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バート
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「理由を言え」
「り、ゆうは……言ったら、引かれると思うんで、言いたくないというか……聞きたくもないだろうというか……」
「四の五のうるせえな」
どんどん小さくなる声量を慮って耳を傾けてやるほど、俺はできる男ではない。
胸ぐらを掴んだまま身体を揺らすと、「言う、言いますからっ」とフィルは観念したようにマスクを取って目を拭う。そして俺を2秒ほど見つめてから息を吸った。
「……オレに、キスしなくなったのは……飽きた、からですか」
「…………はぁ?」
ようやっと告げられた言葉に、肺から空気が全て抜けるような、脱力した声が出た。
フィルは涙目になっていた。
「バートさん、全然オレにキスしなくなったじゃないですかっ……それで、なんでかと思って……普通に飽きられたのかなって……前はバートさんとふたりだとキスしてもらえるかもって……思ってて、でも」
感情のままにまとまってない言葉をフィルがこぼしていく。俺の行動がこんな不憫な想いを生み出していると思うと、黙って聞いているしかなかった。
「つ、付き合ってもないくせにキスされなくなったのを、悩んでる自分がキモくてダサくて……そういう気持ちに、ならないために、バートさんに会わないようにして……ました」
「……あー、そう」
問い詰めて吐かせた吐露を受け止める言葉が「あー、そう」しか出てこない自分に苛立った。俺みたいな男に惚れてしまって何の役にも立たない女々しい悩みを抱えて泣きそうになっている下っ端にも苛立った。
なぜそんなことで悩むのかわからなくて、どうしてそれで自分が苛立っているのかもわからなくて腹が立つ。
「そんなにしてほしいならしてやるよ」
気づけば俺は部屋のドアを蹴り開けて、引き摺るようにフィルを押し入れていた。
◆◇
「っ、んん……!は、ァ……ッう」
フィルの顔を鷲掴みにして舌で口内をかき回し、必死に動くフィルの舌に噛みつく。
痛がる声を漏らすフィルに構わず、無理矢理犯すようになぶっていじめてしたいようにした。
久しぶりのキスは、今までで1番暴力に近いキスだった。
「……、ハァッ……!ん、ん……!バートさっ……!」
フィルはやはり俺のシャツを掴んでいる。
しかしそれだけではなく、俺の太ももに当たっているフィルの腰が擦るように緩く動いているのが見えた。突っ込んでいた舌を引き抜いた俺は息をあげるフィルを労ることもなく、その股ぐらを覆うように掴む。
「あっ!待ッ」
横暴なキスには一切抵抗しなかったフィルが、手を押し返そうと暴れた。
俺は片手でフィルの両腕をまとめて引き剥がして自由を奪い、そのまま股ぐらをまさぐった。すぐに硬いものが手のひらに当たってフィルの身体が震える。暴力的なキスにフィルが感じているという現象は、フィルを詰めてやるという当初の目的を俺の頭の隅に追いやった。
「お前なに?こんなことで勃ててんの」
「り、ゆうは……言ったら、引かれると思うんで、言いたくないというか……聞きたくもないだろうというか……」
「四の五のうるせえな」
どんどん小さくなる声量を慮って耳を傾けてやるほど、俺はできる男ではない。
胸ぐらを掴んだまま身体を揺らすと、「言う、言いますからっ」とフィルは観念したようにマスクを取って目を拭う。そして俺を2秒ほど見つめてから息を吸った。
「……オレに、キスしなくなったのは……飽きた、からですか」
「…………はぁ?」
ようやっと告げられた言葉に、肺から空気が全て抜けるような、脱力した声が出た。
フィルは涙目になっていた。
「バートさん、全然オレにキスしなくなったじゃないですかっ……それで、なんでかと思って……普通に飽きられたのかなって……前はバートさんとふたりだとキスしてもらえるかもって……思ってて、でも」
感情のままにまとまってない言葉をフィルがこぼしていく。俺の行動がこんな不憫な想いを生み出していると思うと、黙って聞いているしかなかった。
「つ、付き合ってもないくせにキスされなくなったのを、悩んでる自分がキモくてダサくて……そういう気持ちに、ならないために、バートさんに会わないようにして……ました」
「……あー、そう」
問い詰めて吐かせた吐露を受け止める言葉が「あー、そう」しか出てこない自分に苛立った。俺みたいな男に惚れてしまって何の役にも立たない女々しい悩みを抱えて泣きそうになっている下っ端にも苛立った。
なぜそんなことで悩むのかわからなくて、どうしてそれで自分が苛立っているのかもわからなくて腹が立つ。
「そんなにしてほしいならしてやるよ」
気づけば俺は部屋のドアを蹴り開けて、引き摺るようにフィルを押し入れていた。
◆◇
「っ、んん……!は、ァ……ッう」
フィルの顔を鷲掴みにして舌で口内をかき回し、必死に動くフィルの舌に噛みつく。
痛がる声を漏らすフィルに構わず、無理矢理犯すようになぶっていじめてしたいようにした。
久しぶりのキスは、今までで1番暴力に近いキスだった。
「……、ハァッ……!ん、ん……!バートさっ……!」
フィルはやはり俺のシャツを掴んでいる。
しかしそれだけではなく、俺の太ももに当たっているフィルの腰が擦るように緩く動いているのが見えた。突っ込んでいた舌を引き抜いた俺は息をあげるフィルを労ることもなく、その股ぐらを覆うように掴む。
「あっ!待ッ」
横暴なキスには一切抵抗しなかったフィルが、手を押し返そうと暴れた。
俺は片手でフィルの両腕をまとめて引き剥がして自由を奪い、そのまま股ぐらをまさぐった。すぐに硬いものが手のひらに当たってフィルの身体が震える。暴力的なキスにフィルが感じているという現象は、フィルを詰めてやるという当初の目的を俺の頭の隅に追いやった。
「お前なに?こんなことで勃ててんの」
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