっているのに、心が理解してないみたいだ。キリキリとした痛みが、私の胸を苛んでいる。
「ケイスケ先輩、星見ません?」
片付けが終わって、それでも名残惜しくて、私は宇宙人に提案する。
「本当に星好きだな」
クスリと笑うその顔に、胸がキュッと締め付けられるとか、本当は知りたくなかったはずなのに。
「好きですよ」
宇宙人に伝えたくはない。だけどこれくらいなら許されるだろうか。
窓を開ければいつもの景色。真っ暗な闇が広がっていて、昼間は暑かった空気も、すっかりひんやりと冷えている。見上げれば、星が何時ものように瞬いている。この景色がもう見られなくなるとか考えちゃいけないのに、つい想像してしまって涙が滲む。
「実明」
「何ですか?」
隣に並ぶ宇宙人の呼び掛けに、私は上を向いたまま、答える。
「俺、実明のこと好きだよ」
「……それがどうしたんですか?」
私の答えに宇宙人が苦笑する。
「だから、付き合わないかってこと」
それに頷けば、私が今欲しいものは手に入るのかもしれない。でも、それが終わってしまったら? そう考えると、頷けそうな気はしなかった。
「いやですよ」
ぎゅっと目をつぶって、目にたまっていた涙を追いやる。涙が引っ込んだのを感じて、宇宙人を見る。
「私はケイスケ先輩を尊敬していて追い越したいと思ってますけど、恋愛感情はありませんから」
私が選べるのは、この道だけだ。
「本当に、返事はいつも通りだな」
それでも、私の答えに傷ついた様子じゃない飄々とした宇宙人に、どこかホッとする。
「当り前じゃないですか」
私の答えは、これしかないから。空を見上げると、それでいいとでも言うみたいに、星が瞬いた。
*
「ケイスケ先輩、もう時間ないんじゃないんですか?」
のんびりとした様子の宇宙人に、私の方が焦る。
「まだ五分くらいは大丈夫」
「そんなこと言って、飛行機乗れなかったらどうするんですか」
呆れた気分を持ちつつも、動こうとしない宇宙人に私の方がさらに焦る。
「大丈夫だって」
「もう行っていいですよ。待ってたって私以外の他のメンバー来ないんですから」
今日、宇宙人はアメリカに出発する。モンスター銀河を見つけたあの場所にも行くことになるらしい。流石、としか言いようがない。いつまでたっても追いつけない、その焦燥感と、物理的にも離れて行ってしまうという喪失感がないまぜになっている気持ちは、見せないと決めている。
「ところで実明」
「何ですか?」
名前を呼ばれて、ん? と首をひねる。ところで、に続く言葉が何も思いつかなかったせいだ。
「こっちでも研究はできるだろ?」
「はい?」
「配偶者ビザなら、すぐ来れると思うんだよな」
「……何、言ってるんですか?」
「もうさ、ずっと付き合ってたようなもんだろ。覚悟、決めろよ」
「え? いや、あの、えー?!」
「実明の実力なら、こっちでも研究続けられると思うから、来てから探すか来る前に探しとけ」
「……いや、そう言うことじゃなくて!」
「あいつらが今日来てないの、気を利かせてくれただけだから」
「へ?!」
「返事は一つだけだからな。決めたら連絡しろよ」
パニックになって言葉を続けられない私と、宇宙人が距離を詰める。
「実感しろ」
顎をつかまれて、唇が触れる。唇から宇宙人の熱が伝わってきたのは、ほんの一瞬だった。
私から離れた宇宙人は、よく見る悪い顔じゃなくて、やさしい顔で笑っていた。
思考が止まって呆然としている私に、じゃ、と手を挙げると、宇宙人は私がいけない向こう側へ歩き出す。私は今の出来事が信じられなくて、へなへなとその場に座り込む。
流石、宇宙人。モンスター銀河なんて比じゃない。その衝撃は、本当の意味で未知との遭遇だ。
私は、宇宙人にも熱があるのだと、知ってしまった。
完
いや、まだ現在進行形か。私は宇宙人と交信している。
そんなことを人に言ったら十人中十人が痛い子を見る目で私を見るだろう話だ。だけどたった四人だけ、その話をニヤニヤ笑って面白そうに聞いてくれる人たちがいる。その付き合いももう三年になるだろうか。
私の友達でもあり、私の大切な人でもあり、私の好きな人でもある四人だ。その繋がりは、下らないとも言える宇宙人との交信がきっかけを作ったと言っていいだろう。
予想外の宇宙人との遭遇がなければ、私の宇宙への興味は、早い段階で消えていたかもしれない。そう思えるほど、宇宙人との遭遇は衝撃的で、知的好奇心が満たされる出来事だった。星を見上げる回数が増えたのは、その事と無関係じゃない。
だけど、世の中には予想もしない出来事がいくらもあるって、私は気付いていなかった。
「へ? 八代どうしたの? 男装なんかして」
十二月。暖房の効く学食に現れた男の娘に、私はあっけにとられた。
今年は寒すぎて女装が無理だったとか? でも、三年まで真冬も女装続けてたのに?
当の男の娘は、ふ、と普通の男子のように笑っている!
「ちょっとね」
そう言って男の娘がなぜか私の隣にいる偽勇者を見る。するとまたなぜか偽勇者が肩をすくめる。このやりとりって一体何? 私の中に生まれた疑問は、ある意味すぐ解けた。
「あー! タケノシンと会田さん、付き合うことになったんだね!」
解けはしたけど、あまりに唐突だと思える内容の宇宙人の友達の言葉にぎょっとする。
「いえ、ち……」
「そうです」
否定しようとした男の娘を遮り、偽勇者が肯定する。ますます意味が分からない。
当の男の娘が間抜けな声を出して偽勇者を見る。隣にいる偽勇者を見れば、なぜか男の娘から目をそらしたようだった。……意味が分からん。
「そっかそっか、ついにねー」
のほほん、と頷いている宇宙人の友達に、私は我に返る。
「いや、あの、」
「私たち、婚約したんです」
戸惑ったような男の娘に対して、偽勇者がきっぱりと宣言した。……何ですと?!
「はー?!」
私の驚きの叫びが学食に響く。
「実明うるさい」
私の隣にいた宇宙人が慌てたように私の口を押える。
「そっかそっか。良かったね、会田さん」
宇宙人の友達の言葉にコクリと頷く偽勇者の耳は赤い。偽勇者よ、本気か、本気なのか?!
「えーっと、俺には青天の霹靂ってやつなんだけど、志朗はいつからこの二人のこと気付いてたわけ?」
私の口をふさいだまま、宇宙人が宇宙人の友達に問いかける。
「えー? いつからって言うか……。最近は大分いい雰囲気だったよねぇ」
「え?」
なんで当人である男の娘が疑問の声をあげてるんだろう。
「鈍感!」
偽勇者が男の娘を罵っている。これ、本気で言っている。
「……ねえ、どうして婚約したって言ってるのに、鈍感って罵られてるわけ?」
宇宙人の手をべりっとはがして、男の娘に疑問を向ける。
「……えー?!」
今度は男の娘が叫び、隣にいた宇宙人の友達が慌てて男の娘の口をふさぐ。
「……俺も知りたいねぇ。会田さん、一体どうして気付いてない人間と婚約できたわけ?」
ニヤニヤしている宇宙人の友達に、明らかに傷ついている様子ではない偽勇者がため息をつく。
「全くもって不本意ではありましたが、カモネギってやつです」
「全然分かんねぇ」
「私にも分かりません」
宇宙人が首を振るが、私も首を振る。
「ま、俺にもよく分からないけど、めでたしめでたしなわけだしいいんじゃない?」
男の娘の口から手を離した宇宙人の友達が、男の娘の肩をポンポンと叩く。
とりあえず、私に言えることはただ一つ。
「会田の趣味が分からん」
私の言葉に、なぜか男の娘が頷く。当人が頷くって何なの。
「みゃーに説明する義務はないでしょ。……武之進には……気が向いたら説明するから」
照れたような偽勇者に、ああこれは本当に現実らしいと納得するほかはない。
それもこれも、実はお嬢でお見合い結婚が定められていた偽勇者のためだとか、男の娘がそこそこいい会社の御曹司だったとか、三年目にして初めて知る事実のオンパレード。
まあ、偽勇者がお嬢だとか男の娘が御曹司だったとかで私の態度が変わるわけもなかったけど、私の疑問と驚きはただひとつ。
え? 偽勇者、男の娘のこと本気で好きなの?!
いつぞや偽勇者が、宇宙人の友達のあまりの鈍さに心折れて、宇宙人の友達を諦める話をしてるときがあった。多分、二年くらい前になる。
でも、あれがあながち有りうる選択肢だったということに驚くしかなかった。
*
二人が付き合い出してから一年は経っているというのに、いまだに二人が付き合っているという事実に実感がわかない。
まあ、付き合い始めた頃は四年の終わりで、二人とも大学に残ることなく社会人になってしまったので、会う時間が減って二人がいるところを頻繁に目にすることがないってことも、実感がわきにくい理由の一つだとは思うんだけど。
……未だに、偽勇者ののろけは宇宙語を聞いているような気分になる。
「それよりも私、いまだに信じてないんですけど」
私は何年経っても変わり映えしない宇宙人の部屋で、宇宙人に訴える。
「いや、信じてやれよ。二人とも自分の親友だろ」
「まあ、そうですけど……。那奈にいくらのろけられても、他人の話をされてるような気分にしかならなくて……」
何だか狐につままれたような気分、分かるだろうか? あり得ないことがありうるようになった時、人はその理解を拒絶するように出来てるんだと思う。
「それくらい素直に聞いてやれよ」
「タケノシンがかっこよく見える話に同意ができなくて」
「まあ、それは贔屓目も入ってるからな」
宇宙人がクククと笑う。一体何がどうなってそうなったのか、未だに理解はできていない。
「みゃーちゃんも、那奈ちゃんとタケノシンを親友って認めるようになったんだね」
感慨深そうにウンウンと一人頷いているのは、宇宙人の友達だ。宇宙人の友達は、博士過程を一年でドロップアウトした後、今は普通に会社員をしている。研究がしたいんじゃないって気付いた、とそれこそ今更ながらの気付きを持って、一般企業に就職した。自分のことに鈍いのは恋愛だけじゃなかったらしい。
「まあ、これだけ付き合えば」
知り合った当事、私が友達だと認めなかったのを思い出したらしい宇宙人がニヤニヤと笑っている。私はそれを一睨みして、顔を背けた。
宇宙人は今も博士課程にいる。そして私は、宇宙人を追いかけて修士課程で頑張っている最中だ。
「ねー、ねー。圭介達はどうなの?」
宇宙人の友達の問いかけに、私は首を捻る。
「ケイスケ先輩、彼女いたんですか?」
もしいるんだとしたら、全然気付いてなかった。もうひとつの感情を押し込めて、私は何気ない風に質問する。
「いねーよ」
ギロリ、と宇宙人が宇宙人の友達を睨む。
「みたいだね」
苦笑する宇宙人の友達が、私を見る。
「圭介とみゃーちゃんはどうなってるの? って意味なんだけど」
宇宙人の友達の言葉に、私はパチクリと瞬きをする。
「どうにもなってませんけど」
あの日、どうにもならないと決めたのだ。たとえ宇宙人が他の誰かと付き合うことになっても、他の誰かと結婚しても、研究者としての先輩後輩の形は、絶対なくならないと分かっているから。
私は、なくなるかもしれない形など求めてない。……勿論、男の娘と偽勇者が別れるとか考えている訳じゃ絶対ない。でも私の恋愛の形はとてもあやふやでいつかなくしてしまいそうな気がするのだ。だから私は、壊れそうにない形を選ぶ。
「……ね、圭介。この間泊りで星見に行ったって言ってたよね?」
「行ったぞ。何もなかったぞ」
「ね、圭介? まさか、まだ、ど……」
「志朗、うるさい」
「マジで?」
「二人で何こそこそしゃべってるんですか?」
聞こえていたけど、あえて聞こえないフリをした。この二人だって私に聞かせるつもりで話してたのは分かっている。
「何で圭介とみゃーちゃんがくっつかないかについて議論してみた」
悪気もなくニヘラと笑う宇宙人の友達が、単刀直入に告げる。
「くっつかないからですよ」
「えー。もう何年になる?」
「何のカウントですか」
「二人で出掛けるようになってから……」
「二年?」
宇宙人が指を折って首をかしげている。
「二年だよ、二年! ……何してるんだよ、圭介」
「うっさいな。仕方ないだろ。実明の意思尊重したらそうなるんだよ」
「……圭介、強引に行けよ」
「シロー先輩、ご自分が彼女が出来たからって、余裕ですね。あんなに自分の感情に疎いくせに待ってくれる彼女で良かったですね」
「当たり前でしょ。俺の彼女なんだから」
完全に嫌みで言ったのに、ノロケで返された! 宇宙人の友達はその特性ピッタリの素晴らしいとしか言い様のない彼女が出来て幸せらしい。……まあ何よりだ。
「ま、俺らは俺らだから」
何も気にしてないように告げる宇宙人だけど、どうにかなる予定はそもそもない。
「ま、シロー先輩が思うようなことはそもそもないですから」
「みゃーちゃん……頑固だな」
苦笑する宇宙人の友達に、頑固で何が悪いと思う。
「関係なくないですか?」
私が頑固でも、私たちがどうもならなくても。その二つの意味は宇宙人の友達に伝わったらしく、宇宙人の友達は肩をすくめた。
ピーンポーン。
その音に、私は迷わず立ち上がる。その音を鳴らしたのは、誰だか分かっているからだ。
「それでは、圭介の門出を祝して、乾杯!」
宇宙人の友達の声が、宇宙人の部屋に響く。宇宙人は相変わらずあの星を見るには最適な部屋に住んでいる。いや、もう少しで住んでいた、になる。
「おめでとうございます」
私も、男の娘も、偽勇者も、口々に祝いの言葉を載せて、宇宙人のグラスと合わせる。
今日は、宇宙人がアメリカの大学に行くことになったお祝いだ。偽勇者と男の娘が婚約してから約一年。私が院生になって約一年。いつか来るかもしれないと覚悟していたその日は、あっという間にやってきてしまった。
「ありがと。なんかわざわざこんな風にされると照れるな」
そういいながら宇宙人は、いつもの顔でコップをあおる。
「見送りに行けたらよかったんだけどな。どうしても抜けられない打ち合わせが入ってて」
そういってコップを置いたのは宇宙人の友達。
「あれ、那奈はお茶?」
私はお茶の入ったコップを持つ偽勇者に首をかしげる。偽勇者は間違いなくザルだ。なのにお茶。その心は?
「仕方ないよね」
そう言って照れた顔をする偽勇者に、私は目を見開く。
「本当?!」
「嘘言ってどうするわけ。外に出るとこんな感じでつわりもないんだけど、家にいると結構辛くて。結婚式の準備が大変なんだけど、武之進が頑張ってくれてるんだよね」
偽勇者と男の娘の結婚式はあと一か月ほどに迫っている。
つわり、という言葉を耳ざとく拾った宇宙人の友達が、男の娘に質問している。そちらはそちらでやるがよい。と思ったら、視界の端で男の娘がもみくちゃにされている。
「おめでとう!」
「だからケイスケ先輩の見送りは、パスね。タケノシンは仕事で仕方ないんだけど。だから、みはる見送りよろしくね」
なるほど、それで三人が三人とも宇宙人の見送りにいかないのかと、ようやく納得する。実は、変に気を利かせての行動なのかとうがった見方をしていた。反省。
「わかった」
確かに承った!
「ところで、みはるはどうすんの?」
急にひそひそとした偽勇者の問いかけに私は首を捻る。
「どうするって?」
問われている意味が分からない。
「ケイスケ先輩と!」
声は立てずにでも力強くという離れ業をやってのけた偽勇者に流石偽勇者だなと感心しつつ、私は首を横にふる。
「何も」
「何やってんの! ケイスケ先輩!」
どうやら矛先は私にはならないらしい。よかった。責められても困るだけだし。私は見慣れたカオスなやり取りに、クスリと笑った。
結婚して新しい家庭を築いていく男の娘と偽勇者。研究のために、海外に飛び出していく宇宙人。研究者とは違う道を選んできっと今付き合っている彼女と結婚するだろう宇宙人の友達。
大学四年間で交わった私たちの人生は、こうやって新たな道を見つけて進んでいく。その人生が二度と交わらないなんてことはないだろう。私たちは友達だから。
それでも、変わっていくその環境が寂しいと思うのは、私が一人だけ取り残されたような気がするからかもしれない。私が大事だと思っている友達たちに取り残されたのが、きっと寂しいのだ。
こんなことを思ってるとか、きっと、大学に入った頃の私は思ってもみなかっただろう。
ケイスケ先輩にシロー先輩、那奈にタケノシン。こんなにも大切な友達ができるとか、全然想像もしていなかった。
……こんなに大切で好きな人ができるとも、思ってもみなかったけど。それでも私は宇宙人の夢を応援して、私もそれに追いつけるように頑張るしかないのだけど。
妊娠初期の偽勇者を気遣って、会は早めにお開きになった。
片付け手伝うよ、と言ってくれた宇宙人の友達には、感謝しつつも、大丈夫だからと帰って貰った。こうやって、私と宇宙人が顔を合わせてゆっくりしゃべれるのも、あと僅かだからだ。
私は、宇宙人との別れを間違いなく惜しんでいる。これが今生の別れってわけでも、二度と会えないって訳でもないと頭では分かっているのに、心が理解してないみたいだ。キリキリとした痛みが、私の胸を苛んでいる。
「ケイスケ先輩、星見ません?」
片付けが終わって、それでも名残惜しくて、私は宇宙人に提案する。
「本当に星好きだな」
クスリと笑うその顔に、胸がキュッと締め付けられるとか、本当は知りたくなかったはずなのに。
「好きですよ」
宇宙人に伝えたくはない。だけどこれくらいなら許されるだろうか。
窓を開ければいつもの景色。真っ暗な闇が広がっていて、昼間は暑かった空気も、すっかりひんやりと冷えている。見上げれば、星が何時ものように瞬いている。この景色がもう見られなくなるとか考えちゃいけないのに、つい想像してしまって涙が滲む。
「実明」
「何ですか?」
隣に並ぶ宇宙人の呼び掛けに、私は上を向いたまま、答える。
「俺、実明のこと好きだよ」
「……それがどうしたんですか?」
私の答えに宇宙人が苦笑する。
「だから、付き合わないかってこと」
それに頷けば、私が今欲しいものは手に入るのかもしれない。でも、それが終わってしまったら? そう考えると、頷けそうな気はしなかった。
「いやですよ」
ぎゅっと目をつぶって、目にたまっていた涙を追いやる。涙が引っ込んだのを感じて、宇宙人を見る。
「私はケイスケ先輩を尊敬していて追い越したいと思ってますけど、恋愛感情はありませんから」
私が選べるのは、この道だけだ。
「本当に、返事はいつも通りだな」
それでも、私の答えに傷ついた様子じゃない飄々とした宇宙人に、どこかホッとする。
「当り前じゃないですか」
私の答えは、これしかないから。空を見上げると、それでいいとでも言うみたいに、星が瞬いた。
*
「ケイスケ先輩、もう時間ないんじゃないんですか?」
のんびりとした様子の宇宙人に、私の方が焦る。
「まだ五分くらいは大丈夫」
「そんなこと言って、飛行機乗れなかったらどうするんですか」
呆れた気分を持ちつつも、動こうとしない宇宙人に私の方がさらに焦る。
「大丈夫だって」
「もう行っていいですよ。待ってたって私以外の他のメンバー来ないんですから」
今日、宇宙人はアメリカに出発する。モンスター銀河を見つけたあの場所にも行くことになるらしい。流石、としか言いようがない。いつまでたっても追いつけない、その焦燥感と、物理的にも離れて行ってしまうという喪失感がないまぜになっている気持ちは、見せないと決めている。
「ところで実明」
「何ですか?」
名前を呼ばれて、ん? と首をひねる。ところで、に続く言葉が何も思いつかなかったせいだ。
「こっちでも研究はできるだろ?」
「はい?」
「配偶者ビザなら、すぐ来れると思うんだよな」
「……何、言ってるんですか?」
「もうさ、ずっと付き合ってたようなもんだろ。覚悟、決めろよ」
「え? いや、あの、えー?!」
「実明の実力なら、こっちでも研究続けられると思うから、来てから探すか来る前に探しとけ」
「……いや、そう言うことじゃなくて!」
「あいつらが今日来てないの、気を利かせてくれただけだから」
「へ?!」
「返事は一つだけだからな。決めたら連絡しろよ」
パニックになって言葉を続けられない私と、宇宙人が距離を詰める。
「実感しろ」
顎をつかまれて、唇が触れる。唇から宇宙人の熱が伝わってきたのは、ほんの一瞬だった。
私から離れた宇宙人は、よく見る悪い顔じゃなくて、やさしい顔で笑っていた。
思考が止まって呆然としている私に、じゃ、と手を挙げると、宇宙人は私がいけない向こう側へ歩き出す。私は今の出来事が信じられなくて、へなへなとその場に座り込む。
流石、宇宙人。モンスター銀河なんて比じゃない。その衝撃は、本当の意味で未知との遭遇だ。
私は、宇宙人にも熱があるのだと、知ってしまった。
完
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