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淫魔編:ダンジョン巡り@ルアン
【178話】アンヴルダンジョン
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ギルドから宿へ戻って3時間後、手をプルプルさせながらアーサーが机に突っ伏していた。対してモニカは鼻歌を歌いながら完成したエリクサーと錠剤増血薬を数えている。
「2997,2998,2999,3000!うん!錠剤増血薬1000粒と、エリクサー3000本!今日のノルマ達成~!やった~!」
「手がぁ…手がぁ…」
「もう、自分のペースで良いって言ったのに。慌てて作るからぁ」
「だって…早くダンジョン行きたかったんだもん…」
「はぁ。そんなプルプル震えてる手で剣を持てるのかしら。まあいいわ、ダンジョンに行く準備しましょう!」
「うん!」
アーサーとモニカはノリノリで防具を身に纏…おうとしたが、成長した二人の体ではサイズが合わなかった。モニカは胸元のボタンが締まらず「んんん~!!」」と呻きながら無理矢理締めたが、「やった!入った入ったー!」と喜んでいる間にボタンがはじけ飛んだ。アーサーは防具からヘソが丸見えでまったく役割を果たしていない。二人はそんな相方を見て指をさして笑い合った。
「あははは!!ボタンがはじけとんだよモニカ!!すんごい勢いで!!ぴょーんって!!あははは!おっかしい!!」
「きゃははは!アーサーなにそれ!逆におしゃれだわ!!リアーナに見せたい!!」
「絶対笑われちゃうよねこれ!リアーナとカミーユ、笑いすぎて死んじゃうかも!」
「うん!現にわたしが死んじゃいそうだもの!あー、涙出ちゃった!」
アーサーもモニカも手足をバタバタさせながら思う存分笑い転げた。数分後、笑い疲れた二人はヒーヒー言いながらこれからどうするかを話し合う。
「どうする?新しい防具買いに行く?」
「えー。めんどくさいよお。はやくダンジョン行きたいよぉ」
「じゃあこのまま行っちゃう?ダンジョン終わってからゆっくり買いに行こうか」
「うん!」
「あれ?そうなると、僕こんなヘソ出しスタイルで町歩かなきゃいけないの?恥ずかしすぎるよ」
「私だってこんなボタンはじけ飛んだ格好で町歩くのいやよ。マントを羽織りましょう」
「それいい考えだね!」
いい考えなのかどうかは定かではないが、アーサーとモニカはマントを羽織り町を出た。ルアンから1時間ほど歩いたところに小さな洞窟を見つける。アンヴルダンジョンだ。
「わー、ベニートたちとした合同依頼思い出すなあ」
「ね!今日はベニートたちはいないんだから、チムシーに寄生されるのだけはやめてよね?」
「ほんとそれ。チムシーには充分気を付けよう」
足音を立てないようそっと洞窟の中へ入ると、足元に岩のスライム、カチッカがたくさん転がっていた。モニカが風魔法でカチッカを寄せ集め、アーサーがまとめてハンマーでたたき潰す。地味な作業にモニカもアーサーも脳みそがからっぽになった。モニカは風魔法を放ちながらうつらうつらと船を漕いでいる。
「あー…カチッカの相手はおばあさんとこの山に棲む魔物よりも厄介かもしれない…。退屈すぎて苦痛でしかないよぉ…」
「…はぇっ?なにか言った?」
「なんでもないよ。モニカすごいね。寝ながら風魔法出せるんだ」
「ね、寝てないもん!」
「寝てたよ」
「寝てないったら!」
「あはは」
入り口付近に大量発生していたカチッカを殲滅するのに1時間ほどかかった。ずっと中腰で座っていたアーサーは、腰をさすりながら立ち上がり大きく伸びをする。モニカは眠気覚ましにハーブを噛んでいた。奥へ進むと早速チムシーの群れに遭遇した。天井につり下がっていたチムシーが、双子を見つけて寄生しようと襲い掛かる。モニカは炎の魔法で一掃できたが、アーサーは斬っても斬っても襲い掛かってくるチムシーに手こずっていた。
「あーもう!きりがないなあ!」
「アーサー!私のそばに!」
「うん!」
アーサーが差し出された手を掴むと、モニカは兄を抱き寄せた。アーサーの背中にくっついているチムシーをはたき落とし、ニッと笑って押し寄せる群れに杖を向けた。
「久しぶりに全力で魔法打ちたかったのよね」
「ひぅっ…!」
目の前に広がる凄惨な光景にアーサーは恐怖の声をあげた。モニカが歌を歌うと、洞窟を飲み込まんばかりの巨大な炎が杖から飛び出した。炎は無慈悲にチムシーを焼き尽くし洞窟の奥へと消えていった。遠くから魔物の悲鳴が聞こえる。
「…こわぁ」
「私のアーサーに手を出そうとするからよ」
「頼もしいなあモニカは」
「杖も調子が良いみたい」
《うむ。シャナに癒してもらったおかげで力がみなぎっている》
「さすがシャナね」
モニカの炎魔法の威力は凄まじく、あの魔法だけで洞窟内の魔物はほとんど焼死していた。生き残っていた魔物にとどめを刺しながら先へ進んでいくと、あっという間に最奥まで辿り着いた。最奥までは炎は届かなかったのか、そこに棲みついていたオークの群れは生き残っていた。アーサーがそれらの首をさくさくと落とし、アンヴルダンジョン掃討は終わった。
ダンジョン掃討にかかった時間、わずか2時間。あっさり終わってしまった依頼に二人とも物足りなさそうだった。
「Gランクダンジョンは、Fランクダンジョンより狭かったね」
「うん。それに敵もほとんどいなかったわ。もっと魔法を使えると思ったのに」
「いや、モニカの炎魔法が全部焼き尽くしちゃったから少なかったように見えるだけだと思うけど…」
双子はルアンへ戻り、受付嬢に掃討完了を報告した。わずか半日で帰ってきた、しかも傷一つ負っていない冒険者なんていままで見たことがなかった受付嬢は、二人が嘘の報告をしたのだと考える。
「あなたたち、そんなウソついたって、ダンジョン管理人に確認したらすぐ分かるんですよ?」
「?」
「お姉さん。僕たちウソなんてついてないですよ。本当に掃討しました」
「…まあいいわ。では9割以上の魔物が殲滅しているかどうか確認出来たらインコを飛ばしますね。それまでしばらくお待ちください」
「はあい!」
「ふー!今日は働いたわねえ。アーサー!防具を買いに行きましょう!」
「そうだね!防具を買ったあとはご褒美にレストランでご飯食べるのはどう?」
「わぁぁ行きたい行きたい!!」
アーサーとモニカは、はしゃぎながらギルドを出て行った。夜のルアンを歩き、防具屋でサイズの合った防具を購入する。それをアイテムボックスにしまい、少し高級なレストランに入った。店内はぽかぽかと温かかった。何も考えずにマントを脱いだ二人はお互いの恥ずかしい恰好を見て慌ててマントを羽織りなおした。
「2997,2998,2999,3000!うん!錠剤増血薬1000粒と、エリクサー3000本!今日のノルマ達成~!やった~!」
「手がぁ…手がぁ…」
「もう、自分のペースで良いって言ったのに。慌てて作るからぁ」
「だって…早くダンジョン行きたかったんだもん…」
「はぁ。そんなプルプル震えてる手で剣を持てるのかしら。まあいいわ、ダンジョンに行く準備しましょう!」
「うん!」
アーサーとモニカはノリノリで防具を身に纏…おうとしたが、成長した二人の体ではサイズが合わなかった。モニカは胸元のボタンが締まらず「んんん~!!」」と呻きながら無理矢理締めたが、「やった!入った入ったー!」と喜んでいる間にボタンがはじけ飛んだ。アーサーは防具からヘソが丸見えでまったく役割を果たしていない。二人はそんな相方を見て指をさして笑い合った。
「あははは!!ボタンがはじけとんだよモニカ!!すんごい勢いで!!ぴょーんって!!あははは!おっかしい!!」
「きゃははは!アーサーなにそれ!逆におしゃれだわ!!リアーナに見せたい!!」
「絶対笑われちゃうよねこれ!リアーナとカミーユ、笑いすぎて死んじゃうかも!」
「うん!現にわたしが死んじゃいそうだもの!あー、涙出ちゃった!」
アーサーもモニカも手足をバタバタさせながら思う存分笑い転げた。数分後、笑い疲れた二人はヒーヒー言いながらこれからどうするかを話し合う。
「どうする?新しい防具買いに行く?」
「えー。めんどくさいよお。はやくダンジョン行きたいよぉ」
「じゃあこのまま行っちゃう?ダンジョン終わってからゆっくり買いに行こうか」
「うん!」
「あれ?そうなると、僕こんなヘソ出しスタイルで町歩かなきゃいけないの?恥ずかしすぎるよ」
「私だってこんなボタンはじけ飛んだ格好で町歩くのいやよ。マントを羽織りましょう」
「それいい考えだね!」
いい考えなのかどうかは定かではないが、アーサーとモニカはマントを羽織り町を出た。ルアンから1時間ほど歩いたところに小さな洞窟を見つける。アンヴルダンジョンだ。
「わー、ベニートたちとした合同依頼思い出すなあ」
「ね!今日はベニートたちはいないんだから、チムシーに寄生されるのだけはやめてよね?」
「ほんとそれ。チムシーには充分気を付けよう」
足音を立てないようそっと洞窟の中へ入ると、足元に岩のスライム、カチッカがたくさん転がっていた。モニカが風魔法でカチッカを寄せ集め、アーサーがまとめてハンマーでたたき潰す。地味な作業にモニカもアーサーも脳みそがからっぽになった。モニカは風魔法を放ちながらうつらうつらと船を漕いでいる。
「あー…カチッカの相手はおばあさんとこの山に棲む魔物よりも厄介かもしれない…。退屈すぎて苦痛でしかないよぉ…」
「…はぇっ?なにか言った?」
「なんでもないよ。モニカすごいね。寝ながら風魔法出せるんだ」
「ね、寝てないもん!」
「寝てたよ」
「寝てないったら!」
「あはは」
入り口付近に大量発生していたカチッカを殲滅するのに1時間ほどかかった。ずっと中腰で座っていたアーサーは、腰をさすりながら立ち上がり大きく伸びをする。モニカは眠気覚ましにハーブを噛んでいた。奥へ進むと早速チムシーの群れに遭遇した。天井につり下がっていたチムシーが、双子を見つけて寄生しようと襲い掛かる。モニカは炎の魔法で一掃できたが、アーサーは斬っても斬っても襲い掛かってくるチムシーに手こずっていた。
「あーもう!きりがないなあ!」
「アーサー!私のそばに!」
「うん!」
アーサーが差し出された手を掴むと、モニカは兄を抱き寄せた。アーサーの背中にくっついているチムシーをはたき落とし、ニッと笑って押し寄せる群れに杖を向けた。
「久しぶりに全力で魔法打ちたかったのよね」
「ひぅっ…!」
目の前に広がる凄惨な光景にアーサーは恐怖の声をあげた。モニカが歌を歌うと、洞窟を飲み込まんばかりの巨大な炎が杖から飛び出した。炎は無慈悲にチムシーを焼き尽くし洞窟の奥へと消えていった。遠くから魔物の悲鳴が聞こえる。
「…こわぁ」
「私のアーサーに手を出そうとするからよ」
「頼もしいなあモニカは」
「杖も調子が良いみたい」
《うむ。シャナに癒してもらったおかげで力がみなぎっている》
「さすがシャナね」
モニカの炎魔法の威力は凄まじく、あの魔法だけで洞窟内の魔物はほとんど焼死していた。生き残っていた魔物にとどめを刺しながら先へ進んでいくと、あっという間に最奥まで辿り着いた。最奥までは炎は届かなかったのか、そこに棲みついていたオークの群れは生き残っていた。アーサーがそれらの首をさくさくと落とし、アンヴルダンジョン掃討は終わった。
ダンジョン掃討にかかった時間、わずか2時間。あっさり終わってしまった依頼に二人とも物足りなさそうだった。
「Gランクダンジョンは、Fランクダンジョンより狭かったね」
「うん。それに敵もほとんどいなかったわ。もっと魔法を使えると思ったのに」
「いや、モニカの炎魔法が全部焼き尽くしちゃったから少なかったように見えるだけだと思うけど…」
双子はルアンへ戻り、受付嬢に掃討完了を報告した。わずか半日で帰ってきた、しかも傷一つ負っていない冒険者なんていままで見たことがなかった受付嬢は、二人が嘘の報告をしたのだと考える。
「あなたたち、そんなウソついたって、ダンジョン管理人に確認したらすぐ分かるんですよ?」
「?」
「お姉さん。僕たちウソなんてついてないですよ。本当に掃討しました」
「…まあいいわ。では9割以上の魔物が殲滅しているかどうか確認出来たらインコを飛ばしますね。それまでしばらくお待ちください」
「はあい!」
「ふー!今日は働いたわねえ。アーサー!防具を買いに行きましょう!」
「そうだね!防具を買ったあとはご褒美にレストランでご飯食べるのはどう?」
「わぁぁ行きたい行きたい!!」
アーサーとモニカは、はしゃぎながらギルドを出て行った。夜のルアンを歩き、防具屋でサイズの合った防具を購入する。それをアイテムボックスにしまい、少し高級なレストランに入った。店内はぽかぽかと温かかった。何も考えずにマントを脱いだ二人はお互いの恥ずかしい恰好を見て慌ててマントを羽織りなおした。
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