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ACT3-4
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少し心は痛んだが、一生彼氏もできなさそうな醜い女を抱いてやったんだ、感謝はされど恨まれる筋合いなんかないはずだ。
その後、しのぶがどうなったかなんて、俺は知らない。
やばいと思ったからそれ以来、しのぶの部屋に行くこともなくなった。
だけど、なんとなく気になって、しばらくしてからしのぶの部屋の前を素知らぬ顔をして通ってみた。
その時既に、部屋は空き部屋になっていた。
俺の話のあと、 空になったカクテルを赤い爪の先で弄びながら、美麗は含んだような口調でこう聞いてきた。
「あなたにとって・・・そのしのぶさんて、一体なんだったのかしらね?」
俺は、グラスの水割りを飲み干すと答えて言った。
「言葉は悪いけど、ほんと都合良く使うだけの女だったかな」
「愛情は、かけらもなかったの?」
「正直、金を出すから抱いてやってたようなもんで、愛情なんて少しもなかったよ。
とにかくブスだったんだから!」
そこまで言って、俺は思わず笑ってしまった。
「もう少し美人だったら、俺もあんな扱いはしなかったかもな」
「その女の子のこと、ブスである以外何も覚えてないの?」
美麗は、妖艶に唇の角を上げると、グラスを握ったままの俺の手を赤い指先で柔らかくつかんだ。
俺は、その仕草に思わずどきっとしてしまう。
アルコールで少し潤んだ大きな瞳が、意味があるのかないのか、じっと俺を見つめている。
女神のような綺麗なその顔。
この女に、こうやって真っすぐに見つめられたら、俺じゃなくても、きっと誰もが戸惑ってどぎまぎするに違いない。
美麗の言葉に、俺は、もう記憶の彼方に消えかけているしのぶに思いをはせてみる。
記憶の糸をたぐったときに、一つだけ、思い出したことがあった。
「ああ、そう言えば・・・あいつ、左胸の脇のほうに、なんか蝶々のようなあざがあったんだ。
生まれつきあるんだって言ったな」
「・・・・そう」
美麗の唇が、至極妖艶に微笑する。
「ねぇ?」
「はい?」
「私の部屋で飲み直さない?」
「えっ!?」
俺は驚いて、まじまじと美麗の顔を見つめてしまう。
美麗は、そんな俺の手をそっと自分の元に引き寄せると、その豊満な胸に触らせたのだった。
その後、しのぶがどうなったかなんて、俺は知らない。
やばいと思ったからそれ以来、しのぶの部屋に行くこともなくなった。
だけど、なんとなく気になって、しばらくしてからしのぶの部屋の前を素知らぬ顔をして通ってみた。
その時既に、部屋は空き部屋になっていた。
俺の話のあと、 空になったカクテルを赤い爪の先で弄びながら、美麗は含んだような口調でこう聞いてきた。
「あなたにとって・・・そのしのぶさんて、一体なんだったのかしらね?」
俺は、グラスの水割りを飲み干すと答えて言った。
「言葉は悪いけど、ほんと都合良く使うだけの女だったかな」
「愛情は、かけらもなかったの?」
「正直、金を出すから抱いてやってたようなもんで、愛情なんて少しもなかったよ。
とにかくブスだったんだから!」
そこまで言って、俺は思わず笑ってしまった。
「もう少し美人だったら、俺もあんな扱いはしなかったかもな」
「その女の子のこと、ブスである以外何も覚えてないの?」
美麗は、妖艶に唇の角を上げると、グラスを握ったままの俺の手を赤い指先で柔らかくつかんだ。
俺は、その仕草に思わずどきっとしてしまう。
アルコールで少し潤んだ大きな瞳が、意味があるのかないのか、じっと俺を見つめている。
女神のような綺麗なその顔。
この女に、こうやって真っすぐに見つめられたら、俺じゃなくても、きっと誰もが戸惑ってどぎまぎするに違いない。
美麗の言葉に、俺は、もう記憶の彼方に消えかけているしのぶに思いをはせてみる。
記憶の糸をたぐったときに、一つだけ、思い出したことがあった。
「ああ、そう言えば・・・あいつ、左胸の脇のほうに、なんか蝶々のようなあざがあったんだ。
生まれつきあるんだって言ったな」
「・・・・そう」
美麗の唇が、至極妖艶に微笑する。
「ねぇ?」
「はい?」
「私の部屋で飲み直さない?」
「えっ!?」
俺は驚いて、まじまじと美麗の顔を見つめてしまう。
美麗は、そんな俺の手をそっと自分の元に引き寄せると、その豊満な胸に触らせたのだった。
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