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淫魔編:1年ぶりの町巡り
【169話】子どもたちのおしごと(トロワ)
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翌日、アーサーとモニカは子どもたちを集めて仕事の依頼をした。稼ぐ方法がなかった子どもたちは喜んで調合を引き受けた。アーサーは丁寧に調合の仕方を教えた。一人が全ての調合レシピをこなすのは難しそうだったので、調合を分担して作ってもらうことにした。一日かけてじっくり教えた甲斐もあり、アーサーのものほど質が良いものではないが、エリクサーの品質を落とさないレベルの薬素材は作れそうだ。
一方モニカは魔法を使える子どもたちに回復液の作り方を教えた。回復魔法を使える子ども、時魔法を使う子ども、スライムを液状化する子どもに仕事を振り分け、少量の回復効果がある回復液を作ることができた。アーサーがその回復液に合う薬素材を調合し、まだ仕事を振り分けられていなかった子どもたちに教える。
「うん、これだと教会のポーションくらいの効果はあるんじゃないかな?」
「味は教会のものよりずっといいし、大銀貨1枚くらいで売ることができそうね。これもエリクサーと一緒に商人ギルドに降ろしましょう。手数料が確か売値の4割だから、小銀貨4枚。子どもたちの収入は1本につき小銀貨6枚ね」
「じゃあ僕たちがトロワに来るタイミングでまとめて小銀貨6枚で買い取ろう」
「これ一本で…小銀貨6枚…!」
子どもは自分たちで作ったポーションを眺めながら呟いた。このポーションを作るのに、全ての工程を合わせて12人がたずさわっている。つまり1人あたり銅貨5枚の収入だ。彼らにとっては信じられないほどの大金だった。
「あなたたちが頑張れば頑張るほど収入が増えるわ。それに、魔法も質がよくなってより良いポーションが作れるようようになる。良いポーションが作れるようになったら価格もあがるわ。だから、無理をしない範囲でたくさん作ってね」
「うん!」
「がんばるぅ!!」
子どもたちははりきってポーション作り、薬素材作りにいそしんだ。魔法を使える子どもたちが魔力を枯渇させないようしつこいほど注意をしてから、双子は施設の外へ出た。
そのあとアーサーとモニカはもうひとつの養護施設や居住施設に挨拶しに行った。みんな双子の訪問に大喜びだ。大人たちは彼女たちにいかに今が幸せかを語り、子どもたちは毎日おなかいっぱいであることを嬉しそうに聞かせた。笑顔で話すトロワの住民をみて、アーサーもモニカも目を合わせてほほ笑んだ。
挨拶が終わり、再び外を見たアーサーは貧困層を見回した。
「どうしたのアビー?」
「…養護施設にはまだ空きがあるし…まだ施設を建てる土地もたくさんあるね」
「?」
「モニカ、アヴルであったことを覚えてる?」
「…お母さんにひどいことをされていた男の子のことは覚えているわ」
「そう。そのお母さんが言ってたよね。アヴルの貧しい人たちも、子どもを養えなくて困っているって」
「ええ」
「そういった子たちを引き取って、トロワで住まわせてあげたらどうかなって」
「それはいい考えだわアビー!養えないお母さんたちは…こんなこと言いたくないけど、養えない子どもを引き取ってもらえて嬉しいだろうし。子どもたちにも整った環境で生活させられる。その上トロワの貧困層には人が少なすぎるわ。アヴルの子たちを引き取ってここで住んでもらえたら、将来はここを支えてくれる立派な大人になってくれる」
「そういうこと。人を増やして、施設を増やしたら、きっとお金のまわりも良くなるんじゃないかな。運のいいことにここはルアンからも近いしね。出稼ぎもできるし、手に職をつけたらルアンの商人ギルドで買取もしてくれる」
「…トロワにも商人ギルドはあるけど中心区だしね。貧困層の彼らが中心区に足を踏み入れたらきっとひどいことをされちゃう。それだったら隣町に行った方がましね」
「うん。じゃあ、トロワの人たちにそのことを相談してみよう」
早速アーサーとモニカは貧困層の大人たちに、アヴルの子どもたちを受け入れたいという相談を持ち掛けた。はじめは自分たちの食糧の取り分が少なくなるのではないかと渋っていた彼らも、充分な食糧を確保することを約束し、また将来の見通しも話して説得すると、安心したように首を縦に振った。
「そうと決まれば早速アヴルに行こう!」
「ねえアビー。せっかくだったらその前にルアンに寄らない?久しぶりにクロネたちに会いたいわ」
「いいね!クロネたちに会いに行こう!」
その日はトロワの施設で一泊し、翌日双子はルアンへ向かった。約一年半ぶりのルアンにアーサーとモニカはわくわくと胸を躍らせた。
一方モニカは魔法を使える子どもたちに回復液の作り方を教えた。回復魔法を使える子ども、時魔法を使う子ども、スライムを液状化する子どもに仕事を振り分け、少量の回復効果がある回復液を作ることができた。アーサーがその回復液に合う薬素材を調合し、まだ仕事を振り分けられていなかった子どもたちに教える。
「うん、これだと教会のポーションくらいの効果はあるんじゃないかな?」
「味は教会のものよりずっといいし、大銀貨1枚くらいで売ることができそうね。これもエリクサーと一緒に商人ギルドに降ろしましょう。手数料が確か売値の4割だから、小銀貨4枚。子どもたちの収入は1本につき小銀貨6枚ね」
「じゃあ僕たちがトロワに来るタイミングでまとめて小銀貨6枚で買い取ろう」
「これ一本で…小銀貨6枚…!」
子どもは自分たちで作ったポーションを眺めながら呟いた。このポーションを作るのに、全ての工程を合わせて12人がたずさわっている。つまり1人あたり銅貨5枚の収入だ。彼らにとっては信じられないほどの大金だった。
「あなたたちが頑張れば頑張るほど収入が増えるわ。それに、魔法も質がよくなってより良いポーションが作れるようようになる。良いポーションが作れるようになったら価格もあがるわ。だから、無理をしない範囲でたくさん作ってね」
「うん!」
「がんばるぅ!!」
子どもたちははりきってポーション作り、薬素材作りにいそしんだ。魔法を使える子どもたちが魔力を枯渇させないようしつこいほど注意をしてから、双子は施設の外へ出た。
そのあとアーサーとモニカはもうひとつの養護施設や居住施設に挨拶しに行った。みんな双子の訪問に大喜びだ。大人たちは彼女たちにいかに今が幸せかを語り、子どもたちは毎日おなかいっぱいであることを嬉しそうに聞かせた。笑顔で話すトロワの住民をみて、アーサーもモニカも目を合わせてほほ笑んだ。
挨拶が終わり、再び外を見たアーサーは貧困層を見回した。
「どうしたのアビー?」
「…養護施設にはまだ空きがあるし…まだ施設を建てる土地もたくさんあるね」
「?」
「モニカ、アヴルであったことを覚えてる?」
「…お母さんにひどいことをされていた男の子のことは覚えているわ」
「そう。そのお母さんが言ってたよね。アヴルの貧しい人たちも、子どもを養えなくて困っているって」
「ええ」
「そういった子たちを引き取って、トロワで住まわせてあげたらどうかなって」
「それはいい考えだわアビー!養えないお母さんたちは…こんなこと言いたくないけど、養えない子どもを引き取ってもらえて嬉しいだろうし。子どもたちにも整った環境で生活させられる。その上トロワの貧困層には人が少なすぎるわ。アヴルの子たちを引き取ってここで住んでもらえたら、将来はここを支えてくれる立派な大人になってくれる」
「そういうこと。人を増やして、施設を増やしたら、きっとお金のまわりも良くなるんじゃないかな。運のいいことにここはルアンからも近いしね。出稼ぎもできるし、手に職をつけたらルアンの商人ギルドで買取もしてくれる」
「…トロワにも商人ギルドはあるけど中心区だしね。貧困層の彼らが中心区に足を踏み入れたらきっとひどいことをされちゃう。それだったら隣町に行った方がましね」
「うん。じゃあ、トロワの人たちにそのことを相談してみよう」
早速アーサーとモニカは貧困層の大人たちに、アヴルの子どもたちを受け入れたいという相談を持ち掛けた。はじめは自分たちの食糧の取り分が少なくなるのではないかと渋っていた彼らも、充分な食糧を確保することを約束し、また将来の見通しも話して説得すると、安心したように首を縦に振った。
「そうと決まれば早速アヴルに行こう!」
「ねえアビー。せっかくだったらその前にルアンに寄らない?久しぶりにクロネたちに会いたいわ」
「いいね!クロネたちに会いに行こう!」
その日はトロワの施設で一泊し、翌日双子はルアンへ向かった。約一年半ぶりのルアンにアーサーとモニカはわくわくと胸を躍らせた。
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