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最終編:反乱編:侯爵家にて
モリア軍
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中央、東部、西部、北部、南部に分かれるバンスティン国。
オーヴェルニュ侯爵の呼びかけにより、西部、北部、南部の貴族は全て〝アウス軍〟につき、血を流すことなく制圧した。残念ながら軍事力の高い東部は王族側についた。
侯爵とカミーユたち、そして双子は、本陣のテントで地図を広げ話し合う。
「王族側についたのは、東部のバルト家、ウィルソン家、ストロヤノフ家、フェレメレン家、ベルツ家、フォクト家、ヴァンク家か……。おお~見事に闇オークションに夢中になってるヤツらばかりだな」
「あとは娘を王族に取られているアーベル家。動けないから傍観をつとめることになっている。……ふむ、厄介だね」
カミーユと侯爵の話を聞いていたアーサーは、見知った名前ばかりが耳に入り落ち込んだ。
(フォクト家はルリンのところだし、ヴァンク家はタールのところ……。他の家柄の子たちも、みんなセルジュ先生に拉致されてたところを助けた子ばかりだ……。それにアーベル家……ライラのところだよね)
侯爵は地図を指でなぞった。まず、バンスティン国の東部の隣国との境界線。
「アーベル侯爵家は、私と同じく国の境界線を守っている。軍事力は私よりも高いだろう。アーベル家が味方についてくれれば心強かったのだが……残念だ」
「ま、戦いに参加しないだけでもありがてえさ。こいつに出られたら下手したら負けるぜ」
「そうだな……」
そして次に、アーベル家の領地以外の東部を指でなぞる。
「残りは小さいながらも軍事力に注力している貴族」
「闇オークションなんぞやばいことに手を出してるやつらだもんなあ。そりゃ、自分の領地守るために軍事力上げとかねえとやべえもんな」
カミーユはそう言って皮肉たっぷりに笑った。
「おやっさん。おそらくこいつらは魔物出してくんぞ。闇オークションで手に入れた、とっておきの魔物をな」
「そうだろうな。それだけじゃない。闇オークションで手に入れた奴隷を兵として出すだろう」
「聞いてるだけで胸糞悪いぜ」
「とっておきの魔物にかさましされた兵力……。こちらも苦戦を強いられるに違いない」
最後に、侯爵はバンスティン国中央を指でなぞった。
「そして中央は……」
「僕の家が王族側につきましたね」
口を挟んだのは、サンプソン。
「まあ、そうだろうと思っていましたよ。彼らがこちら側につくはずがありませんし」
「……彼らも魔物を出すと思うか?」
「出すでしょうね。それはもうたっぷりと」
カミーユとサンプソンの話を聞き、侯爵は頭を悩ませた。
「ふむ……。人対人の戦いは貴族たちに任せていいが……。魔物を出されるとなると話が違ってくるな」
「なに、そのための俺らだろ、おやっさん」
「魔物の相手は任せてください。僕たちがなぎ倒します」
「そうだな……。力強い」
話し合いの末、冒険者は二手に分かれて貴族軍を指揮することになった。
ひとつは東部を攻める〝アウス軍〟、そしてもうひとつは――
「中央を攻める〝モリア軍〟、作るか」
うとうとしていたモニカは、突然自分の名前が出て飛び起きた。
「えっ、なに!?」
「こういうときに双子ってのは良いな。二軍率いても同じくらい影響力のある総大将がいるんだもんな」
「ちょ、ちょっと待ってなんの話ぃ!?」
「モニカ、お前が中央を攻める軍の総大将になるんだよ。今日アーサーがやってた感じで」
「ええええ!?」
思いもしていなかった大役に、モニカは口をあんぐり開けてまわりを見回した。しかし他のS級冒険者も同意しているようで、誰も反対しようとしない。
隣に座っていたアーサーなんて、ニヤニヤしながらモニカを肘で小突く始末だ。
「ほら、がんばってね〝お姉ちゃん〟」
「ええええ~!? 私そんなのできないよぉ! 無理無理!」
「できるできる。だってふんぞり返って〝ウム タイギデアッタ〟って言うだけだから!」
「私もそれしなきゃいけないのぉ!?」
「うんうん! がんばってね!」
「ふぁぁあん……」
アーサー率いる〝アウス軍〟には、カミーユ、リアーナ、カトリナがつく。
モニカ率いる〝モリア軍〟には、サンプソンとマデリアがつくことになった。
翌朝、モニカ、サンプソン、マデリアは南部に待機している軍と合流するために移動した。本陣を出る前、アーサーがモニカに話しかける。
「モニカ! 気をつけてね!」
「うん……。アーサー大丈夫? 私いなくても眠れる?」
「ねっ、眠れるもん! ……たぶん」
「あはは! じゃ、アーサーの目の下にクマが出来る前に合流しないとね」
「うん。次は王城で会おう!」
オーヴェルニュ侯爵の呼びかけにより、西部、北部、南部の貴族は全て〝アウス軍〟につき、血を流すことなく制圧した。残念ながら軍事力の高い東部は王族側についた。
侯爵とカミーユたち、そして双子は、本陣のテントで地図を広げ話し合う。
「王族側についたのは、東部のバルト家、ウィルソン家、ストロヤノフ家、フェレメレン家、ベルツ家、フォクト家、ヴァンク家か……。おお~見事に闇オークションに夢中になってるヤツらばかりだな」
「あとは娘を王族に取られているアーベル家。動けないから傍観をつとめることになっている。……ふむ、厄介だね」
カミーユと侯爵の話を聞いていたアーサーは、見知った名前ばかりが耳に入り落ち込んだ。
(フォクト家はルリンのところだし、ヴァンク家はタールのところ……。他の家柄の子たちも、みんなセルジュ先生に拉致されてたところを助けた子ばかりだ……。それにアーベル家……ライラのところだよね)
侯爵は地図を指でなぞった。まず、バンスティン国の東部の隣国との境界線。
「アーベル侯爵家は、私と同じく国の境界線を守っている。軍事力は私よりも高いだろう。アーベル家が味方についてくれれば心強かったのだが……残念だ」
「ま、戦いに参加しないだけでもありがてえさ。こいつに出られたら下手したら負けるぜ」
「そうだな……」
そして次に、アーベル家の領地以外の東部を指でなぞる。
「残りは小さいながらも軍事力に注力している貴族」
「闇オークションなんぞやばいことに手を出してるやつらだもんなあ。そりゃ、自分の領地守るために軍事力上げとかねえとやべえもんな」
カミーユはそう言って皮肉たっぷりに笑った。
「おやっさん。おそらくこいつらは魔物出してくんぞ。闇オークションで手に入れた、とっておきの魔物をな」
「そうだろうな。それだけじゃない。闇オークションで手に入れた奴隷を兵として出すだろう」
「聞いてるだけで胸糞悪いぜ」
「とっておきの魔物にかさましされた兵力……。こちらも苦戦を強いられるに違いない」
最後に、侯爵はバンスティン国中央を指でなぞった。
「そして中央は……」
「僕の家が王族側につきましたね」
口を挟んだのは、サンプソン。
「まあ、そうだろうと思っていましたよ。彼らがこちら側につくはずがありませんし」
「……彼らも魔物を出すと思うか?」
「出すでしょうね。それはもうたっぷりと」
カミーユとサンプソンの話を聞き、侯爵は頭を悩ませた。
「ふむ……。人対人の戦いは貴族たちに任せていいが……。魔物を出されるとなると話が違ってくるな」
「なに、そのための俺らだろ、おやっさん」
「魔物の相手は任せてください。僕たちがなぎ倒します」
「そうだな……。力強い」
話し合いの末、冒険者は二手に分かれて貴族軍を指揮することになった。
ひとつは東部を攻める〝アウス軍〟、そしてもうひとつは――
「中央を攻める〝モリア軍〟、作るか」
うとうとしていたモニカは、突然自分の名前が出て飛び起きた。
「えっ、なに!?」
「こういうときに双子ってのは良いな。二軍率いても同じくらい影響力のある総大将がいるんだもんな」
「ちょ、ちょっと待ってなんの話ぃ!?」
「モニカ、お前が中央を攻める軍の総大将になるんだよ。今日アーサーがやってた感じで」
「ええええ!?」
思いもしていなかった大役に、モニカは口をあんぐり開けてまわりを見回した。しかし他のS級冒険者も同意しているようで、誰も反対しようとしない。
隣に座っていたアーサーなんて、ニヤニヤしながらモニカを肘で小突く始末だ。
「ほら、がんばってね〝お姉ちゃん〟」
「ええええ~!? 私そんなのできないよぉ! 無理無理!」
「できるできる。だってふんぞり返って〝ウム タイギデアッタ〟って言うだけだから!」
「私もそれしなきゃいけないのぉ!?」
「うんうん! がんばってね!」
「ふぁぁあん……」
アーサー率いる〝アウス軍〟には、カミーユ、リアーナ、カトリナがつく。
モニカ率いる〝モリア軍〟には、サンプソンとマデリアがつくことになった。
翌朝、モニカ、サンプソン、マデリアは南部に待機している軍と合流するために移動した。本陣を出る前、アーサーがモニカに話しかける。
「モニカ! 気をつけてね!」
「うん……。アーサー大丈夫? 私いなくても眠れる?」
「ねっ、眠れるもん! ……たぶん」
「あはは! じゃ、アーサーの目の下にクマが出来る前に合流しないとね」
「うん。次は王城で会おう!」
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