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15 いじわるな指※ 

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 アランに笑われているとわかっているのに身体の動きが止められない。触れているのがあのあたたかいアランの手だと思うと、訳が分からないほど興奮した。
 かくかくと腰を動かして、恭弥は涙目になっている。
 
「あ、あ……」

 先端だけの快感がもどかしい。もっとちゃんと触ってほしいのに。もっとちゃんと触ってくれたら、一瞬で射精できるのに。

「へこへこ我慢できないねぇ、んん? お兄さんの手、気持ちいいね」

 恭弥の耳に唇をつけ、アランは優しくささやく。ぞくぞくと甘いものが背筋をのぼる。
 熱いものが管を駆け上ってくる。もうすぐ楽になる。
 
「いきそ?」

 恭弥は答えることもできず、一生懸命自分のものを擦りつけた。もう少し。あとちょっと――――
 
「そっか。でも」

 アランは含み笑いした。

「ここで素直に出させてあげるのは、ぼくらしくないと思わない?」

 ひどくあっさりと手が離れた。恭弥は呆然とした。
 
「だってこっち触ったら、恭弥くん、きっともっと気持ちよくなれるのに」

 アランはそっと恭弥の太ももを押し上げる。
 するり、と指が恭弥の尻の溝に這った。
 
「んあ」

 昂り切った恭弥の身体が、まったく別の種類の快楽を与えられて跳ねる。
 恭弥のものが腹の上で弾んで、蜜を撒き散らした。
 
「こっちも気持ちよくなれるようにしよ? その方がずっと楽しいぞ」

 びりびりとした感覚が、恭弥の尾てい骨から背骨へと駆け上がっていく。
 
(なにこれ、なに……)

「ん、う……」

 細長い指がなめらかに恭弥の蕾を撫でる。あの優雅なアランの指が、恭弥の身体のいちばん恥ずかしい部分を撫でている。

(なんで……気持ち、いいんだよ……)

 恭弥の意思とは無関係に、そこは痙攣する。
 
「んん……んっ」
「ひくひくしてる。いれてってお願いしてる」 

 きゅん、と蕾が締まる。まるでアランの言葉を肯定しているかのように。
 
「待ってて。ゴムとローションとってくる」

 暗闇の中を、アランが手探りしていく気配がする。
 急にひとりにされて、恭弥の身体が猛烈な寂しさを訴えはじめる。前にもうしろにもアランの愛撫がほしくてたまらないのに、アランがいない。
 
「あった。ぼくったら用意周到」

 小袋を破く音をぼんやりと聞いている。
 
「指にはめて、濡らして、と。よし、これで――――」

 アランがふたたび、ぎしりとマットレスに乗り上げた。
 
「――――ちゃんと恭弥くんをかわいがれる」

 ひょいと恭弥の足を持ち上げ、アランはささやく。
 薄いラテックスの被覆をまとった指が、蕾に触れる。
 
「ひゃあ」
 
 ローションでぬるぬると縁を濡らしたあと、アランの指は恭弥のその場所をぐっと押し込んだ。
 
「っ……!」
「力抜いてよ、はいんないよ」

 アランは笑っている。
 
「は、はいるわけ、ねえ、だろ、ぁ」
 
 当たり前だ。女の場所とちがって、何かをいれるためにできているのではないのだから。
 
「ぁ、ぅ、……っ、ぅあ」
 
 撫でて、さすって、アランはそこがひらくのをじっと待っている。うしろで指がうごめくたび、恭弥の感覚は鋭くなって、胸の先も性器も尖り切った。
 
「はいんないかなぁ」
 
 アランは不満そうに言いながら、空いている方の手で恭弥の乳首をそっと触った。
 
「ふあ」

 胸の先から生まれた、じんとした痺れがうしろの孔に伝わっていく。
 ひくん、と恭弥の蕾が痙攣する。
 そこを狙って、アランの優雅な細い指がぬるん、と恭弥の中にもぐりこんだ。

「ああっ!」

 ばちん、と恭弥の身体が跳ねた。
 
(なに、これ) 

「へえ、恭弥くん、乳首さわったら指はいるの? 何その仕組み。エッチすぎない?」

 こわかった。痛みより何より、そんな異物を簡単に身体におさめてしまったことが。
 なのに気持ちいいのが、もっとこわかった。
 
「ぁ、あ……っ」

 恭弥は思わずアランの首にすがった。アランの指一本が全身の感覚を支配している。ひどい痺れだ。
 身体の内側から雄の付け根を刺激され、いいようにされている感じだった。アランの指がゆっくりと中を擦るだけで、あとからあとから蜜が溢れだして止まらない。
 
「あ、んなぁ、とめ、て……っ」
「嘘、もう感じちゃってる?」
 
 そんな場所に指を入れられて、感じてしまっている。情けなくて、恥ずかしかった。だがそう思うほど、恭弥の中で快楽はみるみる育っていく。
 
「わあ、ぼく、すごい子拾っちゃったな。初めてなのに胸もお尻も感じるなんて」
「ひ、あ、こわい、これぇ、こわ、いぃ」
「ん? 大丈夫大丈夫。君ならいける。才能あるもん」

 優しくもいい加減にあやしながら、アランはゆるゆると恭弥の中を撫でている。
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