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第14話 愛と残り香
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何故、あの人がここに。
ママに言われた後も体が動かなかった。
「琴乃ちゃん。ママの依頼よ。早く行きなさい」
横にいる、女の子が声を掛けた。
私は、立ち上がると目線を外さずに歩きながら、一度、着替え室に行き、化粧と洋服の確認をして、彼の元に行った。周りの声が聞こえない。
彼もじっと私を見ていた。
彼の隣に座る。
「琴乃ちゃん。こちら柏木さん。大事なお客様よ。あなたを見てすぐに指名したの。後は宜しくお願いね」
ママが席を外した。席には、彼と私だけ残った。
「初めまして。琴乃と言います。宜しくお願いします」
じっと見ている。
「水割りにします。それともロック……」
「里美。どういうことだ」
「……お願いします。ここでは、琴乃と呼んで下さい」
「店を出れないか」
「無理です。閉店までいなければいけません」
「どの位だ」
「後、三時間です」
「分かった。他のテーブルには行くな」
「指名は一時間制です。その後は延長が……」
「そんな事はどうでもいい。どうすればいいんだ」
「ちょっと、待って下さい。ママと相談します」
里美は、席を外してママの所へ行き、耳元で何か囁いていた。そして目を大きく開けると、理解したかの様に頷いた。
「大丈夫です。でも、私も何か飲み物を」
「好きにしろ」
何も話さずに、二人で座っていると、周りの客がひそひそと店の女の子に聞いているが、店の子も分かたずに首を振るだけだった。
ママの計らいで二時間後、二人で店を出た。
「食事はしたのか」
「まだです」
「では、どこかでしようか」
「いつもお客様と行くお店があります。そこで良いですか」
「構わない」
食事中は、あまり会話をしなかった。
「家に来るか」
「でも……」
「じゃあ、ホテルにしよう。いいな」
「はい」
僕は、里美に会った時から、体の奥で静かにしていたものが、甦るように起き上がって来た。
それが、何かは分かっている。でも今は、里美を抱きたくてたまらなかった。
部屋に入るなり、いきなりキスをした。
「むっ、むむ」
里美が唇を外した。
「お願いします。柏木さん、シャワーを浴びさせてください」
「分かった。僕も浴びよう」
我慢できなかった。
シャワーを浴びながら、里美の体を愛撫した。
「柏木さん。お願いします。ベッドで」
「里美、柏木は止めろ。浩一でいい」
「はい」
バスタオルもそこそこに里美の体から脱がすと、まるで関を切ったように自分の欲望が燃え上がった。
舌を入れ思い切り口付けすると、乳首に口付けした。結婚した時とは、まるで色が違っていた。
でも構わない。思い切り堪能した後、足を開かせて、あそこに顔を持って行った。
かつて美しく、僕しか知らなかった、あそこの色が変わって来ていた。形も変っている。理由は分かる。
だが、構うものか。まるで獣の様に、あそこにむしゃぶりついた。
「あっ、あっ、あーっ」
長い時間、一番感じる所に口付けをした。何度か、熱いものが流れ出た。
「いれるよ」
「来て」
激しく突き上げた。思い切り何度も。まるで二年半の空白を埋めるかのように。
「うーっ、だめ、あなた、いくー」
「がまんできない」
子宮と彼のものが思い切りぶつかっている。たまらない。他の人とは違う。やはり浩一がいい。体の芯が痺れるほどに感じている。
「あなた、来てー」
「いくー」
奥の奥に浩一の熱いものが吐き出されるのが分かった。たまらなかった。
思い切り彼を抱きしめて、大声で泣いた。
「浩一、浩一、浩一」
口から止めどもなく彼の名前が出て来た。
彼は、それ以上要求しなかった。前からだけだった。
私の体にそっと彼の体が添えられ、キスをしてきた。とても熱く。
それが終わると私の横になって
「里美、何故あんな店に」
「仕方ない事です。三十を過ぎた女が、生きて行くのは、大変です」
「前の設計事務所は」
「あの件で解雇されました」
「そうか」
「………いま、誰かと住んでいるのか」
「一人です。あなたと別れてから、ずっと」
「………他の男と寝ているのか」
「ひどい事を聞きますね。生活の為です」
「……里美。戻って来るか」
「………。エリートコースを歩いているあなたに、こんな汚れた女は、マイナスです」
「僕の妻に誰が相応しいかは、僕が決める事だ。汚れたと言うなら、僕がもう一度、君を僕の体で綺麗にする」
その後、浩一は、今まで知らなかった程に激しく私を求めて来た。前からも後ろからも。…何度も。上からもさせられた。
「あなた、もう体が……」
実際、腰が抜ける様にふらふらだった。妊娠の心配なんかしなかった。授かったら一人でも育てる。
カーテンから陽が差していた。
僕は、本部長の言っていた専務の娘の事が頭に過ったが、取敢えず、忘れる事にした。
「戻ってこい。里美」
「考えさせて下さい」
「………分かった。毎日でも会いたい」
「生活を見て貰えますか」
「そんな事問題ない」
「………家の合鍵を渡します。あなたを待っています」
里美のマンションは、郊外にある駅から程近い、小綺麗な2LDKのマンションだった。男の影はない。
それから、毎日、仕事が終わった後は、里美のマンションに行った。自分のマンションに戻るのは、朝出勤する前に着替える為だけになった。
吉田本部長に声を掛けられてから、一ヶ月が経っていた。年が明けた頃だ。
「柏木上級課長、昨年末に話した専務の娘さんの話だが、娘さんに話したところ、会っても良いと言ったそうだ。ただ、気に入らなかったら、その場で帰るとも言っていたそうだが。まあ、会ってくれ」
「はい、いつでしょうか」
「今週の日曜日。帝国ホテルに部屋を取ってある」
「時間は、十一時だ」
「分かりました。伺います」
里美には、仕事と言っておこう。向こうが僕を気に入らなければ、専務も本部長も顔は立つ。シンガポールは里美を連れて行く。
―――――
なんか、話が、意外な展開に。
この後、どうなるのかな。私も分かりません。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
ママに言われた後も体が動かなかった。
「琴乃ちゃん。ママの依頼よ。早く行きなさい」
横にいる、女の子が声を掛けた。
私は、立ち上がると目線を外さずに歩きながら、一度、着替え室に行き、化粧と洋服の確認をして、彼の元に行った。周りの声が聞こえない。
彼もじっと私を見ていた。
彼の隣に座る。
「琴乃ちゃん。こちら柏木さん。大事なお客様よ。あなたを見てすぐに指名したの。後は宜しくお願いね」
ママが席を外した。席には、彼と私だけ残った。
「初めまして。琴乃と言います。宜しくお願いします」
じっと見ている。
「水割りにします。それともロック……」
「里美。どういうことだ」
「……お願いします。ここでは、琴乃と呼んで下さい」
「店を出れないか」
「無理です。閉店までいなければいけません」
「どの位だ」
「後、三時間です」
「分かった。他のテーブルには行くな」
「指名は一時間制です。その後は延長が……」
「そんな事はどうでもいい。どうすればいいんだ」
「ちょっと、待って下さい。ママと相談します」
里美は、席を外してママの所へ行き、耳元で何か囁いていた。そして目を大きく開けると、理解したかの様に頷いた。
「大丈夫です。でも、私も何か飲み物を」
「好きにしろ」
何も話さずに、二人で座っていると、周りの客がひそひそと店の女の子に聞いているが、店の子も分かたずに首を振るだけだった。
ママの計らいで二時間後、二人で店を出た。
「食事はしたのか」
「まだです」
「では、どこかでしようか」
「いつもお客様と行くお店があります。そこで良いですか」
「構わない」
食事中は、あまり会話をしなかった。
「家に来るか」
「でも……」
「じゃあ、ホテルにしよう。いいな」
「はい」
僕は、里美に会った時から、体の奥で静かにしていたものが、甦るように起き上がって来た。
それが、何かは分かっている。でも今は、里美を抱きたくてたまらなかった。
部屋に入るなり、いきなりキスをした。
「むっ、むむ」
里美が唇を外した。
「お願いします。柏木さん、シャワーを浴びさせてください」
「分かった。僕も浴びよう」
我慢できなかった。
シャワーを浴びながら、里美の体を愛撫した。
「柏木さん。お願いします。ベッドで」
「里美、柏木は止めろ。浩一でいい」
「はい」
バスタオルもそこそこに里美の体から脱がすと、まるで関を切ったように自分の欲望が燃え上がった。
舌を入れ思い切り口付けすると、乳首に口付けした。結婚した時とは、まるで色が違っていた。
でも構わない。思い切り堪能した後、足を開かせて、あそこに顔を持って行った。
かつて美しく、僕しか知らなかった、あそこの色が変わって来ていた。形も変っている。理由は分かる。
だが、構うものか。まるで獣の様に、あそこにむしゃぶりついた。
「あっ、あっ、あーっ」
長い時間、一番感じる所に口付けをした。何度か、熱いものが流れ出た。
「いれるよ」
「来て」
激しく突き上げた。思い切り何度も。まるで二年半の空白を埋めるかのように。
「うーっ、だめ、あなた、いくー」
「がまんできない」
子宮と彼のものが思い切りぶつかっている。たまらない。他の人とは違う。やはり浩一がいい。体の芯が痺れるほどに感じている。
「あなた、来てー」
「いくー」
奥の奥に浩一の熱いものが吐き出されるのが分かった。たまらなかった。
思い切り彼を抱きしめて、大声で泣いた。
「浩一、浩一、浩一」
口から止めどもなく彼の名前が出て来た。
彼は、それ以上要求しなかった。前からだけだった。
私の体にそっと彼の体が添えられ、キスをしてきた。とても熱く。
それが終わると私の横になって
「里美、何故あんな店に」
「仕方ない事です。三十を過ぎた女が、生きて行くのは、大変です」
「前の設計事務所は」
「あの件で解雇されました」
「そうか」
「………いま、誰かと住んでいるのか」
「一人です。あなたと別れてから、ずっと」
「………他の男と寝ているのか」
「ひどい事を聞きますね。生活の為です」
「……里美。戻って来るか」
「………。エリートコースを歩いているあなたに、こんな汚れた女は、マイナスです」
「僕の妻に誰が相応しいかは、僕が決める事だ。汚れたと言うなら、僕がもう一度、君を僕の体で綺麗にする」
その後、浩一は、今まで知らなかった程に激しく私を求めて来た。前からも後ろからも。…何度も。上からもさせられた。
「あなた、もう体が……」
実際、腰が抜ける様にふらふらだった。妊娠の心配なんかしなかった。授かったら一人でも育てる。
カーテンから陽が差していた。
僕は、本部長の言っていた専務の娘の事が頭に過ったが、取敢えず、忘れる事にした。
「戻ってこい。里美」
「考えさせて下さい」
「………分かった。毎日でも会いたい」
「生活を見て貰えますか」
「そんな事問題ない」
「………家の合鍵を渡します。あなたを待っています」
里美のマンションは、郊外にある駅から程近い、小綺麗な2LDKのマンションだった。男の影はない。
それから、毎日、仕事が終わった後は、里美のマンションに行った。自分のマンションに戻るのは、朝出勤する前に着替える為だけになった。
吉田本部長に声を掛けられてから、一ヶ月が経っていた。年が明けた頃だ。
「柏木上級課長、昨年末に話した専務の娘さんの話だが、娘さんに話したところ、会っても良いと言ったそうだ。ただ、気に入らなかったら、その場で帰るとも言っていたそうだが。まあ、会ってくれ」
「はい、いつでしょうか」
「今週の日曜日。帝国ホテルに部屋を取ってある」
「時間は、十一時だ」
「分かりました。伺います」
里美には、仕事と言っておこう。向こうが僕を気に入らなければ、専務も本部長も顔は立つ。シンガポールは里美を連れて行く。
―――――
なんか、話が、意外な展開に。
この後、どうなるのかな。私も分かりません。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
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宜しくお願いします。
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