反魂2・空白の時間編

四宮

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残月記番外編・反魂二

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べっとりと汗ばんだその感触に嫌悪感ケンオカンを隠せないまま、どうにかして逃げようと足を動かすが、しっかりと絡みついてしまっている為、上手く動かすことが出来ない。
それどころか、グイグイと水中に引き寄せようと体重までかけてくる始末。

(こうなったら・・・!)

いよいよアセった遠雷エンライは、どうにかして突破口トッパコウを開かねばと指を使い、呪を描こうとしたのだが、急に別の指が伸び、頬をツカまれたまま上へと向けられてしまった.

「・・・ふっ・・・んんぐ!」

(いかん・・・!のまれる!)

更に意識が一瞬れた。それがいけなかったのかもしれない。
気が付けば、彼の四肢シシはいくつもの透明な腕によってその動きを封じられ、呪を唱えるどころか、腕から逃れる事さえも難しくなってしまっている。

全身は既にき出した汗と水によって衣が張り付き、ヒド心地ココチが悪かったが、そうも言ってはいられない。
まずは此処ココから出なくてはと思うのに、思考が停止してしまっているせいか、今の彼からはいつものような余裕はなく、武器を失って途方トホウに暮れる敗者のようであった。

(落ち着け。何か方法があるはずだ・・・なにか・・・なにか・・・)

「・・・がっ!」

その時、音もなく伸びた一つの腕が遠雷エンライノドを掴み、上へと押し上げた。

「・・・ぐはっ・・・」

喉仏ノドボトケからアゴへとニブい痛みが走り、遠雷エンライの顔が苦痛でユガむ。
それを合図と受け取ったのだろう。
その閉じられた衣をぐかのように、沢山の細い腕が遠雷エンライの膝やモモマサグったかと思えば、ワズかな隙間スキマから柔な肌へとその指を滑らせていった。

「・・・っ!」

嫌な予感が的中し、段々と彼の顔に恐怖の色がニジんでいく。
ぬるぬると這い上がるようなその感触に彼の身体は更に強張コワバり、呼吸も上手く出来そうにない。
それでも腕を動かそうと体を右へとネジった瞬間、掴まれたままの彼の顔はその腕によって無理に左へと向けられ、何者かが彼の唇を奪うようにガブリと噛みついた。

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