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第16章︰2人で
第145話
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「っ…。」
頭の痛みと共に、ベッドの上で目を覚ました。机の上に置かれた瓶の山を見て、そこは夢ではなくレジデンスの自室である事が伺える。
「ミグ…ルナ…いる?」
「目が覚めたか。」
2人の名前を口にすると、ミグが部屋の中に姿を現した。彼は僕の元へ近付き、ベッドの端に腰を下ろした。
「顔色が悪いな…どこか痛むのか?」
「ちょっと頭が痛いだけ…。それより、アリサはどうなった…?」
「アリサは無事だ。ウナがミラ様の元に連れて行ったよ。」
「よかった…。」
「いや、良くない。」
「え!?な、何か問題でも起き…」
すると彼は両腕を伸ばして、僕の頬を掴んだ。
「ふぁ…!?」
「何がよかっただよ!突っ込んでくる熊の前に、飛び出したりするか普通!?」
掴んだ頬を縦に振り始め、それに合わせて顔が上下に大きく揺れる。
「いふぁいいふぁい!いふぁいふぉみふ!(痛い痛い!痛いよミグ!)」
「少し懲らしめてやらないと、お前はわからないだろうからな。今日という今日は覚悟しろ!」
「ふぇぇー!?もふやめふぇお!(えぇー!?もうやめてよ!)」
「ちょっとミグ!やめなよ!」
ベッドの上に突如現れたルナが、僕の腕を強く引いた。すると彼の手から頬が離れ、両頬に痛みが走った。
「いっ……たぁ…。」
「あ、ごめんルカ…大丈夫?」
「だ、大丈夫…。」
「何しに来たんだよルナ。お前はアリサの本を読んでたんだろ?」
「主のピンチに駆けつけたの!これもれっきとした、使い魔の役目で…」
「はいはいわかったよ。邪魔者は退散すればいいんだろ?」
「何も邪魔って言った訳じゃ…」
彼女の言葉を聞き終わる前に、彼は身体の中へと戻って行ってしまった。
「もう…ミグっていつも、人の話を最後まで聞かないんだから…!」
「なんかミグ、不機嫌だったね。…喧嘩でもした?」
「ううん。してないよ?」
「そう…。」
「あ、そーだ。アリサがくれた本、ちゃんと身体の中に保管してるから心配しないでね。少しずつだけど翻訳してまとめてるから、時間がかかると思うけど…。」
「ありがとう。こっちは僕1人で大丈夫だから、ルナはそっちに専念してくれる?」
「わかった!じゃあまた後でね。」
2人が身体の中へ戻った後、部屋を出てヴェラの元へ向かった。
「ふぅん…夢の中でそんな事があったのね。」
彼女も夢の中に出てきた内の1人だが、どうやら彼女はその事を覚えていないらしい。いつも素っ気ない態度をしている彼女が、僕の話を興味深そうに聞いてくれた。
「それで、持ち帰った本をルナが翻訳してる所なんだ。」
「内容次第だけど、多分その薬を再現するのは無理ね。」
「え、どうして!?」
薬改良の手がかりになると思っていたはずが、彼女の口からまさかの言葉が発せられた。
「アリサが知っている薬なら、かなり昔に作られた物のはずだからよ。」
「昔の物だと、何か問題があるの?」
「昔は使っていたのに、今は使っていない理由はなんだと思う?」
「えー…っと…。」
「…ま、理由は説明しなくても、本の翻訳が進めばわかるようになるわ。」
「ええ~。そんな言い方されると余計気になるよ!」
「つべこべ言わず、これをライガに持っていきなさい。」
「はぁーい…。」
彼女から受け取った報告書の束を腕に抱え、ライガの部屋へ向かった。廊下を歩いていると、階段の側に彼の後ろ姿を見つけた。
「あ、ライ…」
声をかけると、彼はゆっくり後ろを振り返った。すると、彼に隠れて見えなかったフランが姿を現し、驚きの余り言葉を失った。
「ルカか。どうした?」
「あ、えっと…これ、報告書です…!」
「これ全部か…?全く…こんなに溜め込んで…。」
「す、すいません…。」
「どうせヴェラのせいだろう?俺からあいつに注意しておく。お前は気にしなくていい。」
「はい…わかりました。」
側に立つフランを横目で見ると、僕とライガのやり取りを黙って見つめている。僕はその瞳が、左右違う色をしている事に疑問を抱いていた。
「…他にも何か話があるのか?」
「あ、いえ…!しばらくフランに会ってなかったので、元気かなーって思っ…」
「うん。元気だよ。」
「うぇ!?」
話さないと思っていた彼が、僕の問いに言葉を返した。
フランは言葉を失ってしまい、言葉を話すとしたらルドルフしか有り得ない。しかし、彼の普段の口調からは考えられない程、柔軟な言葉を発した事に驚いた。
「なんだその情けない声は…。」
「な、なんで…フラン話せて…」
「なんでって言われても…。口があれば話せるよね?」
「いや、そういう事じゃなくて…!」
「落ち着け。何をそんなに驚いている。」
「それは…その…。」
「…まぁいい。用が済んだのなら部屋に戻れ。フランももう、戻っていいぞ。」
「はいヴァン様。」
彼は軽く頭を下げ、身体を捻って廊下を歩き出した。慌てて彼の後ろをついて行き、その細い腕を掴んだ。
「ねぇフラン!いつの間に喋るようになって…」
すると彼は僕の手を振り払い、こちらに身体を向けた。
「触らないでくれる?僕、触られるの嫌いなんだ。」
「え…フラン…?」
「フランだってわかってるのに名前を聞くの?変な人だね君は。」
「話せるって事は…ルドルフなんだよね?どうしてルドルフがフランになりきって喋ってるの!?」
「僕はフランだって言ったはずだよ?ルドルフなんて奴は居ない。」
優しさの中に棘を感じる喋り方は、やはりフランではないと僕は確信した。
「…やっぱりルドルフなんだね。どうしてフランの真似みたいな事…!」
「真似なんかじゃない!僕は僕だ!」
「っ…。」
彼は声を荒らげて僕を睨みつけた。左の青い瞳が赤みを増し、紫色に変色している。彼は自分がルドルフである事を否定しているが、その目を見てフランだとは思えなかった。
「…ルドルフなんて僕は知らない。用事がないなら、これ以上僕に関わらないで。」
彼は言葉を吐き捨て、再び廊下を歩き出した。
部屋に戻った僕は、特にする事も無くベッドの上で目を閉じた。
「あ、ルカ!おかえり。」
階段を降りると、ソファーに座って本を読んでいるルナの姿を見つけた。夢の中ではよくある光景で、彼女は出入口近くに座っていることが多い。
テーブルの上には紅茶の他に、紙の束とインクの入った瓶が置かれていた。彼女の向かい側にはミグの姿もあり、彼はインクのついた筆を持っている。
「何してるの?」
「見て分からないか?アリサの本を翻訳して、紙にまとめてるんだ。」
「ちょっとミグ!ルカを馬鹿にしてるみたいな言い方やめてよ。」
「べ、別に馬鹿にした訳じゃない。…悪いなルカ。」
「ううん!僕の方こそごめん…。本の事、2人に任せきりにしちゃって…。」
「そんな事気にしないでよ~。私は嬉しいよ?ルカの役に立ってるなーって思えるし、私にしか出来ない事だからね!一生懸命頑張るよ!」
「ありがとうルナ。あ、そうだ!2人が頑張ってくれてるお礼に、2人がして欲しい事を僕がしてあげるのはどう?」
「ルカにして欲しい事?んー…すぐには思いつかないなぁ。」
「とにかくなんでも、思い付いたら教えて?無理そうだったら、別のを考えてもらうしかないけど…。」
「わかった!考えておくね。あ、そうそう。まだまとめきれてないけど…アネミーオについてわかった事、話しておいてもいい?」
「うん。お願い!」
アネミーオは、ステラやアリサが生きていた時代に生まれた貧血の薬だ。血の生成を促進して足りなくなった分を補う事ができ、目立った副作用も見られないらしい。
「この辺は、前にアリサが言ってた事だね。」
「うん。それでさっき、材料は何を使ってるかわかったんだけど、ほとんどメタンギシスと変わらないみたい。ただ…」
「ただ?」
「メタンギシスを作る材料の他に、ブルートとアスルフロルを使うみたいなの。」
「え!ブルートは、ヴィエトルに行けばあるかもしれないけど…。アスルフロルは、その辺に咲いてるような花じゃないよね?」
ブルートはヴィエトル名産の木の実で、以前その実を取りに行った事があった。しかし、アスルフロルは様々な条件が整った環境で、夜にしか花を咲かせる事のない貴重な薬草だ。別名、幻の花と言われる程、その存在自体が不確かな物で僕自身も夢の中でしか見た事がない。
「そもそもブルートだってヴィエトル周辺にしかないし、大量にある訳でもないだろ?俺が思うに…薬の効果は良くても、ブルートとアスルフロルが貴重すぎて、安易に出回らなかったんだろうな。」
「それで…その2つが省かれた、メタンギシスが開発されたって事なのかな?」
「俺がそう思ってるだけだ。詳しい事は、本を読み進めないとわからない。」
「そうだね…。ありがとう2人共。引き続きお願いね。」
「うん!任せて!」
彼女は胸を張り、自信満々にそう言った。こういう時、彼女はすごく頼りになる存在だ。少しそそっかしい部分もあるが、そこはしっかり者のミグがカバーしてくれるはずだ。
「ところでこのお菓子…いつもと違った味がするね。」
「お、美味しい?」
「え?うん…美味しいけど…」
「よかった~。実はそれ、私が作ったんだよね。紅茶の入れ方を覚えたから、今度はお菓子に挑戦しようかと思って!」
「へぇ~!そうなんだ。」
「俺とルナの菓子、どっちが美味いと思う?」
彼は唐突に、そんな質問をぶつけてきた。僕はどう答えるかしばらく悩み、言葉を返した。
「……同じくらい…かな?」
「同じかぁ…。」
「お前、どっちにも良いように気を遣ってそう言ってないか?」
「そ、それぞれの良さがあるって事だよ!ミグのは柔らかくて甘みがあるけど、ルナのは硬さがあって甘さ控えめな感じで…」
「全く正反対じゃないか…。お前の好みはどうなんだ?」
「うーん…クッキーだったら、硬めで甘い方が好きかな。」
「なるほど…。それなら同じくらいって言うのも納得だな…。」
「ルカは甘いのが好きなんだね!じゃあ今度は、ケーキに挑戦しようかな。どっちがルカ好みのお菓子を作れるか、勝負だねミグ!」
「え?勝負?」
「俺に菓子作りで勝負を挑むのは間違ってるだろ。俺が勝つに決まってる。」
「言ったなー!絶対勝ってみせるんだから!」
「な、なんでこんな話の展開に…。」
彼等は元々、吸血鬼と使い魔という関係で、僕が間に入る隙がないくらい仲が良かった。しかし今では2人揃って僕の使い魔となり、争っている事が増えた気がする。僕としては3人で仲良くしたい思っているのだが、2人の気持ちがすれ違っているように思えた。
「あ、もちろんお菓子は趣味の範囲でやるよ?本の翻訳が最優先だからね!」
「それはわかってるけど…」
「今日はここまでにしようぜ。あんまり長時間やるのも効率悪いだろ。」
「なら、ちょっと外の空気吸ってくるね。」
「ん。気をつけてな。」
「はーい。」
彼女が家から去った後、調理場へ向かったミグの元へ駆け寄った。
「あのさミグ…ちょっといい?」
「なんだ?」
「なんか…ルナとミグ、仲悪くなった…?」
「は?そんな事ないと思うけど?」
「いやだって…気がついたら言い争ってたり、競い合ってたりするから…。」
「あぁ…。ただ単に、譲り合えないだけじゃないか?」
「え?どういう事?」
「俺は元々使い魔だっただろ?…まぁ、お前じゃなくてルナのだけど。つまり俺の方が先輩で、経験も上な訳だ。」
「うん…それで?」
「使い魔になったばかりのルナじゃ、上手くルカを守れないだろ?守りたい気持ちはあるのに、上手くいかないって言うのは焦ったり落ち込んだりする。さらには俺がいるから、自分の出番が少なくなるだろうな。」
「確かにそうだね…。」
「そうすると、ルナは俺より上を目指したがる。自分に出来ない事を出来るようにして、ルカの役に立とうとしてるんだ。」
「それで…譲り合えないって言うのは?」
「俺とルナ、どっちもルカを守りたいっていう気持ちが譲れないんだ。だから別に仲が悪いとか喧嘩してるとか、そういう訳じゃない。」
「なるほど…そうなんだ…。…って、2人がこうなったのは僕のせいなの!? 」
「まぁそうなるな。」
「僕は…3人で仲良くしたいって思ってるのに…。」
「ルナがあの調子じゃ無理だな。やめろとは言えないし…」
「じゃあ…ミグがルナの立場だったらどう思う?自分よりルナの方が優れてると仮定してだけど…。」
「そうだな…。ルナが出来ない事を見つけて、俺がそれをやれればいいかなって思…」
「それだよミグ!ルナにしか出来ない事があるじゃん!」
「本当か?なら、それをルナに話してやれよ。そしたら今よりはマシになるはずだ。」
「わかった!ルナは外だよね?ちょっと行ってくる!」
僕は急いで家を飛び出し、真っ直ぐ伸びている道を歩き始めた。するとその先に、遠くを眺めているルナを見つけて近づいた。
「ルナー!」
「あれ?ルカ…どうしたの?」
「ルナこそ何してるの?」
「月と星を見てたの。あ、でもさ、あの月ちょっと変だよね。いつも丸いし月にしては白っぽいし…」
「僕がルナの中にいた時は、三日月みたいな形の太陽だったよ?周りは暗いから月みたいに見えるけど、多分あれは太陽なんじゃないかな?」
「明るくない太陽なんてあるの?」
「夢の中だからだと思うけど…。普通じゃありえないし。」
「そっか…そうだよね。」
彼女は僕から視線を外し、再び空を見上げた。月明かりのような、ほんのりとした明かりに照らされた彼女の顔は、どこか寂しそうな印象を受ける。
「ルナ。ここで生活するのは慣れた?」
「あ、うん。だいぶ慣れて来たよ。」
「その…暗くて怖くない?僕がここに来る時、いつも夜な気がするんだけど…」
「ここはずっと夜みたいだよ?だからかな…暗くてもそんなに怖いって思わないの。」
「そうなんだ…ならよかった!」
「…私ってそんなに頼りないかな?」
「そんな事ないよ!ただ…僕は…」
「僕は?」
「ルナに守って欲しい訳じゃないんだ。守る為に前を立たれるより、一緒に頑張ろうって隣に立っていて欲しいって思う。」
「え?」
「ルナは頑張ってミグに並ぼうとしてない?ミグと張り合って、無理に僕の前に立とうとしてる気がするんだ。」
「それは…。」
「僕はミグとルナ、それぞれにいい所があると思ってる。ルナはミグになる必要はないんだよ?その…上手く言えないけど…。ルナと喋ってると、それだけで嬉しいし…癒されるって言うか…」
「ルカ…。」
「と、とにかく!2人が競い合ってるのは、あまり見たくないなって事…!それだけ言いたくて…」
「…ありがとうルカ。競ってるつもりは無かったんだけど…ルカが嫌ならやめておく!」
「うん…そうしてくれると嬉しいかな。」
「あ、でもケーキは作るよ?ミグに教わってね!2人でルカの好きそうなケーキ作るから、楽しみにしててね。」
「ありがとう…!」
それからしばらく、空に浮かぶ太陽と星を2人で眺めた。彼女は僕の隣に座り、同じように空を見上げている。
常に前に立って守ってくれるミグは頼もしいが、彼女はこうやって隣に居てくれるだけで、不思議と心強く感じるのだった。
頭の痛みと共に、ベッドの上で目を覚ました。机の上に置かれた瓶の山を見て、そこは夢ではなくレジデンスの自室である事が伺える。
「ミグ…ルナ…いる?」
「目が覚めたか。」
2人の名前を口にすると、ミグが部屋の中に姿を現した。彼は僕の元へ近付き、ベッドの端に腰を下ろした。
「顔色が悪いな…どこか痛むのか?」
「ちょっと頭が痛いだけ…。それより、アリサはどうなった…?」
「アリサは無事だ。ウナがミラ様の元に連れて行ったよ。」
「よかった…。」
「いや、良くない。」
「え!?な、何か問題でも起き…」
すると彼は両腕を伸ばして、僕の頬を掴んだ。
「ふぁ…!?」
「何がよかっただよ!突っ込んでくる熊の前に、飛び出したりするか普通!?」
掴んだ頬を縦に振り始め、それに合わせて顔が上下に大きく揺れる。
「いふぁいいふぁい!いふぁいふぉみふ!(痛い痛い!痛いよミグ!)」
「少し懲らしめてやらないと、お前はわからないだろうからな。今日という今日は覚悟しろ!」
「ふぇぇー!?もふやめふぇお!(えぇー!?もうやめてよ!)」
「ちょっとミグ!やめなよ!」
ベッドの上に突如現れたルナが、僕の腕を強く引いた。すると彼の手から頬が離れ、両頬に痛みが走った。
「いっ……たぁ…。」
「あ、ごめんルカ…大丈夫?」
「だ、大丈夫…。」
「何しに来たんだよルナ。お前はアリサの本を読んでたんだろ?」
「主のピンチに駆けつけたの!これもれっきとした、使い魔の役目で…」
「はいはいわかったよ。邪魔者は退散すればいいんだろ?」
「何も邪魔って言った訳じゃ…」
彼女の言葉を聞き終わる前に、彼は身体の中へと戻って行ってしまった。
「もう…ミグっていつも、人の話を最後まで聞かないんだから…!」
「なんかミグ、不機嫌だったね。…喧嘩でもした?」
「ううん。してないよ?」
「そう…。」
「あ、そーだ。アリサがくれた本、ちゃんと身体の中に保管してるから心配しないでね。少しずつだけど翻訳してまとめてるから、時間がかかると思うけど…。」
「ありがとう。こっちは僕1人で大丈夫だから、ルナはそっちに専念してくれる?」
「わかった!じゃあまた後でね。」
2人が身体の中へ戻った後、部屋を出てヴェラの元へ向かった。
「ふぅん…夢の中でそんな事があったのね。」
彼女も夢の中に出てきた内の1人だが、どうやら彼女はその事を覚えていないらしい。いつも素っ気ない態度をしている彼女が、僕の話を興味深そうに聞いてくれた。
「それで、持ち帰った本をルナが翻訳してる所なんだ。」
「内容次第だけど、多分その薬を再現するのは無理ね。」
「え、どうして!?」
薬改良の手がかりになると思っていたはずが、彼女の口からまさかの言葉が発せられた。
「アリサが知っている薬なら、かなり昔に作られた物のはずだからよ。」
「昔の物だと、何か問題があるの?」
「昔は使っていたのに、今は使っていない理由はなんだと思う?」
「えー…っと…。」
「…ま、理由は説明しなくても、本の翻訳が進めばわかるようになるわ。」
「ええ~。そんな言い方されると余計気になるよ!」
「つべこべ言わず、これをライガに持っていきなさい。」
「はぁーい…。」
彼女から受け取った報告書の束を腕に抱え、ライガの部屋へ向かった。廊下を歩いていると、階段の側に彼の後ろ姿を見つけた。
「あ、ライ…」
声をかけると、彼はゆっくり後ろを振り返った。すると、彼に隠れて見えなかったフランが姿を現し、驚きの余り言葉を失った。
「ルカか。どうした?」
「あ、えっと…これ、報告書です…!」
「これ全部か…?全く…こんなに溜め込んで…。」
「す、すいません…。」
「どうせヴェラのせいだろう?俺からあいつに注意しておく。お前は気にしなくていい。」
「はい…わかりました。」
側に立つフランを横目で見ると、僕とライガのやり取りを黙って見つめている。僕はその瞳が、左右違う色をしている事に疑問を抱いていた。
「…他にも何か話があるのか?」
「あ、いえ…!しばらくフランに会ってなかったので、元気かなーって思っ…」
「うん。元気だよ。」
「うぇ!?」
話さないと思っていた彼が、僕の問いに言葉を返した。
フランは言葉を失ってしまい、言葉を話すとしたらルドルフしか有り得ない。しかし、彼の普段の口調からは考えられない程、柔軟な言葉を発した事に驚いた。
「なんだその情けない声は…。」
「な、なんで…フラン話せて…」
「なんでって言われても…。口があれば話せるよね?」
「いや、そういう事じゃなくて…!」
「落ち着け。何をそんなに驚いている。」
「それは…その…。」
「…まぁいい。用が済んだのなら部屋に戻れ。フランももう、戻っていいぞ。」
「はいヴァン様。」
彼は軽く頭を下げ、身体を捻って廊下を歩き出した。慌てて彼の後ろをついて行き、その細い腕を掴んだ。
「ねぇフラン!いつの間に喋るようになって…」
すると彼は僕の手を振り払い、こちらに身体を向けた。
「触らないでくれる?僕、触られるの嫌いなんだ。」
「え…フラン…?」
「フランだってわかってるのに名前を聞くの?変な人だね君は。」
「話せるって事は…ルドルフなんだよね?どうしてルドルフがフランになりきって喋ってるの!?」
「僕はフランだって言ったはずだよ?ルドルフなんて奴は居ない。」
優しさの中に棘を感じる喋り方は、やはりフランではないと僕は確信した。
「…やっぱりルドルフなんだね。どうしてフランの真似みたいな事…!」
「真似なんかじゃない!僕は僕だ!」
「っ…。」
彼は声を荒らげて僕を睨みつけた。左の青い瞳が赤みを増し、紫色に変色している。彼は自分がルドルフである事を否定しているが、その目を見てフランだとは思えなかった。
「…ルドルフなんて僕は知らない。用事がないなら、これ以上僕に関わらないで。」
彼は言葉を吐き捨て、再び廊下を歩き出した。
部屋に戻った僕は、特にする事も無くベッドの上で目を閉じた。
「あ、ルカ!おかえり。」
階段を降りると、ソファーに座って本を読んでいるルナの姿を見つけた。夢の中ではよくある光景で、彼女は出入口近くに座っていることが多い。
テーブルの上には紅茶の他に、紙の束とインクの入った瓶が置かれていた。彼女の向かい側にはミグの姿もあり、彼はインクのついた筆を持っている。
「何してるの?」
「見て分からないか?アリサの本を翻訳して、紙にまとめてるんだ。」
「ちょっとミグ!ルカを馬鹿にしてるみたいな言い方やめてよ。」
「べ、別に馬鹿にした訳じゃない。…悪いなルカ。」
「ううん!僕の方こそごめん…。本の事、2人に任せきりにしちゃって…。」
「そんな事気にしないでよ~。私は嬉しいよ?ルカの役に立ってるなーって思えるし、私にしか出来ない事だからね!一生懸命頑張るよ!」
「ありがとうルナ。あ、そうだ!2人が頑張ってくれてるお礼に、2人がして欲しい事を僕がしてあげるのはどう?」
「ルカにして欲しい事?んー…すぐには思いつかないなぁ。」
「とにかくなんでも、思い付いたら教えて?無理そうだったら、別のを考えてもらうしかないけど…。」
「わかった!考えておくね。あ、そうそう。まだまとめきれてないけど…アネミーオについてわかった事、話しておいてもいい?」
「うん。お願い!」
アネミーオは、ステラやアリサが生きていた時代に生まれた貧血の薬だ。血の生成を促進して足りなくなった分を補う事ができ、目立った副作用も見られないらしい。
「この辺は、前にアリサが言ってた事だね。」
「うん。それでさっき、材料は何を使ってるかわかったんだけど、ほとんどメタンギシスと変わらないみたい。ただ…」
「ただ?」
「メタンギシスを作る材料の他に、ブルートとアスルフロルを使うみたいなの。」
「え!ブルートは、ヴィエトルに行けばあるかもしれないけど…。アスルフロルは、その辺に咲いてるような花じゃないよね?」
ブルートはヴィエトル名産の木の実で、以前その実を取りに行った事があった。しかし、アスルフロルは様々な条件が整った環境で、夜にしか花を咲かせる事のない貴重な薬草だ。別名、幻の花と言われる程、その存在自体が不確かな物で僕自身も夢の中でしか見た事がない。
「そもそもブルートだってヴィエトル周辺にしかないし、大量にある訳でもないだろ?俺が思うに…薬の効果は良くても、ブルートとアスルフロルが貴重すぎて、安易に出回らなかったんだろうな。」
「それで…その2つが省かれた、メタンギシスが開発されたって事なのかな?」
「俺がそう思ってるだけだ。詳しい事は、本を読み進めないとわからない。」
「そうだね…。ありがとう2人共。引き続きお願いね。」
「うん!任せて!」
彼女は胸を張り、自信満々にそう言った。こういう時、彼女はすごく頼りになる存在だ。少しそそっかしい部分もあるが、そこはしっかり者のミグがカバーしてくれるはずだ。
「ところでこのお菓子…いつもと違った味がするね。」
「お、美味しい?」
「え?うん…美味しいけど…」
「よかった~。実はそれ、私が作ったんだよね。紅茶の入れ方を覚えたから、今度はお菓子に挑戦しようかと思って!」
「へぇ~!そうなんだ。」
「俺とルナの菓子、どっちが美味いと思う?」
彼は唐突に、そんな質問をぶつけてきた。僕はどう答えるかしばらく悩み、言葉を返した。
「……同じくらい…かな?」
「同じかぁ…。」
「お前、どっちにも良いように気を遣ってそう言ってないか?」
「そ、それぞれの良さがあるって事だよ!ミグのは柔らかくて甘みがあるけど、ルナのは硬さがあって甘さ控えめな感じで…」
「全く正反対じゃないか…。お前の好みはどうなんだ?」
「うーん…クッキーだったら、硬めで甘い方が好きかな。」
「なるほど…。それなら同じくらいって言うのも納得だな…。」
「ルカは甘いのが好きなんだね!じゃあ今度は、ケーキに挑戦しようかな。どっちがルカ好みのお菓子を作れるか、勝負だねミグ!」
「え?勝負?」
「俺に菓子作りで勝負を挑むのは間違ってるだろ。俺が勝つに決まってる。」
「言ったなー!絶対勝ってみせるんだから!」
「な、なんでこんな話の展開に…。」
彼等は元々、吸血鬼と使い魔という関係で、僕が間に入る隙がないくらい仲が良かった。しかし今では2人揃って僕の使い魔となり、争っている事が増えた気がする。僕としては3人で仲良くしたい思っているのだが、2人の気持ちがすれ違っているように思えた。
「あ、もちろんお菓子は趣味の範囲でやるよ?本の翻訳が最優先だからね!」
「それはわかってるけど…」
「今日はここまでにしようぜ。あんまり長時間やるのも効率悪いだろ。」
「なら、ちょっと外の空気吸ってくるね。」
「ん。気をつけてな。」
「はーい。」
彼女が家から去った後、調理場へ向かったミグの元へ駆け寄った。
「あのさミグ…ちょっといい?」
「なんだ?」
「なんか…ルナとミグ、仲悪くなった…?」
「は?そんな事ないと思うけど?」
「いやだって…気がついたら言い争ってたり、競い合ってたりするから…。」
「あぁ…。ただ単に、譲り合えないだけじゃないか?」
「え?どういう事?」
「俺は元々使い魔だっただろ?…まぁ、お前じゃなくてルナのだけど。つまり俺の方が先輩で、経験も上な訳だ。」
「うん…それで?」
「使い魔になったばかりのルナじゃ、上手くルカを守れないだろ?守りたい気持ちはあるのに、上手くいかないって言うのは焦ったり落ち込んだりする。さらには俺がいるから、自分の出番が少なくなるだろうな。」
「確かにそうだね…。」
「そうすると、ルナは俺より上を目指したがる。自分に出来ない事を出来るようにして、ルカの役に立とうとしてるんだ。」
「それで…譲り合えないって言うのは?」
「俺とルナ、どっちもルカを守りたいっていう気持ちが譲れないんだ。だから別に仲が悪いとか喧嘩してるとか、そういう訳じゃない。」
「なるほど…そうなんだ…。…って、2人がこうなったのは僕のせいなの!? 」
「まぁそうなるな。」
「僕は…3人で仲良くしたいって思ってるのに…。」
「ルナがあの調子じゃ無理だな。やめろとは言えないし…」
「じゃあ…ミグがルナの立場だったらどう思う?自分よりルナの方が優れてると仮定してだけど…。」
「そうだな…。ルナが出来ない事を見つけて、俺がそれをやれればいいかなって思…」
「それだよミグ!ルナにしか出来ない事があるじゃん!」
「本当か?なら、それをルナに話してやれよ。そしたら今よりはマシになるはずだ。」
「わかった!ルナは外だよね?ちょっと行ってくる!」
僕は急いで家を飛び出し、真っ直ぐ伸びている道を歩き始めた。するとその先に、遠くを眺めているルナを見つけて近づいた。
「ルナー!」
「あれ?ルカ…どうしたの?」
「ルナこそ何してるの?」
「月と星を見てたの。あ、でもさ、あの月ちょっと変だよね。いつも丸いし月にしては白っぽいし…」
「僕がルナの中にいた時は、三日月みたいな形の太陽だったよ?周りは暗いから月みたいに見えるけど、多分あれは太陽なんじゃないかな?」
「明るくない太陽なんてあるの?」
「夢の中だからだと思うけど…。普通じゃありえないし。」
「そっか…そうだよね。」
彼女は僕から視線を外し、再び空を見上げた。月明かりのような、ほんのりとした明かりに照らされた彼女の顔は、どこか寂しそうな印象を受ける。
「ルナ。ここで生活するのは慣れた?」
「あ、うん。だいぶ慣れて来たよ。」
「その…暗くて怖くない?僕がここに来る時、いつも夜な気がするんだけど…」
「ここはずっと夜みたいだよ?だからかな…暗くてもそんなに怖いって思わないの。」
「そうなんだ…ならよかった!」
「…私ってそんなに頼りないかな?」
「そんな事ないよ!ただ…僕は…」
「僕は?」
「ルナに守って欲しい訳じゃないんだ。守る為に前を立たれるより、一緒に頑張ろうって隣に立っていて欲しいって思う。」
「え?」
「ルナは頑張ってミグに並ぼうとしてない?ミグと張り合って、無理に僕の前に立とうとしてる気がするんだ。」
「それは…。」
「僕はミグとルナ、それぞれにいい所があると思ってる。ルナはミグになる必要はないんだよ?その…上手く言えないけど…。ルナと喋ってると、それだけで嬉しいし…癒されるって言うか…」
「ルカ…。」
「と、とにかく!2人が競い合ってるのは、あまり見たくないなって事…!それだけ言いたくて…」
「…ありがとうルカ。競ってるつもりは無かったんだけど…ルカが嫌ならやめておく!」
「うん…そうしてくれると嬉しいかな。」
「あ、でもケーキは作るよ?ミグに教わってね!2人でルカの好きそうなケーキ作るから、楽しみにしててね。」
「ありがとう…!」
それからしばらく、空に浮かぶ太陽と星を2人で眺めた。彼女は僕の隣に座り、同じように空を見上げている。
常に前に立って守ってくれるミグは頼もしいが、彼女はこうやって隣に居てくれるだけで、不思議と心強く感じるのだった。
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