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だから⑦
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「廃嫡と言う言葉すら知らない人間が皇太子とは、本当に信じられませんわ! ファビアン殿下は、勉強という勉強から逃げ回り、とうとう、ご自分に関係する言葉すら習得することなく、学院を卒業してしまわれるのですね」
クリスティアーヌめ!
「そ、そんなめったに聞かない言葉を、知らないからと言って、国王として困ることはないだろう! わからなければ、周りにいる人間たちに確認すればよいのだ!」
私の言葉に、クリスティアーヌが小さくため息をつく。
「廃嫡とは、皇太子の身分をはく奪することですわ。それでも、周りの人に聞いてから知ればよかった言葉だと思っていらっしゃるのかしら?」
は、はく奪?
「はく奪?! なぜ私が!?」
信じらない! 私は憤慨してクリスティアーヌを睨む。
「よく、そのような疑問を持つことができますわね。皇太子としての責務を全うせず、嫌なことから逃げ回り、自分に厳しい人間を遠ざけ、自分が好き勝手に生活する。それが、一国の国王となるべき人の態度でしょうか?」
「な、何を言う! わ、私だって国王になるべき帝王学は学んでいる! 学院での勉強など取るに足らぬことではないか! ち、父上は私が十分やっていると認めていたのだ! 現に、私の行動を許していたぞ!」
私の言葉に、クリスティアーヌが首を横にふる。
「そういわれてしまえば、国王陛下がお許しになっていたと考えざるを得ませんわね。ですが、私はファビアン殿下の近くで、国王陛下にたびたび苦言を告げられているのを見ていたのですよ? ただ、ファビアン殿下が、その苦言に一度も耳を傾けることがなかっただけではありませんか」
「そ、そんなことはない!」
そ、そんな記憶など一度もない!
……いや、ないはずだ!
「いいえ。そんなことが度々ありましたわ。国王陛下、そうでしたわよね?」
クリスティアーヌが話を振ると、父上は、まだ呆然とした表情でクリスティアーヌを見つめていた。
そうだ。
別にクリスティアーヌが言うことを、父上が聞き入れる道理はないんだ!
クリスティアーヌは、一介の貴族令嬢であるだけだ!
「陛下、もしや、ファビアン殿下がおっしゃっている通り、ファビアン殿下の行いを全てお許しになっていたのですか?」
レナルド殿の確認に、父上は我に返ると、ぶんぶんと首を横に振った。
え?!
父上!? なぜ、否定するのです?!
「いえ。私は、ファビアンに良き国王になってほしいと、長年その行いに苦言を述べていたのですが……」
そこまで言うと、父上がクリスティアーヌに向く。
父上?! 苦言など、述べられたことは……ない……ハズです!
「そうでしたわ。でも、ファビアン殿下は、少しも聞く様子がありませんでした。ファビアン殿下は、自分に厳しい意見を言う人間の話を、聞こうとはされません。学びもせず遊び惚けていたファビアン殿下が国のかじ取りをしたとき、国が傾くのは目に見えていますわ。苦言を呈する人間の言葉を聞こうともしないファビアン殿下では、国の明るい未来が見えませんわ」
そもそも、何を言っているのだ!
「意見など聞かなくとも、私はやれる! ノエリアもそう言っている! 私とノエリアの二人がいれば、この国は安泰だ!」
意気揚々と叫ぶ私に、会場は静けさを増した。ほら見てみろ。クリスティアーヌの言葉よりも、私の言葉の方が貴族に支持されているんだ!
「ファビアン殿下とノエリア様の二人がいたら、我が国の貯えも、早々に消えてしまうでしょうね。政治のかじ取りを失敗するだけではなくて、国の貯えまでも食いつぶす国王など、国が消滅するしかありませんのよ?」
「な、何を言い出すんだ! 貯えを食いつぶすなど、そんなことをするわけがないだろう! 我が国の貯えは潤沢にあるではないか!」
私はノエリアの高価なドレスを用意するためにも、お金を使わずに手に入れたのだぞ! ……他の物を引き換えにはしたが……。
「あら。ノエリア様のドレスは、とても高価なものでしてよ? 公爵家令嬢である私でも、手が届きそうにない衣装だわ。バール王国の王妃様くらいでなければ買えないような値段だと思うのだけど。そのドレス、どうやって手に入れたのかしら? ガンス男爵家では、到底買えない衣装でしょうに」
やはり、手に入れようとしていただけある。知っているのか。
忌々しい。私はクリスティアーヌを視界に入れたくなくて目をそらした。
父上が、私に近づいてくる。
「どういうことだ、ファビアン。ノエリア嬢のドレスは、どうやって手に入れたのだ!?」
「あ、あれは……しょ、商人が、そう、付き合いのある商人が、安くで手に入ると言うので、私のつてで買ったものです。国の貯えを使ったわけではないのです! わ、私の個人資産から払っております!」
流石に、王家の持ち物であるルロワ城を売ったとは、ここでは言い出しずらい。だが、後で言えばいいだろう。父上ならば理解してくださるさ。
それにあれは、いずれ国王になる私の持ち物に違いないのだ!
「ふふふふ」
なぜかクリスティアーヌが笑いだす。
気に障る笑い方だな!
「なぜ笑う! 私は国の貯えを使ってはおらん! 調べてみるがよい!」
「ファビアン、本当なのか?」
「父上、本当です! こんな女の言うことに、惑わされないでください!」
どこを調べようとも、国のお金は一切使っていない!
それは間違いないことだ!
だから、嘘は言っていない!
クリスティアーヌめ!
「そ、そんなめったに聞かない言葉を、知らないからと言って、国王として困ることはないだろう! わからなければ、周りにいる人間たちに確認すればよいのだ!」
私の言葉に、クリスティアーヌが小さくため息をつく。
「廃嫡とは、皇太子の身分をはく奪することですわ。それでも、周りの人に聞いてから知ればよかった言葉だと思っていらっしゃるのかしら?」
は、はく奪?
「はく奪?! なぜ私が!?」
信じらない! 私は憤慨してクリスティアーヌを睨む。
「よく、そのような疑問を持つことができますわね。皇太子としての責務を全うせず、嫌なことから逃げ回り、自分に厳しい人間を遠ざけ、自分が好き勝手に生活する。それが、一国の国王となるべき人の態度でしょうか?」
「な、何を言う! わ、私だって国王になるべき帝王学は学んでいる! 学院での勉強など取るに足らぬことではないか! ち、父上は私が十分やっていると認めていたのだ! 現に、私の行動を許していたぞ!」
私の言葉に、クリスティアーヌが首を横にふる。
「そういわれてしまえば、国王陛下がお許しになっていたと考えざるを得ませんわね。ですが、私はファビアン殿下の近くで、国王陛下にたびたび苦言を告げられているのを見ていたのですよ? ただ、ファビアン殿下が、その苦言に一度も耳を傾けることがなかっただけではありませんか」
「そ、そんなことはない!」
そ、そんな記憶など一度もない!
……いや、ないはずだ!
「いいえ。そんなことが度々ありましたわ。国王陛下、そうでしたわよね?」
クリスティアーヌが話を振ると、父上は、まだ呆然とした表情でクリスティアーヌを見つめていた。
そうだ。
別にクリスティアーヌが言うことを、父上が聞き入れる道理はないんだ!
クリスティアーヌは、一介の貴族令嬢であるだけだ!
「陛下、もしや、ファビアン殿下がおっしゃっている通り、ファビアン殿下の行いを全てお許しになっていたのですか?」
レナルド殿の確認に、父上は我に返ると、ぶんぶんと首を横に振った。
え?!
父上!? なぜ、否定するのです?!
「いえ。私は、ファビアンに良き国王になってほしいと、長年その行いに苦言を述べていたのですが……」
そこまで言うと、父上がクリスティアーヌに向く。
父上?! 苦言など、述べられたことは……ない……ハズです!
「そうでしたわ。でも、ファビアン殿下は、少しも聞く様子がありませんでした。ファビアン殿下は、自分に厳しい意見を言う人間の話を、聞こうとはされません。学びもせず遊び惚けていたファビアン殿下が国のかじ取りをしたとき、国が傾くのは目に見えていますわ。苦言を呈する人間の言葉を聞こうともしないファビアン殿下では、国の明るい未来が見えませんわ」
そもそも、何を言っているのだ!
「意見など聞かなくとも、私はやれる! ノエリアもそう言っている! 私とノエリアの二人がいれば、この国は安泰だ!」
意気揚々と叫ぶ私に、会場は静けさを増した。ほら見てみろ。クリスティアーヌの言葉よりも、私の言葉の方が貴族に支持されているんだ!
「ファビアン殿下とノエリア様の二人がいたら、我が国の貯えも、早々に消えてしまうでしょうね。政治のかじ取りを失敗するだけではなくて、国の貯えまでも食いつぶす国王など、国が消滅するしかありませんのよ?」
「な、何を言い出すんだ! 貯えを食いつぶすなど、そんなことをするわけがないだろう! 我が国の貯えは潤沢にあるではないか!」
私はノエリアの高価なドレスを用意するためにも、お金を使わずに手に入れたのだぞ! ……他の物を引き換えにはしたが……。
「あら。ノエリア様のドレスは、とても高価なものでしてよ? 公爵家令嬢である私でも、手が届きそうにない衣装だわ。バール王国の王妃様くらいでなければ買えないような値段だと思うのだけど。そのドレス、どうやって手に入れたのかしら? ガンス男爵家では、到底買えない衣装でしょうに」
やはり、手に入れようとしていただけある。知っているのか。
忌々しい。私はクリスティアーヌを視界に入れたくなくて目をそらした。
父上が、私に近づいてくる。
「どういうことだ、ファビアン。ノエリア嬢のドレスは、どうやって手に入れたのだ!?」
「あ、あれは……しょ、商人が、そう、付き合いのある商人が、安くで手に入ると言うので、私のつてで買ったものです。国の貯えを使ったわけではないのです! わ、私の個人資産から払っております!」
流石に、王家の持ち物であるルロワ城を売ったとは、ここでは言い出しずらい。だが、後で言えばいいだろう。父上ならば理解してくださるさ。
それにあれは、いずれ国王になる私の持ち物に違いないのだ!
「ふふふふ」
なぜかクリスティアーヌが笑いだす。
気に障る笑い方だな!
「なぜ笑う! 私は国の貯えを使ってはおらん! 調べてみるがよい!」
「ファビアン、本当なのか?」
「父上、本当です! こんな女の言うことに、惑わされないでください!」
どこを調べようとも、国のお金は一切使っていない!
それは間違いないことだ!
だから、嘘は言っていない!
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