エテルノ・レガーメ

りくあ

文字の大きさ
上 下
152 / 165
第16章︰2人で

第145話

しおりを挟む
「っ…。」

頭の痛みと共に、ベッドの上で目を覚ました。机の上に置かれた瓶の山を見て、そこは夢ではなくレジデンスの自室である事が伺える。

「ミグ…ルナ…いる?」
「目が覚めたか。」
  
2人の名前を口にすると、ミグが部屋の中に姿を現した。彼は僕の元へ近付き、ベッドの端に腰を下ろした。

「顔色が悪いな…どこか痛むのか?」
「ちょっと頭が痛いだけ…。それより、アリサはどうなった…?」
「アリサは無事だ。ウナがミラ様の元に連れて行ったよ。」
「よかった…。」
「いや、良くない。」
「え!?な、何か問題でも起き…」

すると彼は両腕を伸ばして、僕の頬を掴んだ。

「ふぁ…!?」
「何がよかっただよ!突っ込んでくる熊の前に、飛び出したりするか普通!?」

掴んだ頬を縦に振り始め、それに合わせて顔が上下に大きく揺れる。

「いふぁいいふぁい!いふぁいふぉみふ!(痛い痛い!痛いよミグ!)」
「少し懲らしめてやらないと、お前はわからないだろうからな。今日という今日は覚悟しろ!」
「ふぇぇー!?もふやめふぇお!(えぇー!?もうやめてよ!)」
「ちょっとミグ!やめなよ!」
 
ベッドの上に突如現れたルナが、僕の腕を強く引いた。すると彼の手から頬が離れ、両頬に痛みが走った。

「いっ……たぁ…。」
「あ、ごめんルカ…大丈夫?」
「だ、大丈夫…。」
「何しに来たんだよルナ。お前はアリサの本を読んでたんだろ?」
「主のピンチに駆けつけたの!これもれっきとした、使い魔の役目で…」
「はいはいわかったよ。邪魔者は退散すればいいんだろ?」
「何も邪魔って言った訳じゃ…」

彼女の言葉を聞き終わる前に、彼は身体の中へと戻って行ってしまった。

「もう…ミグっていつも、人の話を最後まで聞かないんだから…!」
「なんかミグ、不機嫌だったね。…喧嘩でもした?」
「ううん。してないよ?」
「そう…。」
「あ、そーだ。アリサがくれた本、ちゃんと身体の中に保管してるから心配しないでね。少しずつだけど翻訳してまとめてるから、時間がかかると思うけど…。」
「ありがとう。こっちは僕1人で大丈夫だから、ルナはそっちに専念してくれる?」
「わかった!じゃあまた後でね。」

2人が身体の中へ戻った後、部屋を出てヴェラの元へ向かった。



「ふぅん…夢の中でそんな事があったのね。」

彼女も夢の中に出てきた内の1人だが、どうやら彼女はその事を覚えていないらしい。いつも素っ気ない態度をしている彼女が、僕の話を興味深そうに聞いてくれた。

「それで、持ち帰った本をルナが翻訳してる所なんだ。」
「内容次第だけど、多分その薬を再現するのは無理ね。」
「え、どうして!?」

薬改良の手がかりになると思っていたはずが、彼女の口からまさかの言葉が発せられた。

「アリサが知っている薬なら、かなり昔に作られた物のはずだからよ。」
「昔の物だと、何か問題があるの?」
「昔は使っていたのに、今は使っていない理由はなんだと思う?」
「えー…っと…。」
「…ま、理由は説明しなくても、本の翻訳が進めばわかるようになるわ。」
「ええ~。そんな言い方されると余計気になるよ!」
「つべこべ言わず、これをライガに持っていきなさい。」
「はぁーい…。」

彼女から受け取った報告書の束を腕に抱え、ライガの部屋へ向かった。廊下を歩いていると、階段の側に彼の後ろ姿を見つけた。

「あ、ライ…」

声をかけると、彼はゆっくり後ろを振り返った。すると、彼に隠れて見えなかったフランが姿を現し、驚きの余り言葉を失った。

「ルカか。どうした?」
「あ、えっと…これ、報告書です…!」
「これ全部か…?全く…こんなに溜め込んで…。」
「す、すいません…。」
「どうせヴェラのせいだろう?俺からあいつに注意しておく。お前は気にしなくていい。」
「はい…わかりました。」

側に立つフランを横目で見ると、僕とライガのやり取りを黙って見つめている。僕はその瞳が、左右違う色をしている事に疑問を抱いていた。

「…他にも何か話があるのか?」
「あ、いえ…!しばらくフランに会ってなかったので、元気かなーって思っ…」
「うん。元気だよ。」
「うぇ!?」

話さないと思っていた彼が、僕の問いに言葉を返した。
フランは言葉を失ってしまい、言葉を話すとしたらルドルフしか有り得ない。しかし、彼の普段の口調からは考えられない程、柔軟な言葉を発した事に驚いた。

「なんだその情けない声は…。」
「な、なんで…フラン話せて…」
「なんでって言われても…。口があれば話せるよね?」
「いや、そういう事じゃなくて…!」
「落ち着け。何をそんなに驚いている。」
「それは…その…。」
「…まぁいい。用が済んだのなら部屋に戻れ。フランももう、戻っていいぞ。」
「はいヴァン様。」

彼は軽く頭を下げ、身体を捻って廊下を歩き出した。慌てて彼の後ろをついて行き、その細い腕を掴んだ。

「ねぇフラン!いつの間に喋るようになって…」

すると彼は僕の手を振り払い、こちらに身体を向けた。

「触らないでくれる?僕、触られるの嫌いなんだ。」
「え…フラン…?」
「フランだってわかってるのに名前を聞くの?変な人だね君は。」
「話せるって事は…ルドルフなんだよね?どうしてルドルフがフランになりきって喋ってるの!?」
「僕はフランだって言ったはずだよ?ルドルフなんて奴は居ない。」

優しさの中に棘を感じる喋り方は、やはりフランではないと僕は確信した。

「…やっぱりルドルフなんだね。どうしてフランの真似みたいな事…!」
「真似なんかじゃない!僕は僕だ!」
「っ…。」

彼は声を荒らげて僕を睨みつけた。左の青い瞳が赤みを増し、紫色に変色している。彼は自分がルドルフである事を否定しているが、その目を見てフランだとは思えなかった。

「…ルドルフなんて僕は知らない。用事がないなら、これ以上僕に関わらないで。」

彼は言葉を吐き捨て、再び廊下を歩き出した。
部屋に戻った僕は、特にする事も無くベッドの上で目を閉じた。



「あ、ルカ!おかえり。」

階段を降りると、ソファーに座って本を読んでいるルナの姿を見つけた。夢の中ではよくある光景で、彼女は出入口近くに座っていることが多い。
テーブルの上には紅茶の他に、紙の束とインクの入った瓶が置かれていた。彼女の向かい側にはミグの姿もあり、彼はインクのついた筆を持っている。

「何してるの?」
「見て分からないか?アリサの本を翻訳して、紙にまとめてるんだ。」
「ちょっとミグ!ルカを馬鹿にしてるみたいな言い方やめてよ。」
「べ、別に馬鹿にした訳じゃない。…悪いなルカ。」
「ううん!僕の方こそごめん…。本の事、2人に任せきりにしちゃって…。」
「そんな事気にしないでよ~。私は嬉しいよ?ルカの役に立ってるなーって思えるし、私にしか出来ない事だからね!一生懸命頑張るよ!」
「ありがとうルナ。あ、そうだ!2人が頑張ってくれてるお礼に、2人がして欲しい事を僕がしてあげるのはどう?」
「ルカにして欲しい事?んー…すぐには思いつかないなぁ。」
「とにかくなんでも、思い付いたら教えて?無理そうだったら、別のを考えてもらうしかないけど…。」
「わかった!考えておくね。あ、そうそう。まだまとめきれてないけど…アネミーオについてわかった事、話しておいてもいい?」
「うん。お願い!」

アネミーオは、ステラやアリサが生きていた時代に生まれた貧血の薬だ。血の生成を促進して足りなくなった分を補う事ができ、目立った副作用も見られないらしい。

「この辺は、前にアリサが言ってた事だね。」
「うん。それでさっき、材料は何を使ってるかわかったんだけど、ほとんどメタンギシスと変わらないみたい。ただ…」
「ただ?」
「メタンギシスを作る材料の他に、ブルートとアスルフロルを使うみたいなの。」
「え!ブルートは、ヴィエトルに行けばあるかもしれないけど…。アスルフロルは、その辺に咲いてるような花じゃないよね?」

ブルートはヴィエトル名産の木の実で、以前その実を取りに行った事があった。しかし、アスルフロルは様々な条件が整った環境で、夜にしか花を咲かせる事のない貴重な薬草だ。別名、幻の花と言われる程、その存在自体が不確かな物で僕自身も夢の中でしか見た事がない。

「そもそもブルートだってヴィエトル周辺にしかないし、大量にある訳でもないだろ?俺が思うに…薬の効果は良くても、ブルートとアスルフロルが貴重すぎて、安易に出回らなかったんだろうな。」
「それで…その2つが省かれた、メタンギシスが開発されたって事なのかな?」
「俺がそう思ってるだけだ。詳しい事は、本を読み進めないとわからない。」
「そうだね…。ありがとう2人共。引き続きお願いね。」
「うん!任せて!」

彼女は胸を張り、自信満々にそう言った。こういう時、彼女はすごく頼りになる存在だ。少しそそっかしい部分もあるが、そこはしっかり者のミグがカバーしてくれるはずだ。

「ところでこのお菓子…いつもと違った味がするね。」
「お、美味しい?」
「え?うん…美味しいけど…」
「よかった~。実はそれ、私が作ったんだよね。紅茶の入れ方を覚えたから、今度はお菓子に挑戦しようかと思って!」
「へぇ~!そうなんだ。」
「俺とルナの菓子、どっちが美味いと思う?」

彼は唐突に、そんな質問をぶつけてきた。僕はどう答えるかしばらく悩み、言葉を返した。

「……同じくらい…かな?」
「同じかぁ…。」
「お前、どっちにも良いように気を遣ってそう言ってないか?」
「そ、それぞれの良さがあるって事だよ!ミグのは柔らかくて甘みがあるけど、ルナのは硬さがあって甘さ控えめな感じで…」
「全く正反対じゃないか…。お前の好みはどうなんだ?」
「うーん…クッキーだったら、硬めで甘い方が好きかな。」
「なるほど…。それなら同じくらいって言うのも納得だな…。」
「ルカは甘いのが好きなんだね!じゃあ今度は、ケーキに挑戦しようかな。どっちがルカ好みのお菓子を作れるか、勝負だねミグ!」
「え?勝負?」
「俺に菓子作りで勝負を挑むのは間違ってるだろ。俺が勝つに決まってる。」
「言ったなー!絶対勝ってみせるんだから!」
「な、なんでこんな話の展開に…。」

彼等は元々、吸血鬼と使い魔という関係で、僕が間に入る隙がないくらい仲が良かった。しかし今では2人揃って僕の使い魔となり、争っている事が増えた気がする。僕としては3人で仲良くしたい思っているのだが、2人の気持ちがすれ違っているように思えた。

「あ、もちろんお菓子は趣味の範囲でやるよ?本の翻訳が最優先だからね!」
「それはわかってるけど…」
「今日はここまでにしようぜ。あんまり長時間やるのも効率悪いだろ。」
「なら、ちょっと外の空気吸ってくるね。」
「ん。気をつけてな。」
「はーい。」

彼女が家から去った後、調理場へ向かったミグの元へ駆け寄った。 

「あのさミグ…ちょっといい?」
「なんだ?」
「なんか…ルナとミグ、仲悪くなった…?」
「は?そんな事ないと思うけど?」
「いやだって…気がついたら言い争ってたり、競い合ってたりするから…。」
「あぁ…。ただ単に、譲り合えないだけじゃないか?」
「え?どういう事?」
「俺は元々使い魔だっただろ?…まぁ、お前じゃなくてルナのだけど。つまり俺の方が先輩で、経験も上な訳だ。」
「うん…それで?」
「使い魔になったばかりのルナじゃ、上手くルカを守れないだろ?守りたい気持ちはあるのに、上手くいかないって言うのは焦ったり落ち込んだりする。さらには俺がいるから、自分の出番が少なくなるだろうな。」
「確かにそうだね…。」
「そうすると、ルナは俺より上を目指したがる。自分に出来ない事を出来るようにして、ルカの役に立とうとしてるんだ。」 
「それで…譲り合えないって言うのは?」
「俺とルナ、どっちもルカを守りたいっていう気持ちが譲れないんだ。だから別に仲が悪いとか喧嘩してるとか、そういう訳じゃない。」
「なるほど…そうなんだ…。…って、2人がこうなったのは僕のせいなの!? 」
「まぁそうなるな。」
「僕は…3人で仲良くしたいって思ってるのに…。」
「ルナがあの調子じゃ無理だな。やめろとは言えないし…」 
「じゃあ…ミグがルナの立場だったらどう思う?自分よりルナの方が優れてると仮定してだけど…。」
「そうだな…。ルナが出来ない事を見つけて、俺がそれをやれればいいかなって思…」
「それだよミグ!ルナにしか出来ない事があるじゃん!」
「本当か?なら、それをルナに話してやれよ。そしたら今よりはマシになるはずだ。」
「わかった!ルナは外だよね?ちょっと行ってくる!」

僕は急いで家を飛び出し、真っ直ぐ伸びている道を歩き始めた。するとその先に、遠くを眺めているルナを見つけて近づいた。

「ルナー!」
「あれ?ルカ…どうしたの?」
「ルナこそ何してるの?」
「月と星を見てたの。あ、でもさ、あの月ちょっと変だよね。いつも丸いし月にしては白っぽいし…」
「僕がルナの中にいた時は、三日月みたいな形の太陽だったよ?周りは暗いから月みたいに見えるけど、多分あれは太陽なんじゃないかな?」
「明るくない太陽なんてあるの?」
「夢の中だからだと思うけど…。普通じゃありえないし。」
「そっか…そうだよね。」

彼女は僕から視線を外し、再び空を見上げた。月明かりのような、ほんのりとした明かりに照らされた彼女の顔は、どこか寂しそうな印象を受ける。

「ルナ。ここで生活するのは慣れた?」
「あ、うん。だいぶ慣れて来たよ。」
「その…暗くて怖くない?僕がここに来る時、いつも夜な気がするんだけど…」
「ここはずっと夜みたいだよ?だからかな…暗くてもそんなに怖いって思わないの。」
「そうなんだ…ならよかった!」
「…私ってそんなに頼りないかな?」
「そんな事ないよ!ただ…僕は…」
「僕は?」
「ルナに守って欲しい訳じゃないんだ。守る為に前を立たれるより、一緒に頑張ろうって隣に立っていて欲しいって思う。」
「え?」
「ルナは頑張ってミグに並ぼうとしてない?ミグと張り合って、無理に僕の前に立とうとしてる気がするんだ。」
「それは…。」
「僕はミグとルナ、それぞれにいい所があると思ってる。ルナはミグになる必要はないんだよ?その…上手く言えないけど…。ルナと喋ってると、それだけで嬉しいし…癒されるって言うか…」
「ルカ…。」
「と、とにかく!2人が競い合ってるのは、あまり見たくないなって事…!それだけ言いたくて…」
「…ありがとうルカ。競ってるつもりは無かったんだけど…ルカが嫌ならやめておく!」
「うん…そうしてくれると嬉しいかな。」
「あ、でもケーキは作るよ?ミグに教わってね!2人でルカの好きそうなケーキ作るから、楽しみにしててね。」
「ありがとう…!」

それからしばらく、空に浮かぶ太陽と星を2人で眺めた。彼女は僕の隣に座り、同じように空を見上げている。
常に前に立って守ってくれるミグは頼もしいが、彼女はこうやって隣に居てくれるだけで、不思議と心強く感じるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

お飾り王妃の受難〜陛下からの溺愛?!ちょっと意味がわからないのですが〜

湊未来
恋愛
 王に見捨てられた王妃。それが、貴族社会の認識だった。  二脚並べられた玉座に座る王と王妃は、微笑み合う事も、会話を交わす事もなければ、目を合わす事すらしない。そんな二人の様子に王妃ティアナは、いつしか『お飾り王妃』と呼ばれるようになっていた。  そんな中、暗躍する貴族達。彼らの行動は徐々にエスカレートして行き、王妃が参加する夜会であろうとお構いなしに娘を王に、けしかける。  王の周りに沢山の美しい蝶が群がる様子を見つめ、ティアナは考えていた。 『よっしゃ‼︎ お飾り王妃なら、何したって良いわよね。だって、私の存在は空気みたいなものだから………』  1年後……  王宮で働く侍女達の間で囁かれるある噂。 『王妃の間には恋のキューピッドがいる』  王妃付き侍女の間に届けられる大量の手紙を前に侍女頭は頭を抱えていた。 「ティアナ様!この手紙の山どうするんですか⁈ 流石に、さばききれませんよ‼︎」 「まぁまぁ。そんなに怒らないの。皆様、色々とお悩みがあるようだし、昔も今も恋愛事は有益な情報を得る糧よ。あと、ここでは王妃ティアナではなく新人侍女ティナでしょ」 ……あら?   この筆跡、陛下のものではなくって?  まさかね……  一通の手紙から始まる恋物語。いや、違う……  お飾り王妃による無自覚プチざまぁが始まる。  愛しい王妃を前にすると無口になってしまう王と、お飾り王妃と勘違いしたティアナのすれ違いラブコメディ&ミステリー

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...