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魔女編:合同クエスト
合同クエスト
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そして週末、待ちに待った合同クエストの日が来た。早朝、双子が待ち合わせ場所のギルドに顔を出すと、すでに三人のF級冒険者が集合していた。
クエスト受付嬢は冒険者の名前を読み上げ点呼をした。
「アデーレさん」
顔にソバカスがちりばめられた女性が無言で手を挙げる。
「イェルドさん」
「はい!」
金髪の男性が元気に返事をした。
「ベニートさん」
「はい」
黒髪で長髪を後ろで束ねたの男性がやる気なさそうに返事をする。
「アーサーさん」
「はい!」
「モニカさん」
「はい!」
双子以外は全員20代前半のように見えた。彼らは双子をチラチラ見ている。あんな小さい子がいて大丈夫なのか?と言いたげな顔だ。
受付嬢は名簿に目を落としたまま口を開いた。
「こちらで全員ですね。では今からみなさんに、Fランクダンジョンの掃討へ行っていただきたいと思います。この町から歩いて40分ほどの場所にあるダンジョン、通称ワーブダンジョン。とりあえずダンジョンの端から端まで回って、現れた魔物を殲滅してください」
「ミナゴロシっすか?」
イェルドが質問すると、受付嬢は頷いて肯定した。
「殲滅が完了したら速やかにギルドへ報告お願いします。ダンジョン管理人が中を確認し、9割以上の魔物が死んでいたらクエスト成功です」
打ち合わせが終わり、5人は早速ワーブダンジョンへ向かった。
道中イェルドが双子に話しかける。
「なあなあ、君たち本当にFクラスなの?」
「はい、といってもなりたてですが」
「そうなんだ!小さいのに冒険者やっててえらいな!!」
「イェルド知らないの?ボルーノ薬屋で働いてた子たちよ」
アデーレが無表情のまま話す。
「エリクサーを開発したのがこの子たちらしいわ。あんたよりずっと稼いでるわよ」
「えー!そうなのか?!すげー!え?どんくらい稼いでんの?!」
「みっともないぞ、やめろよ」
ベニートが面倒くさそうに口を挟んだ。
「どうせ薬草採集のクエストばっかり受けてたんだろ。いいか、ガキんちょ。ダンジョン舐めてると痛い目見るぞ。今からでも間に合うからさっさと町へ帰りな」
モニカがムッとしていたが、アーサーは気にせずベニートに話しかけた。
「えっと、ベニートさんは、ダンジョン掃討によく行かれるんですか?」
「今回で3回目だな。合同クエストはメンバーによって難易度が変わってくる。特にダンジョン掃討は長期戦だし、魔法使いはだいたい魔力切れでつかいもんにならなくなる。弱い奴はケガして足引っ張るし」
「へぇ~」
「だから薬草採集しかしたことないお子さんがいると困るんだよ。頼むから帰ってくれねえか」
アデーレはベニートに同意のようだ。
「仲間を庇いながら戦うのって疲れるのよね」
「えー!お前ら冷たいな?!いいじゃん人生経験だと思ってやらせてやれよ~」
イェルドは双子に好意的なようだ。もっとも、役に立つとは思ってはいないようだが。
イェルドのお気楽な発言に、ベニートが舌打ちする。
「お前、ダンジョン舐めてんのか?ずっと戦い詰めで、オチオチ寝てもいられない。ダンジョンっていうのは苛酷な場所なんだ。ヘマしたら簡単に死ぬんだぞ」
「特に今回はFランクのダンジョンだし。結構きついと思う」
アデーレの言葉にベニートが頷いた。
ピリピリとした雰囲気に双子は目を見合わせた。ダンジョンに入る前からこの調子では、先が思いやられる。
「あの」
ワーブダンジョンの入り口へ到着した時、モニカはおそるおそる3人に声をかけた。
「わたしたち、別で行動します。それなら皆さんに迷惑かけないし」
イェルドは血相を変え、アデーレは呆れたようにため息を吐き、ベニートは肩をすくめた。
「は!?死ぬ気か?」
「恐れ知らず」
「勝手にしたら。俺たちは忠告したからな」
ベニートがダンジョンの中に入っていった。アデーレはその後を追ったが、イェルドは双子の元へ残った。
「俺、お前たち置いていけねーよ!」
「大丈夫です!心配してくれてありがとう」
「でも…」
「あ、そうだ。これ、使ってください」
アーサーはアイテムボックスからエリクサーを30本取り出した。
「こ、これは……エリクサーじゃねえか!!」
「10本ずつ、3人で分けてください」
「え!いいのか?!こんなレアな薬を30本も」
「まだまだあるので、ぜひ」
イェルドはエリクサーを受け取り、代わりにアイテムボックスから伝書インコを差し出した。
「これ、お前たちに渡しとくから。ピンチになったら俺のとこに飛ばしてこい。助けに行ってやるから」
双子はニッコリ笑い、「ほら、二人を見失うよ!」とイェルドの背中を押した。
イェルドがベニート、アデーラを追いかけて姿が見えなくなったあと、双子はふぅとため息をついた。
「居心地わるぅ」
「ね、ちょっと怖かった」
「あの3人と違うルートで行こ」
ワーブダンジョンは洞窟だった。しばらく一本道だが、歩いて3分ほどで道が二手に分かれていた。3人が戦っている物音が左の道から聞こえてきたので、双子は右の道へ進んだ。
「ん?」
モニカの足に何かが当たり下を見ると、スライムくらいの大さの岩がピョンピョンと跳ねている。
「なにこれ魔物?」
「これってたしかカチッカとかいう、カチカチのスライムだ」
「なにこれかわいい~!!」
「えーっとハンマーハンマー」
アーサーはアイテムボックスに手を突っ込み、オークから奪ったハンマーを取り出した。「えい!」とカチッカを粉々にしたら、モニカがショックを受けた顔をしていた。
「かわいかったのにぃ!!なんてことするの!」
「だって殺すのがクエストなんだもん!」
「そ、そっかぁ……」
「ほら、モニカも手伝って」
双子は地道に無数に転がるカチッカを砕きながら道を進んでいった。
クエスト受付嬢は冒険者の名前を読み上げ点呼をした。
「アデーレさん」
顔にソバカスがちりばめられた女性が無言で手を挙げる。
「イェルドさん」
「はい!」
金髪の男性が元気に返事をした。
「ベニートさん」
「はい」
黒髪で長髪を後ろで束ねたの男性がやる気なさそうに返事をする。
「アーサーさん」
「はい!」
「モニカさん」
「はい!」
双子以外は全員20代前半のように見えた。彼らは双子をチラチラ見ている。あんな小さい子がいて大丈夫なのか?と言いたげな顔だ。
受付嬢は名簿に目を落としたまま口を開いた。
「こちらで全員ですね。では今からみなさんに、Fランクダンジョンの掃討へ行っていただきたいと思います。この町から歩いて40分ほどの場所にあるダンジョン、通称ワーブダンジョン。とりあえずダンジョンの端から端まで回って、現れた魔物を殲滅してください」
「ミナゴロシっすか?」
イェルドが質問すると、受付嬢は頷いて肯定した。
「殲滅が完了したら速やかにギルドへ報告お願いします。ダンジョン管理人が中を確認し、9割以上の魔物が死んでいたらクエスト成功です」
打ち合わせが終わり、5人は早速ワーブダンジョンへ向かった。
道中イェルドが双子に話しかける。
「なあなあ、君たち本当にFクラスなの?」
「はい、といってもなりたてですが」
「そうなんだ!小さいのに冒険者やっててえらいな!!」
「イェルド知らないの?ボルーノ薬屋で働いてた子たちよ」
アデーレが無表情のまま話す。
「エリクサーを開発したのがこの子たちらしいわ。あんたよりずっと稼いでるわよ」
「えー!そうなのか?!すげー!え?どんくらい稼いでんの?!」
「みっともないぞ、やめろよ」
ベニートが面倒くさそうに口を挟んだ。
「どうせ薬草採集のクエストばっかり受けてたんだろ。いいか、ガキんちょ。ダンジョン舐めてると痛い目見るぞ。今からでも間に合うからさっさと町へ帰りな」
モニカがムッとしていたが、アーサーは気にせずベニートに話しかけた。
「えっと、ベニートさんは、ダンジョン掃討によく行かれるんですか?」
「今回で3回目だな。合同クエストはメンバーによって難易度が変わってくる。特にダンジョン掃討は長期戦だし、魔法使いはだいたい魔力切れでつかいもんにならなくなる。弱い奴はケガして足引っ張るし」
「へぇ~」
「だから薬草採集しかしたことないお子さんがいると困るんだよ。頼むから帰ってくれねえか」
アデーレはベニートに同意のようだ。
「仲間を庇いながら戦うのって疲れるのよね」
「えー!お前ら冷たいな?!いいじゃん人生経験だと思ってやらせてやれよ~」
イェルドは双子に好意的なようだ。もっとも、役に立つとは思ってはいないようだが。
イェルドのお気楽な発言に、ベニートが舌打ちする。
「お前、ダンジョン舐めてんのか?ずっと戦い詰めで、オチオチ寝てもいられない。ダンジョンっていうのは苛酷な場所なんだ。ヘマしたら簡単に死ぬんだぞ」
「特に今回はFランクのダンジョンだし。結構きついと思う」
アデーレの言葉にベニートが頷いた。
ピリピリとした雰囲気に双子は目を見合わせた。ダンジョンに入る前からこの調子では、先が思いやられる。
「あの」
ワーブダンジョンの入り口へ到着した時、モニカはおそるおそる3人に声をかけた。
「わたしたち、別で行動します。それなら皆さんに迷惑かけないし」
イェルドは血相を変え、アデーレは呆れたようにため息を吐き、ベニートは肩をすくめた。
「は!?死ぬ気か?」
「恐れ知らず」
「勝手にしたら。俺たちは忠告したからな」
ベニートがダンジョンの中に入っていった。アデーレはその後を追ったが、イェルドは双子の元へ残った。
「俺、お前たち置いていけねーよ!」
「大丈夫です!心配してくれてありがとう」
「でも…」
「あ、そうだ。これ、使ってください」
アーサーはアイテムボックスからエリクサーを30本取り出した。
「こ、これは……エリクサーじゃねえか!!」
「10本ずつ、3人で分けてください」
「え!いいのか?!こんなレアな薬を30本も」
「まだまだあるので、ぜひ」
イェルドはエリクサーを受け取り、代わりにアイテムボックスから伝書インコを差し出した。
「これ、お前たちに渡しとくから。ピンチになったら俺のとこに飛ばしてこい。助けに行ってやるから」
双子はニッコリ笑い、「ほら、二人を見失うよ!」とイェルドの背中を押した。
イェルドがベニート、アデーラを追いかけて姿が見えなくなったあと、双子はふぅとため息をついた。
「居心地わるぅ」
「ね、ちょっと怖かった」
「あの3人と違うルートで行こ」
ワーブダンジョンは洞窟だった。しばらく一本道だが、歩いて3分ほどで道が二手に分かれていた。3人が戦っている物音が左の道から聞こえてきたので、双子は右の道へ進んだ。
「ん?」
モニカの足に何かが当たり下を見ると、スライムくらいの大さの岩がピョンピョンと跳ねている。
「なにこれ魔物?」
「これってたしかカチッカとかいう、カチカチのスライムだ」
「なにこれかわいい~!!」
「えーっとハンマーハンマー」
アーサーはアイテムボックスに手を突っ込み、オークから奪ったハンマーを取り出した。「えい!」とカチッカを粉々にしたら、モニカがショックを受けた顔をしていた。
「かわいかったのにぃ!!なんてことするの!」
「だって殺すのがクエストなんだもん!」
「そ、そっかぁ……」
「ほら、モニカも手伝って」
双子は地道に無数に転がるカチッカを砕きながら道を進んでいった。
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