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第二章 刀工と騎士とお食事と
刀工、金を借りる・2
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「うっしゃ、もっと呑むぞッ! 祝いだ、この野郎ッ!」
と、給女を呼び戻すハサンに頷きつつ、ギレイは思う。
(金では買えない絆……か)
ハサンが言ったことを、内心で噛み締める。親友が喜んでくれることが、妙に嬉しかった。
(僕も何かを返せたらいいんだけど……)
思っていると、ハサンが言った。
「で? 客は?」
「剣士……女の人の」
「……ん? 位は?」
ギレイは少し苦労して、ミシュアの言った位を思い出した。
「えっと……フィフススターって言ってたかな?」
「フィフスで……女騎士ィ? そんなの……」
目を見開いていくハサン。
「おい、まさか――ミシュア=ヴァレルノとか言わないよな?」
「え、そうだよ」
「え、そうだよ、じゃねぇーよッ! 先に言え、馬鹿ッ! もっと金もってくりゃ良かったッ! あぁ、クソッ! お前さん、世情に疎いにもほどがあンぜッ!」
テーブルをジョッキでガンガン叩いたハサンは、ガンガンジョッキを呑む。飲み干し、ギレイのジョッキにまで手をつけ始めた。
「どうした、ハサン……何かの発作? 医者に……」
「クソ高い魔法医ントコに、お前さんを連れて行きたいよ、俺はッ!」
「え?」
「え? じゃねぇー……いや、待て待て。お前さんが、騙されてるって方がありえるか」
「ん? なんか、僕にひどくない……? それ」
「いや、ありえる。お前さんは騙されている!」
「え……聞いてよ? 金に換えられない親友の言葉のはずだろ?」
「お前さんこそ、聞け」
ちょっと怒っているかのように、ハサンが続けた。
「いいか? ミシュア=ヴァレルノは今や、勝てる投資の筆頭だ。フィフススターの商人連中まで、彼女にゃ甘い。ガンガン金が集まってンだよ……白蘭騎士団にはな」
「……ん、と?」
「聞いてくれ」
「……はい」
「つまりな、言っちゃ悪いが、お前さんのトコに頼まんでもミシュア=ヴァレルノは、武具師の方から売り込こんで来るのさ。彼女は王族にまで注目されてるからな……エグいんだよ、宣伝効果が、そうさ――彼女の経済効果たるや、お前さん……計算できるか?」
「……計算どころか、ハサンの話が半分くらいしか分からない」
「安心しろ、俺にも計算はできない」
噛み合わない会話に、ギレイは眉をひそめる。それを察してくれたかのように、落ち着きを取り戻したかのように、ハサンは語気を沈めてゆっくりと話始めた。
「……よし、俺が何を言いたいかっていうとだな」
「ん……ありがたい。僕にも分かりやすく話してくれ」
「おう。で、だ。ミシュア=ヴァレルノの偽者が、お前さんを詐欺ってタダ働きさせちまおう、ってトコじゃねぇーの? って言いたいんだ、俺は」
「……そんな人には見えなかったけどな」
「そりゃ、偽者だからな、ニセニセすンのに必死さ」
「んーそっかなぁー?」
「そーなの。武具がらみで悪さするヤカラが増えてんの。武具の価格が高騰してっからな」
息をついたハサンは少し前のめりになって、ギレイに小声で言う。
「ってえーのもな、大きい声では言えんが……近々、魔族領への大戦が起きる」
「らしいね」
「……らしいね?」
「ミシュアさんも言ってたよ」
「おい……何ヶ月後って言ってた?」
「四ヶ月後、春になったらって」
ギレイの答えに、またも考え込み始めたハサンはしばらくして、唸るように言った。
「お前さんの依頼主の女剣士……お前さんの勘で良い、剣士として強いか?」
「ああ、強い。才も破格だし、良く鍛えてあった……久しぶりに見たよ、あれほどの剣士」
「またも勘で良い、お前さんがその剣士と戦ったなら?」
「僕? 僕なら~そうだなぁ~逃げることもできずに斬られちゃうんじゃないかな?」
目を閉じたハサンは、ゆっくりと言った。
「依頼主――剣、持ってたか?」
「折れたトゥハンドソード」
「何処のギルドの仕事か分かるか?」
「ルーキュルクのギルドだね、本物の刻印があったよ」
ゆっくりと目を開いて、ハサンは小声で言う。
「これまた大きな声では言えんが、ミシュア=ヴァレルノの騎士団は魔族領への偵察を行った。その際に、所持していたルーキュルト製の剣が折れた……って情報があったな」
「うん……そうだと思う、あの剣の……刃こぼれ、かすかに残る魔族の血の痕跡……嫌な話だけど、鐔と柄に多量の人の血の痕跡もあった。負け戦だったと思うよ」
「……本物かもな。俺は、お前さんにもっと金を都合することにした」
「いや、充分だって」
「いや、都合させて。俺がお願いしてんの。まだ言いたいことがある。必要な物があったら、俺に言ってくれ。どんなギルドでも俺は顔が利く。取りはからう」
「急に……どうした?」
「上手くやろうぜ、親友」
「……怖いよ、その笑顔」
「なに、悪いようにはしないさ」
ご機嫌なハサンを見ながら、ギレイは言っておくことにした。
「ハサンに肉切り包丁を鍛えた時にも言ったけど」
「続きを言うな」
「嫌だよ、僕は大量生産、できないんだ」
「…………俺の野望を、壊すなよ~ギレイ工房の店舗増産計画をよ~」
うつむきかけたハサンが、がばっと顔を上げた。
「あッ! 素直に王族に売り込もうぜ、お前さんの、」
「戦わない人の剣は作らないよ……美術品は僕より上手い人がいっぱい居るんだから」
落ち込んでいくハサンを見ながら、ギレイは頭の片隅で思う。
(ミシュアさん……有名人だったんだ)
思い出す姿や声音、所作。並びに、剣の腕……妙に腑に落ちる。
(ハサンには悪いけど……彼女は本物だ)
思って、少し、不安になる。最初の実感。自分のところに来る人間ではない。
(次……来てくれるかな……)
言いようもない不安がこみ上げてきた。と、でも、そんなことを思うのが嫌になる。彼女を疑うようなことはしたくない、と不安を頭から追い出した。
(ミシュアさんは、約束は守る……絶対、来てくれる)
胸中で繰り返し呟いて思い出したのは、自分の剣を手渡した彼女の顔――その微笑に、ギレイは少し、安心できた。
と、給女を呼び戻すハサンに頷きつつ、ギレイは思う。
(金では買えない絆……か)
ハサンが言ったことを、内心で噛み締める。親友が喜んでくれることが、妙に嬉しかった。
(僕も何かを返せたらいいんだけど……)
思っていると、ハサンが言った。
「で? 客は?」
「剣士……女の人の」
「……ん? 位は?」
ギレイは少し苦労して、ミシュアの言った位を思い出した。
「えっと……フィフススターって言ってたかな?」
「フィフスで……女騎士ィ? そんなの……」
目を見開いていくハサン。
「おい、まさか――ミシュア=ヴァレルノとか言わないよな?」
「え、そうだよ」
「え、そうだよ、じゃねぇーよッ! 先に言え、馬鹿ッ! もっと金もってくりゃ良かったッ! あぁ、クソッ! お前さん、世情に疎いにもほどがあンぜッ!」
テーブルをジョッキでガンガン叩いたハサンは、ガンガンジョッキを呑む。飲み干し、ギレイのジョッキにまで手をつけ始めた。
「どうした、ハサン……何かの発作? 医者に……」
「クソ高い魔法医ントコに、お前さんを連れて行きたいよ、俺はッ!」
「え?」
「え? じゃねぇー……いや、待て待て。お前さんが、騙されてるって方がありえるか」
「ん? なんか、僕にひどくない……? それ」
「いや、ありえる。お前さんは騙されている!」
「え……聞いてよ? 金に換えられない親友の言葉のはずだろ?」
「お前さんこそ、聞け」
ちょっと怒っているかのように、ハサンが続けた。
「いいか? ミシュア=ヴァレルノは今や、勝てる投資の筆頭だ。フィフススターの商人連中まで、彼女にゃ甘い。ガンガン金が集まってンだよ……白蘭騎士団にはな」
「……ん、と?」
「聞いてくれ」
「……はい」
「つまりな、言っちゃ悪いが、お前さんのトコに頼まんでもミシュア=ヴァレルノは、武具師の方から売り込こんで来るのさ。彼女は王族にまで注目されてるからな……エグいんだよ、宣伝効果が、そうさ――彼女の経済効果たるや、お前さん……計算できるか?」
「……計算どころか、ハサンの話が半分くらいしか分からない」
「安心しろ、俺にも計算はできない」
噛み合わない会話に、ギレイは眉をひそめる。それを察してくれたかのように、落ち着きを取り戻したかのように、ハサンは語気を沈めてゆっくりと話始めた。
「……よし、俺が何を言いたいかっていうとだな」
「ん……ありがたい。僕にも分かりやすく話してくれ」
「おう。で、だ。ミシュア=ヴァレルノの偽者が、お前さんを詐欺ってタダ働きさせちまおう、ってトコじゃねぇーの? って言いたいんだ、俺は」
「……そんな人には見えなかったけどな」
「そりゃ、偽者だからな、ニセニセすンのに必死さ」
「んーそっかなぁー?」
「そーなの。武具がらみで悪さするヤカラが増えてんの。武具の価格が高騰してっからな」
息をついたハサンは少し前のめりになって、ギレイに小声で言う。
「ってえーのもな、大きい声では言えんが……近々、魔族領への大戦が起きる」
「らしいね」
「……らしいね?」
「ミシュアさんも言ってたよ」
「おい……何ヶ月後って言ってた?」
「四ヶ月後、春になったらって」
ギレイの答えに、またも考え込み始めたハサンはしばらくして、唸るように言った。
「お前さんの依頼主の女剣士……お前さんの勘で良い、剣士として強いか?」
「ああ、強い。才も破格だし、良く鍛えてあった……久しぶりに見たよ、あれほどの剣士」
「またも勘で良い、お前さんがその剣士と戦ったなら?」
「僕? 僕なら~そうだなぁ~逃げることもできずに斬られちゃうんじゃないかな?」
目を閉じたハサンは、ゆっくりと言った。
「依頼主――剣、持ってたか?」
「折れたトゥハンドソード」
「何処のギルドの仕事か分かるか?」
「ルーキュルクのギルドだね、本物の刻印があったよ」
ゆっくりと目を開いて、ハサンは小声で言う。
「これまた大きな声では言えんが、ミシュア=ヴァレルノの騎士団は魔族領への偵察を行った。その際に、所持していたルーキュルト製の剣が折れた……って情報があったな」
「うん……そうだと思う、あの剣の……刃こぼれ、かすかに残る魔族の血の痕跡……嫌な話だけど、鐔と柄に多量の人の血の痕跡もあった。負け戦だったと思うよ」
「……本物かもな。俺は、お前さんにもっと金を都合することにした」
「いや、充分だって」
「いや、都合させて。俺がお願いしてんの。まだ言いたいことがある。必要な物があったら、俺に言ってくれ。どんなギルドでも俺は顔が利く。取りはからう」
「急に……どうした?」
「上手くやろうぜ、親友」
「……怖いよ、その笑顔」
「なに、悪いようにはしないさ」
ご機嫌なハサンを見ながら、ギレイは言っておくことにした。
「ハサンに肉切り包丁を鍛えた時にも言ったけど」
「続きを言うな」
「嫌だよ、僕は大量生産、できないんだ」
「…………俺の野望を、壊すなよ~ギレイ工房の店舗増産計画をよ~」
うつむきかけたハサンが、がばっと顔を上げた。
「あッ! 素直に王族に売り込もうぜ、お前さんの、」
「戦わない人の剣は作らないよ……美術品は僕より上手い人がいっぱい居るんだから」
落ち込んでいくハサンを見ながら、ギレイは頭の片隅で思う。
(ミシュアさん……有名人だったんだ)
思い出す姿や声音、所作。並びに、剣の腕……妙に腑に落ちる。
(ハサンには悪いけど……彼女は本物だ)
思って、少し、不安になる。最初の実感。自分のところに来る人間ではない。
(次……来てくれるかな……)
言いようもない不安がこみ上げてきた。と、でも、そんなことを思うのが嫌になる。彼女を疑うようなことはしたくない、と不安を頭から追い出した。
(ミシュアさんは、約束は守る……絶対、来てくれる)
胸中で繰り返し呟いて思い出したのは、自分の剣を手渡した彼女の顔――その微笑に、ギレイは少し、安心できた。
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