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第7章︰それぞれの過去
第58話
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「ん…?」
日の光が眩しく照りつけ、ゆっくりと目を開いた。すぐ側で水が打ち付けるような音が聞こえてくる。身体を起こそうと地面に手をつくと、白い砂が手の平に触れた。そして目の前には、広大な海が広がっている。
「あ…れ…?こんな海…あったっけ…。」
ルナの夢の中には湖や池、川などはあったが、これほどまでに広大な海は今までに見た事が無い。潮風が吹き、首元に髪の毛が触れるのを感じて、ハッとした。
「嘘…またルナになってる…。」
僕はこの時点で自分の身体がルカではなく、ルナに変わってしまっている事に気付いた。
「そうだ…。ミグ…!おーいミグ!」
この状況を見ている彼なら助けになってくれるだろうと思い、胸に軽く手を当てて懸命に声をかけるが現れる様子はなかった。
「なんでだろう…?…確かにルナはこうやって呼んでたはずなのに…。」
「…ーい……ナちゃーん…!」
遠くの方から声が聞こえると、フランが手を振りながらこちらに向かってやって来た。
「フラン…!よかった…僕1人になっちゃったかと思って心配で…」
「ルナ…ちゃんじゃなくて、ルカくんなの…?」
「あ、うん…。また入れ替わっちゃったみたいで…。それより、ここはどこなの?」
「僕も気が付いたら、ここに流れ着いてたんだよね…。少し周りを見て回ったけど、どこなのかわからないや。」
「そっか…。」
「それと…武器を作ろうとしたけど出来なかった。ルナちゃ…ルカくんはどう?」
「ルナでいいよ。ぼ…わ、私もさっきミグを出そうと思ったんだけど、出てこないんだよね…。」
ふと手首に視線向けると、彼女がいつも身につけているブレスレットは、赤や青の鮮やかな色ではなく無色透明になってしまっていた。
「他の人に会ってみない事にはわからないかも…。ひとまず近くを歩いてみる?」
「うん。ここがどこで、どうやってここに来たのか…ハッキリさせておきたいし。」
僕とフランは、永遠に続いている白い砂浜を歩き始めた。
「この辺りは…暑い地方に育つ植物が多いね…。気温も暑いし…南の方かなぁ…?」
「それにしても暑いね…上着脱ごうかなぁ…。」
「そうだね。僕もそうし…」
上着の首元に手をかけると、ルナの身体だった事を思い出し、腕をおろした。
「う…腕だけ捲っておこうかな…。」
「この日差しだと、日焼けしちゃいそうだよね。」
「日焼けしちゃったら、後でルナに謝っておこう…。」
しばらく海辺を進んで行くと、大きな岩が僕達の行く手を阻んでいた。
「大きな岩…。これ以上進めないね。」
「森の中なら進めるかも…。」
「行ってみよう。」
森の中は植物があちこちに生い茂り、木陰が出来ているおかげで海辺を歩くよりも暑さを感じにくくなっていた。
「エーリの裏の森とは、随分雰囲気が違うね。」
「うん…。生えてる木も植物も、すごく変わってる…。今まで見た事ないものばっかりだよ。」
「どこまで続いてるのかな…この森。」
「うーん…。それは歩いてみないとわからな…」
前を歩いていたフランが、突然地面に膝をついた。
「フラン!」
「あれ…?なんか…身体に力が入らな…」
ーぐぅ~…
彼の方からお腹がなる音が聞こえてきた。
「なんだ…お腹がすいたんだね。」
「え?お腹がすくって…どういう事?」
「あ、そっか…。血があれば問題ないんだったね…。ちょっとここで待ってて!食べるもの探してみるよ。」
「あ、ありがとう…。」
彼をその場に座らせて、後ろを振り返った。すると、少し離れた所で1人の青年がこちらを見ている事に気付いた。
「え…。……ガ…ゼル…?」
その青年は、ギルド“エテルノ・レガーメ”のメンバーの1人。ガゼル・マーレンだった。
「…お前等誰だ?」
「あ、えっと…。ルナ・レーヴェ…です。」
「僕は…フランド…」
「か、彼は…フラン・ルドルフです!」
人間である彼に、吸血鬼の特徴的な名前を名乗ってしまったらバレる可能性が高いと考え、それらしい名前を咄嗟に答えて誤魔化した。
「そうか。俺はガゼル・マーレンだ。こんな所で、一体何をしてるんだ?お前等…ここら辺で見かけない顔だけど…。」
「その…。」
「僕達、船に乗ってあちこち旅をしてるんだ。けど、船の故障で沈没しちゃって…気が付いたら、すぐそこの浜に流れ着いてたんだ。」
フランが起点をきかせて、上手く誤魔化した。
「なるほど漂流者か。」
「それで…ここがどこなのかわからなくて、誰か人が居ないか探してたんです。」
「なら丁度通りかかって良かった。さっきまで、こいつが暴れ回ってたからな。」
彼は背負っていた袋を降ろすと中身を取り出してみせた。
「この動物は…?」
「小さいけど凶暴で人を襲うんだ。…結構美味いぞ?」
「え…これを食べるの…?流石にちょっと…」
ーぐぅ~…
先程同様、フランのお腹から空腹を訴える音が聞こえてきた。
「腹減ってるなら食べるか?」
「え…でも…。」
「何をするにしても、まずは食べないと動けないだろ?ルナ…だったか?ちょっと手伝ってくれ。」
「あ、うん…!」
「ご馳走様でした!美味しかった~。」
「想像してたよりずっと美味しかったね。」
「うん!ありがとうございます。ガゼル…さん。」
「俺も腹減ってたし、気にすんな。んで…ここがどこだか知りたいんだっけ?」
「あ、はい!」
「ここはディオース島だ。」
「ディオース?」
「初めて聞いたね。」
「まぁ…地図にも載っていない場所だしな。」
「どうして地図に載ってないの?」
「ミラ様に守られている、神聖な場所だからだ。」
「ミラ様…?神聖な場所…?」
「あ…。悪い…俺、これから用事があるんだ。」
「ご、ごめんなさい!引き止めちゃって…。」
「用事っていうのは…街に戻るんですか?」
「いや。これからミラ様の神殿に行くんだ。興味があるなら一緒に来るか?」
「ぜひ!フランもいいよね?」
「うん。僕達2人で森を抜けられるか不安だし、土地勘のある人について行く方がいいな。」
「よし、じゃあ行くか。」
彼はその場に立ち上がって歩き始めた。僕達2人はその後を追いかけて、森の奥へ進んで行った。
「ついたぞ。」
「ここが…ミラ様の神殿?」
森の開けた場所に、何本もの石の柱が建っていた。石畳の床の上を歩き、柱の間を通って奥に進むと、下へ降りる階段が現れた。何の躊躇も無く、ガゼルは階段を降りていく。
「ところで、まだ聞いてなかったけど…。ガゼルくんはここに何しに来たの?」
「家族を迎えに来たんだ。」
「こんな所に誰か来てるの?」
「あぁ。それがあいつの仕事だからな。」
「こんな所で…仕事?」
階段を降りた先には、石造建築の空間が広がっていた。
「わぁ…。これ、全部石で出来てるんだ…。」
「ここが作られたのはかなり昔…ってくらいしか知らないけどな。あ、いたいた。おーい。ウナー。」
「え、ウナ…?」
ガゼルの目線の先には、女性の姿を模した大きな像があり、その足元に黒いワンピース姿の少女が膝をついていた。
「…ガゼル。」
彼の名前を呼びながら振り返った少女は、数年前に離れ離れになってしまった、同じギルドメンバーのウナだった。
「彼女がガゼルくんの家族?」
「…誰?」
「初めまして。僕は、フラン・ルドルフって言うんだ。」
「私、ウナ。ウナ・クラーレ。…あなたは?」
「え?…えっと、ルナ…レーヴェ…。」
「ルナ…………?」
「2人は、乗ってた船が沈んじまってこの島に流れ着いたらしい。」
「そうなんだ。大変だったね。」
「森でさまよってた所に、ガゼルくんが来てくれて助かったよ。」
「ウナ。お祈りは終わったか?」
「うん。終わった。」
「なら帰ろう。」
ガゼルが伸ばした手をウナが握りしめると、来た道を引き返し始めた。
「ルナちゃん?」
「…え?何?」
「街に帰るって。僕達もついていくんでしょ?置いていかれちゃうよ?」
「あ、うん!行こ!」
日の光が眩しく照りつけ、ゆっくりと目を開いた。すぐ側で水が打ち付けるような音が聞こえてくる。身体を起こそうと地面に手をつくと、白い砂が手の平に触れた。そして目の前には、広大な海が広がっている。
「あ…れ…?こんな海…あったっけ…。」
ルナの夢の中には湖や池、川などはあったが、これほどまでに広大な海は今までに見た事が無い。潮風が吹き、首元に髪の毛が触れるのを感じて、ハッとした。
「嘘…またルナになってる…。」
僕はこの時点で自分の身体がルカではなく、ルナに変わってしまっている事に気付いた。
「そうだ…。ミグ…!おーいミグ!」
この状況を見ている彼なら助けになってくれるだろうと思い、胸に軽く手を当てて懸命に声をかけるが現れる様子はなかった。
「なんでだろう…?…確かにルナはこうやって呼んでたはずなのに…。」
「…ーい……ナちゃーん…!」
遠くの方から声が聞こえると、フランが手を振りながらこちらに向かってやって来た。
「フラン…!よかった…僕1人になっちゃったかと思って心配で…」
「ルナ…ちゃんじゃなくて、ルカくんなの…?」
「あ、うん…。また入れ替わっちゃったみたいで…。それより、ここはどこなの?」
「僕も気が付いたら、ここに流れ着いてたんだよね…。少し周りを見て回ったけど、どこなのかわからないや。」
「そっか…。」
「それと…武器を作ろうとしたけど出来なかった。ルナちゃ…ルカくんはどう?」
「ルナでいいよ。ぼ…わ、私もさっきミグを出そうと思ったんだけど、出てこないんだよね…。」
ふと手首に視線向けると、彼女がいつも身につけているブレスレットは、赤や青の鮮やかな色ではなく無色透明になってしまっていた。
「他の人に会ってみない事にはわからないかも…。ひとまず近くを歩いてみる?」
「うん。ここがどこで、どうやってここに来たのか…ハッキリさせておきたいし。」
僕とフランは、永遠に続いている白い砂浜を歩き始めた。
「この辺りは…暑い地方に育つ植物が多いね…。気温も暑いし…南の方かなぁ…?」
「それにしても暑いね…上着脱ごうかなぁ…。」
「そうだね。僕もそうし…」
上着の首元に手をかけると、ルナの身体だった事を思い出し、腕をおろした。
「う…腕だけ捲っておこうかな…。」
「この日差しだと、日焼けしちゃいそうだよね。」
「日焼けしちゃったら、後でルナに謝っておこう…。」
しばらく海辺を進んで行くと、大きな岩が僕達の行く手を阻んでいた。
「大きな岩…。これ以上進めないね。」
「森の中なら進めるかも…。」
「行ってみよう。」
森の中は植物があちこちに生い茂り、木陰が出来ているおかげで海辺を歩くよりも暑さを感じにくくなっていた。
「エーリの裏の森とは、随分雰囲気が違うね。」
「うん…。生えてる木も植物も、すごく変わってる…。今まで見た事ないものばっかりだよ。」
「どこまで続いてるのかな…この森。」
「うーん…。それは歩いてみないとわからな…」
前を歩いていたフランが、突然地面に膝をついた。
「フラン!」
「あれ…?なんか…身体に力が入らな…」
ーぐぅ~…
彼の方からお腹がなる音が聞こえてきた。
「なんだ…お腹がすいたんだね。」
「え?お腹がすくって…どういう事?」
「あ、そっか…。血があれば問題ないんだったね…。ちょっとここで待ってて!食べるもの探してみるよ。」
「あ、ありがとう…。」
彼をその場に座らせて、後ろを振り返った。すると、少し離れた所で1人の青年がこちらを見ている事に気付いた。
「え…。……ガ…ゼル…?」
その青年は、ギルド“エテルノ・レガーメ”のメンバーの1人。ガゼル・マーレンだった。
「…お前等誰だ?」
「あ、えっと…。ルナ・レーヴェ…です。」
「僕は…フランド…」
「か、彼は…フラン・ルドルフです!」
人間である彼に、吸血鬼の特徴的な名前を名乗ってしまったらバレる可能性が高いと考え、それらしい名前を咄嗟に答えて誤魔化した。
「そうか。俺はガゼル・マーレンだ。こんな所で、一体何をしてるんだ?お前等…ここら辺で見かけない顔だけど…。」
「その…。」
「僕達、船に乗ってあちこち旅をしてるんだ。けど、船の故障で沈没しちゃって…気が付いたら、すぐそこの浜に流れ着いてたんだ。」
フランが起点をきかせて、上手く誤魔化した。
「なるほど漂流者か。」
「それで…ここがどこなのかわからなくて、誰か人が居ないか探してたんです。」
「なら丁度通りかかって良かった。さっきまで、こいつが暴れ回ってたからな。」
彼は背負っていた袋を降ろすと中身を取り出してみせた。
「この動物は…?」
「小さいけど凶暴で人を襲うんだ。…結構美味いぞ?」
「え…これを食べるの…?流石にちょっと…」
ーぐぅ~…
先程同様、フランのお腹から空腹を訴える音が聞こえてきた。
「腹減ってるなら食べるか?」
「え…でも…。」
「何をするにしても、まずは食べないと動けないだろ?ルナ…だったか?ちょっと手伝ってくれ。」
「あ、うん…!」
「ご馳走様でした!美味しかった~。」
「想像してたよりずっと美味しかったね。」
「うん!ありがとうございます。ガゼル…さん。」
「俺も腹減ってたし、気にすんな。んで…ここがどこだか知りたいんだっけ?」
「あ、はい!」
「ここはディオース島だ。」
「ディオース?」
「初めて聞いたね。」
「まぁ…地図にも載っていない場所だしな。」
「どうして地図に載ってないの?」
「ミラ様に守られている、神聖な場所だからだ。」
「ミラ様…?神聖な場所…?」
「あ…。悪い…俺、これから用事があるんだ。」
「ご、ごめんなさい!引き止めちゃって…。」
「用事っていうのは…街に戻るんですか?」
「いや。これからミラ様の神殿に行くんだ。興味があるなら一緒に来るか?」
「ぜひ!フランもいいよね?」
「うん。僕達2人で森を抜けられるか不安だし、土地勘のある人について行く方がいいな。」
「よし、じゃあ行くか。」
彼はその場に立ち上がって歩き始めた。僕達2人はその後を追いかけて、森の奥へ進んで行った。
「ついたぞ。」
「ここが…ミラ様の神殿?」
森の開けた場所に、何本もの石の柱が建っていた。石畳の床の上を歩き、柱の間を通って奥に進むと、下へ降りる階段が現れた。何の躊躇も無く、ガゼルは階段を降りていく。
「ところで、まだ聞いてなかったけど…。ガゼルくんはここに何しに来たの?」
「家族を迎えに来たんだ。」
「こんな所に誰か来てるの?」
「あぁ。それがあいつの仕事だからな。」
「こんな所で…仕事?」
階段を降りた先には、石造建築の空間が広がっていた。
「わぁ…。これ、全部石で出来てるんだ…。」
「ここが作られたのはかなり昔…ってくらいしか知らないけどな。あ、いたいた。おーい。ウナー。」
「え、ウナ…?」
ガゼルの目線の先には、女性の姿を模した大きな像があり、その足元に黒いワンピース姿の少女が膝をついていた。
「…ガゼル。」
彼の名前を呼びながら振り返った少女は、数年前に離れ離れになってしまった、同じギルドメンバーのウナだった。
「彼女がガゼルくんの家族?」
「…誰?」
「初めまして。僕は、フラン・ルドルフって言うんだ。」
「私、ウナ。ウナ・クラーレ。…あなたは?」
「え?…えっと、ルナ…レーヴェ…。」
「ルナ…………?」
「2人は、乗ってた船が沈んじまってこの島に流れ着いたらしい。」
「そうなんだ。大変だったね。」
「森でさまよってた所に、ガゼルくんが来てくれて助かったよ。」
「ウナ。お祈りは終わったか?」
「うん。終わった。」
「なら帰ろう。」
ガゼルが伸ばした手をウナが握りしめると、来た道を引き返し始めた。
「ルナちゃん?」
「…え?何?」
「街に帰るって。僕達もついていくんでしょ?置いていかれちゃうよ?」
「あ、うん!行こ!」
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