25 / 29
動き出した未来
4
しおりを挟む
アパートについて鍵をあける。柚月さんはアパートをみて「なんだか歴史を感じるね」と感想をこぼしていたけど実際ぼろいので仕方がない。精一杯のオブラートだ。
「狭いですけど、どうぞ」
キッチンの他に六畳程の狭いリビング。二人ともさほどお金がないので大きな家具はなく、最低限のもので暮らしている。
「へぇ~この広さに二人で住めるってすごいね!? あ、貶してるわけじゃなくてね? あたしだったら一人の空間ないと喧嘩しちゃうと思う」
いつもはこの狭い部屋に布団を一組しいて一緒に寝ている。喧嘩はしたことがないしわたしたちの生活は穏やかだ。時々鬱の症状がひどいとーまお兄さんが落ち込むことはあっても、二人の関係は変わらない。
さっそく朝食づくりに取り掛かる。昨夜、家を出る前にホットケーキをリクエストされたのでそれを作ることにした。さっそくキッチンに立って作り始めようとした時に部屋の真ん中に座る柚月さんに声をかけられた。
「これって誰の? 旦那さんの?」
そう聞かれて柚月さんの方を見るとテーブルの上に置きっぱなしにしていたとーまお兄さんの薬があった。
「旦那のです」
「へぇ、そうなんだ。ほら、あたし今までスナックとかキャバしかやったことなくてさ、これとおんなじ薬飲んでる子いたなぁって。夜ってそういう子多いんだよね」
「そう、ですよね。母もそうでした」
母は気分で病院に行ったり行かなかったりしていたけど家には母の飲み忘れた薬がよく転がっていた記憶がある。
「お母さんも夜職やってたんだ」
「はい。父と結婚するまでは」
どのみち柚月さんとも全く関係がなくなるからわたしは正直に全てを話していた。嘘をつくのが苦手ということもあるけど、家から逃げるようにここへ引っ越してきたことも全て話している。
「うちと一緒だね~あたしのママもずーっとスナックで働いてて客のジジイと再婚したの。それがほんっとにただの金持ってるだけのじいさんでさ、とてもじゃないけどパパには見えなくて」
柚月さんと一緒に働き始めてもうすぐ二か月。そんな事情は初めて聞いたけど苦労している人なのをこの期に及んで悟る。
それと同時に、意外と境遇が近い人が身近にいるものだと考える。渡瀬くんもそうだった。類は友を呼ぶ、ってやつなのかな。
それにどちらかといえば、柚月さんのような明るい人は両親共に仲良くて大事に育てられてきたのかな……とある意味で偏見を持っていたから。
「柚月さんも、大変だったんですね」
「そりゃもう。てか敬語じゃなくていいのに。一個しか違わないんだし」
「えっと、じゃあ」
歳というよりはバイト歴からして柚月さんが先輩なので敬語の方が良いかなと思っていた。それに敬語で話せば自然と距離が生まれるしいずれ見知らぬ仲になるのだから下手に距離を詰めるとわたしが苦しくなってしまう。
「うん。ため口で話そうよ」
そう言われては敬語をやめる他なかった。
「柚月さんもホットケーキ、食べていく?」
「えっいいの?」
「多めに作ればいいだけだから」
「じゃあご馳走になろっかな。へへ、ホットケーキなんて久しぶり」
とーまお兄さんが帰宅するまでは時間があるし、わたしの事情で家に連れてきておいて何も出さないというのはさすがにどうかと思ったから。
「それにしてもみのちゃんってばしっかりしてるよね」
「そう?」
「うん。勤務態度も真面目だしこうして朝ごはんまで作ってくれるし。旦那さんも病気があるのに支えてるわけでしょ? あたしなんてバイト中にスマホいじりまくりだし料理はできないし、彼氏によくキレちゃうし」
「そんなこと、ないよ。柚月さんこそ明るくて羨ましい」
本音。真面目なのはそういうふうにしか生きられないから。そう生きてくるしかなかったから。料理も必要に迫られて覚えただけだし、とーまお兄さんの病気は別に気にならない。むしろ病気をすることで涙を流す機会が増えているならその方がわたしは、みゃうは嬉しいってだけ。
結構最低だよって、言おうかと思ったけど説明がややこしいからやめておいた。
「あたし? あたしはただバカなだけだよ~中卒だし。彼氏も底辺高校卒だしね。みのちゃんとこは二人とも大卒だっけ?」
「うん。一応」
「大学生活って楽しそうだよね、あたしもせめて高校行けば良かったかなぁ」
なんてことない会話を繰り返しているうちにホットケーキは焼きあがって、それをお皿に乗せてはちみつをかけた。うちではいつもはちみつをかけて食べていたから。
「はちみつかけちゃったんだけど大丈夫?」
「うん! わ、美味しそ~」
柚月さんはわかりやすく喜んであっという間にホットケーキを食べてくれた。わたしはとーまお兄さんと一緒に食べたかったけどお客さんだけ食べてわたしが食べないのは気を使わせちゃうかと思ってはんぶんだけ。
「みのちゃんってなんでもできるんだね」
「ううん、そんなことないよ」
「そぉ? あたしからすればスーパーマンだよ、はは」
冗談を言って笑う。こんなふうに笑って毎日を明るく過ごす幸せという道も存在しているのかなぁなんてもしもの世界を考える。
だめだめ、たまにこうして別の世界のことを考えちゃうけどわたしの世界はとーまお兄さんだけだから。
「はーおなかいっぱい。ありがとね」
「ううん」
「ん、ていうか一緒にこうして時間つぶしに付き合ってくれて感謝してるんだ。あたし、一人でいるの苦手でさ」
その時、がちゃがちゃと鍵を開ける音が聞こえた。
いつもより三十分も早い、とーまお兄さん、もう帰ってきたんだ。
その時わたしの心臓はきゅっと小さくなった。なぜって、この家に柚月さんをいれてしまったこと。バレなければいいかなぁなんて思っていたけどこれじゃバレバレだ。何もやましいことはない、だけどきっとわたしがとーまお兄さん以外と親しくすることを彼はきっとよく思わない。
どうしよう、何て言おう、どうしよう……。
「ん? 旦那さんかな?」
「ただいま」
二人の声はほとんど同時で、玄関を入って狭く短い廊下の向こう、とーまお兄さんには既にわたしたちのことが見えているはずだ。
バイト帰りでとても疲弊しているとーまお兄さん。この状況が何て映ってしまうのか。あまりの罪悪感にわたしは自分の胸元を押さえてごくりと唾を飲み込む。
大丈夫、思っているより事態は深刻ではないと言い聞かせるように。
「……お客さん?」
「あ、えっと、バイト先の先輩で」
「佐々木柚月って言います。あたしの暇つぶしに付き合ってもらってて、ごめんなさい勝手にお邪魔して」
「いや、いいよ。あ、ちょっと車に忘れ物したからとってくるよ」
わざとらしくポケットの中身を探るようにしてとーまお兄さんは再び家を出て行く。
やってしまった。彼を傷つけてしまった。
そんな焦りで頭が真っ白になる。なぜなら、わたしたちは車を持っていない。それは単なる口実で彼は逃げるように飛び出してしまったのだと理解できたから。
「柚月さん、もし良かったら駅前のファミレスに移動しない? たぶん、旦那……はこれから寝ると思うから」
「あ、じゃあそうしよ。ごめんね?」
「ううん、平気。駐車場ちょっと遠いからまだ戻ってこないと思う」
わたしは柚月さんを連れてアパートを出た。そして駅への道、わたしは何か全く別の話をしようとするけれどそれが浮かばなくて、自然と無言になってしまう。
早朝の太陽が心地よくてカラスやスズメが鳴いている、そんな平凡な朝なのに。
「……ねぇ、もし気のせいだったらいいんだけど。旦那さんと上手くいってない?」
ふいにそんなことを言われてわたしは柚月さんの方を見ながら静止してしまった。
「なんか旦那さんが帰ってきた時のみのちゃんちょっと様子が変だったから……ごめんねお節介で。でもほっとけなくて」
「う、ううんちがっ……」
そう否定しようにもわたしの口は思ったように動かなかった。どうせわたしはこの人とも縁を切ることになる。それなら。
「ちょっとだけ、気難しいんだ。わたしが他の人と親しくなることに抵抗があるみたいで……」
それは極めて特殊な独占欲。とーまお兄さんの中にはわたししかいなくて、彼もわたしの中に彼だけがいることを望む。歪んだ関係性。そんなものはとっくにわかっていたけど。
「えー、束縛ひどいんだ。優しそうにみえたけど人は見かけによらないね」
返ってきたのは意外にもあっさりとした言葉だった。束縛。恋愛においてそういう言葉があることは知っている。
「大丈夫? 暴力とかうけてない?」
「それはない! 大丈夫」
「そう? ならいいんだけど、何かあったら相談しなよ?」
「うん、ありがとう」
「そ。じゃああたしはこのまま彼氏の店まで向かうよ。付き合ってくれてありがとね、早く帰りなよ!」
駅前についた途端、柚月さんは小走りになって駅の中へ消えていく。時間、大丈夫なのかな。一人が苦手だと言っていた。気を使わせちゃったのかもしれない。
でもわたしはそれより心配しなくちゃならないことがある。とーまお兄さん、ショックを受けすぎてなければいいんだけど。
急いでアパートへの道を引き返す。今頃どうしているかな? 泣いているかな? そんな期待。ともかく急いで帰らなくちゃ。
「狭いですけど、どうぞ」
キッチンの他に六畳程の狭いリビング。二人ともさほどお金がないので大きな家具はなく、最低限のもので暮らしている。
「へぇ~この広さに二人で住めるってすごいね!? あ、貶してるわけじゃなくてね? あたしだったら一人の空間ないと喧嘩しちゃうと思う」
いつもはこの狭い部屋に布団を一組しいて一緒に寝ている。喧嘩はしたことがないしわたしたちの生活は穏やかだ。時々鬱の症状がひどいとーまお兄さんが落ち込むことはあっても、二人の関係は変わらない。
さっそく朝食づくりに取り掛かる。昨夜、家を出る前にホットケーキをリクエストされたのでそれを作ることにした。さっそくキッチンに立って作り始めようとした時に部屋の真ん中に座る柚月さんに声をかけられた。
「これって誰の? 旦那さんの?」
そう聞かれて柚月さんの方を見るとテーブルの上に置きっぱなしにしていたとーまお兄さんの薬があった。
「旦那のです」
「へぇ、そうなんだ。ほら、あたし今までスナックとかキャバしかやったことなくてさ、これとおんなじ薬飲んでる子いたなぁって。夜ってそういう子多いんだよね」
「そう、ですよね。母もそうでした」
母は気分で病院に行ったり行かなかったりしていたけど家には母の飲み忘れた薬がよく転がっていた記憶がある。
「お母さんも夜職やってたんだ」
「はい。父と結婚するまでは」
どのみち柚月さんとも全く関係がなくなるからわたしは正直に全てを話していた。嘘をつくのが苦手ということもあるけど、家から逃げるようにここへ引っ越してきたことも全て話している。
「うちと一緒だね~あたしのママもずーっとスナックで働いてて客のジジイと再婚したの。それがほんっとにただの金持ってるだけのじいさんでさ、とてもじゃないけどパパには見えなくて」
柚月さんと一緒に働き始めてもうすぐ二か月。そんな事情は初めて聞いたけど苦労している人なのをこの期に及んで悟る。
それと同時に、意外と境遇が近い人が身近にいるものだと考える。渡瀬くんもそうだった。類は友を呼ぶ、ってやつなのかな。
それにどちらかといえば、柚月さんのような明るい人は両親共に仲良くて大事に育てられてきたのかな……とある意味で偏見を持っていたから。
「柚月さんも、大変だったんですね」
「そりゃもう。てか敬語じゃなくていいのに。一個しか違わないんだし」
「えっと、じゃあ」
歳というよりはバイト歴からして柚月さんが先輩なので敬語の方が良いかなと思っていた。それに敬語で話せば自然と距離が生まれるしいずれ見知らぬ仲になるのだから下手に距離を詰めるとわたしが苦しくなってしまう。
「うん。ため口で話そうよ」
そう言われては敬語をやめる他なかった。
「柚月さんもホットケーキ、食べていく?」
「えっいいの?」
「多めに作ればいいだけだから」
「じゃあご馳走になろっかな。へへ、ホットケーキなんて久しぶり」
とーまお兄さんが帰宅するまでは時間があるし、わたしの事情で家に連れてきておいて何も出さないというのはさすがにどうかと思ったから。
「それにしてもみのちゃんってばしっかりしてるよね」
「そう?」
「うん。勤務態度も真面目だしこうして朝ごはんまで作ってくれるし。旦那さんも病気があるのに支えてるわけでしょ? あたしなんてバイト中にスマホいじりまくりだし料理はできないし、彼氏によくキレちゃうし」
「そんなこと、ないよ。柚月さんこそ明るくて羨ましい」
本音。真面目なのはそういうふうにしか生きられないから。そう生きてくるしかなかったから。料理も必要に迫られて覚えただけだし、とーまお兄さんの病気は別に気にならない。むしろ病気をすることで涙を流す機会が増えているならその方がわたしは、みゃうは嬉しいってだけ。
結構最低だよって、言おうかと思ったけど説明がややこしいからやめておいた。
「あたし? あたしはただバカなだけだよ~中卒だし。彼氏も底辺高校卒だしね。みのちゃんとこは二人とも大卒だっけ?」
「うん。一応」
「大学生活って楽しそうだよね、あたしもせめて高校行けば良かったかなぁ」
なんてことない会話を繰り返しているうちにホットケーキは焼きあがって、それをお皿に乗せてはちみつをかけた。うちではいつもはちみつをかけて食べていたから。
「はちみつかけちゃったんだけど大丈夫?」
「うん! わ、美味しそ~」
柚月さんはわかりやすく喜んであっという間にホットケーキを食べてくれた。わたしはとーまお兄さんと一緒に食べたかったけどお客さんだけ食べてわたしが食べないのは気を使わせちゃうかと思ってはんぶんだけ。
「みのちゃんってなんでもできるんだね」
「ううん、そんなことないよ」
「そぉ? あたしからすればスーパーマンだよ、はは」
冗談を言って笑う。こんなふうに笑って毎日を明るく過ごす幸せという道も存在しているのかなぁなんてもしもの世界を考える。
だめだめ、たまにこうして別の世界のことを考えちゃうけどわたしの世界はとーまお兄さんだけだから。
「はーおなかいっぱい。ありがとね」
「ううん」
「ん、ていうか一緒にこうして時間つぶしに付き合ってくれて感謝してるんだ。あたし、一人でいるの苦手でさ」
その時、がちゃがちゃと鍵を開ける音が聞こえた。
いつもより三十分も早い、とーまお兄さん、もう帰ってきたんだ。
その時わたしの心臓はきゅっと小さくなった。なぜって、この家に柚月さんをいれてしまったこと。バレなければいいかなぁなんて思っていたけどこれじゃバレバレだ。何もやましいことはない、だけどきっとわたしがとーまお兄さん以外と親しくすることを彼はきっとよく思わない。
どうしよう、何て言おう、どうしよう……。
「ん? 旦那さんかな?」
「ただいま」
二人の声はほとんど同時で、玄関を入って狭く短い廊下の向こう、とーまお兄さんには既にわたしたちのことが見えているはずだ。
バイト帰りでとても疲弊しているとーまお兄さん。この状況が何て映ってしまうのか。あまりの罪悪感にわたしは自分の胸元を押さえてごくりと唾を飲み込む。
大丈夫、思っているより事態は深刻ではないと言い聞かせるように。
「……お客さん?」
「あ、えっと、バイト先の先輩で」
「佐々木柚月って言います。あたしの暇つぶしに付き合ってもらってて、ごめんなさい勝手にお邪魔して」
「いや、いいよ。あ、ちょっと車に忘れ物したからとってくるよ」
わざとらしくポケットの中身を探るようにしてとーまお兄さんは再び家を出て行く。
やってしまった。彼を傷つけてしまった。
そんな焦りで頭が真っ白になる。なぜなら、わたしたちは車を持っていない。それは単なる口実で彼は逃げるように飛び出してしまったのだと理解できたから。
「柚月さん、もし良かったら駅前のファミレスに移動しない? たぶん、旦那……はこれから寝ると思うから」
「あ、じゃあそうしよ。ごめんね?」
「ううん、平気。駐車場ちょっと遠いからまだ戻ってこないと思う」
わたしは柚月さんを連れてアパートを出た。そして駅への道、わたしは何か全く別の話をしようとするけれどそれが浮かばなくて、自然と無言になってしまう。
早朝の太陽が心地よくてカラスやスズメが鳴いている、そんな平凡な朝なのに。
「……ねぇ、もし気のせいだったらいいんだけど。旦那さんと上手くいってない?」
ふいにそんなことを言われてわたしは柚月さんの方を見ながら静止してしまった。
「なんか旦那さんが帰ってきた時のみのちゃんちょっと様子が変だったから……ごめんねお節介で。でもほっとけなくて」
「う、ううんちがっ……」
そう否定しようにもわたしの口は思ったように動かなかった。どうせわたしはこの人とも縁を切ることになる。それなら。
「ちょっとだけ、気難しいんだ。わたしが他の人と親しくなることに抵抗があるみたいで……」
それは極めて特殊な独占欲。とーまお兄さんの中にはわたししかいなくて、彼もわたしの中に彼だけがいることを望む。歪んだ関係性。そんなものはとっくにわかっていたけど。
「えー、束縛ひどいんだ。優しそうにみえたけど人は見かけによらないね」
返ってきたのは意外にもあっさりとした言葉だった。束縛。恋愛においてそういう言葉があることは知っている。
「大丈夫? 暴力とかうけてない?」
「それはない! 大丈夫」
「そう? ならいいんだけど、何かあったら相談しなよ?」
「うん、ありがとう」
「そ。じゃああたしはこのまま彼氏の店まで向かうよ。付き合ってくれてありがとね、早く帰りなよ!」
駅前についた途端、柚月さんは小走りになって駅の中へ消えていく。時間、大丈夫なのかな。一人が苦手だと言っていた。気を使わせちゃったのかもしれない。
でもわたしはそれより心配しなくちゃならないことがある。とーまお兄さん、ショックを受けすぎてなければいいんだけど。
急いでアパートへの道を引き返す。今頃どうしているかな? 泣いているかな? そんな期待。ともかく急いで帰らなくちゃ。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
旦那様には愛人がいますが気にしません。
りつ
恋愛
イレーナの夫には愛人がいた。名はマリアンヌ。子どものように可愛らしい彼女のお腹にはすでに子どもまでいた。けれどイレーナは別に気にしなかった。彼女は子どもが嫌いだったから。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」様で作成しました。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる