グリモワールな異世界転移

クー

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第一章 全ての始まり 『種族の集まる国 ガイア』

第十二話『初めての二刀乱舞』

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───ダンジョン第30階層・ボス部屋内───

  ボス部屋に入ると、そこにはオークがいた。


 それも、3匹も。

 
(大体、ボスがオークと言うのは予想していたが、本当に予想通りになるとは……まぁ、これまでの流れからしてそうじゃないと逆にビックリするけどな。だが、数は予想外。まさかそのオークが3匹も出るとは。)

 そこまで考えて俺はオーク達に少し違和感を感じた。


(ん? あのオーク達、今までに戦ったオーク共より少しでかくないか。それに、あまり臭いもしないし。)


  この違和感が俺の勘違いかどうか確かめるために右端にいた、オークのモンスター名を確認した。


(えっと名前はハイオークか。やっぱり今まで出て来ていたオークとは少し違うのかな。)


 一応、念のために他の2匹もモンスター名を確認した。

  すると、


(えっと左端のオークのモンスター名は変わらずハイオークと。真ん中のオークの名前は……オークジェネラル…だと!?)


 そう、真ん中のオークの名前がオークジェネラルだったのだ。これは名前からして少しヤバそうだな。と、思い俺はアイテムボックスからもう一本、刀を取り出して左手に持った。二刀流だ。




 俺はまず、オークジェネラルの配下にあたるであろうハイオークに向かった。その理由は簡単だ。ハイオークは恐らくオークジェネラルの盾となると思ったし、それに邪魔がいてはオークジェネラルを潰すのに集中出来ないからだ。


(よし、じゃあ左側から──いや、そうすると右側からくるよな……なら……)


「2匹同時にやってやらあぁぁ!!!」


 そうと決まれば先手必勝。さっさと二匹とも潰してしまおう。

 俺はまず左のハイオークに攻撃を仕掛ける。確実に命を狙って首に突きを繰り出す。だが、そう簡単にはいかない。スルリと避けられてしまう。だが、今の俺は得物を二つ持ってるんだぜ?

「オラァ!!」

 気合い一閃。もう一方の刀で先程と同じように首を狙って突きを入れる。ハイオークもそれに反応して回避行動をとるが、間に合わない。攻撃は少し掠り、斬れて首から血が溢れた。

(よし!)

 負傷させれた事に心でガッツポーズをする。その瞬間。後ろから不穏な気配。

 最初に放った左の刀を背に持っていく。案の定もう一体のハイオークが俺に襲いかかってきていた。ギリギリの所で攻撃を防げれたようだ。それにしてもなんて馬鹿力だ。手が痺れたぞ。だが……これで思惑通りに事が動いたな。
 悪い笑みを浮かべ俺は技名を叫ぶ!

「掛かったな! 『回転斬り!!』」

 俺の間合いにいたハイオーク二体に遠心力を利用し威力が増した鋭利な刃がはらわたを引き裂く。一回転し、重心をぶらす事なく、静かに止まり首に傷のついた方のハイオークに追加の攻撃を加える。

「まだまだぁ! 『乱れ斬りいぃ!』」

 これにより体がボロボロになり、動くことは出来なくなる。だが、見た目に比例したタフネスでまだ絶命はしていない。死ぬのも時間の問題だろうが。内蔵を周囲に撒き散らして死なない生き物がいたらそれはモンスターだ。…………コイツらモンスターか。
 その事実に起き上がってくるんじゃないかと身震いしながら、もう一匹のハイオークの方に向く。

「『乱舞・二刀の舞いいいぃ!!』」

「グギァァァアァ!!」

 まるで踊るかのように斬りつけていく。体が薄く、時に深く傷ついていく。そして、これで終わりだ!

「『一本突きぃぃ!!』」

 俺の渾身の一撃。心臓に向かって軌道は一切外れる事なく突き刺さる。柔らかいような、固いような微妙な感触が刀を通して手に伝わる。これが心臓の感触。……慣れる事はないだろうな。

 刀を素早く抜き、血を払う。支えを失ったハイオークは地面に膝を付きそのまま前に倒れた。それを見届け流れるように両の腰にある鞘に刀を仕舞う。
 家臣を捨て駒にし、俺のその隙を狙ったオークジェネラルが突進してくる。こんな分かりやすく作った油断に釣られるとは、さてはお前ら馬鹿だな?

「はっ。甘めぇんだよぉ!」

 俺は突進をひらりと躱して、距離を取る。そして鞘に納めた刀に再び手をかける。

 居合い……一閃!!

 爆発的な瞬発で間合いを詰め刀を抜き、両サイドから腹を切り裂いた。だが、それで引き下がるオークジェネラルでは無かった。隙が少し出来てしまっていた俺に反撃してくる。手傷を負った相手の攻撃が当たるほど俺は弱くないぞ?
 その攻撃を軽くかわして逆に隙が出来ていたオークジェネラルに続けざま攻撃を与える。


《~♪二刀流の派生スキル:『ダブルカウンター』を取得しました。》
 

(おっ。スキルゲット! ヤッタネ!!)

 なんて呑気に能天気に考えていたらオークジェネラルの絶命前、最後の一撃を受けてしまった。


「グハッ!! ……クソッ、HPを1/4ぐらい持って行かれた気がする!?」

 


《プレイヤー名:ユウが第30層をクリアしました。ソロ討伐の報酬がアイテムボックスに送られます。》

 こうして、いまいち格好のつかない幕切れになってしまうのだった

《~レベルアップしました。BPを振ってください。》

 ……!? 何か三回もレベルアップ音が聞こえたんだけど!? 空耳かな!?


 まぁそんなことより……

「BPより解体が先だ。既に臭いけど更に腐る前にね…『解体』っと」


 それから、ソロ報酬は………!!?


───────────────────────


 〈Name〉豚人王の首輪  

 〈レアリティ〉☆☆☆☆☆☆

 オークジェネラルのソロ討伐報酬品

 〈効果〉VIT+50 INT+30
     腐卵臭

───────────────────────

「何コレ!! VIT高けぇ! やったね!!」

 俺は説明を見ずにアイテムボックスから取り出す。

「これで俺も堅くなr………臭っっっせぇええ!!!」

 なんだコレ! と思い、再度アイテム説明を抜粋して確認する。


───────────────────────

 オークジェネラルのソロ討伐報酬品

 〈効果〉VIT+50 INT+30
     腐卵臭(・・・)

───────────────────────


「こんな物いるかあああぁぁぁあ!!!」

 ボスの居ないボス部屋にオーク並の雄叫び? が響いたのだった。
 

 この部屋に腐卵臭の効果を消すアイテムがある事を俺は知らない──
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