417 / 718
合宿編:三週目・ダンジョン掃討特訓
ただいま
しおりを挟む
「おー帰ってきたか。遅かったな」
「カミーユーーー!!!」
屋敷へ戻った双子を出迎えたのはカミーユだった。ゆったりとした普段着で葉巻を吸っている。5日ぶりに会えたカミーユにテンションが上がったアーサーとモニカは、たっぷり毒をしみ込ませた冒険者服のままカミーユに飛びついた。彼の服がジュワァァ…と溶け、見えた肌に毒が沁み込む。
「うおぉぉい!!おまえらそのきったねぇドロドロ、もしかしてバジリスクの毒じゃねえだろうな?!」
「そうだよー!!」
「そうだよーじゃねえよ!!俺じゃなかったら死んでるだろうが!!」
「カミーユだぁカミーユだぁー!」
「チッ聞いちゃいねえ」
カミーユはハァーとため息をつき、双子をひっつけたまま食堂へ向かった。毒におかされ続けてでも引きはがさないところからして、カミーユも双子が無事に帰ってきて嬉しいのだろう。バジリスクの毒よりも双子愛が勝った瞬間だった。そんな彼を見てカトリナとリアーナがニヤニヤしている。
「ぷぷ。カミーユのやつ仏頂面だけどだいぶ嬉しいみたいだなぁ」
「心なしかスキップしてるように見えるわァ」
「してねえよ!!」
「カミーユぅ~今日一緒にお風呂はいろぉー?」
「おー」
アーサーが甘えた声でお願いしてカミーユが頷くと、モニカが「ずるいー!」と頬を膨らませた。
「カミーユ~わたしともはいろぉー!」
「あほか!お前はカトリナとリアーナと入れ!」
「なんでよぉ~もうずっと我慢してるんだから一回くらい一緒に入ってくれたっていいじゃない!」
「お前と俺が一緒に風呂に入ることは今後二度とねぇ!」
「アーサー!カミーユがいじわる言うよぉ~」
「カミーユ、僕の妹いじめないでよぉ。一回くらい入ってあげてよぉ」
「アニキがなんで妹とオッサンが風呂に入るのを推奨してんだよ止めろよ」
「ぶぅ~」
「ぶぅ~」
「ブーブー鳴くんじゃねえ!」
カミーユは食堂でバナナとリンゴを引っ掴み、アーサーとモニカの口に突っ込んだ。むしゃむしゃ果物を頬張っている双子を体に引っ付けたまま浴室へ向かい、モニカを女子用風呂に放り投げ、自分はアーサーと一緒に男子用風呂へ入った。アーサーの毒まみれの服を脱がせ、体をしっかり洗ってから浴槽へ乱暴に押し込む。アーサーは久しぶりのお風呂にしあわせな吐息を漏らした。
「あ~お風呂きもちい~」
「ダンジョン潜ったあとの風呂は格別だよな」
「うん!さいこう!!」
「で?どうだった?Cランクダンジョンは」
「大変だった!雑魚がつよいし、中ボスなんてすごく大変だったー」
「だろうな。ま、二人とも無事帰って来れてよかった」
「カミーユはクラリッサとシリルとベニートと一緒にダンジョン潜ったんだよね!どうだった?」
「そうだな…。クラリッサとシリルにとっては初めてのダンジョンだったしかなり苦戦してたな。クラリッサは途中で魔力切れを起こしたが体術に切り替えて善戦してた。…腕の骨を折ったがな。シリルもかなり筋がいいな。頭がいいからすぐにダンジョンに慣れてた。ボス戦でひどい麻痺状態になって今は休んでる。ベニートは…あいつは良いな。頭が切れるし常に冷静だ。ああいうやつがパーティーにいると生存率が上がる。弓術もまあまあだしな」
「おおお~」
どうやらクラリッサとシリルもなんとかダンジョン掃討特訓を無事乗り切ったようだ。怪我はしているが命に別状はないらしい。
(それにしてもベニートのパーティってやっぱりすごいんだなあ。カトリナとリアーナもイェルドのことすっごく褒めてたし、カミーユもベニートのことべた褒めだ。なんだか嬉しいな~)
カミーユによるとジル、ダフ、ライラ、アデーレ組も全員無事に帰ってきたそうだ。さすがはA級アーチャだけあって、ライラの活躍っぷりが素晴らしかったらしい。弓術もかなりの戦力になったが、質の良い回復魔法にダフが何度も助けられていたそうだ。ダフもジルに教えてもらいながら立派に盾役を務めたようで、ジルが満足げにしていたと言っていた。あと、アデーレの作る食事にライラもダフも大喜びだったとか。ボス戦でダフがかなりの大怪我を負ったようだが、彼らにとっても今回の特訓は有意義なものとなった。
「カミーユ、明日からはどんな特訓をするの?」
「明日から2日間はまた休息だ。2日間回復に専念させて、残りはもちろん…」
「もちろんー?」
アーサーがわくわくしながらカミーユの顔を覗き込むと、彼はニィっと笑った。
「S級冒険者vsガキどもの殴り合いだ」
「カミーユーーー!!!」
屋敷へ戻った双子を出迎えたのはカミーユだった。ゆったりとした普段着で葉巻を吸っている。5日ぶりに会えたカミーユにテンションが上がったアーサーとモニカは、たっぷり毒をしみ込ませた冒険者服のままカミーユに飛びついた。彼の服がジュワァァ…と溶け、見えた肌に毒が沁み込む。
「うおぉぉい!!おまえらそのきったねぇドロドロ、もしかしてバジリスクの毒じゃねえだろうな?!」
「そうだよー!!」
「そうだよーじゃねえよ!!俺じゃなかったら死んでるだろうが!!」
「カミーユだぁカミーユだぁー!」
「チッ聞いちゃいねえ」
カミーユはハァーとため息をつき、双子をひっつけたまま食堂へ向かった。毒におかされ続けてでも引きはがさないところからして、カミーユも双子が無事に帰ってきて嬉しいのだろう。バジリスクの毒よりも双子愛が勝った瞬間だった。そんな彼を見てカトリナとリアーナがニヤニヤしている。
「ぷぷ。カミーユのやつ仏頂面だけどだいぶ嬉しいみたいだなぁ」
「心なしかスキップしてるように見えるわァ」
「してねえよ!!」
「カミーユぅ~今日一緒にお風呂はいろぉー?」
「おー」
アーサーが甘えた声でお願いしてカミーユが頷くと、モニカが「ずるいー!」と頬を膨らませた。
「カミーユ~わたしともはいろぉー!」
「あほか!お前はカトリナとリアーナと入れ!」
「なんでよぉ~もうずっと我慢してるんだから一回くらい一緒に入ってくれたっていいじゃない!」
「お前と俺が一緒に風呂に入ることは今後二度とねぇ!」
「アーサー!カミーユがいじわる言うよぉ~」
「カミーユ、僕の妹いじめないでよぉ。一回くらい入ってあげてよぉ」
「アニキがなんで妹とオッサンが風呂に入るのを推奨してんだよ止めろよ」
「ぶぅ~」
「ぶぅ~」
「ブーブー鳴くんじゃねえ!」
カミーユは食堂でバナナとリンゴを引っ掴み、アーサーとモニカの口に突っ込んだ。むしゃむしゃ果物を頬張っている双子を体に引っ付けたまま浴室へ向かい、モニカを女子用風呂に放り投げ、自分はアーサーと一緒に男子用風呂へ入った。アーサーの毒まみれの服を脱がせ、体をしっかり洗ってから浴槽へ乱暴に押し込む。アーサーは久しぶりのお風呂にしあわせな吐息を漏らした。
「あ~お風呂きもちい~」
「ダンジョン潜ったあとの風呂は格別だよな」
「うん!さいこう!!」
「で?どうだった?Cランクダンジョンは」
「大変だった!雑魚がつよいし、中ボスなんてすごく大変だったー」
「だろうな。ま、二人とも無事帰って来れてよかった」
「カミーユはクラリッサとシリルとベニートと一緒にダンジョン潜ったんだよね!どうだった?」
「そうだな…。クラリッサとシリルにとっては初めてのダンジョンだったしかなり苦戦してたな。クラリッサは途中で魔力切れを起こしたが体術に切り替えて善戦してた。…腕の骨を折ったがな。シリルもかなり筋がいいな。頭がいいからすぐにダンジョンに慣れてた。ボス戦でひどい麻痺状態になって今は休んでる。ベニートは…あいつは良いな。頭が切れるし常に冷静だ。ああいうやつがパーティーにいると生存率が上がる。弓術もまあまあだしな」
「おおお~」
どうやらクラリッサとシリルもなんとかダンジョン掃討特訓を無事乗り切ったようだ。怪我はしているが命に別状はないらしい。
(それにしてもベニートのパーティってやっぱりすごいんだなあ。カトリナとリアーナもイェルドのことすっごく褒めてたし、カミーユもベニートのことべた褒めだ。なんだか嬉しいな~)
カミーユによるとジル、ダフ、ライラ、アデーレ組も全員無事に帰ってきたそうだ。さすがはA級アーチャだけあって、ライラの活躍っぷりが素晴らしかったらしい。弓術もかなりの戦力になったが、質の良い回復魔法にダフが何度も助けられていたそうだ。ダフもジルに教えてもらいながら立派に盾役を務めたようで、ジルが満足げにしていたと言っていた。あと、アデーレの作る食事にライラもダフも大喜びだったとか。ボス戦でダフがかなりの大怪我を負ったようだが、彼らにとっても今回の特訓は有意義なものとなった。
「カミーユ、明日からはどんな特訓をするの?」
「明日から2日間はまた休息だ。2日間回復に専念させて、残りはもちろん…」
「もちろんー?」
アーサーがわくわくしながらカミーユの顔を覗き込むと、彼はニィっと笑った。
「S級冒険者vsガキどもの殴り合いだ」
10
お気に入りに追加
4,372
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

出来損ないと呼ばれた伯爵令嬢は出来損ないを望む
家具屋ふふみに
ファンタジー
この世界には魔法が存在する。
そして生まれ持つ適性がある属性しか使えない。
その属性は主に6つ。
火・水・風・土・雷・そして……無。
クーリアは伯爵令嬢として生まれた。
貴族は生まれながらに魔力、そして属性の適性が多いとされている。
そんな中で、クーリアは無属性の適性しかなかった。
無属性しか扱えない者は『白』と呼ばれる。
その呼び名は貴族にとって屈辱でしかない。
だからクーリアは出来損ないと呼ばれた。
そして彼女はその通りの出来損ない……ではなかった。
これは彼女の本気を引き出したい彼女の周りの人達と、絶対に本気を出したくない彼女との攻防を描いた、そんな物語。
そしてクーリアは、自身に隠された秘密を知る……そんなお話。
設定揺らぎまくりで安定しないかもしれませんが、そういうものだと納得してくださいm(_ _)m
※←このマークがある話は大体一人称。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。

【完結】公爵家の末っ子娘は嘲笑う
たくみ
ファンタジー
圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。
アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。
ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?
それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。
自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。
このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。
それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。
※小説家になろうさんで投稿始めました

転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。