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第八話 あの聞こえる声

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 青梅駅前すると目の前に、あの時のベンチと似たイスがあった。

 ここでマミと2人で座ってすごした。
 あの時の思い出が蘇る。

「疲れた……」

 『アース』の全てを探索しつくし
 この現実世界とうり二つの世界で、わずかな可能性にかけてここまで来た。

 ゆっくりとあの日と同じようにイスに腰掛けた。
 現実世界? での久しぶりの運動のためか激しい戦闘のためか異常な疲れと眠気が襲ってきた。

「ソウ君。2年ぶりだね」
「また一緒に色々お話したいな」

 マミの声が聞こえたような気がした。

 何が襲ってくるかわからない。
 ここでねむったり意識を失ったりすることは出来ない。
 ほんの数秒だけ目を閉じて休もう。

 重いまぶたを閉じると頭の中にあったどんよりとした眠気が引いていって気持ちがいい。

(このまま……)
(もう……)
(どうなってもいい……)

 眠ろう。


---


「ソウ君!」
「ソウ君!」

 目を開くと今にも泣きそうな表情があった。

「マミ……」

 目の前には、いくつかの建物と高く上がった太陽と空が広がっている。
 ベンチから見える景色はかわらないが車や歩いている人が居る……。

 ベンチの隣には車椅子が置いてある。
 僕はこの車椅子でここに運ばれたんだろうか?

 温かさを感じる左手を見ると僕が探し続けたマミが涙を流しながら笑顔を向けていた。

「マミ、待っててくれたんだ」
「うん、あの時みたいに必ずソウ君来てくれると思ってたから」
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