637 / 718
決戦編:バンスティンダンジョン
バンスティンダンジョンの入り口
しおりを挟む
バンスティン国中部にそびえ立つ、王城の次に巨大な城――約百年前にバンスティン国を治めていたマリウス国王が気まぐれに捨てたかつての王城は、今や魔物の死体で穢され、国内で最も巨大といわれるダンジョンとなった。
それが、バンスティンダンジョン。
馬車から降りたアーサーとモニカは、曇天の中、空にも届きそうな巨大な城を見上げる。
「これが、バンスティンダンジョン……」
「廃墟型なんだね……」
廃墟型ダンジョンに良い思い出がないアーサーが顔をしかめると、後ろに立っていたカミーユが、アイテムボックスの中を確認しながら口を開く。
「正しくは、廃墟と洞窟の混合型だ。ここが魔物の死体捨て場になると決まった時、冒険者本部のやつらが城の地下に洞窟を掘ったそうだ。魔物が外に出ねえようにな。おそらく洞窟の中はこの城の高さよりも深いぜ」
「カミーユは、このダンジョンに入ったことがあるの?」
モニカの問いにカミーユはかぶりを振る。
「ねえな。クルドもねえよな?」
「ねえから、今もこうしてのうのうと生きてるんだろうが」
「ははっ。ちげえねえ」
「どういうこと? カミーユとクルドでも潜ったことがないなんて……。じゃあ、このダンジョンは誰が掃討してるの?」
「誰もしてねえ。する必要がねえからな」
「?」
アーサーとモニカは首を傾げた。王都に近い場所で魔物が蠢いているのに、掃討する必要がないだなんて。
双子の疑問を汲み取ったカミーユは皮肉たっぷりに笑う。
「お前ら。この国で戦いに長けてるのは誰だと思う?」
「えーっと、兵隊さん?」
「近衛兵っていうんだっけ。その人たち?」
「ちげえ」
そう言って、カミーユは親指で自身を指さした。
「S級冒険者だろうが」
そしてクルドが言葉を続ける。
「兵隊で一番強い近衛兵だって、せいぜいA級冒険者レベルだ。ま、数がやべえから、寄ってたかられたらかなわんが……単体で見たら俺らが最強だろうなあ。ガッハッハ」
「しかもS級冒険者っつーのは民からかなりの人気がある。信頼もあるしな」
クルドの言葉にカミーユは頷き、次に廃墟を指さした。
「そんな俺らが疎ましくなったときに、バンスティンダンジョンの出番なんだ」
「気に食わねえからS級冒険者を殺しました、なんて言ったら、民から反感を買うのは分かり切っている。だから王族は、うざってえS級冒険者パーティにバンスティンダンジョン掃討の指定依頼を出すんだ」
「たとえS級冒険者であっても、こんなに整備されていないクソでけえダンジョンに放り込まれたらタダじゃ済まねえ。十割殲滅しようと思ったら、ほぼ百パーセント死ぬだろうな」
「そうだな。このダンジョンの魔物を十割殲滅できたやつらなんて今までいねえ」
「つまり、バンスティンダンジョンの指定依頼を出されたS級冒険者の末路はふたつだ。ひとつは、ダンジョンの中で死ぬ。もうひとつは、依頼を放棄して逃げ出したところを、ダンジョンの入り口で見張っている兵士に処刑される。……指定依頼を失敗したという理由で、な」
ダンジョンで満身創痍になっているS級冒険者なら兵士でも簡単に殺せるしな、とカミーユは付け足した。
「どっちにしろ、バンスティンのダンジョンの指定依頼は死の宣告だってことだ」
「今までの話からもう分かるよな。王族は、バンスティンダンジョンをS級冒険者でも太刀打ちできねえダンジョンに維持したいんだ。維持するにはどうするか? そんなの簡単だよな。放置して、魔物を好きに繁殖させたらいいだけだ」
「つまりそういうわけで、今まで俺らにバンスティンダンジョン掃討依頼が来たことはなかった」
話を聞き終えたアーサーとモニカは、顔を真っ青にして震えていた。
「そ……そんなところに、今から私たち……」
「そうだ。百年間のびのびと育ってきた魔物に加え、ここ数年で王族がかきあつめた高クラス魔物の魂魄を放たれた、その上裏S級冒険者までいるここに、俺らは今から潜るんだ。もちろん、十割殲滅という条件のもとで」
「……」
「ま、今回はヴィクス王子のはからいで、出来る限り生存率は上げてくれている。本来ここに放り込まれるときは、一組のパーティだけだ。だが、俺らのパーティにクルドパーティ、おまけにお前らまでつけてくれた」
カミーユがそう言うと、ありがてえなあ、とクルドはわざとらしく胸に手を当て、王城がある方向に恭しく礼をした。
ふざけるクルドの頭を叩き、カミーユは顎に手を当てる。
「ただ、バンスティンダンジョンに潜って生きてきたやつはいねえ。つまり情報がねえから、俺らでも中がどうなっているのか、どんな魔物が棲息しているのか、さっぱり分からねえ」
「体感、依頼成功の確率は五パーセントくらいな気がしてるぜ。全員生存の確率は〇だろう」
「生き残る可能性が五パーセントもありゃあ充分だ。生存できるやつらの中に自分が入れるよう、お前らくれぐれもぬかるんじゃねえぞ」
カミーユはうしろに控えていたメンバー全員にそう声をかけた。
「絶体絶命のときは仲間を置いて逃げろ。ジル、ブルギー、盾役のお前らもだぞ。まずは自分が生き残ることを考えろ」
カミーユの声が聞こえているはずなのに、ジルとブルギーはそっぽを向いて返事をしない。
「リアーナ、マデリア、ミント。魔力が少なくなってきたら、自分の身を守るために魔力を使え。特にミント。分かったな」
彼女たちも返事をしない。
「カトリナとサンプソン、俺らが死にそうになっても近づいてくるなよ。お前らは遠距離なんだから」
「ええ。分かったわァ」
「言われなくてもそのつもりだよ」
彼女たちはにこやかに返事をしたが、そのつもりは毛頭ないと目が語っていた。
カミーユは深いため息をつき、頭を掻く。
「メンバーを命かけて守るのは俺とクルドの仕事だ。俺らの仕事を取るなっつってんだ」
えっらそーに、とリアーナが舌打ちをする。ジルも「はあ?」と顔をしわくちゃにして首を傾げた。
「……だが、アーサーとモニカのことは、お前らも命かけて守れ」
その命令には、メンバー全員が頷いた。
そして最後に、カミーユが双子に向き直る。
「アーサー、モニカ。お前らのことは、俺らが守る。危険な目に遭わせるが……俺らにはお前らが必要だ。頼んだぞ」
アーサーは首を振り、モニカは力強く頷く。
「僕たちにとって、カミーユたちは恩人なんだ。僕たちに家族ってものを教えてくれた、大切な人たち。僕たちが大変な時に、いっぱい助けてくれた、大事な人たち。そのことは、何があっても忘れない」
「だからね、私たちも守りたいの。死んでほしくないの、みんなに」
「守られっぱなしはうんざりだ。大切な人が先に死んじゃうのは、もう見たくないなあ」
「もしカミーユたちが大変な目に遭ってたら、わたしたちは命を懸けて助けるわ!」
何を言っているんだと、カミーユは首を横に振る。
「いや、そんなこと、俺らは望んじゃいねぇ……」
「僕たちだってだよ」
「いや……」
「あ、僕たちにもしものことがあっても、ユーリに手を出さないように、ヴィクスにはきつく言っておいたから大丈夫だよ! ヴィクス、僕たちの言うことはちゃんと守ってくれるから」
「いや、そこを心配してるんじゃなくてだな……」
困ったようにモゴモゴと言葉を発するカミーユに、モニカがぴしゃりと言う。
「いつまでも子ども扱いしないでよね、カミーユ!」
「なっ……」
「わたしたち、もう十六歳なのよ!」
得意げに胸を張るモニカの隣で、アーサーもニコッと笑う。
「決めたんだ。僕たち、大人になるよ」
アーサーの言葉に、カミーユの胸がキュッと苦しくなった。
アーサーは、小さな声でもう一度言った。
「僕たち、大人になるよ」
「アーサー……」
「……僕たちは今まで、カミーユたちやヴィクスに守られて生きてきた。それに気付かないで、やりたいことだけをして、それで全てがうまくいってるって思ってたんだ。でも、そうじゃなかった。僕たちが見えないところで、僕たちが生み出した歪みを……カミーユたちが手を汚してしてでも背負ってくれてたことに、気付いた」
カミーユは微かに顔を歪めた。その表情には、後悔が滲んでいた。
アーサーとモニカは真っすぐ彼の目を見る。
「成し遂げるために、したくないことをする覚悟……自分たちの手を汚すことの覚悟は、もうできた」
「守られることが当たり前の世界は、もう終わり。私たちは今まで、綺麗な世界だけしか見ようとしてこなかった。でも、もう汚い世界から目を背けない。おんぶにだっこはもうされない。自分たちで立って、歩くわ」
カミーユは項垂れる。
巣立った鳥を、雛鳥に戻すことなんてもうできない。
「だからこれから僕たちは、もう庇護されるだけの子どもじゃない。カミーユたちの冒険者の仲間として、反乱を起こす仲間として……戦う」
六年間、自分たちのことを雛鳥だと思い込ませ、巣の中で大切に大切に育ててきた愛しい子ども。
もう巣立つ時期はとっくに過ぎていることを気付かせてしまったのは、カミーユ自身。
もう、彼らは大人しく甘えて守られてくれはしないだろう。
それがこんなに切ないことだとは、今の今まで気付かなかった。
行かないでくれと手を掴みそうになるのをグッと堪え、カミーユはなんとか声を絞り出す。
「……そうか。分かった。頼りにしてるぜ、アーサー、モニカ」
それが、バンスティンダンジョン。
馬車から降りたアーサーとモニカは、曇天の中、空にも届きそうな巨大な城を見上げる。
「これが、バンスティンダンジョン……」
「廃墟型なんだね……」
廃墟型ダンジョンに良い思い出がないアーサーが顔をしかめると、後ろに立っていたカミーユが、アイテムボックスの中を確認しながら口を開く。
「正しくは、廃墟と洞窟の混合型だ。ここが魔物の死体捨て場になると決まった時、冒険者本部のやつらが城の地下に洞窟を掘ったそうだ。魔物が外に出ねえようにな。おそらく洞窟の中はこの城の高さよりも深いぜ」
「カミーユは、このダンジョンに入ったことがあるの?」
モニカの問いにカミーユはかぶりを振る。
「ねえな。クルドもねえよな?」
「ねえから、今もこうしてのうのうと生きてるんだろうが」
「ははっ。ちげえねえ」
「どういうこと? カミーユとクルドでも潜ったことがないなんて……。じゃあ、このダンジョンは誰が掃討してるの?」
「誰もしてねえ。する必要がねえからな」
「?」
アーサーとモニカは首を傾げた。王都に近い場所で魔物が蠢いているのに、掃討する必要がないだなんて。
双子の疑問を汲み取ったカミーユは皮肉たっぷりに笑う。
「お前ら。この国で戦いに長けてるのは誰だと思う?」
「えーっと、兵隊さん?」
「近衛兵っていうんだっけ。その人たち?」
「ちげえ」
そう言って、カミーユは親指で自身を指さした。
「S級冒険者だろうが」
そしてクルドが言葉を続ける。
「兵隊で一番強い近衛兵だって、せいぜいA級冒険者レベルだ。ま、数がやべえから、寄ってたかられたらかなわんが……単体で見たら俺らが最強だろうなあ。ガッハッハ」
「しかもS級冒険者っつーのは民からかなりの人気がある。信頼もあるしな」
クルドの言葉にカミーユは頷き、次に廃墟を指さした。
「そんな俺らが疎ましくなったときに、バンスティンダンジョンの出番なんだ」
「気に食わねえからS級冒険者を殺しました、なんて言ったら、民から反感を買うのは分かり切っている。だから王族は、うざってえS級冒険者パーティにバンスティンダンジョン掃討の指定依頼を出すんだ」
「たとえS級冒険者であっても、こんなに整備されていないクソでけえダンジョンに放り込まれたらタダじゃ済まねえ。十割殲滅しようと思ったら、ほぼ百パーセント死ぬだろうな」
「そうだな。このダンジョンの魔物を十割殲滅できたやつらなんて今までいねえ」
「つまり、バンスティンダンジョンの指定依頼を出されたS級冒険者の末路はふたつだ。ひとつは、ダンジョンの中で死ぬ。もうひとつは、依頼を放棄して逃げ出したところを、ダンジョンの入り口で見張っている兵士に処刑される。……指定依頼を失敗したという理由で、な」
ダンジョンで満身創痍になっているS級冒険者なら兵士でも簡単に殺せるしな、とカミーユは付け足した。
「どっちにしろ、バンスティンのダンジョンの指定依頼は死の宣告だってことだ」
「今までの話からもう分かるよな。王族は、バンスティンダンジョンをS級冒険者でも太刀打ちできねえダンジョンに維持したいんだ。維持するにはどうするか? そんなの簡単だよな。放置して、魔物を好きに繁殖させたらいいだけだ」
「つまりそういうわけで、今まで俺らにバンスティンダンジョン掃討依頼が来たことはなかった」
話を聞き終えたアーサーとモニカは、顔を真っ青にして震えていた。
「そ……そんなところに、今から私たち……」
「そうだ。百年間のびのびと育ってきた魔物に加え、ここ数年で王族がかきあつめた高クラス魔物の魂魄を放たれた、その上裏S級冒険者までいるここに、俺らは今から潜るんだ。もちろん、十割殲滅という条件のもとで」
「……」
「ま、今回はヴィクス王子のはからいで、出来る限り生存率は上げてくれている。本来ここに放り込まれるときは、一組のパーティだけだ。だが、俺らのパーティにクルドパーティ、おまけにお前らまでつけてくれた」
カミーユがそう言うと、ありがてえなあ、とクルドはわざとらしく胸に手を当て、王城がある方向に恭しく礼をした。
ふざけるクルドの頭を叩き、カミーユは顎に手を当てる。
「ただ、バンスティンダンジョンに潜って生きてきたやつはいねえ。つまり情報がねえから、俺らでも中がどうなっているのか、どんな魔物が棲息しているのか、さっぱり分からねえ」
「体感、依頼成功の確率は五パーセントくらいな気がしてるぜ。全員生存の確率は〇だろう」
「生き残る可能性が五パーセントもありゃあ充分だ。生存できるやつらの中に自分が入れるよう、お前らくれぐれもぬかるんじゃねえぞ」
カミーユはうしろに控えていたメンバー全員にそう声をかけた。
「絶体絶命のときは仲間を置いて逃げろ。ジル、ブルギー、盾役のお前らもだぞ。まずは自分が生き残ることを考えろ」
カミーユの声が聞こえているはずなのに、ジルとブルギーはそっぽを向いて返事をしない。
「リアーナ、マデリア、ミント。魔力が少なくなってきたら、自分の身を守るために魔力を使え。特にミント。分かったな」
彼女たちも返事をしない。
「カトリナとサンプソン、俺らが死にそうになっても近づいてくるなよ。お前らは遠距離なんだから」
「ええ。分かったわァ」
「言われなくてもそのつもりだよ」
彼女たちはにこやかに返事をしたが、そのつもりは毛頭ないと目が語っていた。
カミーユは深いため息をつき、頭を掻く。
「メンバーを命かけて守るのは俺とクルドの仕事だ。俺らの仕事を取るなっつってんだ」
えっらそーに、とリアーナが舌打ちをする。ジルも「はあ?」と顔をしわくちゃにして首を傾げた。
「……だが、アーサーとモニカのことは、お前らも命かけて守れ」
その命令には、メンバー全員が頷いた。
そして最後に、カミーユが双子に向き直る。
「アーサー、モニカ。お前らのことは、俺らが守る。危険な目に遭わせるが……俺らにはお前らが必要だ。頼んだぞ」
アーサーは首を振り、モニカは力強く頷く。
「僕たちにとって、カミーユたちは恩人なんだ。僕たちに家族ってものを教えてくれた、大切な人たち。僕たちが大変な時に、いっぱい助けてくれた、大事な人たち。そのことは、何があっても忘れない」
「だからね、私たちも守りたいの。死んでほしくないの、みんなに」
「守られっぱなしはうんざりだ。大切な人が先に死んじゃうのは、もう見たくないなあ」
「もしカミーユたちが大変な目に遭ってたら、わたしたちは命を懸けて助けるわ!」
何を言っているんだと、カミーユは首を横に振る。
「いや、そんなこと、俺らは望んじゃいねぇ……」
「僕たちだってだよ」
「いや……」
「あ、僕たちにもしものことがあっても、ユーリに手を出さないように、ヴィクスにはきつく言っておいたから大丈夫だよ! ヴィクス、僕たちの言うことはちゃんと守ってくれるから」
「いや、そこを心配してるんじゃなくてだな……」
困ったようにモゴモゴと言葉を発するカミーユに、モニカがぴしゃりと言う。
「いつまでも子ども扱いしないでよね、カミーユ!」
「なっ……」
「わたしたち、もう十六歳なのよ!」
得意げに胸を張るモニカの隣で、アーサーもニコッと笑う。
「決めたんだ。僕たち、大人になるよ」
アーサーの言葉に、カミーユの胸がキュッと苦しくなった。
アーサーは、小さな声でもう一度言った。
「僕たち、大人になるよ」
「アーサー……」
「……僕たちは今まで、カミーユたちやヴィクスに守られて生きてきた。それに気付かないで、やりたいことだけをして、それで全てがうまくいってるって思ってたんだ。でも、そうじゃなかった。僕たちが見えないところで、僕たちが生み出した歪みを……カミーユたちが手を汚してしてでも背負ってくれてたことに、気付いた」
カミーユは微かに顔を歪めた。その表情には、後悔が滲んでいた。
アーサーとモニカは真っすぐ彼の目を見る。
「成し遂げるために、したくないことをする覚悟……自分たちの手を汚すことの覚悟は、もうできた」
「守られることが当たり前の世界は、もう終わり。私たちは今まで、綺麗な世界だけしか見ようとしてこなかった。でも、もう汚い世界から目を背けない。おんぶにだっこはもうされない。自分たちで立って、歩くわ」
カミーユは項垂れる。
巣立った鳥を、雛鳥に戻すことなんてもうできない。
「だからこれから僕たちは、もう庇護されるだけの子どもじゃない。カミーユたちの冒険者の仲間として、反乱を起こす仲間として……戦う」
六年間、自分たちのことを雛鳥だと思い込ませ、巣の中で大切に大切に育ててきた愛しい子ども。
もう巣立つ時期はとっくに過ぎていることを気付かせてしまったのは、カミーユ自身。
もう、彼らは大人しく甘えて守られてくれはしないだろう。
それがこんなに切ないことだとは、今の今まで気付かなかった。
行かないでくれと手を掴みそうになるのをグッと堪え、カミーユはなんとか声を絞り出す。
「……そうか。分かった。頼りにしてるぜ、アーサー、モニカ」
12
お気に入りに追加
4,372
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。