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魔女編:Fクラスクエスト旅
【71話】S級冒険者vs魔女1
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翌朝、宿でゆっくりとくつろいでからカミーユたちはスィフィシュ町を発った。ウィツ山へ向かっている間も他愛のない会話で盛り上がっている。あの魔女相手にこんな呑気でいいんだろうか、と双子は少し不安になった。
しかしウィツ山の麓に立った瞬間、カミーユたちの雰囲気が一変する。ギラギラとした目つきで山の頂上を見上げた。
「お前ら、魔物はくれぐれも殺すなよ。魔女に養分与えたくねえからな」
「当り前なこと言うんじゃねーよ」
「ジル、今回は私たちを守る必要はないわ。その代わり、アーサーとモニカを頼んだわよォ」
「任せて。この子たちに指一本触れさせない」
馬に乗りながら、カミーユは剣、リアーナは杖、カトリナは弓、ジルは槍を構えた。ジルが先陣を切って山へ駆けのぼる。リアーナはエーテルを飲み干してから彼のあとを追った。カミーユとカトリナは双子を守りながらゆっくりと進んだ。
アーサーとモニカが進む道には、すでに何十体もの魔物が倒れていた。ジルとリアーナによって殺さない程度に傷付けられた魔物は動けずに唸るだけだった。たまに襲い掛かってくる魔物もカミーユとカトリナによって軽々と倒される。頂上へ近づくまでおそらく1000体以上の魔物を倒しているはずなのに、Sクラス冒険者は息もきらさず平然としていた。
「…すごい」
思わずモニカが声を漏らした。自分たちはもちろん、ベニートたちと比べても段違いの強さ。これが世界で5本の指に入るパーティの実力なのだ。
「さて、そろそろだな」
遠目で小屋を確認し、6人は馬を降りた。アーサーとモニカはジルの後ろを歩く。数メートル先を歩いているリアーナが「うぇぇ」と呻いて顔をしかめた。
「いやな気配がぷんぷんするぜ。間違いない、かなり強い魔女だ」
「アーサー、モニカ。絶対僕から離れないで」
「うん…」
「大丈夫よォ。ジルはひょろっこいけど、本当に強いから。安心して」
「お前ら、魔女の呪いに気を付けろよ。あいつに触れられないよう気を付けろ」
「あいよ」
しばらく歩いて小屋に辿り着いた。カミーユは声を出さず口だけを動かす。パーティは小さく頷き作戦に同意した。
カミーユが小屋の前にそろりと立ち、窓から中を覗いた。部屋の中で魔女が鍋をかき混ぜている。しかし。
「おやぁ?またまた来客かい?最近よく来るねえ」
「!!」
いつの間にかカミーユの後ろに魔女が立っていた。あまりの禍々しいオーラに思わず剣を振ってしまう。魔女は軽々と剣を避け余裕の笑みを浮かべている。
(この魔女…まじでつええ…!アーサーとモニカはこんなやつと戦ったのか…!)
「ほぉ。聖魔法武器かい。あたしの殺し方、ちゃあんと分かってるねぇ。…おや、この匂い…」
魔女がぐるりと首を回転させる。視線の先には、ジルの後ろに隠れているモニカとアーサーがいた。
「ひっ」
「おやおやまあまあ!!あたしのかわいいかわいい双子ちゃんじゃないかあ!生きていたんだねえ。嬉しいよぉ」
魔女は双子に再会できて嬉しそうに両手を広げた。呼び起されるトラウマにアーサーは妹の腕にしがみつき、モニカはジルに抱きついた。
「そんなに怖がらなくなっていいじゃないかぁ。んん?そう言えばあんたたち、見覚えがあるねえ。…ああ、坊やの目の記憶で見たんだ。坊やの親代わりの子たちだねぇ」
そう言い、魔女が一瞬にしてカトリナの前に移動した。片手で彼女の頬を掴み目を覗き見る。もう片方の手を胸に置いた。
「!」
「ヒヒヒッ!あんたたちもこの子たちのこと、自分の子どものように可愛がってるんだね!へぇ!親子ごっこかい!かわいらしいことしてるじゃないかぁ」
「カトリナ!」
カミーユが魔女を蹴り飛ばした。魔女は吹き飛び木に叩きつけられる。口から血を垂らしながら、上機嫌で笑った。S級冒険者たちは武器を構えた。
「ごめん、油断したわァ」
「呪いは?」
「…大丈夫よ」
「我慢しなくていいんだよぉ?息がしにくいんだろう?あんたの肺をひとつもらったからねぇ!あんたの肺活量…すざましいねぇ…」
魔女はそう言って手に持っている光を口に入れた。
「うまい…うまいわぁ。鍛錬された一流の体。魔力の次に好きなものさァ」
「カトリナ、下がってろ」
「いえ、いけるわ」
「ウヒヒヒ。気丈だねぇ。もっと悲しんでおくれよ。面白くないじゃないか」
「肺を呪われるのはいつものことよ。魔女たちに大人気なのよねェ。困っちゃうわ」
はぁ、とため息をつきながらカトリナが答えた。
「カトリナ…苦しくないのかな…平気そうに見えるけど」
モニカが心配そうに呟くと、ジルが「苦しいに決まってる」と小さな声で答えた。
「立っているだけでも息苦しいはずだ。本来戦いに参加させたくないけど…カトリナはやる気だな」
しかしウィツ山の麓に立った瞬間、カミーユたちの雰囲気が一変する。ギラギラとした目つきで山の頂上を見上げた。
「お前ら、魔物はくれぐれも殺すなよ。魔女に養分与えたくねえからな」
「当り前なこと言うんじゃねーよ」
「ジル、今回は私たちを守る必要はないわ。その代わり、アーサーとモニカを頼んだわよォ」
「任せて。この子たちに指一本触れさせない」
馬に乗りながら、カミーユは剣、リアーナは杖、カトリナは弓、ジルは槍を構えた。ジルが先陣を切って山へ駆けのぼる。リアーナはエーテルを飲み干してから彼のあとを追った。カミーユとカトリナは双子を守りながらゆっくりと進んだ。
アーサーとモニカが進む道には、すでに何十体もの魔物が倒れていた。ジルとリアーナによって殺さない程度に傷付けられた魔物は動けずに唸るだけだった。たまに襲い掛かってくる魔物もカミーユとカトリナによって軽々と倒される。頂上へ近づくまでおそらく1000体以上の魔物を倒しているはずなのに、Sクラス冒険者は息もきらさず平然としていた。
「…すごい」
思わずモニカが声を漏らした。自分たちはもちろん、ベニートたちと比べても段違いの強さ。これが世界で5本の指に入るパーティの実力なのだ。
「さて、そろそろだな」
遠目で小屋を確認し、6人は馬を降りた。アーサーとモニカはジルの後ろを歩く。数メートル先を歩いているリアーナが「うぇぇ」と呻いて顔をしかめた。
「いやな気配がぷんぷんするぜ。間違いない、かなり強い魔女だ」
「アーサー、モニカ。絶対僕から離れないで」
「うん…」
「大丈夫よォ。ジルはひょろっこいけど、本当に強いから。安心して」
「お前ら、魔女の呪いに気を付けろよ。あいつに触れられないよう気を付けろ」
「あいよ」
しばらく歩いて小屋に辿り着いた。カミーユは声を出さず口だけを動かす。パーティは小さく頷き作戦に同意した。
カミーユが小屋の前にそろりと立ち、窓から中を覗いた。部屋の中で魔女が鍋をかき混ぜている。しかし。
「おやぁ?またまた来客かい?最近よく来るねえ」
「!!」
いつの間にかカミーユの後ろに魔女が立っていた。あまりの禍々しいオーラに思わず剣を振ってしまう。魔女は軽々と剣を避け余裕の笑みを浮かべている。
(この魔女…まじでつええ…!アーサーとモニカはこんなやつと戦ったのか…!)
「ほぉ。聖魔法武器かい。あたしの殺し方、ちゃあんと分かってるねぇ。…おや、この匂い…」
魔女がぐるりと首を回転させる。視線の先には、ジルの後ろに隠れているモニカとアーサーがいた。
「ひっ」
「おやおやまあまあ!!あたしのかわいいかわいい双子ちゃんじゃないかあ!生きていたんだねえ。嬉しいよぉ」
魔女は双子に再会できて嬉しそうに両手を広げた。呼び起されるトラウマにアーサーは妹の腕にしがみつき、モニカはジルに抱きついた。
「そんなに怖がらなくなっていいじゃないかぁ。んん?そう言えばあんたたち、見覚えがあるねえ。…ああ、坊やの目の記憶で見たんだ。坊やの親代わりの子たちだねぇ」
そう言い、魔女が一瞬にしてカトリナの前に移動した。片手で彼女の頬を掴み目を覗き見る。もう片方の手を胸に置いた。
「!」
「ヒヒヒッ!あんたたちもこの子たちのこと、自分の子どものように可愛がってるんだね!へぇ!親子ごっこかい!かわいらしいことしてるじゃないかぁ」
「カトリナ!」
カミーユが魔女を蹴り飛ばした。魔女は吹き飛び木に叩きつけられる。口から血を垂らしながら、上機嫌で笑った。S級冒険者たちは武器を構えた。
「ごめん、油断したわァ」
「呪いは?」
「…大丈夫よ」
「我慢しなくていいんだよぉ?息がしにくいんだろう?あんたの肺をひとつもらったからねぇ!あんたの肺活量…すざましいねぇ…」
魔女はそう言って手に持っている光を口に入れた。
「うまい…うまいわぁ。鍛錬された一流の体。魔力の次に好きなものさァ」
「カトリナ、下がってろ」
「いえ、いけるわ」
「ウヒヒヒ。気丈だねぇ。もっと悲しんでおくれよ。面白くないじゃないか」
「肺を呪われるのはいつものことよ。魔女たちに大人気なのよねェ。困っちゃうわ」
はぁ、とため息をつきながらカトリナが答えた。
「カトリナ…苦しくないのかな…平気そうに見えるけど」
モニカが心配そうに呟くと、ジルが「苦しいに決まってる」と小さな声で答えた。
「立っているだけでも息苦しいはずだ。本来戦いに参加させたくないけど…カトリナはやる気だな」
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