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第8章︰エーリ学院〜中級クラス〜【前編】
第68話
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「みなさんおはようございまーす!今日から中級クラスに、新しい仲間が増えました!はい、みなさん拍手で出迎えて下さいね~!」
下級吸血鬼から中級に昇級した私達は、拍手で歓迎されながら新しい教室に足を踏み入れた。
「みなさんの席順は、昇級試験の成績順にしました!この紙を見て、席についてくださいね~。」
成績が良かった私とフランは窓際に、中間よりやや上だったユイは窓寄りの後ろの席に、ギリギリで合格となったララとアレクは廊下側の席に着いた。
「では早速ですが、実習を始めたいと思いま~す。着替えてホールに集まって下さいね~。」
着替えを済ませてホールへ向かうと、先に来ていたタクトさん達が集まって話をしていた。
「なんでも構わないよ。俺ももうみんなの事、勝手に呼び捨てにしちゃってるし。」
「そうよ~フラン。歳上だとか~中級だとか、そういうの気にする事ないわ~。」
「ありがとう2人共。やっぱり聞いておいてよかったよ。」
「何の話をしてるの?」
「フランが、俺達の呼び方をどうしたらいいか迷ってたらしいんだ。」
「そんなん気にする奴やないと思ってたのになぁ。意外やわ。」
「意外は失礼だよアレクくん。相手の事を考えてるって事だもん。私は、それも大切な事だと思うよ?」
「そうよアレク。」
「そ、そんなに言わんでもええやん~。」
話をしていると、生徒達の前にニム先生がふわふわと飛んで来た。
「今日の実習内容は、みなさんにおまかせします!魔法を頑張りたい人は魔法を中心に、武器の扱いを頑張りたい人は武器の生成を中心に、各自行ってください~。」
その一言に集まった生徒達がホールにバラけはじめ、私達も端の方に移動し始めた。
「実は私も…タクトさんとレミリアさんの事…どう呼んだらいいかわからなくて悩んでたんです…。」
先程の話の続きを、後ろを歩いていたララが喋り始めた。
「あ、あたしも…。」
「さっきフランにも話したけど、好きなように呼んでくれて構わないよ。呼び捨てでも、愛称でも。」
「愛称…かぁ…。」
「あ、じゃあ、タックとレミリーでどう?」
フランが2人の愛称を提案すると、レミリアの顔に笑みが浮かんだ。
「あらいいわね~。私の名前長いから、短くなって呼びやすそうだわ~。」
「タック…かぁ。改めて愛称で呼ばれると、なんかちょっと照れるね…。」
「なんでもいいんでしょ?」
「あ、うん。もちろん。愛称を付けてもらえた事自体は、すごく嬉しいよ。」
「じゃあ、タックって呼ぶね!」
「うん。みんなよろしくね。」
「呼び方は決まった事やし、今度は実習で何やるか決めんとな!」
「魔法にするか…武器生成にするか…。」
「何もみんな、一緒にする事ないんじゃないかしら~?2手に別れるとか~。」
「あたしはどっちを選んでも魔法になるわ。」
オーブを武器にしているユイは、迷う事なく魔法を選んだ。
「僕は魔法は苦手だから、武器の方がいいかなぁ…。」
相変わらず魔法を嫌っているフランは、武器生成の方をやりたい様子だった。
「それなら尚更、魔法を頑張ろうとは思わないの~?」
「俺も魔法はあんまり得意じゃないけど…だからこそ、あえてやるべきなのかもしれない。」
苦手な物から目を背けようとしているフランに対して、タックとレミリーは魔法を勧めている。
「タックは真面目やな~。」
「あんたとは大違いよ。」
「俺は武器も魔法もまだまだやからなぁ~。どっちもせなあかんけどなぁ。」
「わ、私も…。」
アレクとララは、昇級試験でギリギリの合格だった事もあって、どちらもやりたいようだった。
「私はどっちでもいいよ!」
「私もみんなに合わせるわ~。」
一方私とレミリーは、どちらでも構わないという意志を示した。
「この流れなら魔法やな!」
「そうね。」
「フランくんには悪いけど…。」
「ううん。僕も試してみたい事があったから丁度いいかも。頑張るよ。」
こうして私達は、結局全員で魔法の訓練をする事に決めた。
「まずは火からよね!」
「そ、そうだね…。」
少々強引に、火の魔法から練習を始める事になり、ユイは興奮気味だった。
「ほんとユイは火が好きやなぁ。」
「1番派手でかっこいいからよ!」
「俺も、火が1番かっこいいと思う。あんまり使いこなせないんだけどね…あはは。」
「あ、あたしでよければ教えるわ!」
「ほんと?それは助かるなぁ。ありがとうユイ。」
「えー!ユイちゃん、僕には教えてくれないのに!」
「フランはルナに教えてもらうでしょ?」
「な、なんでわかったの…?」
「お見通しよ。」
「わ、私もルナちゃんに教えて貰おうかなぁ…。」
「うん。いいよ!」
「俺はユイがええなぁ!」
「え?なんでアレクが…」
「私はルナに教えてもらいたいわ~。」
「ほら!2手に別れるなら、半分にするのが鉄板やで!」
「いつから2手に別れる事になったのよ!」
「いいじゃない。そうしましょうよ~。」
「…しょうがないわね。」
こうして、私とユイのチームに別れて魔法の練習を始める事にした。
「ねぇレミリー。」
「なぁに?」
「レミリーは教えてもらわないといけない程、魔法が苦手なの?」
「いいえ?得意ではないけれど、不得意でもないわよ~。」
「え?じゃあなんで私に教えてもらうって言ったの?」
「アレク、ユイの事が好きなんでしょう?」
「ど、どうしてわかるの!?」
「見てたらわかるわ~。ユイちゃんのグループに入れてあげる為に、わざとそう言ったのよ~。」
「レミリーってそういう所ちゃんと見てるんだね…。」
レミリーは、感心しているララの耳元に口を寄せて何かを囁いた。
「す、凄いねレミリー…。」
「うふふ。」
「ねールナちゃーん。僕達もやろうよ~。」
「あ、うんー!」
私はフランに、レミリーはララにそれぞれ魔法を教え始めた。
「ルナー。」
「どうしたの?ユイ…」
ユイと共にタックとアレクがこちらにやって来た。
「あたし1人じゃ、2人を相手に教えられるのも限界だわ。」
「ごめんね、ユイ。俺達の出来が悪いせいで…。」
「そ、そういう意味じゃないの!ルナはあたしと違って、全部の属性を満遍なくやってるから…。ルナの方が適任だと思ったのよ。」
「あ、うん。私は全然大丈…」
「“……我が意思に従え。グラヴィタシオン”」
少し離れた場所で、フランが念力魔法を唱えていた。彼の前に置かれた模型が空気の力で押しつぶされ、3分の1程の大きさになった。
「ちょ、ちょっとフラン…!あんたいつの間にそんな魔法使えるようになったの?」
「…!」
彼は驚いたのか、ユイに掴まれた腕を即座に振り払った。
「え…。」
「…あ。ご、ごめんユイちゃん。びっくりしてつい…。」
「う、ううん。こっちこそ…ごめん…。」
「なんや凄いなフラン!今のって念力魔法ちゃうんか!?」
「ルナちゃんの教え方がいいからかな?」
彼は冗談混じりに、そんな事を言ってみせた。
「ユイの爆破魔法も凄かったけど、フランのも結構凄かったよ。」
「ううん。まだまだだよ。…僕、ちょっとトイレに行ってくるね。」
「いってらっしゃい~。」
「ふぅ…。」
「…フラン。」
トイレの前の水場で、ため息をついている彼の背中に声をかけた。
「あれ?ルナちゃんもトイレ?」
「ううん。その…あんな魔法使ってたから…大丈夫かな?って思って…。」
「大丈夫だよ。あれはルドルフがしたんだ。」
「え、そうなの?」
「うん。魔法の発動の時だけ彼と変われたらいいなと思って、試してみたんだ。僕には出来ない魔法を使えるのかどうかとか、交代するのにどのくらい時間がかかるのかな?とか。」
「そうだったんだ…びっくりしちゃった。」
「ごめんごめん。いつかは、彼の事もみんなに話さなきゃとは思うんだけど…。そういう時だけ臆病になっちゃうんだよね…僕…。」
「フランだけじゃないと思うよ。私だって…ルカの事…。」
「お互いに秘密を共有するって言うのもいいかもしれないね。…しばらくは心の準備がいるかな…。っと…そろそろ戻らないとね。僕は、先に戻ってるよ。」
「うん…。」
下級吸血鬼から中級に昇級した私達は、拍手で歓迎されながら新しい教室に足を踏み入れた。
「みなさんの席順は、昇級試験の成績順にしました!この紙を見て、席についてくださいね~。」
成績が良かった私とフランは窓際に、中間よりやや上だったユイは窓寄りの後ろの席に、ギリギリで合格となったララとアレクは廊下側の席に着いた。
「では早速ですが、実習を始めたいと思いま~す。着替えてホールに集まって下さいね~。」
着替えを済ませてホールへ向かうと、先に来ていたタクトさん達が集まって話をしていた。
「なんでも構わないよ。俺ももうみんなの事、勝手に呼び捨てにしちゃってるし。」
「そうよ~フラン。歳上だとか~中級だとか、そういうの気にする事ないわ~。」
「ありがとう2人共。やっぱり聞いておいてよかったよ。」
「何の話をしてるの?」
「フランが、俺達の呼び方をどうしたらいいか迷ってたらしいんだ。」
「そんなん気にする奴やないと思ってたのになぁ。意外やわ。」
「意外は失礼だよアレクくん。相手の事を考えてるって事だもん。私は、それも大切な事だと思うよ?」
「そうよアレク。」
「そ、そんなに言わんでもええやん~。」
話をしていると、生徒達の前にニム先生がふわふわと飛んで来た。
「今日の実習内容は、みなさんにおまかせします!魔法を頑張りたい人は魔法を中心に、武器の扱いを頑張りたい人は武器の生成を中心に、各自行ってください~。」
その一言に集まった生徒達がホールにバラけはじめ、私達も端の方に移動し始めた。
「実は私も…タクトさんとレミリアさんの事…どう呼んだらいいかわからなくて悩んでたんです…。」
先程の話の続きを、後ろを歩いていたララが喋り始めた。
「あ、あたしも…。」
「さっきフランにも話したけど、好きなように呼んでくれて構わないよ。呼び捨てでも、愛称でも。」
「愛称…かぁ…。」
「あ、じゃあ、タックとレミリーでどう?」
フランが2人の愛称を提案すると、レミリアの顔に笑みが浮かんだ。
「あらいいわね~。私の名前長いから、短くなって呼びやすそうだわ~。」
「タック…かぁ。改めて愛称で呼ばれると、なんかちょっと照れるね…。」
「なんでもいいんでしょ?」
「あ、うん。もちろん。愛称を付けてもらえた事自体は、すごく嬉しいよ。」
「じゃあ、タックって呼ぶね!」
「うん。みんなよろしくね。」
「呼び方は決まった事やし、今度は実習で何やるか決めんとな!」
「魔法にするか…武器生成にするか…。」
「何もみんな、一緒にする事ないんじゃないかしら~?2手に別れるとか~。」
「あたしはどっちを選んでも魔法になるわ。」
オーブを武器にしているユイは、迷う事なく魔法を選んだ。
「僕は魔法は苦手だから、武器の方がいいかなぁ…。」
相変わらず魔法を嫌っているフランは、武器生成の方をやりたい様子だった。
「それなら尚更、魔法を頑張ろうとは思わないの~?」
「俺も魔法はあんまり得意じゃないけど…だからこそ、あえてやるべきなのかもしれない。」
苦手な物から目を背けようとしているフランに対して、タックとレミリーは魔法を勧めている。
「タックは真面目やな~。」
「あんたとは大違いよ。」
「俺は武器も魔法もまだまだやからなぁ~。どっちもせなあかんけどなぁ。」
「わ、私も…。」
アレクとララは、昇級試験でギリギリの合格だった事もあって、どちらもやりたいようだった。
「私はどっちでもいいよ!」
「私もみんなに合わせるわ~。」
一方私とレミリーは、どちらでも構わないという意志を示した。
「この流れなら魔法やな!」
「そうね。」
「フランくんには悪いけど…。」
「ううん。僕も試してみたい事があったから丁度いいかも。頑張るよ。」
こうして私達は、結局全員で魔法の訓練をする事に決めた。
「まずは火からよね!」
「そ、そうだね…。」
少々強引に、火の魔法から練習を始める事になり、ユイは興奮気味だった。
「ほんとユイは火が好きやなぁ。」
「1番派手でかっこいいからよ!」
「俺も、火が1番かっこいいと思う。あんまり使いこなせないんだけどね…あはは。」
「あ、あたしでよければ教えるわ!」
「ほんと?それは助かるなぁ。ありがとうユイ。」
「えー!ユイちゃん、僕には教えてくれないのに!」
「フランはルナに教えてもらうでしょ?」
「な、なんでわかったの…?」
「お見通しよ。」
「わ、私もルナちゃんに教えて貰おうかなぁ…。」
「うん。いいよ!」
「俺はユイがええなぁ!」
「え?なんでアレクが…」
「私はルナに教えてもらいたいわ~。」
「ほら!2手に別れるなら、半分にするのが鉄板やで!」
「いつから2手に別れる事になったのよ!」
「いいじゃない。そうしましょうよ~。」
「…しょうがないわね。」
こうして、私とユイのチームに別れて魔法の練習を始める事にした。
「ねぇレミリー。」
「なぁに?」
「レミリーは教えてもらわないといけない程、魔法が苦手なの?」
「いいえ?得意ではないけれど、不得意でもないわよ~。」
「え?じゃあなんで私に教えてもらうって言ったの?」
「アレク、ユイの事が好きなんでしょう?」
「ど、どうしてわかるの!?」
「見てたらわかるわ~。ユイちゃんのグループに入れてあげる為に、わざとそう言ったのよ~。」
「レミリーってそういう所ちゃんと見てるんだね…。」
レミリーは、感心しているララの耳元に口を寄せて何かを囁いた。
「す、凄いねレミリー…。」
「うふふ。」
「ねールナちゃーん。僕達もやろうよ~。」
「あ、うんー!」
私はフランに、レミリーはララにそれぞれ魔法を教え始めた。
「ルナー。」
「どうしたの?ユイ…」
ユイと共にタックとアレクがこちらにやって来た。
「あたし1人じゃ、2人を相手に教えられるのも限界だわ。」
「ごめんね、ユイ。俺達の出来が悪いせいで…。」
「そ、そういう意味じゃないの!ルナはあたしと違って、全部の属性を満遍なくやってるから…。ルナの方が適任だと思ったのよ。」
「あ、うん。私は全然大丈…」
「“……我が意思に従え。グラヴィタシオン”」
少し離れた場所で、フランが念力魔法を唱えていた。彼の前に置かれた模型が空気の力で押しつぶされ、3分の1程の大きさになった。
「ちょ、ちょっとフラン…!あんたいつの間にそんな魔法使えるようになったの?」
「…!」
彼は驚いたのか、ユイに掴まれた腕を即座に振り払った。
「え…。」
「…あ。ご、ごめんユイちゃん。びっくりしてつい…。」
「う、ううん。こっちこそ…ごめん…。」
「なんや凄いなフラン!今のって念力魔法ちゃうんか!?」
「ルナちゃんの教え方がいいからかな?」
彼は冗談混じりに、そんな事を言ってみせた。
「ユイの爆破魔法も凄かったけど、フランのも結構凄かったよ。」
「ううん。まだまだだよ。…僕、ちょっとトイレに行ってくるね。」
「いってらっしゃい~。」
「ふぅ…。」
「…フラン。」
トイレの前の水場で、ため息をついている彼の背中に声をかけた。
「あれ?ルナちゃんもトイレ?」
「ううん。その…あんな魔法使ってたから…大丈夫かな?って思って…。」
「大丈夫だよ。あれはルドルフがしたんだ。」
「え、そうなの?」
「うん。魔法の発動の時だけ彼と変われたらいいなと思って、試してみたんだ。僕には出来ない魔法を使えるのかどうかとか、交代するのにどのくらい時間がかかるのかな?とか。」
「そうだったんだ…びっくりしちゃった。」
「ごめんごめん。いつかは、彼の事もみんなに話さなきゃとは思うんだけど…。そういう時だけ臆病になっちゃうんだよね…僕…。」
「フランだけじゃないと思うよ。私だって…ルカの事…。」
「お互いに秘密を共有するって言うのもいいかもしれないね。…しばらくは心の準備がいるかな…。っと…そろそろ戻らないとね。僕は、先に戻ってるよ。」
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