14 / 50
第一章 駆け出し冒険者は博物学者
#10
しおりを挟む
この世界には魔法があり、精霊(神)が実在すると信じられ、その為多くの自然現象は神と精霊の名のもとに説明がついてしまう。そして説明が付けば、それを魔法で再現出来、結果自然科学の分野を理論的に究明しようとする研究者が存在しなくなっている。
だからこそ、説明のつかない現象は、“神意”または“精霊(神)の悪戯いたずら”で話は終わってしまうのだ。
例えば、静電気は「風精霊の悪戯」、磁気は「地精霊の悪戯」、そして自然発火や(メタンガス等への引火に拠る)爆発は「火精霊の悪戯」、で全て解決する(“悪戯”に意味を求めても、文字通り意味がないから)。そして“悪戯”では済まされない、大規模な自然現象(竜巻や落雷、地震など)は、“神意(神威)”として納得するのだ。
★☆★ ☆★☆
さて。石炭の入手が出来たなら、これをコークス化することで使い勝手が更に良くなる。
これは、薪まきを蒸し焼き(無酸素燃焼)して炭化させたものが木炭であるのと同様に、石炭を炭化させたものがコークスだからである。ただ薪より石炭の方が構造的に強固である為、そのままではコークス化し難づらい。結果、粉砕してなるべく小さい粒状にしてから蒸し焼きにする必要がある。つまり、薪より手間がかかるのである。
その一方で、コークスは木炭より高い火力を発揮出来る。つまり、鍛冶師ギルドにとって必需品となる「高火力燃料」として考えた場合、これが理想的なのである。
◇◆◇ ◆◇◆
「親父、調子はどうだい?」
「だから貴様に親父呼ばわりされる覚えはねぇ、と何度言えばわかる?」
「じゃぁ爺と呼ぼうか」
「帰れ。」
いつもの通りの掛け合いをして、“リックの武具店”に入っていった。
「ちょっと教えてほしいことがある。あと手押しポンプの進捗状況の確認がしたい」
「手押しポンプの方は難航している」
手押しポンプが難航している理由は、そもそもこの世界・この時代の鍛冶は基本的に「大きいことは良いことだ」というのが一つの理念になっているからである。
大規模建造物にロマンを求めるのは、いつの時代もどこの世界も共通する技術者性かもしれない。しかし、手押しポンプはそれに逆行するように、微細部品の集まりなのだ。
特に難航しているのは逆止弁の開発だ。「なんちゃって逆止弁」で良いのなら結構簡単に作れる(それこそ前世地球では、紀元前からその存在を確認出来る)のだが、それなりの防水性と耐圧性、加えて耐久性の全てを成立させようとすると、かなり苦労する。この世界・この時代にゴムが有れば話は簡単なのだが、そうは問屋が卸さない。
結局、粘土と獣脂で防水シリコン(もどき)を作るアイディアを提供した。耐久性という一点で疑問は残るが、こまめにメンテナンスすることでその性能を維持することが出来るだろう。ついでに「Oリング」の考え方も教えた。耐久性に不安があるのなら、はじめから容易に交換可能なパーツにすれば良いのだから。
「で、教えてほしいことってのは?」
「親父さんが鍛冶に使う燃料について、だ」
「……それは鍛冶師ギルドの秘密だが?」
「やっぱそうか。ではその燃料である木炭を供給することが出来るかもしれない、と言ったら? 或いは、木炭以上の火力の燃料を供給出来るかもしれない、という話には興味はないかい?」
「……どこから木炭の存在を嗅ぎ付けてきた? それを供給出来る? どうやって? それに木炭以上の火力の燃料? それは何だ?」
「現時点では秘密。当然だろ? 鍛冶師ギルドだけで知られる木炭と、ギルドでさえ知らない新燃料。この場で明かすことは出来ないよ。
もっとも、今現在では実物はないから、仮に明かすことが出来ても見せられないけどね」
「で、それをどうしようって?」
「本音を言えば、木炭がどの程度世間に知られているのかを知りたかった。結構普通に知られているんなら、親父さんと直接取引を、ってことも考えたんだけどな。
鍛冶師ギルドの秘匿事項になっているんなら、むしろこれは鍛冶師ギルドそのものと取引した方が良いかもしれない。
その時が来たら、ギルドに紹介してもらえないか?」
「……良いだろう。但し、その品質を確認してからになるがな」
「当然でしょ。もっとも、それが出来るのは早くても冬のことだろうけどね」
◇◆◇ ◆◇◆
「孤児院改造計画」に於いて行おうと思っているのは、次の通りである。
1. 剣術指南(職業訓練)
2. 読み書きと簡単な計算、そして礼儀作法(職業訓練)
3. 針子の下請け(収入源)
4. 薬草・香草の栽培(収入源)
5. 炭焼きとコークス生成(収入源)
収入源としている技術も、そのまま卒院後を目論んだ職業訓練になる。
たとえば、針子の下請けとして一定の評価を得られれば、卒院後元請である服屋に針子見習いで採用され易いだろう。薬草・香草の栽培もそうだ。炭焼きやコークス生成は、その技術そのものが鍛冶師ギルドの秘匿事項だという以上、卒院後はギルドに囲い込まれる可能性が高い。その後はそのまま炭焼きをしても、または鍛冶師見習いとしても生活出来るだろう。
加えて卒院年齢を12歳から14歳に引き上げ、12歳になった院生たちを冒険者登録させ、木札の雑用系依頼を片っ端から受注して、院の経営の助けとするということも考えている。
そして、導入すべきは浴場であろう。
この世界ではまだ、浴場は一般的ではない。
俺の生家では普通にあったが、水を貯めて入浴するということの意義が理解されていない為、ただの「貴族の贅沢」としか思われていないのだ。
そのうえ水を湯にする燃料代も莫迦にならない。
だが、その所為もあり衛生観念が殆発達していない。
なら、浴場を設営し毎日入浴させ、残り湯で厠の掃除や洗濯などに回せばかなり違ってくるだろう(これまでは井戸から水を汲んでいる為、掃除に水を使うのはもったいない、という考え方が染みついている)。
そして豊富な水を使えれば、他にも出来ることは増えてくる。
料理にも、洗濯にも、園芸にも。
あとは、トイレの改善。現在は穴を掘りそこに排泄し、それが一定量に達したら埋めて新たなトイレになる穴を掘る。院生たちが一番嫌がる、その為悪いことをした際の罰に使われ易い仕事である。
けど、堆肥としてそれを利用することが出来れば。
大腸菌や寄生虫など、色々問題は多いが、うまく出来ればこれも商品になる。
こうして、「孤児院改造計画」は着々と進んでいくのである。
だからこそ、説明のつかない現象は、“神意”または“精霊(神)の悪戯いたずら”で話は終わってしまうのだ。
例えば、静電気は「風精霊の悪戯」、磁気は「地精霊の悪戯」、そして自然発火や(メタンガス等への引火に拠る)爆発は「火精霊の悪戯」、で全て解決する(“悪戯”に意味を求めても、文字通り意味がないから)。そして“悪戯”では済まされない、大規模な自然現象(竜巻や落雷、地震など)は、“神意(神威)”として納得するのだ。
★☆★ ☆★☆
さて。石炭の入手が出来たなら、これをコークス化することで使い勝手が更に良くなる。
これは、薪まきを蒸し焼き(無酸素燃焼)して炭化させたものが木炭であるのと同様に、石炭を炭化させたものがコークスだからである。ただ薪より石炭の方が構造的に強固である為、そのままではコークス化し難づらい。結果、粉砕してなるべく小さい粒状にしてから蒸し焼きにする必要がある。つまり、薪より手間がかかるのである。
その一方で、コークスは木炭より高い火力を発揮出来る。つまり、鍛冶師ギルドにとって必需品となる「高火力燃料」として考えた場合、これが理想的なのである。
◇◆◇ ◆◇◆
「親父、調子はどうだい?」
「だから貴様に親父呼ばわりされる覚えはねぇ、と何度言えばわかる?」
「じゃぁ爺と呼ぼうか」
「帰れ。」
いつもの通りの掛け合いをして、“リックの武具店”に入っていった。
「ちょっと教えてほしいことがある。あと手押しポンプの進捗状況の確認がしたい」
「手押しポンプの方は難航している」
手押しポンプが難航している理由は、そもそもこの世界・この時代の鍛冶は基本的に「大きいことは良いことだ」というのが一つの理念になっているからである。
大規模建造物にロマンを求めるのは、いつの時代もどこの世界も共通する技術者性かもしれない。しかし、手押しポンプはそれに逆行するように、微細部品の集まりなのだ。
特に難航しているのは逆止弁の開発だ。「なんちゃって逆止弁」で良いのなら結構簡単に作れる(それこそ前世地球では、紀元前からその存在を確認出来る)のだが、それなりの防水性と耐圧性、加えて耐久性の全てを成立させようとすると、かなり苦労する。この世界・この時代にゴムが有れば話は簡単なのだが、そうは問屋が卸さない。
結局、粘土と獣脂で防水シリコン(もどき)を作るアイディアを提供した。耐久性という一点で疑問は残るが、こまめにメンテナンスすることでその性能を維持することが出来るだろう。ついでに「Oリング」の考え方も教えた。耐久性に不安があるのなら、はじめから容易に交換可能なパーツにすれば良いのだから。
「で、教えてほしいことってのは?」
「親父さんが鍛冶に使う燃料について、だ」
「……それは鍛冶師ギルドの秘密だが?」
「やっぱそうか。ではその燃料である木炭を供給することが出来るかもしれない、と言ったら? 或いは、木炭以上の火力の燃料を供給出来るかもしれない、という話には興味はないかい?」
「……どこから木炭の存在を嗅ぎ付けてきた? それを供給出来る? どうやって? それに木炭以上の火力の燃料? それは何だ?」
「現時点では秘密。当然だろ? 鍛冶師ギルドだけで知られる木炭と、ギルドでさえ知らない新燃料。この場で明かすことは出来ないよ。
もっとも、今現在では実物はないから、仮に明かすことが出来ても見せられないけどね」
「で、それをどうしようって?」
「本音を言えば、木炭がどの程度世間に知られているのかを知りたかった。結構普通に知られているんなら、親父さんと直接取引を、ってことも考えたんだけどな。
鍛冶師ギルドの秘匿事項になっているんなら、むしろこれは鍛冶師ギルドそのものと取引した方が良いかもしれない。
その時が来たら、ギルドに紹介してもらえないか?」
「……良いだろう。但し、その品質を確認してからになるがな」
「当然でしょ。もっとも、それが出来るのは早くても冬のことだろうけどね」
◇◆◇ ◆◇◆
「孤児院改造計画」に於いて行おうと思っているのは、次の通りである。
1. 剣術指南(職業訓練)
2. 読み書きと簡単な計算、そして礼儀作法(職業訓練)
3. 針子の下請け(収入源)
4. 薬草・香草の栽培(収入源)
5. 炭焼きとコークス生成(収入源)
収入源としている技術も、そのまま卒院後を目論んだ職業訓練になる。
たとえば、針子の下請けとして一定の評価を得られれば、卒院後元請である服屋に針子見習いで採用され易いだろう。薬草・香草の栽培もそうだ。炭焼きやコークス生成は、その技術そのものが鍛冶師ギルドの秘匿事項だという以上、卒院後はギルドに囲い込まれる可能性が高い。その後はそのまま炭焼きをしても、または鍛冶師見習いとしても生活出来るだろう。
加えて卒院年齢を12歳から14歳に引き上げ、12歳になった院生たちを冒険者登録させ、木札の雑用系依頼を片っ端から受注して、院の経営の助けとするということも考えている。
そして、導入すべきは浴場であろう。
この世界ではまだ、浴場は一般的ではない。
俺の生家では普通にあったが、水を貯めて入浴するということの意義が理解されていない為、ただの「貴族の贅沢」としか思われていないのだ。
そのうえ水を湯にする燃料代も莫迦にならない。
だが、その所為もあり衛生観念が殆発達していない。
なら、浴場を設営し毎日入浴させ、残り湯で厠の掃除や洗濯などに回せばかなり違ってくるだろう(これまでは井戸から水を汲んでいる為、掃除に水を使うのはもったいない、という考え方が染みついている)。
そして豊富な水を使えれば、他にも出来ることは増えてくる。
料理にも、洗濯にも、園芸にも。
あとは、トイレの改善。現在は穴を掘りそこに排泄し、それが一定量に達したら埋めて新たなトイレになる穴を掘る。院生たちが一番嫌がる、その為悪いことをした際の罰に使われ易い仕事である。
けど、堆肥としてそれを利用することが出来れば。
大腸菌や寄生虫など、色々問題は多いが、うまく出来ればこれも商品になる。
こうして、「孤児院改造計画」は着々と進んでいくのである。
20
お気に入りに追加
228
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~
つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。
このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。
しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。
地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。
今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
おもちゃで遊ぶだけでスキル習得~世界最強の商人目指します~
暇人太一
ファンタジー
大学生の星野陽一は高校生三人組に事故を起こされ重傷を負うも、その事故直後に異世界転移する。気づけばそこはテンプレ通りの白い空間で、説明された内容もありきたりな魔王軍討伐のための勇者召喚だった。
白い空間に一人残された陽一に別の女神様が近づき、モフモフを捜して完全復活させることを使命とし、勇者たちより十年早く転生させると言う。
勇者たちとは違い魔王軍は無視して好きにして良いという好待遇に、陽一は了承して異世界に転生することを決める。
転生後に授けられた職業は【トイストア】という万能チート職業だった。しかし世界の常識では『欠陥職業』と蔑まされて呼ばれる職業だったのだ。
それでも陽一が生み出すおもちゃは魔王の心をも鷲掴みにし、多くのモフモフに囲まれながら最強の商人になっていく。
魔術とスキルで無双し、モフモフと一緒におもちゃで遊んだり売ったりする話である。
小説家になろう様でも投稿始めました。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる