グリモワールな異世界転移

クー

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第一章 全ての始まり 『種族の集まる国 ガイア』

第三十話『初めてのダンジョン?!』

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 はーい。ただいま新婚ほやほやのユウです。いぇーい!
 ………え? ちょっとうざい? ハッハッハー……ごめんなさい。調子に乗りました。反省はしていません。



 えー、気を取り直して、只今ただいまダンジョンにやって来てまーす。

 ダンジョン攻略はもう終わったんじゃねえのかって?

 うん。当然の疑問ですね。いやいやーでもそれが色々と事情がありましてねー。


(……どこから説明しようかなー。まぁ、最初から説明すればいいのかな。)


 俺はそう思い回想を始めようとした。


「それは戴冠式が終わってすぐの出来事だった……」
「ユウ様。いきなり一人で何を言い出しているのですか?」

 俺が回想に入ろうとすると横からスカーレットが話かけてきた。


(スカーレット。今はあまり話かけてほしくなかったかな。声に出して回想に入ろうとした俺も悪いんだけど。)  


 と、心の中では思ったが流石に思った事をそのまま直接伝える訳にもいかないのでだいぶ言葉をオブラートに包んで話した。


「スカーレット。俺は今から考え事をするからあまり話かけないで貰えると嬉しいな」


 俺がそう言うとスカーレットは申し訳なさそうにしながら俺の言葉に応えた


「あ、そう言うことでしたか。ごめんなさい。考え事の邪魔をしてしまって……」
「謝らなくていい。むしろ考え事を言葉にした俺が悪い。だからスカーレットは謝るな」
「はい! ありがとうごさいますユウ様!  ……あの、考え事が終わったら私の話かけて下さい。いっぱいお喋りしましょうね!」
「分かった。考え事をが終わったら沢山話そう。……ライムも一緒にだぞ」 
「はい。ユウ様!」


 俺がライムにも声をかけてやるとライムは嬉しそうに目を輝かせた。


(よし、速くスカーレットとライムと話すためにもこれまでの経緯の説明を速く終わらせないとな………)


───────────────────────


 ──現在ダンジョンに入っている………………回想終了!!


───────────────────────




  ………え? 「説明になってない?」「そんなの知っている?」「そもそもそれじゃあ回想じゃない」って?


 ごめんなさい。二人と話したいばっかりに説明が疎かになりました。次は真面目にやりますんで許して下さい。




──────数日前・戴冠式終了後─────



「ユウ様。………いえ、国王様。ちょっとお待ち下さい」


  俺が疲れて国王の間に向かっていると、後ろから大臣が話かけてきた。


(なんだよ。俺はもう疲れた。すぐに国王の間に戻ってゴロゴロしたいんだけど)


 と、思ったがそれを口には出さず大臣の話を聴くことにした。


「なんだ。大臣よ」
「先程、国王様がダンジョンを攻略なされた。と言う、話の件なんですけど……」
「あぁ、攻略したぞ。それがどうした?」
「あの、大変言いにくい事なんですが……」
「ん。なんだ、言ってみろ」
「はい。えっと通常ダンジョンと言う物はですね、攻略されるとダンジョンコアと言う物が出ましてそれを壊すとダンジョンが消えるんです。……えっと、つまりですね。ダンジョンがまだ消えていないと言う事は完全にはダンジョンが攻略されていないと言う事なんです」 


 俺はそれを聞いて素の口調が出てしまった。……せっかく国王っぽく振る舞っていたのに。


「そ、そうだったのか……」
「どうなさいます? いつまでも放置しておくとまたモンスターが溢れるかもしれません。たまたま死者は出ませんでしたが、次また今回と同じような事になれば、絶対に死者が出ますよ」
「なるほど、それは困ったな……ならまた今度ダンジョンを再度攻略しに行くわ! それじゃあな、大臣」
「え? ちょ、ちょっと待って下さい。国王様! 国王様ーーー!!」

 はや歩きで自室まで戻る。だが、背後から聞こえてくる声があまりに必死なので、足を止めてやる。そして、振り返り、

「国民の為、私はダンジョンに潜るのだ。だから、俺の不在中。この国はお前に任せたぞ。前国王の横暴にも挫けず、腐らず、この国を少しでも良い方に導こうとしたお前の手腕を。私が帰って来た時。この国の民に笑顔が戻っていたら、その時にはしっかりと国王としての勤めを果たす。そう約束しよう」
「こ、国王様……」

 俺の言葉に大臣は目に涙を溜める。そんな様子の彼を見て、これ以上は何も言わない方がいい、そう判断し国王の間に戻った。そして、そのまま眠りについた。


─────────────────────


(と、まぁこんな感じの事があった訳ですよ。だから、今は絶賛ダンジョン攻略中と言うわけです。)


 俺は回想が一段落着いたのでスカーレットとライムに話し掛けた。

  ………そしてそれから数時間が経ち三人は第50層のボス部屋についていた。 


(久しぶりに来たな。でも本当にこれでダンジョンは終わりじゃないのか……)


  俺は少し大臣からの情報を疑いながらも下の階層に降りるための階段を探した。

 ……しばらく経つとライムが声をあげた。


「ユウ様。それにスカーレットねぇ、ここに隠し階段がありましたよ!」

「なに、本当か!」 


 俺はそう言ってライムに近づいた。遅れてスカーレットもライムの元に集まる。


「本当だ。こんな所に階段があったのか……全く気付かなかった。よくやったぞライム!」

 そう言ってライムの頭を撫でた。頭を撫でられたライムは嬉しそうに目を細める。それをスカーレットが羨ましそう『じぃーー』と、効果音が出そうな位に見る。その視線に気づいたユウは今度はスカーレットの頭を撫でた。


「スカーレットも探してくれてありがとうな」

「いえ、私はユウ様の妻として当然の事をしただけなの。……でも少しだけライムちゃんが頭を撫でられているのが羨ましいな、と思ってしまったの。ごめんなさい」


 その言葉を聞いて俺は少し強めの言葉で話始めた。


「スカーレット、すぐに謝るな。俺達はもう家族なんだ。だから気を使う必要なんてない、困った事があったら言えばいいし、頭を撫でて欲しかったらいくらでも撫でてやる。だからもう謝るな」


 俺が話終えるとスカーレットは目に涙を浮かべて、
 

「はい! 分かりました。ユウ様!」


 と、言った。


(スカーレットは家族と言われたのが嬉しかったんだろうな。)


 俺はそう思った。すると、スカーレットの事がまた、一段といとおしくなってしまった。だから俺はスカーレットを抱き寄せた。


「え、ユウ様? どうしたんですか? いきなり……」
「いや、スカーレットがあまりにも可愛かったから……」


 俺がそう言うとスカーレットの体温が一気に上がった。なんて事をしていると、


「あの、ユウ様! ボクを忘れてない?」


 と、ライムが頬を脹らませながら近づいて来た。


(怒っているのか……全然怖くない。むしろ可愛い。)


 と、思ったが口には出さず、謝りながらライムも抱き寄せた。


「ごめんな。ライム」
「今回は許してあげます。でも次、ボクの事を忘れていたら……」
「忘れていたら?」
「キスをして頭を撫でてくれないと許しませんからね!」

 (な、可愛過ぎるだろうーーー!!! うおーーーーーーー!!!)

 心の中で叫ぶ。

 
  ………数分間、抱き合ったままだった三人は自然な感じで離れた。そして俺は下の階層に向かうよう二人にうながした。

  ………三人は階段を降り次の51層に向かった。
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