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第5章:闇の中の光
第61話
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「え?封鎖…ですか?」
散策中の街中で、僕達は耳を疑うような話を聞いた。
どうやらマルボルドへ向かう為の街道が、溶岩の影響で通れなくなっているらしい。
「どうしても向こう側へ行くって言うなら、山を超えるしかないぜ。」
「山越えかぁ…。」
「正直おすすめはしないぜ。なんてったって火山だからな…怪我しない方が難しいってもんだぜ。」
「教えて下さってありがとうございます。」
「良いってことよ!じゃ、俺はこれで。良い旅を!」
陽気なおじさんは、手を振りながら僕達の元を去っていった。
「どうする…?おじさんも言ってたけど、山を超えるのは無謀じゃない?」
「雪山も相当だったけど、火山はもっと厳しいだろうね…。」
「私達、それほど急ぎでもないし…少し待ってみた方がいいと思う。」
「そうだね。少しここに滞在して様子を見ようか。」
「それならまずは宿探しだね。向こうにあったはずだよ!」
彼女の案内で、宿屋へ足を運んだ。無事に部屋を借り、今後の予定を話し合う…はずだった。
「え?ここもですか?」
街道封鎖の影響で、どこの宿屋も部屋が空いていなかったのだ。
「どうしよう…。このままだと野宿しかない…?」
「僕はそれでも構わないけど…。ルドルフ次第かな。」
「俺様に考えがある。着いてこい。」
俺は小娘を引き連れ、とある住人の家を訪ねた。
「あれ?ここって…。」
「お前は適当に話を合わせておけばいい。余計な事は喋るなよ?」
「はーい…。あら?どちら様かしら…?」
女のような柔らかい口調で喋るこの男は、以前この街へ来た時に一度だけ会った事がある。
「急に押しかけてすみません。サエードさんですね?レジデンス幹部のフランドルフルクです。覚えていらっしゃいませんか?」
「あら!フルク様ねぇ!もちろん覚えてますわよぉ。あっ…立ち話もなんですから、どうぞお上がり下さいな~。」
家の中へ招き入れてもらい、俺はこれまでの経緯を説明した。
「そういう事でしたら、是非家に泊まってください~。あんまり広くは無いですけどぉ…。」
「とんでもない!部屋を提供して頂けるだけで有難いです。」
「そのぉ…もしお会いした事があったらごめんなさいね?お嬢さんの名前を聞いてもいいかしらぁ?」
「申し遅れました!ルナソワレーヴェと言います。えっと…幹部だったルカの妹なんですが、兄の事は覚えてますか…?」
「あらま!ルカの妹ちゃんなのねぇ!あの子にはとってもお世話になったもの~もちろん覚えてるわ。」
「その節は、兄がお世話になりました。今度は…私がお世話になっちゃいますけど…。」
「いいのよいいのよ~。あ!今日は移動でお疲れでしょう?2階の部屋を自由に使って下さいねぇ。」
「ありがとうございます。サエードさん。」
階段をのぼって部屋に入ると、俺の後に続いて娘も部屋に足を踏み入れた。
「何故同じ部屋に来る。」
「え?別室にする必要あるかな?」
「2階は好きに使っていいと言われただろ。お前は隣の部屋を使え。」
「部屋を貸してもらってる身で、2部屋も占領しちゃうのは失礼だよ。ベッドも2つあるし、フランなら良いって言ってくれるよね?」
「もちろん。ルナさんが良ければ僕はどっちでも。」
「ほら!」
「…後は好きにしろ。」
ルドルフは僕に身体を返し、再び眠りについた。
「私びっくりしちゃった…。ルドルフって、ちゃんと喋ろうと思えば喋れるんだね。」
「うん。時々、僕の真似して喋る時もあるよ。」
「え、そうなの?」
「少し黙ってくれないかな?調子に乗るなよ小娘。」
「へぁ!?」
「…ほらね?」
「び、びっくりしたぁ…。」
「そういえば、サエードさんだっけ?ルナさんは彼女と初めて会うのに、知ってるみたいだったね。」
「サエードさんは、私がルカの使い魔だった時に知り合ったの。だから、私はルカを通して彼を見てたけど、彼は私を覚えてなかったみたい。」
「え?彼?彼女じゃなくて?」
「サエードさんは男性だよ?話し方も仕草も女性っぽいけどね。男性のみの祭りにも参加してたし。」
「そうなんだ…。てっきり女性かと思ってたよ。」
「宿問題はなんとか解決したけど…明日からどうする?」
「街道の様子を見に行ってみよっか。封鎖されてるとは聞いたけど、どんな様子かは詳しくわからないし。」
「うん。わかった!」
その日の夕方、僕は食事をする目的で街へとくり出した。
日が沈みかけているにも関わらず、この街の暑さはとどまるところを知らない。
「こうも暑いと…冷たいものを食べたくなるなぁ…。」
「この街に、そんなものがあればいいがな。」
「ルドルフは来たことあるんでしょ?涼める場所とか知らないの?」
「俺は遊びに来たんじゃない。探したいなら自力で探せ。」
「はいはい分かりましたよ…。」
「…お兄ちゃん、誰とお話してるの?」
後ろを振り返ると、少女が不思議そうな顔でこちらを見上げていた。
「ご、ごめんね。うるさかったかな?」
「ううん。そんな事ないよ。」
「えっと…今のは独り言なんだ。聞かれてたと思うと…恥ずかしいな。」
「スズメさんを探してるの?」
「え?あー…ううん。涼める…えっと、この街で涼しい所は無いかなーって探してたんだよ。」
「それならあたし知ってるよ!今から行くけどお兄ちゃんも一緒に来る?」
「え、いいの?じゃあ、連れて行ってもらおうかな。」
「ちゃーんとあたしについてくるのよ?」
「あ、ちょっ…走ると危ないよ!」
大通りを駆けていく少女の背中を、僕は必死に追いかけた。
足には自信があると思っていたが、子供の脚力は時に大人の脚力を大きく上回る。山道の近くで、少女の姿を見失ってしまった。
「こっちへ…来たと思ったんだけど…。」
「近くに姿は見えない。気配も感じないな。」
「せっかくここまで…走ってきたのに…無駄足?はぁ…ちょっと座らせて…。」
「ちょっと走っただけでバテるとは…だらしないな。」
「はぁ...学校を離れてから、しばらく訓練してないから…。剣技までなまらないように…また訓練しないと。」
「む…。水の音が聞こえるな。風の音も聞こえる。」
「え?風は確かに吹いてるけど…水なんて見当たらないよ?」
「お前は休んでいろ。俺が探す。」
腰掛けていた岩から立ち上がり、水の音が聞こえる方向へ歩き出した。しばらく進んだ所で洞窟を見つけ、中へ足を踏み入れた。歩く度に足元が湿気をおび、遠くの方から微かに光が漏れている。
洞窟を抜けた先は、遠くの方まで見通す事が出来る見晴らしのいい場所だった。洞窟内に溜まっていた水が足元から流れ落ち、大きな音と共に下の方でしぶきをあげている。
「すごい…。火山の近くなのに、水がこんなに沢山あるなんて…。」
「これは水じゃなく、恐らく湯だ。火山の近くは地盤が温まり、水温も上がる。」
「随分物知りだね...。この辺りに詳しいの?」
「...こんなの常識の範囲だ。」
「あれ...?ねぇルドルフ。遠くの方に、明かりが見えない?ほら、あっちの方角...」
「明かりなど興味無い。それより、日が落ちる前にさっさと宿に帰れ。」
「あーうん...そうだね。結局あの子がどこに行ったかわからないし...。あんまり遅くなると、ルナさんが心配するよね。」
僕は彼の言葉通り、洞窟を通って街へ引き返した。
「うーん...。安全な山道ねぇ...。」
翌日。マルボルドへ向かう為の方法として、山を越える事は出来るのかサエードさんに相談した。
「サエードさんは、ここの地理や火山の事に詳しいとお聞きしました。あなたであれば、街道を通らずにマルボルドへ向かう道を知っているかも...と思いまして。」
「確かに詳しいですけどぉ...。ここ最近の火山活動は、あたし達学者にも予想が出来ないんですよぉ。今回の溶岩も、突然山から吹き出してきたものですからぁ...。」
「やっぱり...そうですよね。」
「では...街道が通れるようになるのは、いつ頃になるかわかりますか?」
「あたしの聞いた話だと、一月もあれば通れるようになるそうですよぉ。」
「ひ、一月ですか!?」
「あたしは、いくら滞在して頂いても構いませんよぉ。1人で暮らすにはちょっと大きすぎるのでねぇ。」
「流石に一月は長すぎますよ...!何か、別の方法を考える事にします。」
「あらそう...?とにかく、火山に近付くのだけはやめた方がいいですねぇ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「じゃあ、あたしは仕事がありますので~。失礼しますねぇ。」
そう言うと、奴は奥の方へと姿を消した。
「とりあえず...昨日話した通り、街道の様子を見に行く?」
「お前とフランに任せる。」
「...行こうルナさん。」
「うん。それじゃあ荷物を取ってくるね。」
街から離れれば離れる程、辺りは殺風景になっていく。数少ない緑も徐々に少なくなり、ゴツゴツとした岩肌が街道沿いに並んでいる。
「あ、人が立ってる...。」
「あの先が通行止めになってるんだね。」
道を塞ぐように木の板が組まれ、その前に兵士と思われる人達が数名立っていた。
「結構厳重に守られてるし...これだけ崖に覆われてたら、迂回路なんて無さそうだね..。」
「迂回路...?」
彼女の一言で、僕は昨日の出来事を思い出した。
「ルナさん...!迂回路...もしかしたらあるかも。」
「え?どういう事?」
「一旦街へ戻ろう。」
街へ引き返す間、ルドルフと見たあの景色を彼女に説明した。僕の予測が正しければ、遠くの方に見えた明かりはマルボルドの物かもしれない。彼女の視力を頼りに、洞窟があった場所へ向かった。
散策中の街中で、僕達は耳を疑うような話を聞いた。
どうやらマルボルドへ向かう為の街道が、溶岩の影響で通れなくなっているらしい。
「どうしても向こう側へ行くって言うなら、山を超えるしかないぜ。」
「山越えかぁ…。」
「正直おすすめはしないぜ。なんてったって火山だからな…怪我しない方が難しいってもんだぜ。」
「教えて下さってありがとうございます。」
「良いってことよ!じゃ、俺はこれで。良い旅を!」
陽気なおじさんは、手を振りながら僕達の元を去っていった。
「どうする…?おじさんも言ってたけど、山を超えるのは無謀じゃない?」
「雪山も相当だったけど、火山はもっと厳しいだろうね…。」
「私達、それほど急ぎでもないし…少し待ってみた方がいいと思う。」
「そうだね。少しここに滞在して様子を見ようか。」
「それならまずは宿探しだね。向こうにあったはずだよ!」
彼女の案内で、宿屋へ足を運んだ。無事に部屋を借り、今後の予定を話し合う…はずだった。
「え?ここもですか?」
街道封鎖の影響で、どこの宿屋も部屋が空いていなかったのだ。
「どうしよう…。このままだと野宿しかない…?」
「僕はそれでも構わないけど…。ルドルフ次第かな。」
「俺様に考えがある。着いてこい。」
俺は小娘を引き連れ、とある住人の家を訪ねた。
「あれ?ここって…。」
「お前は適当に話を合わせておけばいい。余計な事は喋るなよ?」
「はーい…。あら?どちら様かしら…?」
女のような柔らかい口調で喋るこの男は、以前この街へ来た時に一度だけ会った事がある。
「急に押しかけてすみません。サエードさんですね?レジデンス幹部のフランドルフルクです。覚えていらっしゃいませんか?」
「あら!フルク様ねぇ!もちろん覚えてますわよぉ。あっ…立ち話もなんですから、どうぞお上がり下さいな~。」
家の中へ招き入れてもらい、俺はこれまでの経緯を説明した。
「そういう事でしたら、是非家に泊まってください~。あんまり広くは無いですけどぉ…。」
「とんでもない!部屋を提供して頂けるだけで有難いです。」
「そのぉ…もしお会いした事があったらごめんなさいね?お嬢さんの名前を聞いてもいいかしらぁ?」
「申し遅れました!ルナソワレーヴェと言います。えっと…幹部だったルカの妹なんですが、兄の事は覚えてますか…?」
「あらま!ルカの妹ちゃんなのねぇ!あの子にはとってもお世話になったもの~もちろん覚えてるわ。」
「その節は、兄がお世話になりました。今度は…私がお世話になっちゃいますけど…。」
「いいのよいいのよ~。あ!今日は移動でお疲れでしょう?2階の部屋を自由に使って下さいねぇ。」
「ありがとうございます。サエードさん。」
階段をのぼって部屋に入ると、俺の後に続いて娘も部屋に足を踏み入れた。
「何故同じ部屋に来る。」
「え?別室にする必要あるかな?」
「2階は好きに使っていいと言われただろ。お前は隣の部屋を使え。」
「部屋を貸してもらってる身で、2部屋も占領しちゃうのは失礼だよ。ベッドも2つあるし、フランなら良いって言ってくれるよね?」
「もちろん。ルナさんが良ければ僕はどっちでも。」
「ほら!」
「…後は好きにしろ。」
ルドルフは僕に身体を返し、再び眠りについた。
「私びっくりしちゃった…。ルドルフって、ちゃんと喋ろうと思えば喋れるんだね。」
「うん。時々、僕の真似して喋る時もあるよ。」
「え、そうなの?」
「少し黙ってくれないかな?調子に乗るなよ小娘。」
「へぁ!?」
「…ほらね?」
「び、びっくりしたぁ…。」
「そういえば、サエードさんだっけ?ルナさんは彼女と初めて会うのに、知ってるみたいだったね。」
「サエードさんは、私がルカの使い魔だった時に知り合ったの。だから、私はルカを通して彼を見てたけど、彼は私を覚えてなかったみたい。」
「え?彼?彼女じゃなくて?」
「サエードさんは男性だよ?話し方も仕草も女性っぽいけどね。男性のみの祭りにも参加してたし。」
「そうなんだ…。てっきり女性かと思ってたよ。」
「宿問題はなんとか解決したけど…明日からどうする?」
「街道の様子を見に行ってみよっか。封鎖されてるとは聞いたけど、どんな様子かは詳しくわからないし。」
「うん。わかった!」
その日の夕方、僕は食事をする目的で街へとくり出した。
日が沈みかけているにも関わらず、この街の暑さはとどまるところを知らない。
「こうも暑いと…冷たいものを食べたくなるなぁ…。」
「この街に、そんなものがあればいいがな。」
「ルドルフは来たことあるんでしょ?涼める場所とか知らないの?」
「俺は遊びに来たんじゃない。探したいなら自力で探せ。」
「はいはい分かりましたよ…。」
「…お兄ちゃん、誰とお話してるの?」
後ろを振り返ると、少女が不思議そうな顔でこちらを見上げていた。
「ご、ごめんね。うるさかったかな?」
「ううん。そんな事ないよ。」
「えっと…今のは独り言なんだ。聞かれてたと思うと…恥ずかしいな。」
「スズメさんを探してるの?」
「え?あー…ううん。涼める…えっと、この街で涼しい所は無いかなーって探してたんだよ。」
「それならあたし知ってるよ!今から行くけどお兄ちゃんも一緒に来る?」
「え、いいの?じゃあ、連れて行ってもらおうかな。」
「ちゃーんとあたしについてくるのよ?」
「あ、ちょっ…走ると危ないよ!」
大通りを駆けていく少女の背中を、僕は必死に追いかけた。
足には自信があると思っていたが、子供の脚力は時に大人の脚力を大きく上回る。山道の近くで、少女の姿を見失ってしまった。
「こっちへ…来たと思ったんだけど…。」
「近くに姿は見えない。気配も感じないな。」
「せっかくここまで…走ってきたのに…無駄足?はぁ…ちょっと座らせて…。」
「ちょっと走っただけでバテるとは…だらしないな。」
「はぁ...学校を離れてから、しばらく訓練してないから…。剣技までなまらないように…また訓練しないと。」
「む…。水の音が聞こえるな。風の音も聞こえる。」
「え?風は確かに吹いてるけど…水なんて見当たらないよ?」
「お前は休んでいろ。俺が探す。」
腰掛けていた岩から立ち上がり、水の音が聞こえる方向へ歩き出した。しばらく進んだ所で洞窟を見つけ、中へ足を踏み入れた。歩く度に足元が湿気をおび、遠くの方から微かに光が漏れている。
洞窟を抜けた先は、遠くの方まで見通す事が出来る見晴らしのいい場所だった。洞窟内に溜まっていた水が足元から流れ落ち、大きな音と共に下の方でしぶきをあげている。
「すごい…。火山の近くなのに、水がこんなに沢山あるなんて…。」
「これは水じゃなく、恐らく湯だ。火山の近くは地盤が温まり、水温も上がる。」
「随分物知りだね...。この辺りに詳しいの?」
「...こんなの常識の範囲だ。」
「あれ...?ねぇルドルフ。遠くの方に、明かりが見えない?ほら、あっちの方角...」
「明かりなど興味無い。それより、日が落ちる前にさっさと宿に帰れ。」
「あーうん...そうだね。結局あの子がどこに行ったかわからないし...。あんまり遅くなると、ルナさんが心配するよね。」
僕は彼の言葉通り、洞窟を通って街へ引き返した。
「うーん...。安全な山道ねぇ...。」
翌日。マルボルドへ向かう為の方法として、山を越える事は出来るのかサエードさんに相談した。
「サエードさんは、ここの地理や火山の事に詳しいとお聞きしました。あなたであれば、街道を通らずにマルボルドへ向かう道を知っているかも...と思いまして。」
「確かに詳しいですけどぉ...。ここ最近の火山活動は、あたし達学者にも予想が出来ないんですよぉ。今回の溶岩も、突然山から吹き出してきたものですからぁ...。」
「やっぱり...そうですよね。」
「では...街道が通れるようになるのは、いつ頃になるかわかりますか?」
「あたしの聞いた話だと、一月もあれば通れるようになるそうですよぉ。」
「ひ、一月ですか!?」
「あたしは、いくら滞在して頂いても構いませんよぉ。1人で暮らすにはちょっと大きすぎるのでねぇ。」
「流石に一月は長すぎますよ...!何か、別の方法を考える事にします。」
「あらそう...?とにかく、火山に近付くのだけはやめた方がいいですねぇ。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「じゃあ、あたしは仕事がありますので~。失礼しますねぇ。」
そう言うと、奴は奥の方へと姿を消した。
「とりあえず...昨日話した通り、街道の様子を見に行く?」
「お前とフランに任せる。」
「...行こうルナさん。」
「うん。それじゃあ荷物を取ってくるね。」
街から離れれば離れる程、辺りは殺風景になっていく。数少ない緑も徐々に少なくなり、ゴツゴツとした岩肌が街道沿いに並んでいる。
「あ、人が立ってる...。」
「あの先が通行止めになってるんだね。」
道を塞ぐように木の板が組まれ、その前に兵士と思われる人達が数名立っていた。
「結構厳重に守られてるし...これだけ崖に覆われてたら、迂回路なんて無さそうだね..。」
「迂回路...?」
彼女の一言で、僕は昨日の出来事を思い出した。
「ルナさん...!迂回路...もしかしたらあるかも。」
「え?どういう事?」
「一旦街へ戻ろう。」
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