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第4章:記憶の欠片
第49話
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「2人共!」
ホールの入口へと戻って来ると、ルナさんの他にレミリーとコウ様、その後ろに先程の教育係が立っていた。
「レミリーさん!無事だったんですね。」
「心配かけてしまったみたいね~。」
「彼女が無事ということは…彼は本当に教育係なのですね?」
「うん。そうみたい。」
「ところでフラン。お前…なんで服が擦れてるんだ?」
「それがその…。」
僕は再び、事の経緯を彼らに説明した。
しばらく経ってパーティはお開きとなり、服を着替え終えた僕達はコウ様と共に食事をする事になった。
「まさか、パーティの賑わいに乗じて暗殺を目論む者が現れるとは思いませんでした。」
先程僕達が捕まえたローブの男は、コウ様の命を狙う暗殺者だという事が明らかになった。
「すみません…コウ様の教育係の方を、暗殺者かもしれないと疑ってしまいました。」
「そのお陰で助かったのですから、むしろ感謝しなければなりません。民を救ってくれただけでなく、私の命も救って下さいました。本当に皆さんには、頭が上がりません。」
「皆が無事で、本当によかったわ~。」
「もう夜も更けましたし、今宵はこちらでお休み下さい。4部屋あれば十分でしょうか?」
「お、お気持ちは有難いですが…!2部屋で十分です!」
「そうですか…。では、2部屋に致しましょう。」
「ラウシュ様。お食事をお持ち致しました。」
扉が開き、食事を載せたワゴンが続々と部屋の中へ運ばれてきた。大きなお皿の上に色鮮やかな野菜や果物が、綺麗に盛り付けてある。
「これは私共の、感謝の気持ちです。お口に合えばいいのですが…。」
「うわぁ…!美味しそう…!」
「お好きな物を好きなだけ、どうぞ召し上がって下さい。」
「お心遣い感謝致します。」
「いただきます~。」
長いテーブルの端に座るコウ様の姿を、どこかで見た事があるような変な感覚がした。
ギルドで暮らしていた頃は、大勢で食事をとる事が日常茶飯事だった。その時の光景が懐かしいのか、それとも無くした記憶の一部なのか。
美味しそうな料理を前に、僕はそれ以上、深く考える事をやめた。
「ちょっと!1日どころか、2日も外泊するなんてどう言う事よ!」
イムーブルへ帰ってきた僕達は、玄関で出迎えたユイさんに怒りの言葉をぶつけられた。
「ごめんね~ユイ。昨日はバタバタしていたから、連絡し損ねちゃったわ~。」
「ごめんね~じゃないわよ!こっちは帰ってくるもんだと思って待ってたのに、中々帰ってこないから心配したのよ!?」
彼女はツヴェルさんの肩を掴み、前後に揺さぶった。それを見たアレクさんが慌てて彼女の腕を掴み、2人を引き離して距離をとった。
「まーまーユイ。みーんな無事に帰ってきたんやから、良かったやないか~。」
「あんたはぐっすり寝られて良かったわね!一睡も出来なかった、あたしの身にもなってみなさいよ!」
「すみませんユイさん!僕が不甲斐ないばっかに、心配をおかけして…。」
「べ、別にあんたの事を心配した訳じゃ…。」
「そうだユイ!お土産にお菓子を買ってきたから、みんなで食べよ!」
「おー!そうやな!お茶入れて一服しよか!」
ルナさんとアレクさんがなんとか彼女をなだめ、ようやく中へ入る事が出来た。
ツヴェルさんとレミリーさんは仕事の報告へ向かい、残された僕達は食堂へと辿り着いた。
ルナさんが持ち帰ったお菓子を机の上に広げ、お茶会という名の女子会が始まった。
「へぇー…。何事があったのかと思ったけど、そんな事があったのね。」
「ビックリする事ばっかりで、あっという間の3日間だったよ~。」
「ほんでも、ルシュ様は見つからなかったんやね。」
「そうなんだよね。色んな人に聞いたりもしたけど、見かけたって人は居なかったの。」
「フランの方は何か思い出せたん?」
「ほんの少しですが、思い出せる事もありました。」
「お!それは良かったやん!この調子で、思い出せるとええなぁ。」
彼は自分の事のように喜び、笑顔を浮かべた。
「ユイ達は、何か変わった事とか無かった?」
「ぜーんぜん。強いて言えば、仕事が溜まってる事くらいかしら?」
「今頃ツヴェル達、ユーリに仕事押し付けられとるかもしれんなぁ…。」
「ユーリさんが仕事を仕切っているんですか?」
「役割的にはそうやな。上下関係は無い言うても、俺じゃそんな大役務まらんし。」
「そうね。あんたに任せてたら幹部どころか、イムーブルごと解散しちゃうわ。」
「情報収集も大事だけど、私達もちゃんとお手伝いしないとだね!」
彼女は僕の方を向き、笑って見せた。
「ルナと依頼をやるのなんて、いつぶりかしらね。」
「確かに…。最後に一緒にやったのはいつだろう?」
「俺もよう覚えとらんなぁ。そもそもフランとは、一緒にやらんかったしな~。」
「え?そうなんですか?」
彼とは仲がいい方だと思っていたので、彼の言葉は予想外だった。
「あたし達が上級クラスにあがる頃には、もう幹部になってたものね。」
「そう言えばそうだったね…。でも、ユイとアレクは、幹部になるの早くなかった?」
「せやなぁ!中級から上級になるんは大変やったけど、上級から幹部は早かったよなぁ?」
「それは、ユーリとツヴェルが推薦してくれたからよ。2人のおかげで幹部になれたようなもの…」
ーガチャ!
話をしていると、食堂の扉が勢いよく開かれた。
「ちょっ…ユーリ!そんなに慌ててどうしたん?」
「大変!これから…っ…ヴァン様とレム様が…こっち…来るって…!」
「じゃ、じゃあ私達、隠れないと!」
ツヴェルさんから聞いた話では、僕とルナさんは死亡した事になっているらしい。ルナさんはステラ様の一部である事を、僕は人間になった事を隠す為にそうしたのだと言う。
「物置部屋に隠れたら大丈夫やろか!?流石に開けたりせーへんやろ?」
「気配とか感じ取られたらどうするのよ!物音立てたら一発アウトだわ!」
「俺様がこいつを連れて転移する。奴等が帰ったら連絡しろ。」
「お、おう!わかったで!」
俺は小娘の腕を掴み、転移魔法を発動した。
「ねぇルドルフ。どうしてここに?」
俺が転移先に選んだのは、ヴィエトルだった。
「ここなら人目も少ない。何か問題でもあるのか?」
「そういう訳じゃないよ!ありがとうルドルフ。」
「目を閉じろ。」
「へ?」
「いいから早くしろ。」
「う、うん。」
人気のない森の中で、俺達は姿を変えた。先程のように、レジデンスの幹部に会ったら面倒な事になるからだ。
「これでいいだろう。」
「あ、見た目を変えたんだね!」
小娘は俺の顔を見て、自分の身に起こった事を理解したようだ。
「ねぇねぇ!せっかくヴィエトルに来たんだし、村の方に行ってみようよ。」
「下手に動き回るな。少しくらい、じっとしていろ。」
「フランに村の中を見せてあげたら、何か思い出せるかもしれないでしょ?ヴェラの情報だって知りたいし。」
「…。」
「少しだけ!ね?」
「本当に少しだろうな?」
「もちろん!皆からの連絡が来たらすぐ帰るよ。」
「はぁ…面倒な事になったな。」
前を歩く娘の後を渋々ついて行くと、開けた場所に家が建っているのが見えた。
「ここは誰の家だろう?集落から少し離れてるみたいだけど…。」
「山小屋のようだな。人が住んでいる気配はない。」
「へぇ~…山小屋かぁ…。」
「あれ?君達…ちょっといいかな?」
男の声が聞こえ、ゆっくりと後ろを振り返った。
「レ…!?」
「俺達に何か御用ですか?」
声の主は、レジデンスの幹部であるレーガイルラギトだった。俺は平然を装いながら、出来る限り丁寧に受け答えした。
「僕はレーガイルラギトって言うんだ。君達の名前は?」
「ルドー…ルドーフィルランです。こっちは妹の、ナルです。」
「は、初めまして!」
「元気があって可愛い妹さんだね。ところで…ちょっと聞きたいんだけど、この辺りで小さな男の子を見なかったかな?」
「いいえ。見ていません。」
「何かあったんですか?」
「いや、見てないならいいんだ。突然呼び止めてごめんね。もうすぐ日も暮れるし、村まで送るよ。」
「いえ…俺達は…」
「丁度僕も帰る所だったから、そのついでだし気にしないで。さ、帰ろう。」
「は、はい!」
奴のペースに流され、無理矢理同行する事になった。
「君達は何しにここへ来たの?この村の住人じゃないよね?」
「俺達、山を登るのが好きなんです。ヴィエトルには何度か来た事があります。」
「へぇ~。山登りかぁ~。身体を動かすのが好きなんだね。」
「ラギ…レーガさんは、何をしにいらしたんですか?」
「僕はちょっと頼まれ事をしててね。人を探してるんだ。」
「さっき俺達に聞いた、小さな男の子ですか?」
「ごめんね。あんまり詳しく話しちゃいけない決まりなんだ。僕はこの辺で失礼するよ。またね、ナルちゃん。」
「はい…お元気で!」
奴は手を振りながら、広場の方へと去って行った。
「びっ…くりしたぁ…。まさかレーガがいるなん…」
「あまり喋るな。どこで誰に聞かれているか分からん。」
「ご、ごめん!気をつけるね…。」
「ひとまず宿屋にでも行くか。そこで連絡を待つ。」
用意された部屋で休んでいると、窓から一通の手紙が届いた。それは、レジデンスの幹部が帰ったという報せだった。
しかし、レーガイルラギトに怪しまれぬよう、宿屋に一晩泊ってから帰ることを手紙に認め、返事を送り返した。
ホールの入口へと戻って来ると、ルナさんの他にレミリーとコウ様、その後ろに先程の教育係が立っていた。
「レミリーさん!無事だったんですね。」
「心配かけてしまったみたいね~。」
「彼女が無事ということは…彼は本当に教育係なのですね?」
「うん。そうみたい。」
「ところでフラン。お前…なんで服が擦れてるんだ?」
「それがその…。」
僕は再び、事の経緯を彼らに説明した。
しばらく経ってパーティはお開きとなり、服を着替え終えた僕達はコウ様と共に食事をする事になった。
「まさか、パーティの賑わいに乗じて暗殺を目論む者が現れるとは思いませんでした。」
先程僕達が捕まえたローブの男は、コウ様の命を狙う暗殺者だという事が明らかになった。
「すみません…コウ様の教育係の方を、暗殺者かもしれないと疑ってしまいました。」
「そのお陰で助かったのですから、むしろ感謝しなければなりません。民を救ってくれただけでなく、私の命も救って下さいました。本当に皆さんには、頭が上がりません。」
「皆が無事で、本当によかったわ~。」
「もう夜も更けましたし、今宵はこちらでお休み下さい。4部屋あれば十分でしょうか?」
「お、お気持ちは有難いですが…!2部屋で十分です!」
「そうですか…。では、2部屋に致しましょう。」
「ラウシュ様。お食事をお持ち致しました。」
扉が開き、食事を載せたワゴンが続々と部屋の中へ運ばれてきた。大きなお皿の上に色鮮やかな野菜や果物が、綺麗に盛り付けてある。
「これは私共の、感謝の気持ちです。お口に合えばいいのですが…。」
「うわぁ…!美味しそう…!」
「お好きな物を好きなだけ、どうぞ召し上がって下さい。」
「お心遣い感謝致します。」
「いただきます~。」
長いテーブルの端に座るコウ様の姿を、どこかで見た事があるような変な感覚がした。
ギルドで暮らしていた頃は、大勢で食事をとる事が日常茶飯事だった。その時の光景が懐かしいのか、それとも無くした記憶の一部なのか。
美味しそうな料理を前に、僕はそれ以上、深く考える事をやめた。
「ちょっと!1日どころか、2日も外泊するなんてどう言う事よ!」
イムーブルへ帰ってきた僕達は、玄関で出迎えたユイさんに怒りの言葉をぶつけられた。
「ごめんね~ユイ。昨日はバタバタしていたから、連絡し損ねちゃったわ~。」
「ごめんね~じゃないわよ!こっちは帰ってくるもんだと思って待ってたのに、中々帰ってこないから心配したのよ!?」
彼女はツヴェルさんの肩を掴み、前後に揺さぶった。それを見たアレクさんが慌てて彼女の腕を掴み、2人を引き離して距離をとった。
「まーまーユイ。みーんな無事に帰ってきたんやから、良かったやないか~。」
「あんたはぐっすり寝られて良かったわね!一睡も出来なかった、あたしの身にもなってみなさいよ!」
「すみませんユイさん!僕が不甲斐ないばっかに、心配をおかけして…。」
「べ、別にあんたの事を心配した訳じゃ…。」
「そうだユイ!お土産にお菓子を買ってきたから、みんなで食べよ!」
「おー!そうやな!お茶入れて一服しよか!」
ルナさんとアレクさんがなんとか彼女をなだめ、ようやく中へ入る事が出来た。
ツヴェルさんとレミリーさんは仕事の報告へ向かい、残された僕達は食堂へと辿り着いた。
ルナさんが持ち帰ったお菓子を机の上に広げ、お茶会という名の女子会が始まった。
「へぇー…。何事があったのかと思ったけど、そんな事があったのね。」
「ビックリする事ばっかりで、あっという間の3日間だったよ~。」
「ほんでも、ルシュ様は見つからなかったんやね。」
「そうなんだよね。色んな人に聞いたりもしたけど、見かけたって人は居なかったの。」
「フランの方は何か思い出せたん?」
「ほんの少しですが、思い出せる事もありました。」
「お!それは良かったやん!この調子で、思い出せるとええなぁ。」
彼は自分の事のように喜び、笑顔を浮かべた。
「ユイ達は、何か変わった事とか無かった?」
「ぜーんぜん。強いて言えば、仕事が溜まってる事くらいかしら?」
「今頃ツヴェル達、ユーリに仕事押し付けられとるかもしれんなぁ…。」
「ユーリさんが仕事を仕切っているんですか?」
「役割的にはそうやな。上下関係は無い言うても、俺じゃそんな大役務まらんし。」
「そうね。あんたに任せてたら幹部どころか、イムーブルごと解散しちゃうわ。」
「情報収集も大事だけど、私達もちゃんとお手伝いしないとだね!」
彼女は僕の方を向き、笑って見せた。
「ルナと依頼をやるのなんて、いつぶりかしらね。」
「確かに…。最後に一緒にやったのはいつだろう?」
「俺もよう覚えとらんなぁ。そもそもフランとは、一緒にやらんかったしな~。」
「え?そうなんですか?」
彼とは仲がいい方だと思っていたので、彼の言葉は予想外だった。
「あたし達が上級クラスにあがる頃には、もう幹部になってたものね。」
「そう言えばそうだったね…。でも、ユイとアレクは、幹部になるの早くなかった?」
「せやなぁ!中級から上級になるんは大変やったけど、上級から幹部は早かったよなぁ?」
「それは、ユーリとツヴェルが推薦してくれたからよ。2人のおかげで幹部になれたようなもの…」
ーガチャ!
話をしていると、食堂の扉が勢いよく開かれた。
「ちょっ…ユーリ!そんなに慌ててどうしたん?」
「大変!これから…っ…ヴァン様とレム様が…こっち…来るって…!」
「じゃ、じゃあ私達、隠れないと!」
ツヴェルさんから聞いた話では、僕とルナさんは死亡した事になっているらしい。ルナさんはステラ様の一部である事を、僕は人間になった事を隠す為にそうしたのだと言う。
「物置部屋に隠れたら大丈夫やろか!?流石に開けたりせーへんやろ?」
「気配とか感じ取られたらどうするのよ!物音立てたら一発アウトだわ!」
「俺様がこいつを連れて転移する。奴等が帰ったら連絡しろ。」
「お、おう!わかったで!」
俺は小娘の腕を掴み、転移魔法を発動した。
「ねぇルドルフ。どうしてここに?」
俺が転移先に選んだのは、ヴィエトルだった。
「ここなら人目も少ない。何か問題でもあるのか?」
「そういう訳じゃないよ!ありがとうルドルフ。」
「目を閉じろ。」
「へ?」
「いいから早くしろ。」
「う、うん。」
人気のない森の中で、俺達は姿を変えた。先程のように、レジデンスの幹部に会ったら面倒な事になるからだ。
「これでいいだろう。」
「あ、見た目を変えたんだね!」
小娘は俺の顔を見て、自分の身に起こった事を理解したようだ。
「ねぇねぇ!せっかくヴィエトルに来たんだし、村の方に行ってみようよ。」
「下手に動き回るな。少しくらい、じっとしていろ。」
「フランに村の中を見せてあげたら、何か思い出せるかもしれないでしょ?ヴェラの情報だって知りたいし。」
「…。」
「少しだけ!ね?」
「本当に少しだろうな?」
「もちろん!皆からの連絡が来たらすぐ帰るよ。」
「はぁ…面倒な事になったな。」
前を歩く娘の後を渋々ついて行くと、開けた場所に家が建っているのが見えた。
「ここは誰の家だろう?集落から少し離れてるみたいだけど…。」
「山小屋のようだな。人が住んでいる気配はない。」
「へぇ~…山小屋かぁ…。」
「あれ?君達…ちょっといいかな?」
男の声が聞こえ、ゆっくりと後ろを振り返った。
「レ…!?」
「俺達に何か御用ですか?」
声の主は、レジデンスの幹部であるレーガイルラギトだった。俺は平然を装いながら、出来る限り丁寧に受け答えした。
「僕はレーガイルラギトって言うんだ。君達の名前は?」
「ルドー…ルドーフィルランです。こっちは妹の、ナルです。」
「は、初めまして!」
「元気があって可愛い妹さんだね。ところで…ちょっと聞きたいんだけど、この辺りで小さな男の子を見なかったかな?」
「いいえ。見ていません。」
「何かあったんですか?」
「いや、見てないならいいんだ。突然呼び止めてごめんね。もうすぐ日も暮れるし、村まで送るよ。」
「いえ…俺達は…」
「丁度僕も帰る所だったから、そのついでだし気にしないで。さ、帰ろう。」
「は、はい!」
奴のペースに流され、無理矢理同行する事になった。
「君達は何しにここへ来たの?この村の住人じゃないよね?」
「俺達、山を登るのが好きなんです。ヴィエトルには何度か来た事があります。」
「へぇ~。山登りかぁ~。身体を動かすのが好きなんだね。」
「ラギ…レーガさんは、何をしにいらしたんですか?」
「僕はちょっと頼まれ事をしててね。人を探してるんだ。」
「さっき俺達に聞いた、小さな男の子ですか?」
「ごめんね。あんまり詳しく話しちゃいけない決まりなんだ。僕はこの辺で失礼するよ。またね、ナルちゃん。」
「はい…お元気で!」
奴は手を振りながら、広場の方へと去って行った。
「びっ…くりしたぁ…。まさかレーガがいるなん…」
「あまり喋るな。どこで誰に聞かれているか分からん。」
「ご、ごめん!気をつけるね…。」
「ひとまず宿屋にでも行くか。そこで連絡を待つ。」
用意された部屋で休んでいると、窓から一通の手紙が届いた。それは、レジデンスの幹部が帰ったという報せだった。
しかし、レーガイルラギトに怪しまれぬよう、宿屋に一晩泊ってから帰ることを手紙に認め、返事を送り返した。
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