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<ACT1 女神の憂鬱>1
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1989年3月
*
この年の日本は、昭和天皇ご崩御と言うニュースで始まった年だった。
年号は昭和から平成に変わり、世の中の移り変わりが顕著だった年でもあった。
日本全体が歴史を支えた天皇の死を悼む傍ら、新たな時代の幕開けに歓喜している。
そんな中、新宿歌舞伎町「club 輝夜(かぐや)」は盛況だった。
輝く豪華なシャンデリア、ざわめく談笑。
高級な酒と女たちの香水の匂い。
男と女の金と欲望の駆け引きが、今宵もこの華やかな店の中で展開されている。
そう・・・ここが俺の毎日の仕事場。
俺がこの店に来て、もう4年になる。
あの時・・・
あの女神のような人が俺を拾ってくれなかったから・・・
今ごろ俺は、どうなっていたんだろう?
カウンターでグラスを磨きながら、そんなことを思った。
その時・・・
ロイヤルブルーのドレスを纏う俺の女神が、豪華なソファに座ってとあるゼネコンの社長を接客しながら、ちらりと俺の方を見た。
大理石のテーブルの上にあるアイスはまだある、灰皿も変えたばかりだ・・・
となると・・・
俺は拭いていたグラスをカウンターに置いて、カウンター下の冷蔵庫から生チョコを取り出しクリスタルガラスの皿にさっと盛りつけ、棚からカミュを取り出してグラスと一緒にトレンチに乗せ、女神の元へと持っていく。
俺は女神の前に膝まづいて一礼すると、トレンチのものを全て大理石のテーブルに置いた。
「うふふ・・・さすがコージくん」
女神は真紅の口紅を引いた唇で妖艶に微笑んだ、そして、隣で彼女の手を握って上機嫌な笑顔をする上客に言った。
「木崎社長・・・はい、お気に入りのものが届きましたわよ。
どうぞ、召しあがって」
この二品がプラスされて、俺の女神・・・この「club輝夜」NO1である美麗さんの今夜の売り上げは850万円だ。
今夜もダントツの売り上げを誇っている。
俺の女神は、向かうところ敵なしの勝利の女神。
それが、この美麗と言う人の実力なんだ。
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この年の日本は、昭和天皇ご崩御と言うニュースで始まった年だった。
年号は昭和から平成に変わり、世の中の移り変わりが顕著だった年でもあった。
日本全体が歴史を支えた天皇の死を悼む傍ら、新たな時代の幕開けに歓喜している。
そんな中、新宿歌舞伎町「club 輝夜(かぐや)」は盛況だった。
輝く豪華なシャンデリア、ざわめく談笑。
高級な酒と女たちの香水の匂い。
男と女の金と欲望の駆け引きが、今宵もこの華やかな店の中で展開されている。
そう・・・ここが俺の毎日の仕事場。
俺がこの店に来て、もう4年になる。
あの時・・・
あの女神のような人が俺を拾ってくれなかったから・・・
今ごろ俺は、どうなっていたんだろう?
カウンターでグラスを磨きながら、そんなことを思った。
その時・・・
ロイヤルブルーのドレスを纏う俺の女神が、豪華なソファに座ってとあるゼネコンの社長を接客しながら、ちらりと俺の方を見た。
大理石のテーブルの上にあるアイスはまだある、灰皿も変えたばかりだ・・・
となると・・・
俺は拭いていたグラスをカウンターに置いて、カウンター下の冷蔵庫から生チョコを取り出しクリスタルガラスの皿にさっと盛りつけ、棚からカミュを取り出してグラスと一緒にトレンチに乗せ、女神の元へと持っていく。
俺は女神の前に膝まづいて一礼すると、トレンチのものを全て大理石のテーブルに置いた。
「うふふ・・・さすがコージくん」
女神は真紅の口紅を引いた唇で妖艶に微笑んだ、そして、隣で彼女の手を握って上機嫌な笑顔をする上客に言った。
「木崎社長・・・はい、お気に入りのものが届きましたわよ。
どうぞ、召しあがって」
この二品がプラスされて、俺の女神・・・この「club輝夜」NO1である美麗さんの今夜の売り上げは850万円だ。
今夜もダントツの売り上げを誇っている。
俺の女神は、向かうところ敵なしの勝利の女神。
それが、この美麗と言う人の実力なんだ。
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