33 / 37
ACT4 けじめけじめと言うけれどけじめを付けてどうすれば??7
しおりを挟む
ひとしきり歌い終わった。
途中で、歌を止められることはなかった。
必死に歌ってたせいで、なんか額に汗がにじむほどだった。
大きく深呼吸する俺。
「・・・うん」
「うん・・・」
香取サイゾーと大河マサオミが目を合わせて軽く頷きあう。
他のおっさんたちにも何か耳うちして、香取サイゾーは俺に向き直ると、また、どこかにやっとした表情で言うのだった。
「まだまだ荒削りだが・・・・なんでMarinが君を指名したかわかった気がするよ
あのマーボの独特のピアノタッチについていけるし、そこそこいい声してる
なるほどな・・・」
香取サイゾーに褒められた・・・・????
俺は一瞬、きょとんとしてまじまじと香取サイゾーの顔を見る。
「でもまだまだ素人感が抜けてないし、アリーナでバッキングを務めるには全然実力は足りないが・・・
先日のオーディション参加者と一緒に選考はさせてもらうよ」
香取サイゾーはそう言って意味深に笑った。
「あ・・・ありがとう、ございました」
俺は、それでも完璧にやり切った感あったんで、もう結果なんてどうでもいいやって思いながら、なんかよくわからない充実感に満たされたまま、香取サイゾーに頭を下げた。
結果なんてどうでもいいやw
本気というなら、あの一曲を本気で唄い切ったんだから、もうそれで満足だw
どうせ落ちるんだろうし、こんな場所まで突然連れてこられて、なんの前準備もなくここまでやったんだし、もういいやwww
俺は、なんか気分よくなって、もう一度、その場にいるおっさんたちに頭を下げると、しれっとドアを出た。
そして、廊下に出た瞬間だった。
不意に俺の視界に、艶々に輝く長い栗毛の女の子が飛び込んできたんだ。
「てっちゃん!!なによちょーかっこよかったじゃん!!」
子犬が跳ねるように、なんかめちゃくちゃ嬉しそうな顔をして、見たことのあるキレイな女の子が思い切り俺に抱き付いてくる。
それは紛れもなく、きなこの従姉妹で、新人ながら絶大な人気を誇るアーティストMarinこと葵だったんだ。
「!!!?」
「ちょーグルーヴ!!マーボさんなんか、悪そうにニヤついてたじゃん!」
「あおい!!おまえ見てたのか!?」
「見てたよ!モニターあるもん!
それに、今回のオーディションはあたしのアルバムのバックボーカルオーディションだよ?
見るにきまってんじゃん!」
あおいは、ビスクドールのような堀の深いキレイな顔を、満面の笑みで満たしてそう言った。
こういうとこは、いたって普通の可愛い女の子な葵。
ファンに見られたら、俺は確実に殺されるよな・・・
だがしかし、葵のきゃしゃな肩越しに、なんだか殺気を感じてハッとそちらを見ると。
何故か不機嫌そうにじとーっと俺を見てるきなこがいた‥‥
「きなこ・・・おまえ、なんだその恨めしそうな顔は?」
「てっちゃん、貸した電車代・・・金利18ぱーせんとだからね!!!!!」
「おまえ、なに怒ってんの???」
「あたしがここに連れてこなかったら、てっちゃんこんなチャンスなかったんだからね!!
あおちぃに鼻の下伸ばして象さんみたいな顔してないで!
あたしにも感謝してよね!!」
「え・・・?あ、は、はい」
確かにきなこの言う通りだ・・・と、俺は思わず素直に返事をしてしまった。
きなこは、ハリセンボンみたいにほっぺたをふくらませている。
その顔が、やっぱ面白くて、俺は思わず吹き出した。
途中で、歌を止められることはなかった。
必死に歌ってたせいで、なんか額に汗がにじむほどだった。
大きく深呼吸する俺。
「・・・うん」
「うん・・・」
香取サイゾーと大河マサオミが目を合わせて軽く頷きあう。
他のおっさんたちにも何か耳うちして、香取サイゾーは俺に向き直ると、また、どこかにやっとした表情で言うのだった。
「まだまだ荒削りだが・・・・なんでMarinが君を指名したかわかった気がするよ
あのマーボの独特のピアノタッチについていけるし、そこそこいい声してる
なるほどな・・・」
香取サイゾーに褒められた・・・・????
俺は一瞬、きょとんとしてまじまじと香取サイゾーの顔を見る。
「でもまだまだ素人感が抜けてないし、アリーナでバッキングを務めるには全然実力は足りないが・・・
先日のオーディション参加者と一緒に選考はさせてもらうよ」
香取サイゾーはそう言って意味深に笑った。
「あ・・・ありがとう、ございました」
俺は、それでも完璧にやり切った感あったんで、もう結果なんてどうでもいいやって思いながら、なんかよくわからない充実感に満たされたまま、香取サイゾーに頭を下げた。
結果なんてどうでもいいやw
本気というなら、あの一曲を本気で唄い切ったんだから、もうそれで満足だw
どうせ落ちるんだろうし、こんな場所まで突然連れてこられて、なんの前準備もなくここまでやったんだし、もういいやwww
俺は、なんか気分よくなって、もう一度、その場にいるおっさんたちに頭を下げると、しれっとドアを出た。
そして、廊下に出た瞬間だった。
不意に俺の視界に、艶々に輝く長い栗毛の女の子が飛び込んできたんだ。
「てっちゃん!!なによちょーかっこよかったじゃん!!」
子犬が跳ねるように、なんかめちゃくちゃ嬉しそうな顔をして、見たことのあるキレイな女の子が思い切り俺に抱き付いてくる。
それは紛れもなく、きなこの従姉妹で、新人ながら絶大な人気を誇るアーティストMarinこと葵だったんだ。
「!!!?」
「ちょーグルーヴ!!マーボさんなんか、悪そうにニヤついてたじゃん!」
「あおい!!おまえ見てたのか!?」
「見てたよ!モニターあるもん!
それに、今回のオーディションはあたしのアルバムのバックボーカルオーディションだよ?
見るにきまってんじゃん!」
あおいは、ビスクドールのような堀の深いキレイな顔を、満面の笑みで満たしてそう言った。
こういうとこは、いたって普通の可愛い女の子な葵。
ファンに見られたら、俺は確実に殺されるよな・・・
だがしかし、葵のきゃしゃな肩越しに、なんだか殺気を感じてハッとそちらを見ると。
何故か不機嫌そうにじとーっと俺を見てるきなこがいた‥‥
「きなこ・・・おまえ、なんだその恨めしそうな顔は?」
「てっちゃん、貸した電車代・・・金利18ぱーせんとだからね!!!!!」
「おまえ、なに怒ってんの???」
「あたしがここに連れてこなかったら、てっちゃんこんなチャンスなかったんだからね!!
あおちぃに鼻の下伸ばして象さんみたいな顔してないで!
あたしにも感謝してよね!!」
「え・・・?あ、は、はい」
確かにきなこの言う通りだ・・・と、俺は思わず素直に返事をしてしまった。
きなこは、ハリセンボンみたいにほっぺたをふくらませている。
その顔が、やっぱ面白くて、俺は思わず吹き出した。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
なりゆきで、君の体を調教中
星野しずく
恋愛
教師を目指す真が、ひょんなことからメイド喫茶で働く現役女子高生の優菜の特異体質を治す羽目に。毎夜行われるマッサージに悶える優菜と、自分の理性と戦う真面目な真の葛藤の日々が続く。やがて二人の心境には、徐々に変化が訪れ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる