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27 アランの願望※

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 アランの手が恭弥の太ももを掴んで、左右に押した。恥ずかしい場所を大きくひろげられて、恭弥は顔を押さえる。
 ほぐされて緩んだ場所が、部屋の空気とアランの視線にさらされている。
 
「きれいだよ。すっごくエッチ」
 
 アランの下半身が恭弥の脚の間に滑りこむ。
 ぐちゃり。濡れた音を立てて、ゴムをまとったアランの先端が恭弥のうしろにすり寄る。やっぱり今夜も手際がよすぎて、いつスキンを用意したのかわからない。
 
「ぁ、……ぁああ、あああああっ」

 ずぶずぶとアランの雄が恭弥の身体を貫いていく。
 身体が埋まっていく悦びに、恭弥は足先を震わせた。粘膜のすべてでアランを感じる。
 ずっとこれがほしくて、昼間の恭弥は疼いていた。
 アランの腰が恭弥にじわじわと近づいて、やがてぱん、と音を立てて止まる。
 
「ふふ、最高」

 アランは恭弥の乳首を指でくすぐる。
 
「ふぁ……ぁ、ああ」

 アランを締め付けながら、恭弥は喘いだ。
 雌の部分ばかり、気持ちいい。自分は変だ。

「乳首、ほんとにすきだね。いいよ、いっぱいこすってあげる」

 胸の先を撫でながら、アランは奥をひとつ叩いた。
 とん、と痺れが恭弥の脳天に響いた。

「っ……!」
「気持ちいいねえ」

 胸をさわりながら、アランは恭弥の中をゆっくりと突いた。

「君がエッチに弱くて、お兄さんうれしいな」

 甘い痺れが波のように恭弥の思考をさらっていく。
 
「君ならすぐだよ。ぼくに乳首をさわってもらわないと、寂しくてたまらなくなる。ぼくにこうやっておちんちんいれてもらわないと、ちゃんと気持ちよくなれなくなる」

 こうやって、と言いながら、アランは奥をねっとりと捏ねた。アランぐらい大きくなければ届かないところ。

「君には才能があるから」
「ぁ……ぁぁ……」

 恭弥はか細く喘ぐことしかできない。

「もっと夢中になって。ぼくのあげるもの以外に、何もいらなくなって」

 とん、とん。ゆりかごのように、おだやかに揺さぶられている。
 内側を溶かすような愛撫が、気がふれそうに気持ちいい。

「君が嫌なら、いつだって逃げていい……そう言ったのはほんと。
 ……でも、君が逃げたくならないようにするのは、いいだろう?」
 
 なんの話をしているんだろう。
  
「ぼくがいないとおしりが寂しくて、ぼくじゃない誰かを試して、ぼくじゃないと満足できないことに気づいて……そうしたら君は、ぼくのところに戻ってくるしかないんだ」

 アランはうっとりとささやいた。

「ああ、しゃべりすぎちゃった。そんなにうまくいくはずないし、ただの願望さ」

 ごまかすように、アランは恭弥の額にキスした。

「君は気持ちよくなってればいい。お兄さんに全部任せなさい」

 そう言って、アランはしだいに大きく動き始めた。
 太くてかたい熱が恭弥のなかを好きに擦った。
 
「ぁあ、ああ、あ、はああ、ぁあああぁ」
「どう? ぼくは昨日より動きやすい。恭弥くんの気持ちいいとこにあてるのも、楽」
 
 恭弥の弱点を強く擦り上げ、ずちゅ、と奥を貫く。
 
「ここだよね」

 何度も、何度も。同じ場所ばかり、アランは狙って強く突いた。
 アランの体重がなかのある一点に集中してかかり、恭弥の頭は真っ白になる。
 
「ぁぁぁああああっ」
 
 じゅわあっと、熱い浮遊感が恭弥の身体を染める。
 気づけば恭弥の前はうなだれて、ぽたぽたと白く濁った液体を垂らしている。
 
(なに、これ)

 恭弥は愕然とした。
 
(こんなの、おとこじゃ)
 
「なかだけで、いっちゃったね」

 いつくしむようにしなびた雄を指先で持ち上げられる。
 
「すごいぞ恭弥くん、まだ二日目なのに、びっくりだ」

 恭弥はひどい痺れにおそわれる。
 
「ちっちゃくなっちゃって、かわいい」

 アランはうれしそうに笑って恭弥を抱きしめた。
 気持ちよくなって、褒められて、抱きしめられる。
 
(もう、いいや)
 
 恭弥はとろとろとした幸福感に浸った。
 
(もうおれ、おんなのこでも、いいや)
 
「そんなにぼくのおちんちん、気持ちよかったんだぁ。そっかぁ」

 そう言って、アランはまた雄の動きをはじめた。
 
「ぁああ……っ」
 
 達したばかりの恭弥のものが無力に揺れて、残酷な快楽を脳へつたえる。
 
「こんなの見せられちゃったらさ、もう我慢できないよ。恭弥くんはぼくのです、って、世界中に叫んでまわりたい」

 こいつならやりかねねぇ、と、恭弥は朦朧とした頭で思った。
 
「ぼくも、いくね」

 ずん。大きく一突きして、アランは息を詰める。

「あぅ」
 
 気持ちのいいところをしたたかに叩かれて、恭弥は無意識にぎゅっとうしろを締めた。
 長い息とともに、アランのものが恭弥の中でどくどくと波打った。

(亜蘭、さんが、いってる……)

 ゴムが大量の白濁で重くなっていくのを感じて、恭弥はうっとりと目を閉じる。

 
 
 夜中、恭弥は目を覚ました。中で達したせいか、いつものような軽さがなくて、身体じゅうがぐったりと重かった。
 頭の下も、なんだかかたくて痛い。
 恭弥は横を見た。
 すうすうと寝息を立てて眠る、アランのきれいな顔があった。
 
「わ」
 
 枕だと思っていたものは、アランの腕だった。
 驚きを声に出してしまった恭弥は口をおさえた。起こしたら悪い。
 
(びびった)

 まるっきり彼女あつかいかよ、と、恭弥はなんとなく恥ずかしくなる。
 
(賢者タイムとかねぇのかな、この人)

 男だったらふつう、欲望を晴らしたあとは現実が目に入る。不幸かつ不健康顔の男が至近距離にいたら、萎えて仕方がないと思うのだが。
 
(まあ、この人、なんか拗らせてるっぽいよな。そうじゃなきゃ、こんなの抱かねぇ)

 アランが最中にささやいた言葉をなんとか思い出そうとして、やめた。また勃ってしまいそうだった。
 
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