えっ、そんな事するの

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やっぱり夫がいい

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週末に夫が帰って来た。スーツケースと仕事用の鞄を持って。
「ただいま」
「お帰りなさい。あなた」
上がる前に抱き着いてしまった。
「どうしたの。明子」
「だって、いつも出張だから」
「そうか。ごめんな。今のプラントが完成したら出張も少なくなる」
「本当」
「ああ、その話をする前に玄関上げてくれないか」
「あっ、ごめんなさい」

私は、何故か夫の顔が見たかった。体の中で忘れなさいといている何かが有った。それが夫への甘えに繋がっていた。

「あなた、お風呂沸いてしますけど」
「うん、食事してから。少し飲みたいし」
「はい」

夫は仕事の話はほとんどしない。機密事項が多いからと言っていた。でも
「明子、さっきの話だが、今回のプラントが完成したら、課長職内定だ。そうなれば、出張はしなくて済む。あっ、稀に短くあるけど」
「嬉しい。後どの位なの。そのプラントが完成するまでって」
「半年かな。来年三月引き渡しだから」
「えーっ、まだそんなに」
「仕方ないよ」

その日は、一緒にお風呂に入って体を洗ってあげて、ふふっ、あっちもサービスしちゃった。

それからベッドに入っても
「なあ、明子どうしたの。こんなに」
「だって、あなたが構ってくれないから」
「わっ、分かった」

あれが、理由か分からないけど、思い切り夫に抱いて貰った。

「ねえ、あなた。疲れているの分かるけど、明日、子供も連れて買い物出かけない」
「えっ、買い物」
「欲しいものあるの」
「お金降ろしていない」
「大丈夫。あなたが居ない間にパートのシフトいっぱい入れて今月はいつもより多いの」
「そうなのか。まあいいよ。気分変えにもなるし」
「じゃあ、そうしよう」
私は夫の胸の中に顔を埋めて寝る事にした。

明子の奴、どうしたのかな。こんなに甘えっこだったっけ。結婚してもう何年になるんだ。
それにあの時、なんか違和感有ったな。明子を感じられなかったっていうか。あまりしなから緩んだのかな。…分からん。


翌日、三人でデートした。私が欲しかったのは、下着。えへへ。やっぱり美しさは内面からなんて。意味ちょっと違うけど。
外食はやっぱりいいな。作らなくていいし。片付けなくていいし。

明子の奴、なんか下着買ってたけど。まあ、まだ三十代だからな。でも誰に見せるんだ。俺だけだよな。まさかな。

夫が、また出張に出かけた。今回は一週間と言っていた。金曜日には帰るって。早く帰ってこないかな。

補助プログラムはしない事にした。やはり向かない。もちろん山田さんには、絶対口外しない事も約束した。
山田さんは、
「いつでもいいよ。高橋さんの気持ちが乗れば。ふふふっ」
と言って、快くOKしてくれた。

パートから帰ってもうすぐ子供も小学校から帰って来る。帰ってきたら買い物行こうかな。
「お母さん。ただいま」
「お帰り。お母さん今からお買い物行くから家で待っていてね」
「うん、宿題している」
我が子ながらいい子だ。
空を見ると降りそうで降っていない。三十分位だからこのまま行こう。

帰り道、片手にエコバック、もう片手にレジ袋を持っている。私の予測に外れて、思い切り振りだした。

家まで五分。されど五分。Tシャツと下着だけ。カラーシャツだけど。もう自分で見てもブラ丸見え。下はパンツスタイルだから大丈夫だけど。それに今日のブラはこの前買った素敵な奴。最低。

早足で歩いていると後ろから、
「高橋さん。入って下さい」
傘を差された。
えっ、この声は、振り向くとお隣のご主人だった。
「あ、ありがとうございます」
両手が塞がっているのでそのまま入れて貰う事に。

でもこの声は。間違いない。目が見えなかったから余計分かる。

マンションが見えて来た。
早足で行こうとするといきなり腕を掴まれて
「ここまで入って来たから急ぐことないですよ」
「で、でも」
こちらは急ぎ逃げたかった。

エントランスに着くとお隣の人が、キーにタッチしてドアを開けてくれた。
「先に入って下さい」
「すみません」

後ろから体の線が丸見えだ。胸の形もくっきり。もう一度。

エレベータに一緒に乗るとお隣の人が、じっくりと私の胸や体を見ていた。恥ずかしくて下を向くしかなかった。

同じ階に降りるとお隣さんが先に降りた。えっ、私が普通先では。

お隣さんがスタスタと先に歩いて行く。我が家の一つ手前のドアを鍵で開けると先に入ってしまった。
あっ、お礼も言っていない。仕方ない。後で伺って言おう。

「ただいま。ねえ、タオル持って来て」
「はーい。あーっ、ずぶぬれ」
「あははっ、ごめんね。お母さん傘持って行けば良かったよ。直ぐにご飯にするね」
「いいよ。それより早くシャワー浴びて着替えたら。ご飯その後でいいから。勉強の区切りもその位だし」

我が子ながら、優秀だ。誰に似たのかな。やっぱり夫かな。二流私立大の私と一流私立大の夫だもの。

もう九時を過ぎていた。お礼明日で良いかな。もう遅いし。


-――――


面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
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宜しくお願いします。


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