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アリスの誕生日を祝ったあと

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 ハースは、うっすらと見える向こう側の景色を見ながら、向こう側にアリスがいることを想像してみた。
 横たわるハースに、添うように寝そべるアリス。
 最高かもしれない! と一瞬だけ思った。
 そして、我に返る。

 もそもそと、ハースは自作した箱もどきの中から這い出した。
 アリスの誕生日を祝い、アリスを寮の部屋まで送って、しばらくアリスの様子を観察してから、ハースは自分の寮の部屋に戻って来た。勿論、アリスにお休みの挨拶は忘れずにしてきた。
 そして、部屋の中にそびえたつ箱もどきを見ながら、ハースは思った。
 実際に入ってみたら、どんな気分になるのだろうと。

 そして、上から入ることは困難なため、箱もどきを横に倒した。
 そして、横になった出入り口から、中に入ってみたのだ。
 そして、妄想してみた。

 だが、妄想が嬉しかったのは、一瞬だけだった。

 やっぱり、生身のアリスを抱きしめる方が、もっと嬉しいことを、ハースは知っているからだ。
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