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ACT2 石の上にも三年とか言うけど、石の上なんて痛くて三年も座ってられるか!6

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「はっ!?いや、待て!なんで泣く?」

 俺は思わず、寝転がったまま後ろにいたきなこを振り返る。
 きなこは、こっちを向いたまま、両手で顔を覆って背中を丸めていた。

「うっ・・うぅっ
てっちゃんは・・・ひっく・・・
ひっく・・・なんもわかってないっ・・・
あたしなんてっ・・・うっ、うぅっ・・・
てっちゃんにはっ・・・ひっく・・・うぅっ・・・
きっと、どうせ、どうれもいい存在なんらぁ・・・ふえーん
ふえーん・・・ひっく、ひっく」

 このシチュエーション、なんか既視感あるわぁ・・・・
 とか思ったけど、俺は大きくため息をついて、きなこの髪をぽんぽんと叩いた。

「何言ってんのおまえ??どうでもいいとか思ってないし。
とりあえず、泣く必要ないやんおまえ?」

「じゃあ、なんれ・・・ふえーん
・・・・なんれ・・・あたしをっ・・・ひっく、ひっく」

「どしたおまえ・・・?」

 両手で顔を覆うきなこを、困り果ててまじまじと覗きこむ俺。
 きなこは、指の隙間からそっと俺を見上げる。
 
 あれ・・・?

 指の隙間から見える大きな目からは、ほんとに大粒の涙がこぼれていて、俺はその一瞬で更に動揺したんだ。
 前は確か、見事なほどの嘘泣きだったような気が!!
 やっべ、こいつほんとに泣いてる!

「はっ?おまえ・・・っ、ガチ泣きして・・・??
ちょ、なんでおまえ!そんな泣くの・・・っ?」

「あたしが・・・うぅっ・・・ひっくひっく・・・
なんでここにいるか・・・・ふえーん・・・うぅっ
ひっく・・・てっちゃん・・・ほんとわかってない・・・っ
鈍感・・・ばか・・・・あほ・・・・ひっく、ひっく・・・」

「え?いや・・・鍵なくしたから・・・来たんだろ?」

「うわーーーーーーーん!!ばかばかぁぁぁぁぁ!!!!
てっちゃんのばかぁぁぁぁぁぁ!!!
ふえーーーーーーん!!」

 きなこがここに来た理由を、答えただけなのにwwwwww
 なんで一層泣かれるのかwwwww
 やばい、訳がわからん・・・・w
 これはどうやって事態を収集すればいいのかwwww

「え・・・?
待ておまえ、とりあえず、落ち着こうか?」 

 俺は焦って変な笑い方をしながら、とりあえずきなこの髪を撫でてやる。
 きなこは肩を震わせて、嗚咽しながら、ますます背中を丸めた。

 あー
 もー
 訳わかんねー 
 だんだん面倒くさくなってきたぞwww

 俺はもう一度ため息をつくと、背中を丸めるきなこを抱き寄せて、ぎゅっと抱きしめてやった。

「!」

 きなこが、驚いた顔になってふと俺の顔を見る。
 もはや、涙と鼻水でくしゅくしゅになったその顔が、何かの動物みたいでちょっと可愛いとか思った俺。
 俺も末期か・・・・
 仕方ないから、ベッドの下に置いてあるボックスティッシュを取って、きなこに差し出す。
 きなこはそれを受け取ると、思い切り鼻をかんで、それをベッド下のゴミ箱に捨て、もう一枚ティッシュを取って涙を拭いた。

 「なんなんだよおまえ、ほんと?」

 俺は可笑しくなってそういうと、おとなしくなったきなこを抱きしめて、片手で髪を撫でてやる。
 きなこは、泣いて真っ赤になった顔のまま、唇を尖らせてぺたっと俺の胸に抱き着いてきた。

「だって・・・だって・・・だって・・・・っ」

「だってなんだよ?」

「てっちゃんは・・・あたしが処女だから・・・面倒くさいとか思ってるんでしょ???」

「はっ!!!?」

 きなこの衝撃の告白に、俺は一瞬固まった。

 いやいやいやww
 何それww
 そんな情報初めて知ったわwww
 ってか、このシチュエーションでその情報は色々やばいわ・・・・w

 上目遣いにこっちを見るきなこを、俺はまじまじと見つめてしまう。
 
「え・・・いや、なんていうか・・・そんな情報、俺初めてしったわ、今」

「はぅっ!?」

 大きな目を更に大きく見開いて、何故かきなこが驚愕の表情をする。 

「なんでおまえが驚いた顔すんの?
この状況で、それを言われた俺のが驚くわ!」

「しまった・・・・!ば、ばれてしまた!!」

「おまえが勝手にばらしたんだろうがwww」

「・・・でも、やっぱ、面倒くさいとか思ってる?」

 急にしおらしくなったきなこが、やけに気弱な声でそう聞いてくるから、俺は困って天井を仰ぐ。

「うーん・・・別に面倒くさいとは・・・まぁ、思わないけど・・・
つかおまえ・・・このシチュエーションでその発言はまずいだろ?」

「なんでまずいの・・・?」

「は?だって今こんな状況だぞ?それでおまえ、そんなこと言ったら・・・・
まるで・・・・」

 そこまで言いかけたとき、不意に、枕元でスマホが鳴った。 
 
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