21 / 24
21.バカ丸出し・・・むしろ憎めん
しおりを挟む
「全く・・・グウィン様も素直になれば宜しいのに。」
「それはこっちのセリフだなぁ?」
結局二人は一緒にいる。
親友であるアリアはこっそり覗いていたが、叫びたくなった。
(二人揃ってダダ甘じゃないの)
以前グウィンを否定しやめとけ、とミアに詰め寄ったアリアだったが、今のグウィンを見ていると本当に噂の本人なのかすら疑わしくなる。
ぶっちゃけ侯爵は初心すぎるのだ。
「今の侯爵がアレなら暴れ馬のミアを安心して預けれるかしら・・・?ああでも一時といえどあんな〇〇〇〇みたいな噂があった男よ・・・ミアには相応しくないのでは・・・いやでももにょもにゃ」
アリア・リッセンは美しい令嬢だ。
けれど今日はこんな調子で壁の隅に張り付いている。
そしてブツブツと呟いて、親の仇を睨みつけるようにあの二人を見つめているから誰も恐怖で寄り付かない。
丁度いいからとアリアは二人の様子をこっそりガン見する事にした。
「あら・・・?」
会場が突然騒めく。一体なんだろうとアリアが振り返ると最近噂のエレンという少女が露出の多いドレスを着てやってきた。
しかも四人もの男にエスコートをされて。
「うっっ・・・わぁ・・・引くわ」
「そうだね。あれじゃまるで娼婦と言われても仕方がないわ・・・」
ドン引きした顔で思わず呟いたら、いつの間にかそばにいたミアに同意された。
「みっ、ミア、いつの間にここに!?」
「いつの間にというか・・・アリアが私をジロジロ見てたから気になって声を掛けに来たの。どうしたの?」
「・・・いや、なんでもないけど・・・今日のミアは一段と綺麗ね!私とダンスを踊ってくれない?」
こっそり見てたつもりでグウィンに呪詛を送っていたとはさすがに言えなかった。
その代わりにダンスを申し込むアリア。(女)
「おいっ!人の婚約者(予定)の女を口説くな!」
「あら?侯爵様もいたのですか・・・雑草だと勘違いしていましたわオホホ。」
何気に失礼なことを侯爵に言うアリアの心臓は、ミアによって鍛えられたせいで鉄なのだろう。
「そもそも私は婚約した覚えはないですが?」
見逃せない一言に鋭くツッコミを入れるミアだった。といってもよく見れば頬をほんのり染めているのが分かるけれど。
「ミアっ!?ミア!?アイツに洗脳されたのね!?今私が助けてあげるから結婚しよう!?」
あのグウィンに白けた目を送られていることに気が付かず、ミアを揺さぶるアリア。(ビクともしていないが)
そんな空気を壊すように、エレンが突進をしてきた。
「きゃぁあぁああぁ~!」
「なんで!?」
サッと避けるミアとアリアだったが、気がついていなかったグウィンは少しだけ遅れてしまう。
会場に大きな音が響いた。
「いったぁい~・・・グウィンさまぁ、酷いです・・・!」
エレンにワインがびしょびしょにかかっていた。
露出のある格好をしているせいで、濡れて反射する肌と服が色っぽく見える。
そんなエレンを見た馬鹿四人組(攻略対象)たちは同時にこっそりと生唾を飲み込んだ。ごくりん。
「グウィンさま!もういい加減にして下さぃぃ!私にこれ以上何を求めるんです?」
「えっ、えっ?」
「わたくし、あなたに体を捧げれても、心を差し上げることはできませんわ!」
衆人環視の中でのまさかの発言に、全員がふらりとよろけた。
ちなみに馬鹿四人組は盲目的なのかそーだそーだと野次を飛ばしている。
「その・・・エレン嬢?でしたか、貴女と私は一度しか話した覚えがありませんね。どなたかと間違えてるのでは?」
「まっ、間違えてないわ!私はいつもいつも追いかけ回されていて・・・ううっ、その度にマーティンやルドルフたちに迷惑をかけた・・・でもこれ以上はもう見逃せない。」
あっ、これ知ってるう、とミアは閃く。
そういえばグウィン様の断罪劇があったなあとぼんやり考えたが、これはエレンの自作自演だろうと推測をした。
ミアは、だいぶ強引に断罪イベントに持っていったなぁと逆に感心をしてしまっている。
彼女が知っているグウィンは、ミアにずっと張り付いていてヒロインの相手をする時間が無いのだ。
加えてヒロインが今訴えている中、何コイツと言いたげな苦笑いを浮かべている。事実無根なのだろう。
表情に出るグウィンの思考を読むことは本を読みながらでも簡単だ。
そんな中、空気を見事に読まないエレンが、声を高らかに宣言した。
「今からわたくしが!あなたを捌きます!」
いや、さばくの文字を間違えておりますよ。
「それはこっちのセリフだなぁ?」
結局二人は一緒にいる。
親友であるアリアはこっそり覗いていたが、叫びたくなった。
(二人揃ってダダ甘じゃないの)
以前グウィンを否定しやめとけ、とミアに詰め寄ったアリアだったが、今のグウィンを見ていると本当に噂の本人なのかすら疑わしくなる。
ぶっちゃけ侯爵は初心すぎるのだ。
「今の侯爵がアレなら暴れ馬のミアを安心して預けれるかしら・・・?ああでも一時といえどあんな〇〇〇〇みたいな噂があった男よ・・・ミアには相応しくないのでは・・・いやでももにょもにゃ」
アリア・リッセンは美しい令嬢だ。
けれど今日はこんな調子で壁の隅に張り付いている。
そしてブツブツと呟いて、親の仇を睨みつけるようにあの二人を見つめているから誰も恐怖で寄り付かない。
丁度いいからとアリアは二人の様子をこっそりガン見する事にした。
「あら・・・?」
会場が突然騒めく。一体なんだろうとアリアが振り返ると最近噂のエレンという少女が露出の多いドレスを着てやってきた。
しかも四人もの男にエスコートをされて。
「うっっ・・・わぁ・・・引くわ」
「そうだね。あれじゃまるで娼婦と言われても仕方がないわ・・・」
ドン引きした顔で思わず呟いたら、いつの間にかそばにいたミアに同意された。
「みっ、ミア、いつの間にここに!?」
「いつの間にというか・・・アリアが私をジロジロ見てたから気になって声を掛けに来たの。どうしたの?」
「・・・いや、なんでもないけど・・・今日のミアは一段と綺麗ね!私とダンスを踊ってくれない?」
こっそり見てたつもりでグウィンに呪詛を送っていたとはさすがに言えなかった。
その代わりにダンスを申し込むアリア。(女)
「おいっ!人の婚約者(予定)の女を口説くな!」
「あら?侯爵様もいたのですか・・・雑草だと勘違いしていましたわオホホ。」
何気に失礼なことを侯爵に言うアリアの心臓は、ミアによって鍛えられたせいで鉄なのだろう。
「そもそも私は婚約した覚えはないですが?」
見逃せない一言に鋭くツッコミを入れるミアだった。といってもよく見れば頬をほんのり染めているのが分かるけれど。
「ミアっ!?ミア!?アイツに洗脳されたのね!?今私が助けてあげるから結婚しよう!?」
あのグウィンに白けた目を送られていることに気が付かず、ミアを揺さぶるアリア。(ビクともしていないが)
そんな空気を壊すように、エレンが突進をしてきた。
「きゃぁあぁああぁ~!」
「なんで!?」
サッと避けるミアとアリアだったが、気がついていなかったグウィンは少しだけ遅れてしまう。
会場に大きな音が響いた。
「いったぁい~・・・グウィンさまぁ、酷いです・・・!」
エレンにワインがびしょびしょにかかっていた。
露出のある格好をしているせいで、濡れて反射する肌と服が色っぽく見える。
そんなエレンを見た馬鹿四人組(攻略対象)たちは同時にこっそりと生唾を飲み込んだ。ごくりん。
「グウィンさま!もういい加減にして下さぃぃ!私にこれ以上何を求めるんです?」
「えっ、えっ?」
「わたくし、あなたに体を捧げれても、心を差し上げることはできませんわ!」
衆人環視の中でのまさかの発言に、全員がふらりとよろけた。
ちなみに馬鹿四人組は盲目的なのかそーだそーだと野次を飛ばしている。
「その・・・エレン嬢?でしたか、貴女と私は一度しか話した覚えがありませんね。どなたかと間違えてるのでは?」
「まっ、間違えてないわ!私はいつもいつも追いかけ回されていて・・・ううっ、その度にマーティンやルドルフたちに迷惑をかけた・・・でもこれ以上はもう見逃せない。」
あっ、これ知ってるう、とミアは閃く。
そういえばグウィン様の断罪劇があったなあとぼんやり考えたが、これはエレンの自作自演だろうと推測をした。
ミアは、だいぶ強引に断罪イベントに持っていったなぁと逆に感心をしてしまっている。
彼女が知っているグウィンは、ミアにずっと張り付いていてヒロインの相手をする時間が無いのだ。
加えてヒロインが今訴えている中、何コイツと言いたげな苦笑いを浮かべている。事実無根なのだろう。
表情に出るグウィンの思考を読むことは本を読みながらでも簡単だ。
そんな中、空気を見事に読まないエレンが、声を高らかに宣言した。
「今からわたくしが!あなたを捌きます!」
いや、さばくの文字を間違えておりますよ。
0
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉。節約令嬢、書籍化進行中
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
闇黒の悪役令嬢は溺愛される
葵川真衣
恋愛
公爵令嬢リアは十歳のときに、転生していることを知る。
今は二度目の人生だ。
十六歳の舞踏会、皇太子ジークハルトから、婚約破棄を突き付けられる。
記憶を得たリアは前世同様、世界を旅する決意をする。
前世の仲間と、冒険の日々を送ろう!
婚約破棄された後、すぐ帝都を出られるように、リアは旅の支度をし、舞踏会に向かった。
だが、その夜、前世と異なる出来事が起きて──!?
悪役令嬢、溺愛物語。
☆本編完結しました。ありがとうございました。番外編等、不定期更新です。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
あの素晴らしい愛をもう一度
仏白目
恋愛
伯爵夫人セレス・クリスティアーノは
33歳、愛する夫ジャレッド・クリスティアーノ伯爵との間には、可愛い子供が2人いる。
家同士のつながりで婚約した2人だが
婚約期間にはお互いに惹かれあい
好きだ!
私も大好き〜!
僕はもっと大好きだ!
私だって〜!
と人前でいちゃつく姿は有名であった
そんな情熱をもち結婚した2人は子宝にもめぐまれ爵位も継承し順風満帆であった
はず・・・
このお話は、作者の自分勝手な世界観でのフィクションです。
あしからず!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる