エテルノ・レガーメ

りくあ

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第16章︰2人で

第150話

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「それでね?街中で迷子になった女の子が、王子様とばったり出会うんだけど…」

あれから数日が経ち、夜中に部屋を訪れたフランに、読んだ本の話を聞かせていた。最近は、ルナに勧められた童話を寝る前に読むようになり、僕も遅くまで起きている事が多くなったのだ。

「ね?びっくりでしょ?」

彼は僕の問いに答えるように、首を縦に振った。もう何度も部屋に来ている彼は、何を喋る訳でもないが、紅茶を飲みながら僕の話に耳を傾けている。そんな彼にも、ちょっとした変化が見られるようになった。

「あ、これ?最近、植物に興味があって、部屋で育ててるんだよ。」

彼は壁際に置かれていたブルートの鉢植えを指さした。何か気になる物があると、こうして指をさして問いかけるようになったのだ。飲みたいと思う方の紅茶を選んだり、髪の毛についたゴミを教えてくれたりと、少しづつではあるが、彼にも自我が芽生えて来たように思える。

「こっちの苗木はブルートって言って、山の方にあるヴィエトル村から枝を貰ってきたんだ。その枝を鉢植えの土に差して、育つ為に必要な光と水を与えてるの。ガラスの箱に入れてるのは、管理をしやすくする為だよ。空気を薄くして、標高の高い場所に近い状態を維持してるんだ。」

彼は眉間に皺を寄せ、首を傾げた。

「あはは。ちょっとフランには難しかったかな?その隣にあるのはアスルフロルだよ。同じガラスの箱に入れてるけど、布を被せて光を少なくしてるんだ。綺麗な空気と水を好むから、育てるのがすごく大変なんだよね。でも、その分育てがいがあって…」

話の途中、彼は目を細めながら口を大きく開いた。

「あ、そろそろ寝る?ついつい話し込んじゃった…ごめんね?」

彼は首を横に振ると、その場に立ち上がって扉の方へ歩いて行った。

「また来てね。」

彼に向かって手を振ると、彼も同じように小さく手を振った。未だに喋る様子は見られないが、少しづつ僕に対して心を開き始めているように思えた。



「ルナ、ミグ。ちょっといい?」

翌朝、自室のベッドに座り、彼等を身体の外へ呼び出した。

「どうかした?」
「少し前、僕にして欲しい事がないか2人に聞いたの覚えてる?」
「あー。翻訳を頑張ったお礼に、俺等がして欲しい事をルカがしてくれるってやつか?」
「そうそう。翻訳もほぼ終わったみたいだし、2人の考えを聞きたいなと思って。何か思い付いた事はあった?」
「一応考えてたよ!私は、サトラテールにある、海に行ってみたい!前にラヴィが言ってたんだけど、サトラテールの海は珊瑚の群生地なんだって。それを見に行きたいなぁ~。」
「海かぁ~…。今は暖かいし、悪くないかもね。ミグは?」
「なるほど…遠出するって言う手があったか。正直俺は何も思いつかなくて、ダメ元で魔法でも教えてもらおうかと…」
「えーミグが魔法?似合わ…」
「お前は黙ってろ!…そうだな。ルナがサトラテールに行きたいなら、俺もミッド城に行ってテトに顔でもみせるかな。」
「ならサトラテールに行こう…!今から!」
「え、今から?」
「仕事は無いから大丈夫だろ。俺はルカに任せる。」
「私も、ルカがそれでいいなら従うよ!」
「じゃあ決まりだね!」

まずは海の場所を調べる為に、ギルドへ向かう事にした。



「あ、ようこそギル…」
「あ!イルム~。久しぶり!」
「え…ルカくん!?どうしてここに!?」

入口の扉を開くと、掃除をしているイルムに出会った。彼女は慌ててこちらに駆け寄り、その途中で木箱に躓いて床に倒れ込んだ。

「いったぁ~…。」
「だ、大丈夫?」
「あはは…ごめんね。」

手を差し出すと、後ろから伸びて来た別の手が彼女の腕を掴んだ。

「全く…。怪我はないか?」
「え?あ!ミグくん!」
「イルムー!元気だった?」
「わぁ…ルナまで!みんな、今日は何しに…」
「ちょっとイルム~?大丈…あら~!ルカくんじゃない~。」

彼女が倒れた音を聞き付け、廊下の奥からシェリアさんが姿を現した。

「シェリアさん!おはようございます。すいません…突然押しかけて来て…。」
「何言ってるのよ~。ここはあなたの家でしょう~?お兄様が会いたがってたわ。きっと部屋にいると思うから、顔を見せてあげて~?」
「わかりました!」

階段を上り、彼の部屋の扉を叩いて中に足を踏み入れた。

「何か用…って、ルカ!」
「えっと…ただいま戻りました!」
「おかえり。わざわざ遠くから帰ってきてくれたんだね。何かギルドに用事が?」
「あ、はい!色々と話したい事とか…聞きたい事があって!」
「そっか。じゃあ…とりあえず座りなよ。イルム、お茶持ってきてくれる?」
「は、はい…!只今!」

彼女の用意した紅茶を飲みながら、ミグとルナを交えて話を始めた。彼には、2人が生きていた事やフランの話を手紙で伝えていたが、話したい事は山程あった。

「そっか。色々と頑張ってるねルカ。」
「い、いえ…!クラーレさんに比べたら、僕なんて全然…」
「なぁルカ。積もる話もあるだろうけど、本来の目的を忘れてないか?」

隣に座るミグの問いかけに、忘れかけていたギルドを訪れた目的を思い出した。

「あ、そうだった!あの、クラーレさん。僕達、海を見に行きたいんですけど、場所を教えてもらえませんか?」
「それなら案内しようか?口で言うより、実際に行った方がわかりやすいと思うし。」
「えぇ!?クラーレさんには仕事があるじゃないですか…!僕達は旅行気分で来たのに、それに巻き込むなんて駄目です!」
「ちょっとくらい平気だよ。僕が居なくても、シェリアが上手くやってくれるし。」
「けど…」

僕は彼が、忙しそうに書類を眺めている所を何度も目撃していた。朝食を食べながら届いた依頼に目を通し、時間のかかる依頼の時は昼食や夕食を食べない日もあった。僕達ギルドメンバーには見えない所で、マスターである彼が色々と苦労しているのを僕は知っている。

「ありがとうクラーレ!じゃあ…案内お願いしちゃおうかな?」
「え?ちょっと…ルナ!」
「ルナならそう言ってくれると思ってたよ~。しばらく海には行ってないから、ちょっと息抜きしたいと思ってたんよね。」
「息抜き…ですか?」
「そう。たまには、仕事をサボりたくなる時もあるんだよね~。あ、他のみんなには内緒だよ?特に、シェリアにバレると怒られちゃうから。」
「あはは…!わかりました。」
「それじゃ、バレないうちに早く行こ!」

こうして、クラーレさんの案内でサトラテールの海を目指して街の中へ歩き出した。 



「わぁ…海だー!」

賑やかな大通りを抜けた先に、青い海と白い砂浜が広がっていた。それを見たルナは、両手を大きく上にあげて目を輝かせている。

「なんで叫ぶんだよ…。山じゃあるまいし。」
「えー?なんとなく叫びたくならない?海ってすごく広いから、開放的な気分になるんだよね!」
「ルナは海が好きなの?」
「うん!ルカは好きじゃないの?」
「え?あー…見るのは好きだよ!」
「ほんと、海って綺麗だよね!…あ!もしかしてあれが珊瑚かな…!?」
「あ、こらルナ!危ないから走るな!」
 
突然走り出した彼女を追いかけて、隣に立っていたミグも砂浜の上を走り出した。

「2人共ー!あんまり離れないでよ~?」
「ルカは行かないの?」
「あ、えっと…水は苦手なんです。少しづつ慣れてきたとは思うんですけど…まだちょっと怖くて…。」
「それは知らなかったな。じゃあ一緒に、近くまで行って2人の事を見てよっか。」
「そ、そうですね…!」

波の押し寄せる海辺に向かって歩いて行くと、浅瀬に立つ2人の姿を見つけた。

「何してるの?」
「あ、ルカ!見て見て!綺麗な珊瑚が沢山あるよ!」

彼女は海の中に手を入れて、薄いピンク色の珊瑚を僕に向かって差し出した。

「ルナ。あんまり珊瑚を取ったら駄目だよ?」
「え?どうして?」
「珊瑚は、海の水を綺麗にしてくれるんだ。本で目にしただけだから、細かい原理はどうだったか忘れちゃったけどね。」
「そうなの!?…じゃあ、悪い事しちゃった…。」
「大丈夫だよルナ。ちょっとそれ、貸してくれる?」
「う、うん…。」

彼女から手のひらサイズの珊瑚を受け取ると、両手で包み込むようにして握りしめた。

「珊瑚は死んだ後、バラバラに砕けて白い砂になるんだ。白砂は、太陽の光を反射して海の色を鮮やかに見せてくれるんだよ。」

手の中で砕いた珊瑚の砂を、海に向かって撒き散らした。光り輝く白砂は、水音を立てて海の中へ沈んでいく。

「詳しいなルカ。珊瑚の事、知ってたのか?」
「うん。前に本で読んだ事があって。珊瑚は海にとって欠かせないものだけど、少しづつ量が減って来てるんだ。サトラテールみたいに、沢山残ってる所は珍しいんじゃないかな?」
「だからここには船が入れない様になってるんだね…。今度からは、綺麗だからって珊瑚を取らないように気をつけなきゃ…。」
「もう充分見ただろ?そろそろ戻ろうぜ。」
「じゃあ次はミッド城だね。」
「今度はお城に行くの?あ、テト様に会いに?」
「はい。ミグが、テト様に挨拶をしたいと言うので。」
「そういう事なら、僕はギルドに戻るよ。時間があったら、またいつでもおいで。」
「案内ありがとうございましたクラーレさん。」

街の大通りで彼と別れると、離れた所にそびえ立つお城を目指して歩き出した。



「お城に来るの、すごく久しぶりだね!」
「ほんとだな。俺もルナとギルドに行ってから、こっちには帰って来なかったし…それ以来か。」
「あ、そうだミグ。お城にはどうやって入ったらいいかな?」
「………。」

先頭を歩く彼は僕の問いに答える事なく、その場に立ち止まった。

「ミグ?」
「…悪い。そこまで考えてなかった。」
「えぇ!?」
「で、でも!ミグが名乗って顔を見せたら、通れそうじゃない?」
「俺はもう死んだ事になってるだろ?話がややこしくなるから、それはやめた方がいい。」
「うーん…。なら、どうやってテト様に会いに行…」
「ミグ…!ルナ…!」

後ろを振り返ると、馬車の窓から顔を出しているテト様の姿を見つけた。彼に促されて馬車に乗り込むと、大きな門をくぐり抜けてお城の敷地内へ入っていった。

「2人と会えるなんて嬉しいな。色々、話を聞かせてよ。」
「もちろん!ね、ミグ?」
「話す事なんて、そんなにないと思うけどな。」
「相変わらずミグは冷たいなぁ~。あ、そうだ!シグにも挨拶していきなよ。せっかくこっちに来たんだし、手ぐらい合わせたら?」
「…そうだな。」

彼の父親のジグルズさんは、既に亡くなっている。ミグが使い魔になってから、彼のお墓に訪れる機会がなく、今までろくに挨拶も出来ていなかった。



庭の奥へ歩いて行くと、大きな石碑と小さな石碑が並んで立っているのが見えた。

「王妃様と並んで墓に入れるなんて、親父は幸せもんだな。」
「母様もきっと喜んでるよ。シグは、母様の事もよく気にかけてくれてたからね。」

石碑の前に並んで立つ2人の姿を見て、嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになった。

「ねぇミグ。僕とルナは、庭を散歩して来てもいいかな?2人でゆっくり話をしなよ。」
「…わかった。そうする。」
「僕達は、話が落ち着いたら部屋で待ってるよ。2人も、後で僕の部屋に来てくれる?」
「うん。わかった!また後でね。」

2人に気を遣い、ルナと共に庭の方へ歩き出した。



「ミグ、悲しそうだったね。」
「うん…そうだね。」
「私達の親って、どんな人だったんだろう?」

隣を歩く彼女は、遠くの方をぼんやりと眺めながら、ぽつりと呟いた。

「ステラの親って事?そう言われると…僕も覚えてないから、よくわからないや。」
「私も、レジデンスに行く前の事は何も覚えてないんだよねぇ…。いつになったら思い出せるんだろう?」
「まぁ…記憶が無くて困る事は何も無いし…僕は、思い出せたらいいな~くらいに思ってるよ。」
「そっか。そうだね!」
「そろそろ、テト様の部屋に行く?」
「うーん。ちょっと遅くなるくらいの方がいいんじゃないかな?あ、そうだ!元々私の部屋だった所が、どうなってるか気になるから見に行ってもいい?」
「もちろんいいよ!じゃあ行こっか。」



庭を抜けて建物の中に足を踏み入れると、階段を上って彼女の部屋を目指した。

「待ってルナ。そっちは食堂だよ?」
「え?なんでルカが知ってるの?」
「この間、夢の中で城の中を歩き回ったんだ。なんとなくだけど、ルナの部屋の場所は覚えてるよ。たしか…こっちだったと思う。」

僕は彼女を追い抜くと、突き当たりの廊下を左へと歩き出した。

「来た事ない場所の夢を見るなんて、不思議だね…。あ。歩いたんだったら、転移は出来ないの?」
「それは無理だと思う。夢の中で歩いてても、夢は単純に見たっていうだけだから…歩いた事にはならないんじゃないかな?」
「そっか~。お城って広くてとっても綺麗だけど、そういう所が不便だよねぇ~。」
「着いたよ。ここがルナの部屋だったはず!」
「入ろ入ろ!」

扉を開けて中に入ると、そこは間違いなく夢の中で目にした彼女の部屋そのものだった。

「わぁ~…!そのままになってる!懐かしいなぁ。」
「ルナがお城に住んでたなんて、夢で聞いて初めて知ったよ。ミグと会ったのも、丁度その時だったよね?」
「え?うん…そうだけど…。どうしてそんなに詳しいの?」 
「あ、その…。実は、ルナの日記を…読んだんだよね。あ、でも!ちょっとだけだよ!それに、実際に読み上げたのはシェリアさんだったし…!」
「日記?私、日記なんて書いた覚えないよ?」
「え?」

僕が見た夢の中では、次なる場所へ向かう為の手掛かりとして、彼女の日記に記された場所を歩き回った記憶がある。しかし、日記を書いた彼女自身が、日記の存在を覚えていないらしい。

「変だなぁ…。確かに机の上にあったのに…。」
「まぁ…日記なんてどうでもいいじゃん!そろそろテトの部屋に行こ?待ってるかもしれないし。」
「うん…。そうだね。」

テト様の部屋を訪ねると、用意された紅茶を飲みながらしばらくの間、談話を楽しんだ。



「今日は来てくれてありがとう。ゆっくり話が出来て楽しかったよ。」

門の前で、見送りに来たテト様と軽く握手を交わした。

「私も楽しかった!次はいつ来れるかわかんないけど…また来るね!」
「先に言っとくけど、俺はもう来るつもりないからな?」
「え!なんで来ないの!?」
「俺は、必要とされてる場所で自分に出来る事をやる。親父には挨拶したし、お前に俺はもう必要ない。」
「…ミグならそういうと思ってた。けどやっぱり、どうしてるか気になるからたまに手紙をくれると嬉しいな。」
「気が向いたらな。」
「うん。待ってるよ。」
「ではテト様…またお時間のある時に。」
「ありがとうルカくん。またね。」

別れの挨拶を済ませ、魔法を唱えてレジデンスへ戻って行った。
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