新宿情火~Flamberge~Ⅰ

坂田 零

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 鼻血をたらして後ろにのけぞるが、しのぶはまだ俺の足にしがみついてくる。

 しのぶをまた蹴り飛ばして、床に倒れたとこに馬乗りになって、俺は・・・・

 しのぶの首を両手で絞めた。

 呻き声を上げてしのぶは両足をバタバタさせて、俺の手を離そうと必死で手首をつかむ。

 だから俺は更に力を入れてしのぶの首を絞め上げた。

 どんどんと床を踏み鳴らすように抵抗してたしのぶが、数十秒後、まったく動かなくなってしまった。

「!?
しのぶ?おい!しのぶ!?」

 俺は慌ててしのぶの名前を呼んだ。

 しかし、しのぶは目を半開きにしたまま、ピクリとも動かなくなった。

 やばい・・・

 しまった・・・

 死んでる・・・

 殺してしまった・・・

 しのぶを殺してしまった・・・

 その後のことは、あまり覚えていない。

 クローゼットにあった毛布にしのぶの死体を包んだあと、慌ててレンタカーを借り、夜中にどこかの公園の林の中に捨てたような記憶がある。

 だから、生きてるはずないんだ。

 しのぶは、俺が殺したんだから。

 今、目の前にいるこの女が、しのぶであるはずがない!

 顔に垂れ下がった髪の下で、美麗が、か細い声で俺を呼んだ。

「柴田くん・・・」

「来るな!!来るな!!!」

 髪の隙間から、ぎょろっとした大きな目が俺を睨む。

 両腕が突然突き出され、やけに冷たいその指先が俺の首筋を掴んだ。

「ぎゃあああああああ!!!」

 俺の意識はそこで途切れた。
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