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第7章︰それぞれの過去
第65話
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「ふぅ~やっと着いたね。」
「ここまで結構歩いたから疲れたね…。」
「お腹も空いたし、お昼を食べてから出発しよっか。」
カナ村の入口までやって来ると、門の前に立っていた兵士が私達の行く手を阻んだ。
「止まれ!」
「なんですか?」
「今、村に人を入れる事は出来ない。申し訳ないがお引き取り願おう。」
「どうして村に入れないの?理由を教えて貰えないと、納得出来ないよ。」
「街道に現れた吸血鬼が、村を襲わないようにする為の処置だ。理解してもらいたい。」
「僕はギルド“エテルノ・レガーメ”のマスターのクラーレ・セシルです。彼等は僕の友人なんだ。」
「あたしは二等戦闘員のラヴィーサ・レイさ。」
「あなた様の事は存じ上げております。しかし…我々も仕事なんです。」
「…僕の事を知っているのなら、これで信じて貰えますか?」
彼は左手で私の手を、右手でフランの手を握った。
「もし吸血鬼ならば、僕が触れた時点で平気ではいられないはずです。もし彼等が人を襲うような事があれば、僕が責任を取ります。」
「…わかりました。そこまで言うのでしたら許可します。」
「ありがとう。」
クラーレが起点を聞かせたおかげで、なんとか兵士達を説得して村の中へ入る事が出来た。
「ドキドキ…したね…。」
「うん…寿命が縮まるかと思ったよ…。」
私とフランは、ラヴィに聞こえないように身を寄せあって、小声で言葉を交わした。
「全く~。仕事とは言え…あたし達ギルドが、吸血鬼を匿うなんて事するはずがないのに…!」
「仕方ないよ。彼等も村を守る為に必死なんだ。仕事熱心なのは素晴らしい事だよ。」
「なんか余計に腹が減ったよ~。早くご飯食べよ!」
「ま、待ってよラヴィ~。」
私達は手早く昼食を済ませると、馬車に乗り込んでサトラテールに向かった。
「ねぇラヴィ。」
「なんだい?」
「さっきの港町…ラヴィの故郷なんだよね?知ってる人に挨拶とかしなくてよかったの?」
「あー。ノースガルムね。…いいんだよ。どうせ身内は居ないし。」
「そ、そっか…。」
「ずっと海辺を走ってるけど、サトラテールに港はないの?」
「サトラテールに海はあるけど…その近海に珊瑚の群生地があって、船は入れないんだ。手漕ぎのボートくらいなら、大丈夫なんだけどね。」
「へー珊瑚かぁ。見てみたいなぁ。」
「今の時期は寒くて海に入れないから、もっと暖かくなってからだね~。」
「じゃあ、その時になったらまた来ようね。」
「うん。そしたらクラーレも一緒に…」
向かいの席に座っている彼は、腕を組みながら目を閉じて眠っているようだった。
「寝ちゃった…みたいだね。」
「このまま寝かしといてやろっか。移動ばかりで疲れただろうし。」
「僕もちょっと寝ようかなぁ。」
「じゃあ…私も…。」
「あたしは眠くないから起きてるよ。着いたら起こすから、それまでゆっくり寝とくれ。」
「ミグー!」
夢の中で目覚めた私は、洞窟で怪我をした彼の事が気になり、階段を駆け下りた。
「おかえり、ルナ。」
ミグではなくルカが出迎え、ソファーに座って本を読んでいた。
「ミグは?」
「部屋じゃないかなぁ?」
「いつもここに居るのに…ありがとうルカ。行ってみる!」
階段を再び上り、彼の部屋の扉を叩いた。
「ミグー?いるー?ねーいないのー?」
「どうしたの?ミグに何かあったの?」
「ルカは見てなかった?私が洞窟で崖から落ちた時に、ミグが庇ってくれて…。」
「そうだったの?ごめん…僕ちょっと寝てたから見てなかったよ…。」
「それはいいんだけど…。ミグ…どこに行ったのかな…。」
「…ぃまー…。」
「あ、ミグだ!」
1階に下りると、薬草の籠を持って奥の部屋へ向かうミグの後ろ姿があった。
「ちょっとミグ!どこ行ってたの!?」
「あぁ。ルナか。」
「聞いてる!?」
「どこって…森だよ。薬草摘んできた。」
「何やってるの!怪我したんだから休んでてよ!」
「別にこのくらい大したことな…」
「怪我は怪我でしょ?大きいも小さいもない!」
「ルナ…落ち着いて?」
「…っ。」
ルカに腕を掴まれ、私は言葉を詰まらせた。
「お前は俺の心配なんてしなくていいんだよ。まずは自分の心配をしろよ。」
「私がミグの心配をして何が悪いの?使い魔の心配をしちゃいけないなんていうルールでもあるの?」
「自分の身も守れない奴がよく言うよ。」
「…!」
「ミグ!今のは言い過ぎだよ!」
「もういい!ミグの心配なんかしなきゃ良かった!」
私は彼にそう言い放つと、自分の部屋へ戻って行った。
しばらくベッドに横になっていると、扉を叩く音が聞こえ、ルカが部屋に入って来た。
「ルナ…。」
「何…?」
彼は、私が横になっているベッドの端に腰を下ろした。
「その…上手く言えないけど…あんまり落ち込まないでね。」
「…うん。」
「僕がミグに怒っておくから!使い魔のくせに偉そうな事言うなーって!」
「別に、ミグの事偉そうだと思った訳じゃ…。」
「そ、そっか…えっと…じゃあ…。ルナの事大事にしないなら、僕と絶交だからね!…とか?」
「2人は仲良くしてよ。じゃないと私、ますます落ち込む…。」
「えーっと…じゃあ…。」
「ルカ。無理しなくていいよ。ありがとう。気持ちだけ貰うから…。」
「なら…。ミグが守らないなら、僕がルナの事守るからねって言っておく。」
「え?」
「なんて…僕じゃ何も出来ないくせにね…。と、とにかく、1回ガツンと言っておかないと!ミグは何の為に使い魔になったのか、もう1度ちゃんと考えろってね。」
「ありがとう…ルカ。」
「僕にはこれくらいしか出来ないから…。ルナはもう戻る?」
「うん。移動中だったからそろそろ起きようかな。」
「こっちは僕に任せて!いってらっしゃい。」
「ん…。」
「あ、おはようルナ。丁度、起こそうと思ってたんだ!」
目を覚ますと、隣に座っていたラヴィが私の顔を覗き込んだ。窓の外では日が沈み、空がオレンジ色に染まり始めていた。
既にフランとクラーレは起きていて、2人で話をしている途中だったようだ。
「み、みんなはもう起きてたんだね…。」
「ごめんごめん。いつの間にか寝ちゃったみたいで。」
「逆にクラーレが寝てたから、僕達も寝やすかったよ。」
「ラヴィは寝なくて平気だったの?」
「あたしは問題ないよ。体力はあるほうだし、仕事で徹夜する時も多いしね。」
「僕は徹夜とか出来そうにないなぁ…。」
「私も…。」
「あ!街が見えてきた!」
フランが窓に張り付き、遠くの方に見える城壁を見て歓声をあげた。
「街に着いたらひとまずギルドに行こっか。後の事はそれから考えよう。」
私達は馬車を降りると、街中を通ってギルドへ向かった。
「わー!懐かしい!」
ギルドの中に入ると、家具の配置や全体の雰囲気が全く変わっていない様子を見て懐かしさを感じた。
「さすがにちょっと疲れたなぁ…!夕飯まで部屋で休むよ。」
「船の操縦ありがとうラヴィ。またね!」
玄関先で彼女と別れると、私達は階段を上り2階へ向かった。
「そうだ。ミグは元気?」
「あ、うん…。元気…だよ。」
「ならよかった。とりあえず、前に2人が使ってた部屋を使って。僕はやらなきゃいけない事があるから、部屋に戻るけど…。何か必要だったら教えてね。」
「ありがとうクラーレ。」
フランと廊下を進み、部屋の扉を開けて中に入った。
「ここが2人の部屋?」
「うん!ここも変わってないなぁ…。」
自分が使用していたベッドに腰を下ろすと部屋を見回した。するとフランは、ミグが使っていたベッドに横になり、私の方を向いた。
「ねぇルナちゃん。なんか、ミグくんの事聞かれた時ちょっと気まずそうじゃなかった?」
「そ、そう?」
「ミグくんと何かあった?」
「ちょっとね…喧嘩っていうか…そんな感じ。」
「え、意外だなぁ…。2人が喧嘩するなんて思わなかったよ。」
「まぁ…そういう時もあるよ…。」
「早く仲直り出来るといいね。」
「うん…。」
「…話は終わったか?」
声が聞こえた方を見ると、窓辺に黒い猫が座っていた。
「ヴェラ!」
「え、ルシュ様?」
「大きな声で名前を呼ぶな。」
「ご、ごめん…びっくりして。」
「迎えに来た。…が、その前に少し話そう。絵の中に来なさい。」
すると黒猫の姿をしたヴェラが、壁に飾ってあった絵に飛び込み、吸い込まれるように消えて行った。
「き、消えた?」
「この絵の中に部屋があるんだって。私も入った事ないけど…。どうやったら入れるのかなぁ…ぅわぁ!?」
私はゆっくりと絵に触れると、身体が浮き上がりその中に吸い込まれて行った。
絵の中に吸い込まれた直後、その先にあった別の絵から突然飛び出し、前方に一回転して床に背中を打ち付けた。
「痛っ…たぁ…。」
「全く…受け身くらい取れるようにしなさい。」
先に中に入って待っていたヴェラは、椅子に座って腕と脚の両方を組んでいた。
「急に吸い込まれてそんなの出来る訳…」
「わぁ!」
同じように飛ばされて来たフランは、素早く床に右手をつくと、空中で身体を回転させて私の前に着地した。
「びっくりしたぁ。」
「私はフランの動きにびっくりだよ!」
「見習いなさい。」
「え?何の話?」
「な、なんでもない…!」
私達は部屋に用意されていたソファーに並んで座ると、彼女も椅子から立ち上がり向かい側のソファーに移動した。
「まずは今までどこに居たか聞こう。」
「ディオース島っていう、クラーレの故郷に居たの。」
「聞いた事ない島だな。」
「そこに住んでいる島民の話では、地図に記されていない島だそうです。」
「なんでお前達がそんな場所に行ったんだ?」
「その…私は覚えてなくて…。」
「その島に流れ着く前に、レジデンスの地下に入りました。そこで見つけた機械に触れてしまい、海の上に飛ばされたんです。」
「地下の機械?飛ばされたという事は…転移する為の機械か…?」
「僕達も詳しくはわかりませんが…。恐らくそうだと思います。」
「なるほど。ならば、どうやって地下を見つけた?私も見た事がなかったんだが。」
「夜、寝れなくて廊下を歩いてたら…1階の物置部屋の近くの廊下で、黒いローブを着た人がしゃがみこんでたのを見つけたの。」
「僕がその近くを見てみたら、地下へ繋がっている扉を見つけたんです。」
「少し前にヴェラが言ってたよね?ライガしか立ち入らない地下の部屋があるって。多分それじゃないかと思ったの。」
「あの辺か…。」
「結局入って行ったのが誰だったかはわからなかったけど…確かに誰か居たよ。」
「まぁ…恐らくライガだろうな。あいつの動きを見つつ、私の方で地下を探ってみよう。お前達では危ないから、知らない振りをしていなさい。」
「うん。わかった。」
「あの…ルシュ様。」
「なんだ?」
「お聞きしてもいいですか?」
「言ってみなさい。」
「その…。」
「お前らしくないな。ハッキリいいなさい。」
「…僕は、人間だったんでしょうか?」
「何故そう思う?」
「ディオース島で、クラーレの両親の墓を見ました。その隣に、産まれてくるはずだった弟…フランと言う子供のお墓があったんです。その時、彼に言われました。なんとなく僕と血の繋がりを感じると…。」
「それで?」
「僕も…島にいる間、なんとなく懐かしいような…そんな気がしていたんです。ルシュ様なら…何か知ってるんじゃないかと思って…。」
「知っている事…か。」
「ヴェラ。私、島を出て船で移動してる時に、フランに襲われそうになったの。あの時のフランは…別人みたいで…。私やヴェラみたいに、もう1人別の人がいるのかもしれないって思ったの。何か知らないの?」
「そうか…。ついに抑えきれなくなったか…。」
「ルシュ様…?」
「今ならば話してもいいだろう。長くなるが、よく聞きなさい。…まず結論から言うと、フランも人間から吸血鬼に作り替えられた、吸血鬼もどきだ。」
「やっぱり…。」
「しかし私達と違う所は、吸血鬼であるフランではなく、人間のフランが身体の主導権を持っているという事だ。」
「それってどういう…?」
「身体の外に出ているフラン。つまり、今のお前が人間で、身体の中にいる別の人格が吸血鬼のフランだ。」
「2人共…名前はフランなの?」
「そうだ。ただ、お前の姓までは知らない。恐らくレーガなら知っているだろうが。」
「じゃあ…親はわからないのか…。」
「レーガに聞きたいけど…」
「やめなさい。今まで言わなかったあたりを見ると、隠したい事だろうからな。」
「その…2人は夢の中で話が出来るんだよね?僕は彼と話をした自覚が無いんだけど…。」
「夢の中であった事を、無意識に記憶から消しているのかもしれないな。」
「記憶を消さないようにするにはどうしたら…?」
「話をしてどうするつもりだ?仲良しごっこでもするのか?」
「ヴェラ…!」
「相手は吸血鬼だ。お前のように甘くはないぞ。私の憶測だが、常にお前の身体を乗っ取ろうと策を考えているはずだ。」
「自分の身体で起きている事を、ちゃんと見ておきたいんです。抑える方法があるならそれを見つけて、僕の…大事な人達を傷つけないようにしたい…。」
「フラン…。」
「ならば、3人で行ってみるか。言う事を聞かなければ私がなんとかしよう。」
「ありがとうございますルシュ様!」
「そこのベッドに寝なさい。私達は後から身体の中に入る。」
「わかりました。」
彼が眠りにつくのを確認すると、ベッドの側に椅子を寄せて腰を下ろした。ヴェラに目を閉じるように言われ、それに従うと徐々に意識は薄れていった。
「ここまで結構歩いたから疲れたね…。」
「お腹も空いたし、お昼を食べてから出発しよっか。」
カナ村の入口までやって来ると、門の前に立っていた兵士が私達の行く手を阻んだ。
「止まれ!」
「なんですか?」
「今、村に人を入れる事は出来ない。申し訳ないがお引き取り願おう。」
「どうして村に入れないの?理由を教えて貰えないと、納得出来ないよ。」
「街道に現れた吸血鬼が、村を襲わないようにする為の処置だ。理解してもらいたい。」
「僕はギルド“エテルノ・レガーメ”のマスターのクラーレ・セシルです。彼等は僕の友人なんだ。」
「あたしは二等戦闘員のラヴィーサ・レイさ。」
「あなた様の事は存じ上げております。しかし…我々も仕事なんです。」
「…僕の事を知っているのなら、これで信じて貰えますか?」
彼は左手で私の手を、右手でフランの手を握った。
「もし吸血鬼ならば、僕が触れた時点で平気ではいられないはずです。もし彼等が人を襲うような事があれば、僕が責任を取ります。」
「…わかりました。そこまで言うのでしたら許可します。」
「ありがとう。」
クラーレが起点を聞かせたおかげで、なんとか兵士達を説得して村の中へ入る事が出来た。
「ドキドキ…したね…。」
「うん…寿命が縮まるかと思ったよ…。」
私とフランは、ラヴィに聞こえないように身を寄せあって、小声で言葉を交わした。
「全く~。仕事とは言え…あたし達ギルドが、吸血鬼を匿うなんて事するはずがないのに…!」
「仕方ないよ。彼等も村を守る為に必死なんだ。仕事熱心なのは素晴らしい事だよ。」
「なんか余計に腹が減ったよ~。早くご飯食べよ!」
「ま、待ってよラヴィ~。」
私達は手早く昼食を済ませると、馬車に乗り込んでサトラテールに向かった。
「ねぇラヴィ。」
「なんだい?」
「さっきの港町…ラヴィの故郷なんだよね?知ってる人に挨拶とかしなくてよかったの?」
「あー。ノースガルムね。…いいんだよ。どうせ身内は居ないし。」
「そ、そっか…。」
「ずっと海辺を走ってるけど、サトラテールに港はないの?」
「サトラテールに海はあるけど…その近海に珊瑚の群生地があって、船は入れないんだ。手漕ぎのボートくらいなら、大丈夫なんだけどね。」
「へー珊瑚かぁ。見てみたいなぁ。」
「今の時期は寒くて海に入れないから、もっと暖かくなってからだね~。」
「じゃあ、その時になったらまた来ようね。」
「うん。そしたらクラーレも一緒に…」
向かいの席に座っている彼は、腕を組みながら目を閉じて眠っているようだった。
「寝ちゃった…みたいだね。」
「このまま寝かしといてやろっか。移動ばかりで疲れただろうし。」
「僕もちょっと寝ようかなぁ。」
「じゃあ…私も…。」
「あたしは眠くないから起きてるよ。着いたら起こすから、それまでゆっくり寝とくれ。」
「ミグー!」
夢の中で目覚めた私は、洞窟で怪我をした彼の事が気になり、階段を駆け下りた。
「おかえり、ルナ。」
ミグではなくルカが出迎え、ソファーに座って本を読んでいた。
「ミグは?」
「部屋じゃないかなぁ?」
「いつもここに居るのに…ありがとうルカ。行ってみる!」
階段を再び上り、彼の部屋の扉を叩いた。
「ミグー?いるー?ねーいないのー?」
「どうしたの?ミグに何かあったの?」
「ルカは見てなかった?私が洞窟で崖から落ちた時に、ミグが庇ってくれて…。」
「そうだったの?ごめん…僕ちょっと寝てたから見てなかったよ…。」
「それはいいんだけど…。ミグ…どこに行ったのかな…。」
「…ぃまー…。」
「あ、ミグだ!」
1階に下りると、薬草の籠を持って奥の部屋へ向かうミグの後ろ姿があった。
「ちょっとミグ!どこ行ってたの!?」
「あぁ。ルナか。」
「聞いてる!?」
「どこって…森だよ。薬草摘んできた。」
「何やってるの!怪我したんだから休んでてよ!」
「別にこのくらい大したことな…」
「怪我は怪我でしょ?大きいも小さいもない!」
「ルナ…落ち着いて?」
「…っ。」
ルカに腕を掴まれ、私は言葉を詰まらせた。
「お前は俺の心配なんてしなくていいんだよ。まずは自分の心配をしろよ。」
「私がミグの心配をして何が悪いの?使い魔の心配をしちゃいけないなんていうルールでもあるの?」
「自分の身も守れない奴がよく言うよ。」
「…!」
「ミグ!今のは言い過ぎだよ!」
「もういい!ミグの心配なんかしなきゃ良かった!」
私は彼にそう言い放つと、自分の部屋へ戻って行った。
しばらくベッドに横になっていると、扉を叩く音が聞こえ、ルカが部屋に入って来た。
「ルナ…。」
「何…?」
彼は、私が横になっているベッドの端に腰を下ろした。
「その…上手く言えないけど…あんまり落ち込まないでね。」
「…うん。」
「僕がミグに怒っておくから!使い魔のくせに偉そうな事言うなーって!」
「別に、ミグの事偉そうだと思った訳じゃ…。」
「そ、そっか…えっと…じゃあ…。ルナの事大事にしないなら、僕と絶交だからね!…とか?」
「2人は仲良くしてよ。じゃないと私、ますます落ち込む…。」
「えーっと…じゃあ…。」
「ルカ。無理しなくていいよ。ありがとう。気持ちだけ貰うから…。」
「なら…。ミグが守らないなら、僕がルナの事守るからねって言っておく。」
「え?」
「なんて…僕じゃ何も出来ないくせにね…。と、とにかく、1回ガツンと言っておかないと!ミグは何の為に使い魔になったのか、もう1度ちゃんと考えろってね。」
「ありがとう…ルカ。」
「僕にはこれくらいしか出来ないから…。ルナはもう戻る?」
「うん。移動中だったからそろそろ起きようかな。」
「こっちは僕に任せて!いってらっしゃい。」
「ん…。」
「あ、おはようルナ。丁度、起こそうと思ってたんだ!」
目を覚ますと、隣に座っていたラヴィが私の顔を覗き込んだ。窓の外では日が沈み、空がオレンジ色に染まり始めていた。
既にフランとクラーレは起きていて、2人で話をしている途中だったようだ。
「み、みんなはもう起きてたんだね…。」
「ごめんごめん。いつの間にか寝ちゃったみたいで。」
「逆にクラーレが寝てたから、僕達も寝やすかったよ。」
「ラヴィは寝なくて平気だったの?」
「あたしは問題ないよ。体力はあるほうだし、仕事で徹夜する時も多いしね。」
「僕は徹夜とか出来そうにないなぁ…。」
「私も…。」
「あ!街が見えてきた!」
フランが窓に張り付き、遠くの方に見える城壁を見て歓声をあげた。
「街に着いたらひとまずギルドに行こっか。後の事はそれから考えよう。」
私達は馬車を降りると、街中を通ってギルドへ向かった。
「わー!懐かしい!」
ギルドの中に入ると、家具の配置や全体の雰囲気が全く変わっていない様子を見て懐かしさを感じた。
「さすがにちょっと疲れたなぁ…!夕飯まで部屋で休むよ。」
「船の操縦ありがとうラヴィ。またね!」
玄関先で彼女と別れると、私達は階段を上り2階へ向かった。
「そうだ。ミグは元気?」
「あ、うん…。元気…だよ。」
「ならよかった。とりあえず、前に2人が使ってた部屋を使って。僕はやらなきゃいけない事があるから、部屋に戻るけど…。何か必要だったら教えてね。」
「ありがとうクラーレ。」
フランと廊下を進み、部屋の扉を開けて中に入った。
「ここが2人の部屋?」
「うん!ここも変わってないなぁ…。」
自分が使用していたベッドに腰を下ろすと部屋を見回した。するとフランは、ミグが使っていたベッドに横になり、私の方を向いた。
「ねぇルナちゃん。なんか、ミグくんの事聞かれた時ちょっと気まずそうじゃなかった?」
「そ、そう?」
「ミグくんと何かあった?」
「ちょっとね…喧嘩っていうか…そんな感じ。」
「え、意外だなぁ…。2人が喧嘩するなんて思わなかったよ。」
「まぁ…そういう時もあるよ…。」
「早く仲直り出来るといいね。」
「うん…。」
「…話は終わったか?」
声が聞こえた方を見ると、窓辺に黒い猫が座っていた。
「ヴェラ!」
「え、ルシュ様?」
「大きな声で名前を呼ぶな。」
「ご、ごめん…びっくりして。」
「迎えに来た。…が、その前に少し話そう。絵の中に来なさい。」
すると黒猫の姿をしたヴェラが、壁に飾ってあった絵に飛び込み、吸い込まれるように消えて行った。
「き、消えた?」
「この絵の中に部屋があるんだって。私も入った事ないけど…。どうやったら入れるのかなぁ…ぅわぁ!?」
私はゆっくりと絵に触れると、身体が浮き上がりその中に吸い込まれて行った。
絵の中に吸い込まれた直後、その先にあった別の絵から突然飛び出し、前方に一回転して床に背中を打ち付けた。
「痛っ…たぁ…。」
「全く…受け身くらい取れるようにしなさい。」
先に中に入って待っていたヴェラは、椅子に座って腕と脚の両方を組んでいた。
「急に吸い込まれてそんなの出来る訳…」
「わぁ!」
同じように飛ばされて来たフランは、素早く床に右手をつくと、空中で身体を回転させて私の前に着地した。
「びっくりしたぁ。」
「私はフランの動きにびっくりだよ!」
「見習いなさい。」
「え?何の話?」
「な、なんでもない…!」
私達は部屋に用意されていたソファーに並んで座ると、彼女も椅子から立ち上がり向かい側のソファーに移動した。
「まずは今までどこに居たか聞こう。」
「ディオース島っていう、クラーレの故郷に居たの。」
「聞いた事ない島だな。」
「そこに住んでいる島民の話では、地図に記されていない島だそうです。」
「なんでお前達がそんな場所に行ったんだ?」
「その…私は覚えてなくて…。」
「その島に流れ着く前に、レジデンスの地下に入りました。そこで見つけた機械に触れてしまい、海の上に飛ばされたんです。」
「地下の機械?飛ばされたという事は…転移する為の機械か…?」
「僕達も詳しくはわかりませんが…。恐らくそうだと思います。」
「なるほど。ならば、どうやって地下を見つけた?私も見た事がなかったんだが。」
「夜、寝れなくて廊下を歩いてたら…1階の物置部屋の近くの廊下で、黒いローブを着た人がしゃがみこんでたのを見つけたの。」
「僕がその近くを見てみたら、地下へ繋がっている扉を見つけたんです。」
「少し前にヴェラが言ってたよね?ライガしか立ち入らない地下の部屋があるって。多分それじゃないかと思ったの。」
「あの辺か…。」
「結局入って行ったのが誰だったかはわからなかったけど…確かに誰か居たよ。」
「まぁ…恐らくライガだろうな。あいつの動きを見つつ、私の方で地下を探ってみよう。お前達では危ないから、知らない振りをしていなさい。」
「うん。わかった。」
「あの…ルシュ様。」
「なんだ?」
「お聞きしてもいいですか?」
「言ってみなさい。」
「その…。」
「お前らしくないな。ハッキリいいなさい。」
「…僕は、人間だったんでしょうか?」
「何故そう思う?」
「ディオース島で、クラーレの両親の墓を見ました。その隣に、産まれてくるはずだった弟…フランと言う子供のお墓があったんです。その時、彼に言われました。なんとなく僕と血の繋がりを感じると…。」
「それで?」
「僕も…島にいる間、なんとなく懐かしいような…そんな気がしていたんです。ルシュ様なら…何か知ってるんじゃないかと思って…。」
「知っている事…か。」
「ヴェラ。私、島を出て船で移動してる時に、フランに襲われそうになったの。あの時のフランは…別人みたいで…。私やヴェラみたいに、もう1人別の人がいるのかもしれないって思ったの。何か知らないの?」
「そうか…。ついに抑えきれなくなったか…。」
「ルシュ様…?」
「今ならば話してもいいだろう。長くなるが、よく聞きなさい。…まず結論から言うと、フランも人間から吸血鬼に作り替えられた、吸血鬼もどきだ。」
「やっぱり…。」
「しかし私達と違う所は、吸血鬼であるフランではなく、人間のフランが身体の主導権を持っているという事だ。」
「それってどういう…?」
「身体の外に出ているフラン。つまり、今のお前が人間で、身体の中にいる別の人格が吸血鬼のフランだ。」
「2人共…名前はフランなの?」
「そうだ。ただ、お前の姓までは知らない。恐らくレーガなら知っているだろうが。」
「じゃあ…親はわからないのか…。」
「レーガに聞きたいけど…」
「やめなさい。今まで言わなかったあたりを見ると、隠したい事だろうからな。」
「その…2人は夢の中で話が出来るんだよね?僕は彼と話をした自覚が無いんだけど…。」
「夢の中であった事を、無意識に記憶から消しているのかもしれないな。」
「記憶を消さないようにするにはどうしたら…?」
「話をしてどうするつもりだ?仲良しごっこでもするのか?」
「ヴェラ…!」
「相手は吸血鬼だ。お前のように甘くはないぞ。私の憶測だが、常にお前の身体を乗っ取ろうと策を考えているはずだ。」
「自分の身体で起きている事を、ちゃんと見ておきたいんです。抑える方法があるならそれを見つけて、僕の…大事な人達を傷つけないようにしたい…。」
「フラン…。」
「ならば、3人で行ってみるか。言う事を聞かなければ私がなんとかしよう。」
「ありがとうございますルシュ様!」
「そこのベッドに寝なさい。私達は後から身体の中に入る。」
「わかりました。」
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