エテルノ・レガーメ

りくあ

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第3章︰人間と吸血鬼

第25話

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「着いたよ~ルナ。」

翌日、なんとか寝坊せずに朝食を済ませてギルドの前にやって来た。

「ここがギルド…結構大きい建物だね。」
「ほら、入るぞ。」

昨日ミグが話していたギルドのマスターが怖い人だと聞いて、緊張しながらテトの後に続いて中に入っていった。

「こんにちは~。」
「よ、ようこそいらっしゃいました!…テト様…でしょうか…?」
「うん。マスターはいるかな?」
「しょ…少々お待ちくださ…ぅわあ!?」

受付に立っていた女の子が、何かに躓いたのか、大きな音を立てて派手に転んだ。

「だ、大丈夫ですか!?」
「だ、だ、大丈夫ですー!すいませんすぐにー!」

彼女はすぐに立ち上がると、階段をダッシュで上って行った。

「慌ただしい奴だな…。」
「すごく痛そうだった…。」
「今の子は初めて見たなぁ。新しく入った子かな?」
「俺も見た事ないな。多分そうなんじゃないか?」
「これはこれは…わざわざお越しくださって、ありがとうございます。テト様。」

階段をゆっくりと下りながら、青年がこちらにやってきた。ミグが言っていた通り、見た目はとても優しそうな青年だった。

「わぁ!クラーレ!久しぶりだね~。」
「お久しぶりです。…ミグさんも。」
「お、覚えていてくださったのですね…。ありがとうございます。とても光栄です。」
「そちらがルナ様ですか?思っていたより若くて可愛らしい方ですね。」
「そ、そんなことは…。」
「お話は部屋でしましょうか。どうぞこちらに。イルム、急がなくていいから紅茶をお願いね。」
「は、はい…!」

中央に大きなテーブルがあり、その周りを囲むようにソファーが置いてある部屋に案内されると、テトが座った隣に私も並んで腰を下ろした。

「ルナ様。まだきちんと名乗っていませんでしたね。私、クラーレ・セシルと申します。このギルドのマスターをしています。」
「あ、はい!今日はお時間頂いて…ありがとうございます。」
「今日は…ギルドを見に来た…んでしたっけ?」
「うん。そうだなぁ…出来れば他の人と話もしたいかな。」
「今いるのは…さっき受付にいたイルムと…リアーナくらいかな…。」
「リアーナって…結構前からギルドにいる子だよね?話聞けないかな?」
「じゃあ、ちょっと聞いてみますね。」
「し、失礼します…。お待たせしました…!」

彼女はゆっくりと部屋に入ると、私達の前に紅茶のカップを置いた。

「ありがとうイルム。それと、ちょうどよかった。リアーナを呼んできてくれる?」
「はい…わかりました!」

ぺこりと頭を下げて、彼女は部屋を出て行った。

「彼女は初めて見たのですが…最近入られた方ですか?」
「いえ。前からいたんですけど…少しの間、別の街に派遣してたんです。」
「派遣…もするんですね。」
「あまり遠くには行かせられませんが…彼女が希望したのでそうしました。他にも派遣している者が何人かいますよ。」
「そうなんですね…。」
「ルナ様は…記憶喪失なんですよね?何か思い出せた事はありましたか?」
「そうですね…きっかけになりそうなことは何も…。」
「そうですか…。」

扉をノックする音が聞こえ、赤い髪の少女が入って来た。

「失礼します。」
「あ、リアーナ。ごめんね急に呼び出して。座ってくれる?」
「はい。」

彼女は私達の向かい側に座ると、シャキッと姿勢を正した。

「こちらにいるルナ様が、記憶喪失になってしまって…。何か思い出せることがないか話をしたいんだって。」
「ルナ様…ですか。…そういえば、以前街中でルナ様とお会いした事があります。」
「え!?ど、どこでですか!?」
「ですが…私が見たルナ様は、髪色がピンクで…髪型はツインテールでした。背丈や年齢は…今いらっしゃるルナ様と同じくらいに見えましたが…。」
「その子と話はしたの?」
「確か…。私の事を知りませんか?と尋ねてきました。」
「変ですね。まるでその時も…記憶がないような…。」
「ほ、他には?」
「あなたに似たような名前の人は知っていますが…初対面だと思います。と答えました。その時…私は急いでいたので、他には何も…。」
「そうですか…。」
「見た目は違うけど…名前が全く同じなのが気になるね。」
「もしかすると…ルナ様は魔法使いなのかもしれませんね。」
「魔法使い…ですか?」
「実際に見た事はないのですが…容姿を変える魔法があると聞いた事があります。」
「容姿を変える魔法…。」
「クラーレは…ルナに魔力があるかどうか、調べる事は出来ない?」
「そうですね…。触れてみたらわかるかも…しれないですが…。」
「なら触ってください!」
「では…手をお借りしますね。」

彼が私の手を掴んだ瞬間、頭が割れるような痛みに襲われた。

「痛っ!?」

目を閉じると、頭の中に声が響き始めた。

「役に立ちたいとか、強くなって誰かを助けたいって思うのは、素晴らしい事だと思うよ。でも、焦ってもしょうがないんだ。少しづつ出来るようになればいいんだよ。」
「でも…!」
「アリサもリアーナも、もちろん僕だって最初から出来たわけじゃない。いろいろ悩んで、回り道もして、それでようやく出来るようになったんだ。ここに来てまだ少ししか経ってないでしょ?焦る必要はないし、負い目を感じる事もしなくていいんだよ。」
「…はい。」

2人の会話が終わると、次第に痛みはなくなり、再び目を開いた。

「…誰…なの…?」
「ルナ…!ねぇルナ!!!」
「あれ…テト…。」
「大丈夫ですか?頭を抱えていましたが…痛いのですか?」
「痛かったけど…もう大丈夫。」
「誰?と仰っていたように聞こえたんですが…。今の一瞬で一体何が…?」
「クラーレさんと…もう1人…男の子の声が聞こえてきて…。」
「私の声…?それと男の子…ですか…。」
「ルナはクラーレと…会ったことがあった…のかな?」
「それはないはずです。私の記憶にはありません。」
「そうだ。魔力の方はどうだった?」
「とてつもなく…大きな力でした。こんなに膨大な魔力は初めてです…。」 
「なら…魔法を使って容姿を変えていた可能性が高いってとかな…。」
「…。」
「テト様。今日はこの辺りでやめておきましょう…。」
「そう…だね。色々考えを整理したいし…。ありがとうクラーレ。また今度来てもいいかな?」
「もちろんです。いつでもお越しください。」
「ありがとう…ございました…。」

何が何だかわからないまま、馬車に乗ってお城へと帰って行った。

「ルナ。大丈夫?」
「よく分からないことだらけで…頭の中がごちゃごちゃしてる…。」
「無理すんな。少しづつでいいんだから。」
「うん…。」
「僕はこの後、公務があるから…。ごめんねルナ…側にいてあげられなくて…。」
「大丈夫!1人で少し考えてみるよ。」
「俺はいるぞ?」
「そっか…そうだね。じゃあ、ミグと話をしてようかな。」
「あまり根詰めないでね。」
「ありがとうテト。公務、頑張ってね!」

彼が部屋を出ると、ミグと2人でベッドの端に座った。 

「前に…魔法で容姿を変えてリアーナさんと会ったことがあったんだよね?どうして見た目を変えなきゃいけなかったんだろう?」
「そのままの姿で…見られたらなにかまずい事があった…とか?」
「わからないなぁ…。それに、クラーレさんの手に触れた時、聞こえた声…。クラーレさんと男の子が親しそうな感じで話をしてた。」
「どんな内容だったんだ?」
「んーと…男の子が何か出来ない事があって、クラーレさんが慰めてるような内容だったかな…。」
「それもよく分からないな。クラーレさんは、会ったことがないって言ってたし…。もう1人が誰だかわからないしな…。」
「うー…。」
「大丈夫か?少し寝たらどうだ?昼になったら起こすから。」
「そうしようかな…。ありがとうミグ。」
「ん。おやすみ。」



「ん…。あれ…ここは…。」

寝たはずのベッドは先程のものと違い、転がったらすぐに落ちてしまう1人用の小さなものだった。

「あ、起きた?本当によく寝るよねルナ。」

私と同じ髪色、同じ瞳の色をした少年がこちらに近づいて、椅子に座った。

「あなたは…確か…ルカ?」
「もしかして…また忘れちゃった…?」
「あれ…その声…もしかして…。」
「どうしたの?お腹空いた?」
「お腹は空いてない…!それよりもルカ。クラーレっていう人…知らない?」
「どうしてクラーレさんの事聞くの?ギルドのマスターだよ?」
「なんでその事知ってるの!?どこで会ったの!?」
「どこって…ここだよ?だってここがギルドだもん。」
「えっ…?私が見たのと違う建物に見えるけど…。」

私が覚えている限りでは、壁や天井は白く、床には絨毯が敷かれていた。しかしここは、壁も天井も床も全て木で出来ている。クラーレさんに案内された部屋ではない事は確かだが、別の部屋だとしても明らかに部屋の雰囲気が違いすぎる。

「別のギルドと勘違いしてるんじゃない…?」
「じゃあ…リアーナさんは!?」
「もちろんリアーナも知ってるよ。同じギルドメンバーだもん。」
「ルカも…ギルドの一員なの…?」
「うん。そうだよ。」
「そう…なんだ…。他には…誰が加入してるの?」
「なんだか今日は質問ばっかりだね。まぁ…話が出来て嬉しいけど…。アリサと…ウナと…シェリアさんと…リーガルさん…あとはガゼルとリアーナと…クラーレさんの7人だよ。」

アリサさんは、街で1度会った事がある。他のメンバーの名前は聞いた事がないが、確かにリアーナさんもメンバーに含まれていた。
 
「あれ?イルムって子は?」
「イルム?誰?それ。」
「受付にいる子だけど…。」
「受付なんてないよ~。だって街の外れにある小さなギルドだもん。」
「街の…外れ…?」

次第に食い違って来る話に、頭が混乱し始めた。

「ルナ?大丈夫?顔色良くないけど…。」
「ルカのギルド…名前はなんて言うの?」
「エテルノ・レガーメだよ。小規模でアットホームなギルドなんだ。」



「っ!?」

勢いよく身体を起こすと、ミグが驚いた顔をして駆け寄ってきた。

「ど、どうした?すごい汗かいてるぞ…?一体どんな夢見て…」
「ミグ!私…わかったの…!あの男の子が誰なのか!」 
「え?どうしてわかったんだ?今寝てただろ?」
「夢の中に出てきたの!ルカっていう男の子!あの時聞こえた声と同じだった…!」
「夢に?ルカか…聞いた事あるような名前だな…。」
「ルカはクラーレさんのギルド、エテルノ・レガーメのメンバーだって言ってた!イルムさんの事は…知らなかったけど…。そうだ…アリサ…!アリサさんも同じギルドだって言ってた!確か、国家騎士なんだよね?もしかしたらこの城の中に…」
「落ち着けルナ。深呼吸だ深呼吸。」
「すー…はー…。」
「夢の中の話じゃ、本当かどうかわからない。すぐに決めつけるのはよくない。アリサなら、確かに城の中にいるかもしれないけど…。探してくるか?」
「私も行く!」
「わかった。じゃあ、探してみよう。」

部屋を飛び出すと、廊下をあちこち走り回った。1階から順番に上にあがっていくが、この広い城の中では人1人探すだけでも一苦労だった。

「はぁ…はぁ…。…ルナ。大丈夫か?」
「アリサさん…どこ?早く確かめたいのに…!」
「ルナ…。」

ついに1番上の階までやってくると、テトの後ろ姿と一緒に、黒い髪の女性が何やら話をしているのを見つけた。

「あれは…テト?隣にいる女の人…もしかして…!…おーい!テトー!」
「あれ?2人共なんで走ってるの?」
「アリサ様!」
「よかった!やっと…見つけた…アリサさん…。」
「え、私ですか…?」
「アリサさんに…聞きたい…話…が…。」
「ルナ…走ったりしたらまた体調崩しちゃうよ。ひとまず部屋に入って。アリサも時間あるよね?」
「はい大丈夫です。」

部屋の中に入ると、ミグが用意してくれたお茶を一気に飲み干した。

「はぁ~…。」
「あはは。落ち着いた?」
「うん…。ごめんねテト…。」
「それはいいんだけど…アリサに聞きたい事って?」
「アリサさん!ルカって人知ってますか!?」
「ルカ!?…どうしてあなたがルカを知ってるんですか?」
「それは…その…。」
「まさか…あいつの仲間なんじゃ…!」
「あいつ…?」

彼女はその場から立って、腰に下げている剣に手を触れると、その表情は一瞬にして別人のように変わった。

「アリサ!落ち着いて。」
「っ…!す…すみません…。」
「あいつっていうのは一体…。」

再び椅子に座ると、彼女は俯きがちに呟いた。

「ヴェルという少女です。ルカは…私達のギルドのメンバーでした…。」
「やっぱり…!」
「ヴェルっていう女の子とルカっていう子は一体どんな関係なの?」
「ルカは…何年も前に行方不明になりました。ヴェルがどこかへ連れ去ったんです…。」
「行方不明…。」
「ヴェルって子は、どうしてルカを連れて行ったの?」
「わかりません…。どうして…ルカなのか…。なんの為に…ルカを連れて行ったのか…。」
「アリサさん…。」

彼女の目に溜まった涙が、ぽたりぽたりと机に滴り落ちた。

「っ…ルナ様は…どうしてルカの事をご存知なんですか?」
「その…信じて貰えないかもしれないけど…。夢にルカが出てきたの。それで…ルカに色々聞いて…。本当なのか確かめたくて、アリサさんと話がしたかったの。」
「私が聞いていた限りでは、アリサ様の話とルナ様の話が、噛み合っているように思えます。」
「じゃあ、ルナが聞こえた声はクラーレとルカだったんだね。どうして2人の会話が聞こえたのかは…謎だけど…。」
「…。」
「アリサさん…ありがとうございます。話してくれて…。」
「いえ…お力になれたならよかったです…。では、私はこれで…失礼します。」

彼女は悲しげな顔をしながら、部屋を出ていった。

「ルナ、どうする?また明日ギルドに言ってみる?」
「そうしたいな…。ごめんね…わがまま言って…。」
「別にわがままなんて思ってない。それより身体は大丈夫か?」 
「話をしたら、ちょっと気持ちが楽になったよ。身体の方も、どこも痛くないし、大丈夫。それよりも…アリサさんに辛い思い…させちゃったかな…?」
「そうだね…。クラーレが、ギルドメンバーは、みんな家族だって言ってた。家族が行方不明じゃ…辛いと思うよ。」
「今度会ったら…謝らなきゃ…。」
「じゃあ、また明日、ギルドに行って話を聞こう。」
「うん。」

翌日、再び3人でギルドへ向かった。

「ようこそいらっしゃいました。」
「ごめんねクラーレ…。昨日の今日で申し訳ない…。」
「いえいえ。いつでも来ていいと言ったのは私の方ですから。どうぞお座りになってください。」
「今日は…ルカさんの事で、話したいことがあってきました。昨日、アリサさんとも話をしたら、私が聞いた男の子の声はルカさんだとわかりました。かなり親しそうに話をしていましたが…クラーレさんとルカさんの関係は?」
「ルカは…私の息子です。」
「息子?クラーレさん結婚してたんですか?」
「いえ、していません。森に倒れている彼を見つけて…私がギルドに迎え入れました。彼は、名前以外何も覚えていなかったので…私が親の代わりになったんです。」
「森に…。そういえば、ルカさんがこのギルドは街の外れにある、小さなギルドだと言っていたんですけど…。」
「確かに街の外れにありましたよ。何年も前の話で…街もこことは別の街です。」
「そういえば、クラーレが城に来て僕にお願いしに来たんだったね。この街にギルドを建てたいって。」
「はい。ルカが行方不明になった後、彼を探すためにはもっと大きなギルドに育てる必要がありました…。それで、この街にギルドを作りたくて、テト様のお力を借りました。」
「そう…だったんですね…。」
「ところでルナ様…どこで彼と話をしたんですか?」
「えっと…夢の中なんです…。私も初めは信じられなくて…なので今日クラーレさんに確かめようと思って…。」
「そうでしたか…。なんとも不思議な夢ですね…。」
「ルカさん…見つかるといいですね…。」
「はい…。ありがとうございます…。」

行方不明になったルカを、何年も探しているクラーレさん。そんな辛そうな彼を見ていられず、私達は早々に城へと戻って来た。

「ルカが何者なのかはわかったけど、ルナの事は何もわからなかったな。」
「でも、どうして私の夢にルカが出てくるんだろう?私達にも何か関係があるのかな?」
「わかった事も多いけど…わからない事も多いね。」
「そうだな。」
「ねぇ…テト。」
「ん?どうしかした?」
「私…ギルドで暮らしてみたい。」
「え!?」
「だめだ!あんな街のど真ん中にある、危険な所に置く訳には…!」
「ミグも一緒だったらいい?あそこで思い出せること、いっぱいありそうな気がするの。だめかな…?」
「寂しくなるけど…ルナの記憶の為ならしょうがないか…。明日、クラーレに聞いてみるよ。」
「ありがとうテト!」
「ものすごいわがままな要求だな…。」
「ごめんね…ミグ…。」
「しょうがないか…。思い出せたらまた城に戻るんだろ?」
「まだわからないけど…多分!」
「はぁ…。僕、毎日ギルドに通っちゃうかもしれないなぁ…。」
「それは目立つからやめとけ…。」

翌日、クラーレさんから了承を得た私達はギルドに住める事になった。

「身体に気をつけてね。あ、あと…食べる物にも注意しないとだめだよ?あとは…」
「俺も一緒に行くんだから、大丈夫だって。」
「それは…そうだけどさぁ…。」
「大丈夫!こっちにも遊びに来るし、お別れする訳じゃないんだから…。」
「まあ…そうだね…。あ、そうだった…!ルナに渡さなきゃいけない物があったんだった。」

私の手を取り、腕にブレスレットをはめた。ブレスレットの中央には紫色に光る宝石が埋め込まれている。

「これは?」
「僕達が初めて会った場所…カナ村の丘の上で拾ったんだ。みんなに聞いてみたんだけど…誰の物でもなかったから、多分ルナの物じゃないかと思って。返す機会が無くてずっと預かってたんだ。」
「そうなんだ…。ありがとうテト!」
「ううん。返すの遅くなってごめんね。」
「そろそろ行くか。」
「行ってくるね…テト。」
「行ってらっしゃい。帰ってくるの、待ってるよ。」

馬車に乗り、お城の方を振り返ると私達の姿が見えなくなるまで、彼は手を振り続けていた。
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