エテルノ・レガーメ

りくあ

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第6章︰エーリ学院【後編】

第53話

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「おはよーさん!」
「お、おはよう…。」

ルカと入れ替わっていた身体が元に戻り、久しぶりに教室にやってくると、入ってすぐにアレクと名乗っていた青年に声をかけられた。

「なんや元気ないなー?疲れとるんか?」
「う、ううん!そんな事ないよ!」
「おはようルナ。」

私達に気づいたユイが、こちらに向かって歩いてきた。

「あ、おはようユイ。」
「おーユイ!おはよーさん。」
「…。」
「ん?なんや?」
「別に。」

それだけ言い残して、彼女は自分の席に戻っていってしまった。

「なんやあれ…。」
「さぁ…?」
「あなた。嫌われてる。」
「ぅわ!?」

教室の入口で話をしていた私達の後ろには、ユノさんの姿があった。

「え、あれ?ユイ、さっきあっち行かんかった?あれ?」
「アレク。この人は妹のユノさんだよ。ユイと双子なの。」
「ふ、双子か…どおりで似とるわけやな…。」
「ルナさん。この間はありがと。お礼、言いたくて。」
「私は何も…ユノさんを運んでくれたのはフランですし…!」
「ううん。みんなのおかげ。…これ、みんなで食べて。フランさんにも、お礼伝えて。」

彼女はお菓子が入っていそうな缶の箱を差し出し、それを受け取った。

「あ、ありがとうございます!頂きます。」
「じゃあ…また。」

彼女は静かに帰って行った。



「何これおいしい!どこで買ったんだろうね。」
「ほんと!今まで食べた事ないくらい美味しいよ~。」
「アレクくんもよかったら食べて?」
「え、ええの!?」
「うん。沢山あるし。」
「じゃーいただきます!…んー!上手いなぁこれ!」

いつもの時間、いつもの部屋の中で新たにアレクも加わった事で、狭い部屋が余計に狭く感じ始めていた。しかし、明るく元気な彼を見ていると、不思議とこっちまで明るくなれるような気がしてくる。
そんな私達の中で1人だけ、浮かない顔をして貰ったお菓子を黙って食べていた。

「ユイ。どうかした?美味しくない?」
「え?いや…美味しいけど…。」
「美味そうに食べてるようには見えへんけどなー?」
「何よ。文句あるの?」
「別に文句って訳やないけど…。」
「そもそもなんであんたが居んのよ。いつの間に、あたし達の輪の中に入ってるわけ?」
「なんや。友達取られたかと思ってヤキモチ妬いてんのか?」
「は!?違うわよ!あんたの事が気に入らないのよ!」
「ユ、ユイちゃん。落ち着いて?」
「あたしに怪我させておいて、謝りもしないなんて失礼だとは思わないの?」
「せやかて、自分で転んで意識失ったんやろ?俺のせいやないで。」
「あんたがあんな手紙書くからよ!」
「それもユイが勘違いしただけやん。」
「あーもう本当に話の通じない奴ね!あたし帰るわ!」

彼女は自分の鞄を肩にかけると、扉を開けて出ていってしまった。

「…ごめんアレク。ユイ、勘違いしたままみたい…。私が説明して…」
「いや。俺がちゃんと説得してくるわ。俺にも悪いとこあったしな。そこんとこはきちんと謝ってくるわ。…お菓子ご馳走さん!また明日な~。」

彼は手を振りながら部屋を出て行った。

「アレクくん。いい人だね。」
「うん。最初はちょっと怖そうだったけど…優しい所もあるよね。」
「大丈夫かな?さらに激しい喧嘩にならなきゃいいけど…。」
「ユイちゃんならやりかねないね…。」
「大丈夫だよ。もしそうなっても彼ならきっと、ユイちゃんとも仲良くなれるよ。」
「ふふ…そうだね。」



「おはよーさんルナ。」
「アレク…!?どうしたのその顔…。」

翌日、私の席の周りに集まって話をしていた彼等の元に来てみると、彼の左頬に大きなガーゼが貼られていた。

「あーこれか?かっこええやろ?男の勲章や。」
「く、勲章…?」
「ユイちゃんにやられたんだって…。」
「えぇ!?」
「中々手強い奴でな…。どうしたらええか、2人に相談してたとこなんや。」
「それで…どうするの?」
「僕が一緒に行って説得しよっか、ってことになったよ。」
「私じゃ強く言えないし…。」
「そっか…。頑張ってね、2人共。」
「うん。頑張るよ。」
「今度こそ説得したるわ!」

更に翌日になり教室に足を運ぶと、アレクの顔が更に酷いことになっていた。

「アレク…それ…。」
「一昨日は左やったけど…昨日は右やったわ…。」
「いやぁ…完敗だったね。」

隣で苦笑いをしているフランは、右頬に絆創膏が貼られていた。

「フランのもユイが?」
「左を避けたら右が来たのに気づかなくて、爪が引っかかっちゃってね。大したことないよ。」
「じゃあ、今度は私が説得するよ!」
「ごめんなぁルナ。俺ももう1回叩かれるのを覚悟しておくわ…。」
「ううん。私1人で話してくるよ。」
「ルナちゃん大丈夫?危なくない?」
「逆にアレクがいると危ないと思うから…。ミグも連れて行くし任せて!」
「ミグって誰なん?」
「彼女の使い魔だよ。まだアレクくんは会った事なかったっけ?」
「凄いなー!もう使役しとるんか!?そのうち会わしてくれな?ルナ。」
「うん!」

そして授業を終えたあと、私はユイの部屋へと向かった。

「ユイいる?入るよー?」

ミグと共に部屋の中に入ると、彼女はベッドの上に座り、隣にいる少女と話をしているようだった。

「あらルナ。どうしたの?」
「ご、ごめん…ユノさんいたんだね…。」
「大丈夫。」
「突っ立ってないで座りなさいよ。ミグも座って。」
「ありがとうございます。」

床に置いてあるクッションに座ると、彼女達もベッドから立ち上がり、同じようにテーブルの側に腰を下ろした。

「何か話をしに来たの?」
「うん。アレクの事なんだけど…。」

その一言を聞いて、彼女の表情が強ばった。

「あいつの何が聞きたいのよ。」
「どうしてそんなに嫌ってるの?」
「どうしてって…。」
「姉様は、男嫌い。」
「ちょ…ちょっとユノ!?」
「男嫌い…?」
「ん。」

ユノさんは首を縦に振り、短く返事を返した。

「以前、私の事を欲しがっていませんでしたか?」
「誤解を招く様な言い方しないでよ!それとその喋り方気持ち悪いわ。普通に喋りなさい。」
「そ、そうですか…。」
「ユイ、男の人苦手…とか?」
「まぁ…そんな感じかしら…。」
「昔、私が男の子に虐められた事あった。その時姉様が助けてくれた。それから姉様にとって、男は敵…みたい。」
「それもあるけど…。あたしこんな性格でしょ?外見で判断して寄ってきた男が、あたしの内面を知って遠ざかってく。男なんてみんな、そんなのばっかりよ。」
「そんな事が…。」
「まぁフランは…何を言っても動じないけどね…。あんな奴は初めてだわ。」
「姉様、フランさんの事好き。」
「き、嫌いでもないけど好きでもないわ。正直…どう接していいかわからないのよね男って。」

彼女はテーブルに置いていたカップを手に取り、口に運んだ。

「ユイ。さっき、内面を知って遠ざかっていくって言ったよな?」
「ええ。言ったわ。」
「アレクは遠ざかってるか?」

顎の辺りに手を当て、ミグの問いにしばらく悩むような仕草をした。

「…むしろ近づいてくるわね…。」
「フランはどうだ?」
「あいつもぐいぐいくるわね…。」
「フランは好きなんだろ?それなのにアレクは嫌いなのか?」
「だから好きじゃないって…。」
「でも嫌いでも無いんでしょ?」
「まぁ…そう言ったけど…。」
「遠ざかってくような男は、ほっとけばいい。けど、遠ざけても近づいて来る奴は大事にした方がいいぞ。」
「アレクを叩いた事謝って、仲直りしよ?私も一緒に行くから。」
「そこまでしなくていいわよ。明日中に、あたしが1人で謝るわ。」
「わかった!頑張ってね。」

私達は部屋を出て、頭の上でハイタッチをして喜び合った。



「それでは今日はー…この間皆さんに集めてもらった薬草を使って、薬を作る授業をしたいと思います~。」
  
空き教室に移動して、窓側と廊下側に長い作業台を用意した。窓側には頭痛薬を作る為の薬草が積んであり、廊下側には傷薬用の薬草があった。

「それぞれ同じ人数になるように、教室での席順で分けたいと思います~。窓側の3列に座ってる生徒は窓側のテーブルに、廊下側の3列は廊下側に移動して下さいね~。」
「ユイちゃんだけ別になっちゃうね。」
「別に一緒じゃなくても問題ないわ。じゃ、また後でね。」

ララと私に軽く手を振ると、彼女はスタスタと廊下側のテーブルへ歩いていった。
彼女が居なくなるのと入れ替わる様にして、アレクとフランが話しながら歩み寄ってきた。

「あれ?ユイだけ別だったんか?」
「そっか…廊下から3列目だったもんね。」
「ユイに教えてもらおーと思ってたんやけどなぁ~。仕方ない…ルナに教えてもらうしかないなぁ。」
「仕方ないって言い方…。」
「僕はララちゃんに教えてもらいたいな~。薬草の事詳しいもんね?」
「う、うん…!私でよかったら…!」
「ありがとうララちゃん。助かるよ。」
「ほら!フランとララが一緒にやるなら、俺とルナも一緒にやらな勝てへんで!」
「勝ち負けとかないから!」

ユイとアレクの仲を深めるいいチャンスだと思っていたが、そう上手くは行かず代わりに私とアレクの仲が深まる1日になってしまった。



「あ、おったおった…!おーい。ユイ~!」
「…何?」

授業が終わり、今日作成した薬を手に握ったまま、鞄を背中に背負ったアレクがユイに駆け寄って行った。

「これから部屋戻るんやろ?俺も途中まで一緒に…」
「悪いけど。用事があるから。」
「そ、そうなんか…。ならしゃーないな…。」

あからさまに悲しそうな表情をしている彼を見て、彼女がその手首を掴んだ。

「ユイ?」
「あんたに用事があるのよ。黙って来なさい。」

そのまま2人は教室を出て行った。その様子を一緒に見ていたララが私の元に近づいた。

「ルナちゃん、ユイちゃんになんて言ったの?」
「私よりミグが言った事の方が大きいと思うよ。仲直り出来るといいけどなぁ…。」
「あの感じだときっと大丈夫だね。」

この後、2人は無事に仲直りしたようだった。



「よかったね。ユイとアレク仲直りできて。」
「うん!ミグのおかげだよ~ありがと。」
「別にいいよ。言いたい事言っただけだし。」
「ルナ、紅茶お代わりする?」
「あ、じゃあもらおっかな!」

ルカに紅茶を注いでもらっていると、家の窓から手紙の封筒が風に飛ばされて入ってきた。

「ん?今なんか入ってこなかった?」
「こ、この封筒…!」

ミグが床に落ちた封筒を手に取ると、彼の手の上でどろどろと溶けていった。

「邪魔するぞ。」
「な、なんでヴェラが手紙でここに来るの!?」
「これは企業秘密だ。お前にはまだ早い。」

彼女は私の隣に腰を下ろすと、すぐさまルカが彼女の分の紅茶を用意した。

「悪いなルカ。」
「ううん!丁度ルナのも注いでたとこだったし。」
「ヴェラ何しに来たの?お茶飲みに来たの?」
「そんな訳ないだろう?時間が空いたから本を書きに来ただけだ。」
「え、じゃあ、まさか私の血をまた吸うんじゃ…!?」
「だ、大丈夫だよルナ!ヴェラ。これでいいか確認してくれる?」

彼はテーブルの下から箱を取り出すと、彼女の前に箱を差し出した。蓋を開けると、中から色とりどりの液体が入っている瓶が並んでいた。

「どれ…。ふむ…これなら大丈夫だろう。」
「よかった!」
「ルカ、これどうしたんだ?最近お前が作った薬だろ?」 
 「うん。ヴェラに本を書いてもらうのに、毎回ルナが吸血されたら大変だろうと思って…。その代わりに、作った薬をヴェラにあげることにしたの。」
「ヴェラはそれでいいのか?」
「別に問題ない。ルナがぶっ倒れたら、結局治すのは私になるしな。」
「それもっと早く気付こうよ…。」
「それなら今度は俺も手伝うよ。なんでも言ってくれよ?ルカ。」
「ありがとうミグ。」
「さてと…なら、少々ルカの部屋を借りるぞ?」
「あ、うん!何か必要なものがあったら呼んでね。」

彼女が階段を上っていく背中を見送り、ホッと胸をなで下ろした。



「では皆さん。護身術の授業を始させていただきますわ。」

ホールのステージ上で、エレナ(リーシア様)が堂々と宣言するかの様にハキハキと話し始めた。その一方で私の隣では、うっとりとした表情をしているララが座っている。

「リーシア様って素敵だよね…。品のある喋り方だし、スタイルも良くて大人の女性って感じ…。」
「そうか?みんな同じようなも…」 
「あんたちょっと黙ってなさい。」

ユイがアレクの口に手を当てて、彼の喋りを遮った。

「ペアを組んで、2人1組で行いますわ。今回は、私とペアを組んで頂くためにラギト様にも来ていただきました。」
「よろしくね~。」

少々呆れ顔のエレナの隣で、レーガがこちらに向かって手を振っていた。

「おおお…!ラギト様が来るとは思わんかったわ!感激やなぁ~…!」
「アレク君はラギト様の事好きなの?」
「好きっちゅうか…あれやな、尊敬や。」
「どちらかと言うと、雰囲気ならフランの方がラギト様に似てるわよね。」
「確かに…。」
「細かい事はええねん!…それよりペアはどないする?5人だと1人余ってまうよね?」
「あ、それならミグ出すよ。」
「…どうも。」
「最近、ミグの扱い雑になってきたわね…。」

ペアをどう決めるか話し合った結果、私はミグと、ララはユイと、フランはアレクと組む事にした。

「ではまず、相手に馬乗りになられた時の反撃方法について実演しますわ。」

すると、ステージ上に立っているエレナが頭をこちらに向けて床に仰向けになった。その上にレーガが馬乗りになり、彼女の胸元を掴んだ。

「…なんかこれ、ドキドキするね。」
「…と馬鹿な事を言っている間に、相手の指を1歩握って思い切り引っ張ります。」
「痛ぁ!?」

彼女は身体を左に回転させながら指を引っ張った。すると馬乗りになっていた彼が、思い切り左に投げ飛ばされてしまった。それを見ていた生徒達が、小さな歓声を上げた。

「と、このように力がない女性でも簡単に反撃出来ますわ。指以外にも、耳たぶや相手の脇下の皮膚を引っ張るのも効果的なのでやってみて下さいね。」

生徒達は、お互いに組んだペア同士で真似をし始めた。

「よし、じゃあフラン上な!」
「いいけど…痛いの嫌だから優しくしてね?」

床に横になったアレクの上にフランが跨っている様子をみて、ユイが冷たい視線を送った。

「あんたら2人でやってると、やばい奴等みたいに見えるわね…。」
「あはは…。」

それを見ていた私の両腕を、ミグが掴むと床に座らせた。

「ミグ上でいいの?痛いみたいだよ?」
「ルナで実践する必要ないだろ?俺はやられ役を引き受けるよ。」
「さすがミグは紳士ねぇ…。あいつらに爪の垢を煎じて飲ませてやりたいわ。」
「いやいや…使い魔が主人をぶっ飛ばしたらまずいだろ…。」
「でもあなただって練習はしておいた方がいいでしょう?」
「なら、アレクくんに手伝ってもらうとか…」
「それはいいな。そうしよう。」
「ミグ…かなり打ち解けてきたね…。」



「ミグ!さっきのは痛かったわぁ…!」
「悪い…つい手が滑って。」
「あれは滑ったってレベルやなかったで!?」
「では皆さん。次は、相手に掴まれた場合の反撃方法を実演しますわ。」

ステージ上の2人が向かい合うと、レーガがエレナの手首を掴んだ。

「こうなった場合、相手の小指を掴んで、逆さに捻じると…」
「痛い痛い痛い!ちょっと待って!!エレナ待って痛いって!!!」

彼女は指を離すと、何事も無かったかのように生徒達に話を進めた。

「あれ痛そ~…。痛いの分かってるし、やらなくてもええんちゃうの?」
「やっておいた方がいいわよ。せっかく教えて貰ったんだし。」
「大丈夫だアレク。今度こそ手加減してやるから。」
「ちょい待てミグ!また俺を実験台にするつもりなん!?」
「俺には…お前しか頼れる奴が居ないんだが…。だめか?」
「そ、そんなん言われたら…しょうがないな~って言うしかないやん…。」
「ありがとうアレク。」
「痛い痛い!!!もーえーやろ!?痛いってー!」

ミグもすっかり彼等と馴染んだようだった。初めは使い魔を出した事でビックリされてしまったが、今では彼が出てきても騒ぎになる事もなくなっていた。
その一方で、ここにルカも一緒だったらどんなによかっただろうか…。そんな風に負い目感じてしまう自分が居た。
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