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第30話 ハッピーエンドと、俺!

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結論から言おう。
俺たちはハッピーエンドを迎えた。
そう。俺たち、である。
俺とランベールと、それから……。


ルシアンがイライラと長い足を投げ出して椅子に座っている。
その目の前にいるのは、聖剣を握るマサト。そして俺、俺の隣にランベールがいて、サリエが胡散臭い笑みを浮かべている。
全て話をしよう。サリエが不気味な笑顔でそう言って俺たちが集められたのは、神殿の一室。俺が復活してランベールと少しいちゃいちゃしてその後に召集されたから、時間としては深夜。

どこまで皆は知ってるのかと思ったら、サリエが悪魔になりかけてて、俺が悪魔の使いだっていうことも分かっているらしい。俺が死にかけている間に、サリエが話した、とのこと。
てか、こいつら全員兄弟なんだよな。似てないな。本当似てない。

「皆に話したのは真実だったけれど、全てではないんだよ。チトセに会って決心した。すべて、私から話すよ」
サリエが全てを知っていた理由。それはとても、簡単なことだった。
サリエが全ての黒幕だったということだ。
600年に一度、悪魔の軍勢が世界を襲う。その数十年前から悪魔は世界に出現するようになる。それは、600年ごとに女神が、その前の救世主の祈りが薄れるから。そうすると世界の均衡は崩れ、人の心は悪に染まりやすくなる。
おそらくランベールの母が殺された事件も、サリエの心に傷を残した事件も、そのせいであった。
そうして人を恨む心が、少しずつこの世界に悪魔を増やしていく。悪魔が襲うのはエルシュベル王国だけでなく、悪魔になるのもエルシュベル王国の人だけではない。数十年もすれば、軍勢ができるほどに悪魔は増える。そして力を蓄える。
そして力を蓄えた悪魔の一人、高い魔力を持った元人間が、世界の真実を知った。

悪魔というのは別種ではなく、全て元人間であったということ。元は女神の寂しさが悪魔として形作られたため、女神は自分の力で悪魔を消せないということ。悪魔を消すには異世界からの救世主が必要だが、その救世主は悪魔を消すしかできないということ。悪魔側に堕ちた人々の苦しみを救いたければ、自分たちも女神の救世主に対抗できる人を異世界から呼ぶしかないということ。

そうしてサリエは、異世界から俺を呼んだ。
その境遇から、嫌がらせを受けて簡単に人を憎むと思われていた俺は、案外何も感じなかった。だからこそ女神が言ったようにランベールと俺をくっつけ、失恋することで世界への恨みを持たせようとしたらしい。俺が失恋し、俺のトラウマを刺激して確実に世界を恨みそうな事件。
つまりそれが、マサトが盗賊に襲われた一件。

確かにサリエの思いどおりに俺たちは離れた。その時にサリエが俺に、俺の正体を伝える。すべてはサリエの計算通りだったらしい。
そのまま俺がマサトを憎み、悪魔に堕ちれば完璧であったが、結局俺は悪魔側にはつかなかった。
サリエが次の手段として出したのが、あの短剣。
俺が自殺すると彼は分かっていたので、時を少しだけ止める短剣を渡した。そして俺が死んでいる間にランベールが後を追えば、目覚めた俺が絶望して悪魔になるだろう、との計画だった。

「あれ、だったら全部計算通りじゃね? なんでランベール生きてんの?」
俺がつい口を出すと、ルシアンに叩かれた。
痛い。

「君が目覚めなかったからだよ。私は、半日もすれば君が目覚める魔術を使った。なのに、あの短剣で胸を刺した瞬間から、君の魂がもうどこにも見当たらなかったんだ」
あぁ、俺ってば泉花ちゃんのとこにいたから。
「それが、私にとってはとてもとても恐ろしいことだったんだよ」
サリエが呟く。

サリエの救世主であった俺の魂はすでになく、魔術を解こうにもランベールが俺を離さない。しまいには神殿に連れてこられてしまった。
その時点でサリエは、もう俺が目覚めないと思ったそうだ。

「君は優しいから、きっと私の企みなんて知って本当に死んでしまったのだろうと思ったんだ。そしたらもう、訳が分からなくなって。こんなに嫌いだったのに、こんなに恨んでいたのに。異世界の人であった君がこの世界を守ってくれたのに、私はどうすればいいのか、と分からなくなったんだ。だからせめて、君が愛していた人だけでも守ろうと思って、ランベールには眠り薬を渡したんだよ」

冥婚も考えなかった訳ではない。一瞬、ランベールを今すぐ殺せば間に合うか、それとも自分が死んでチトセと添い遂げれば、とも考えた、とサリエが言う。
けれどもう、俺の魂はこの世界になかった。
魔術を使って探しても、サリエには見つけられなかった。
消えてしまった。
そう、思ったらしい。

「生きていて良かった。君が死んだら、私は」
サリエの金色の瞳から涙が零れる。

美形がほろほろ泣くのってずるいよな。許さないといけない気がしてくるよなぁ。なんてアホなことを思っていたのは俺だけだったようで、マサトは自分は何も知らなくてごめんなさいと号泣してサリエに抱きつくし、ルシアンは色々イライラしてサリエに殴り掛かろうとしているし、ランベールは俺がサリエを見るのが気に入らないようで俺のことを抱きしめようとしてくる。
カオスだ。なにこの状況。
でも結果的に、泉花ちゃんが俺を呼んでくれたおかげでこの状況が作れたわけだし、結果オーライな気がする。

「で、どうするんだ。チトセがランベールと結婚すればすべては解決するってことでいいんだな。悪魔は、消える」
「でも、それだとサリエさんも消えちゃうってこと?」
マサトがマサトなのは置いておいて、ルシアンはどうしてこんなにイライラしているんだ。マサトがサリエに抱きついてるから? えぇー、そんなに心狭かったっけ。というか王子様、恋人のことしか考えていないってダメだろ。仮にも兄弟が死ぬかもしれないんだぞ。

「ダメだよ。もっと、何か方法が……」
マサトがそう言うと、耐え切れなかったようにルシアンがバンッと机を叩いた。
怖い。
「いいか、よく聞け。俺は次の王だ。王子だ。兄弟たちを差し置いて血筋のみで選ばれた王だ。力もない、魔力もたいしてない。そんな俺にあるのは、責任だけだ。俺は国民を守りたい。守らなければならない。悪魔が人間であったというなら、悪魔だって俺の国民だ。それがどうして、消えるだのそんな話をしないといけないんだ!」
怒ってる。
あのキラキラ爽やか王子様だったルシアンが怒ってる。
ちょー、怖い。

「サリエ!」
「あ、はい」
「どうして俺にきちんとすべて言わなかった。どうして今まで黙っていた。いや、違う。気づかなかった俺が悪かったのは分かる。だが、兄弟として、俺は、お前を救いたい。そうだ。お前もだ、チトセ!」

「え、俺?」
「お前もお前でどうして全部黙ってたんだ! 俺はお前に死ねと言ってたも同然だったのか? ふざけるな! お前が死んで守られた世界なんていらない。過去の救世主が死をもって世界を救ったのなんて、その世界の奴らが不甲斐なかったからだ。俺なら、そんなことはさせない。世界を救うんだ。悪魔たちを、俺たちの力で救ってみせる!」

そのキラキラテンション。きっと俺とサリエは付いていけない。
そう思ってサリエを見るが、サリエは鼻水垂らして泣いてルシアンに抱きついてる。
えー。俺だけ?
「そうだよ。僕だって、何も知らない救世主は嫌だ。できることがあるはずなんだ。だから、みんなで、幸せになろうよ」
ね、とマサトが言う。ルシアンとサリエが力強く頷く。
やっばい、この青春ってテンション、苦手である。

「チトセ」
場にそぐわない優しい声で、ランベールが俺を呼ぶ。
「もう、一人で抱え込まなくていいんだよ」


やばい。
せっかくふざけて泣かないようにしてたのに。そんなことを言われたら俺まで泣いちゃうじゃないか。
俺の未来の旦那様、俺のツボを押さえてやがる。
くっそ。もう乙女モードは休止中だって言うのに!

俺はぐっと涙を押さえて、立ち上がって机を殴った。ルシアンの真似である。しかし手がちょっと痛い。
「とりあえず俺は、ランベールと結婚しない」

俺の宣言に、ランベールより早くルシアンが立ち上がり、俺の胸倉をつかむ。
「ふざけるな。またお前一人自己犠牲をしようと……」
「あ、ごめ。違うって違うって。いや、別に結婚はしてもいいんだけどさ。結婚しなくても、悪魔の力を消す方法、俺ってば見つけちゃったんじゃないかなーって」

え?
三人が固まる。
「あーと、さ。泉花ちゃ……女神さまの寂しい気持ちが、最初の悪魔となったんだろ。で、世界を恨んだり憎んだら悪魔になる。であれば、悪魔側と人間側、いがみあうのも変な話だろ。寂しさも、恨みも、戦ったところでなくならない」
「つまり、悪魔と人間が愛し合えば解決するとでも言うの? だから君がランベールと結婚しないで、私と結婚するとか言い出すのかな?」
サリエが言うとランベールが立ち上がる。
めんどくさいなこの構図!

「違う違う! あー、もう。愛し合えば解決するんじゃ? とは思うけど、そもそもが女神さまの力である以上、俺たちが悪魔を愛したってどうしようもないと思う。でも、俺思うんだけど、人間側の救世主であるマサトと、悪魔側の救世主である俺が協力できれば。きっと、女神さまや悪魔に、俺たちの愛を届けることができると思う」
そもそもこの世界には、悪魔に堕ちかけた人間を救う道具がある。
救うために必要なのは、思いだ。助けたい、救いたい、愛している、そんな、強い思い。それがあったからこそ、ルシアンはランベールを救えた。

俺がマサトの持っている聖剣に視線を送ると、皆が目を見開いた。
「二人で聖剣を使うと?」
「聞いたことがないよ」
「ま、やってみようぜ」

マサトがおそるおそる、聖剣を差し出す。それを二人で握った。
聖剣は暖かく、優しく光る。
あぁ、この暖かさは泉花ちゃんのものだ。

あなたの孤独を救えなくてごめん。俺は、神様の孤独を理解できない。
けれど、きっと、一緒にいたあの瞬間だけは、孤独ではなかったと信じたい。

「チトセさん」
マサトの声がする。
まだ幼い救世主。ずっと俺は、彼が羨ましかった。この子になりたかった。素直で、可愛くて、泣くことも笑うこともできる彼。けれど俺は、彼にはなれなかった。恨んだし、恨んでしまう自分の心を認めたくなかった。でも、もうそれでいいんだ。そんな俺を認めてくれる人がこの世界にはいる。マサトはマサト、俺は俺。そう胸を張って隣に立つにはもう少し時間がかかるだろうが、そんな俺の醜い心も否定する必要はない。

ルシアンが微笑んで、聖剣に触れる。
最初は、どうにも王子様っぽい王子様、という印象しかなかった。マサトにラブラブで、ふざけたところもある王子様。こんなに兄弟思いだとは知らなかったし、俺やサリエのことにも怒ってくれる人であるとは、知らなかった。たった一人の王子。人は誰もが、誰にも言えない苦しみを持っている。それを人は乗り越えられる強さを持っている。そんなことを、彼から知った。

俺に力強く頷いて、ランベールが聖剣に触れる。
もう言葉はいらない。大切な人。
彼がいなければ、俺はいなかった。

そして、最後だ。
「祈ろう。世界の幸せを。この世界には愛が満ちていると!」
サリエはそう叫ぶと、聖剣を握った。
孤独な人。人一倍、誰かに救いを求めて、それが叶わなかった人。

どうかどうか。この世界の人が一人残らず幸せになりますように。
苦しみこともある。辛いこともある。悪魔に堕ちそうなほどに悲しい時もある。けれど人は、それでも生きていくのだ。
俺の元いた世界では、どんなに苦しくても悪魔にはならなかった。なれなかった。だからこそ、生きていくしかない。進んで行くしかない。その先に、また生きる希望を見つけることだってある。
悪魔なんていう物は、前を向いて生きていく人間には必要がないものだ。

だからこそ。
強い光が、神殿の一室から広がる。街に、国に、世界に。
その日、奇跡があった。
悪魔が消え、いなくなったと思われていた人たちが戻ってきた。
ある者は喜び、ある者は悲しんだ。それでいい。喜びも悲しみもあるのが世界だから。そのすべてを認めることがきっと、千歳達の望んだ愛だから。



聖剣の光が収まった後、俺はすべてを投げ捨ててランベールにキスした。
ランベールはキスをしてきた俺に、ニヤリと笑う。
「これで心置きなく結婚ができるね?」
「あー、俺ってばついに男と結婚しちゃうのか」
「結婚の次は初夜だ。楽しみにしておいてほしい」
イケメン騎士様のウィンクは心臓に痛いのでやめてほしい。

でももう俺ってばこのイケメンにメロメロなのである。
白橋千歳、25歳、ヤリチンというある意味光栄だった名前を返上して、一途な男として生きるつもりです!



おわり


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