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21.バカ丸出し・・・むしろ憎めん

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「全く・・・グウィン様も素直になれば宜しいのに。」

「それはこっちのセリフだなぁ?」

結局二人は一緒にいる。
親友であるアリアはこっそり覗いていたが、叫びたくなった。

(二人揃ってダダ甘じゃないの)

以前グウィンを否定しやめとけ、とミアに詰め寄ったアリアだったが、今のグウィンを見ていると本当に噂の本人なのかすら疑わしくなる。
ぶっちゃけ侯爵は初心ウブすぎるのだ。

「今の侯爵がアレなら暴れ馬のミアを安心して預けれるかしら・・・?ああでも一時といえどあんな〇〇〇〇ピー(規制音)みたいな噂があった男よ・・・ミアには相応しくないのでは・・・いやでももにょもにゃ」

アリア・リッセンは美しい令嬢だ。
けれど今日はこんな調子で壁の隅に張り付いている。

そしてブツブツと呟いて、親の仇を睨みつけるようにあの二人を見つめているから誰も恐怖で寄り付かない。

丁度いいからとアリアは二人の様子をこっそりガン見する事にした。

「あら・・・?」

会場が突然騒めく。一体なんだろうとアリアが振り返ると最近噂のエレンという少女が露出の多いドレスを着てやってきた。

しかも四人もの男にエスコートをされて。

「うっっ・・・わぁ・・・引くわ」

「そうだね。あれじゃまるで娼婦と言われても仕方がないわ・・・」

ドン引きした顔で思わず呟いたら、いつの間にかそばにいたミアに同意された。

「みっ、ミア、いつの間にここに!?」

「いつの間にというか・・・アリアが私をジロジロ見てたから気になって声を掛けに来たの。どうしたの?」

「・・・いや、なんでもないけど・・・今日のミアは一段と綺麗ね!私とダンスを踊ってくれない?」

こっそり見てたつもりでグウィンに呪詛を送っていたとはさすがに言えなかった。
その代わりにダンスを申し込むアリア。(女)

「おいっ!人の婚約者(予定)の女を口説くな!」

「あら?侯爵様もいたのですか・・・雑草だと勘違いしていましたわオホホ。」

何気に失礼なことを侯爵に言うアリアの心臓は、ミアによって鍛えられたせいで鉄なのだろう。

「そもそも私は婚約した覚えはないですが?」

見逃せない一言に鋭くツッコミを入れるミアだった。といってもよく見れば頬をほんのり染めているのが分かるけれど。

「ミアっ!?ミア!?アイツに洗脳されたのね!?今私が助けてあげるから結婚しよう!?」

あのグウィンに白けた目を送られていることに気が付かず、ミアを揺さぶるアリア。(ビクともしていないが)
そんな空気を壊すように、エレンが突進をしてきた。

「きゃぁあぁああぁ~!」

「なんで!?」

サッと避けるミアとアリアだったが、気がついていなかったグウィンは少しだけ遅れてしまう。

会場に大きな音が響いた。


「いったぁい~・・・グウィンさまぁ、酷いです・・・!」

エレンにワインがびしょびしょにかかっていた。
露出のある格好をしているせいで、濡れて反射する肌と服が色っぽく見える。

そんなエレンを見た馬鹿四人組(攻略対象)たちは同時にこっそりと生唾を飲み込んだ。ごくりん。

「グウィンさま!もういい加減にして下さぃぃ!私にこれ以上何を求めるんです?」

「えっ、えっ?」

「わたくし、あなたに体を捧げれても、心を差し上げることはできませんわ!」

衆人環視の中でのまさかの発言に、全員がふらりとよろけた。
ちなみに馬鹿四人組は盲目的なのかそーだそーだと野次を飛ばしている。

「その・・・エレン嬢?でしたか、貴女と私は一度しか話した覚えがありませんね。どなたかと間違えてるのでは?」

「まっ、間違えてないわ!私はいつもいつも追いかけ回されていて・・・ううっ、その度にマーティンやルドルフたちに迷惑をかけた・・・でもこれ以上はもう見逃せない。」

あっ、これ知ってるう、とミアは閃く。
そういえばグウィン様の断罪劇があったなあとぼんやり考えたが、これはエレンの自作自演だろうと推測をした。

ミアは、だいぶ強引に断罪イベントに持っていったなぁと逆に感心をしてしまっている。

彼女が知っているグウィンは、ミアにずっと張り付いていてヒロインの相手をする時間が無いのだ。

加えてヒロインが今訴えている中、何コイツと言いたげな苦笑いを浮かべている。事実無根なのだろう。

表情に出るグウィンの思考を読むことは本を読みながらでも簡単だ。

そんな中、空気を見事に読まないエレンが、声を高らかに宣言した。

「今からわたくしが!あなたを捌きます!」

いや、さばくの文字を間違えておりますよ。
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