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第一節 暗黒の翼 黒炎の刃15
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ただ一度で、この巨大な黒き竜を滅破する。
艶やかな漆黒の長い髪が、揺らめき立つ白銀のオーラの中で乱舞した。
その凛々しい唇が、今、竜狩人の呪文を紡ぎ始める。
『天の怒り 地の怒り 我は欲する そは猛き雷』
三つ首の竜の口から放たれた、火の粉を散す黒き破滅の爆炎が、シルバに向かって迸る。
地を這うように迫り来る黒き炎に臆すことなく、鋭い眼光で睨み据えると、振りかざした白銀の美しい刀身が閃光の帯を引き、真っ向からそれを切り裂いた。
消し飛ぶ闇の炎の中に、尚も彼の声が響き渡り、彼の歩みは更に竜の元へと近づいていく。
『黎明の空を裂き 地をも砕いて我が手に宿れ そは天地の支配者』
シルバの肢体から揺らめき立つ炎のような白銀のオーラが、轟音と共に高く天空に伸び上がる。
黒き竜の口に、今度は、暗黒のを伴う紫の閃光が湧き上がった。
躊躇うことも臆すこともなくゆるやかに近づいてくるシルバに向かって、一直線に放たれる、リュ―インダイルの体をも貫き通したあの紫色の閃光。
だが、竜狩人の呪文を紡ぐ彼には、そんなものは全く通用しない。
揺らめき立つ白銀の光がそれを千々に打ち砕き、一瞬にして虚空へ離散させてしまう。
『終(つい)えることなき怒りの雷鳴 遍く大地 遍く天空 その全てより来たれ 我は欲する 其が力 空を裂き地を砕け ナーガ・オン・ザイオン(崇高なる雷の刃)』
その凛々しい唇が、最後の呪文を紡いだ時、暗黒の竜を睨み据えていた、深き地中に眠る紫水晶のような右目が、爛と輝きながら大きく見開かれたのだった。
とたん、眩いばかりに発光する白銀のオーラが、彼の長い黒髪と純白のマントを虚空に乱舞させたのである。
その手に握られた白銀の剣を横に切り返すと、凄まじい轟音が、天地に揺るがすように辺りに響き渡ったのだった。
虚空を満たしていた白銀の光が天空で破裂し縦長に伸び上がると、時を同じに、大地が振動し始めて、る巨大な閃光が、緑に萌える草原の地面を激しい爆音と共にめくり上げた。
まるで火山が噴火するが如く吹き上がった凄まじい光の帯は、地面を抉り取りながら渦を巻き、激しい破裂音と共に横長に伸び上がる。
天空と大地を、震わせるように波打つ脈動。
天地に伸び上がった二つの凄まじい閃光が、重なり合うように黒き竜の足元と頭上に浮かび上がると、それは、光の速さで十字に重なり、辺りを眩いばかりの光に満たしながら、黒き三つ首の竜を、一瞬にして縦横に引き裂いたのだった。
地獄からの叫びのような竜のが、迸る刃のような光に満たされた虚空に響き渡った。
苦悶にのたうつ三つの首が根元から両断され、黒き翼は千々に裂かれ、巨大な肢体から黒き鱗が弾け飛ぶと、雷にも似た白銀の閃光に貫き通された体は、光溢れる虚空の最中で千々に千切れ、黒き炎の撒き散らしながら跡形もなく離散していったのである。
その呪文の持つ凄まじい威力に、ウィルタールは、ただ、ひたすら驚愕して大きく眼を見開くと、あんぐりと口を開いたまま、その場で硬直してしまった。
眩い白銀の光の海が、音も立てずに静かに狭まっていく。
その最中に、ジェン・ドラグナの美しい刃の切っ先を地面に向け、純白のマントを翻しながら凛と立つシルバの後ろ姿があった。
漆黒の黒髪を急速に消えて行く光の旋風に棚引かせながら、彼は、ゆっくりとこちらを振り返る。
その時既に、あの暗黒の竜の姿は跡形もなく消し飛んでいる。
周囲を覆い尽くしていた光の海が、天と地に吸い込まれるように消えて行き、風渡る草原に元通りの静けさが戻った頃・・・
あれだけの術を放ちながらも、白銀の守護騎士シルバは、実に冷静で沈着な表情をして、緩やかな歩調でウィルタールの傍らに歩み寄ってきたのだった。
腰の鞘に白銀の剣を収め、純白のマント羽織る広い肩で大きく息を吐くと、彼は、その澄み渡る紫色の隻眼で、ゆっくりと、硬直しているウィルタールを見やる。
ウィルタールは、そんなシルバの端正で精悍な顔を、大きな青い瞳で、半ば呆然として見つめたままである。
そんな彼の表情に気付いて、シルバは、深き地中に眠る紫水晶のようなその隻眼の瞳を怪訝そうに細めると、思わず言うのだった。
「おい、どうした?その間抜け面は?」
シルバの大きな両腕が、ウィルタールが抱えているレダのしなやかな肢体を、彼の腕から静かに抱き取った。
「・・・・い、いえ・・・・竜狩人の呪文を、見たの・・・初めてで・・・その、なんて言うか・・・凄すぎて・・・・」
どこか戸惑ったような、しかし実に感心したような口調で紡がれたウィルタールの言葉に、シルバは唇だけで愉快そうに笑った。
その澄んだ紫の瞳を、長い睫毛を伏せたままでいるレダの顔に向けながら静かな口調で答える。
「おまえは、スターレットの・・・ロータスの大魔法使いの術を見たことがないのか?」
「いえ・・・見たことはありますが・・・あれほどの術など・・・・」
「・・・あいつの本当の力は、俺なんかよりよっぽど恐ろしいぞ・・・・
その昔、都を一つ、跡形もなく消滅させた奴だからな、あいつは」
何の気なしにさらりとそんな事を言いながら、シルバは、腕に抱えたレダの体を、ゆっくりと草の上に横たえ、彼女の脇腹の傷口を確かめるように静かに紫色の視線を動かしたのである。
出血も止まっている、それに、深かった傷が大分癒えている様子だ・・・。
「えぇ!?都を・・・消滅させた・・・!?」
シルバは、ふと、何かに気が付いて、ふと、傍らで素っ頓狂な声を上げ大きく眼を見開いたウィルタールの顔を仰ぎ見る。
唇だけで穏やかに微笑むと、落ち着き払った口調で言うのだった。
「おまえ、レダの傷を癒してくれたのか?」
「え?あ、はい・・・僕、まだまだ半人前なんで・・・そんなことぐらいしか、できませんから・・・
その傷の全てを、治せる訳でもないのですが・・・」
ウィルタールは、実に申し訳なさそうな顔をして、風に揺れている明るい茶色の髪に片手を入れると、小さくため息をついたのである。
「いや・・・・・・おまえはそのうち、いい術者になる」
「だといいのですけど・・・・」
その時、辺りを見回したシルバが、揺れる前髪の下で形の良い眉を潜めると、小さく首を傾げ、どこか鋭い響きのする声で、ウィルタールに問ったのだった。
「・・・ウィルタール・・・リュ―インダイルはどうした?」
シルバのその問いかけに、ウィルタールは、なにやら躊躇ったように、一度、大きなその青い瞳を閉じると、おずおずとその視線を彼の方へ向けて、潜めた声で答えたのである。
「それが・・・・レダ様をかばって、あの竜の攻撃をまともに受けてしまったのです・・・・今は、そこにいるようです・・・・あの竜に、切望の石も破壊されてしまいました・・・・これから、どうするのか・・・」
レダの腰に下がる【息吹】を入れた絹の袋を指差して、ウィルタールは、実に心配そうな顔つきでシルバの端正で精悍な顔を見つめすえた。
彼の言葉で全てを察したのか、シルバは、渋い顔つきをして、ふと、紫水晶の隻眼を、未だに意識を回復しないレダの秀麗な顔に向ける。
青珠の守り手が・・・・一人になってしまったと、そういうことか・・・・
レダのなだらかな額に刻まれた、青き華の紋章。
長い睫毛を閉じたままの彼女の秀麗な顔を、澄み渡る紫の右目で感慨深げに見やると、シルバは、その白く綺麗な頬にかかる藍に輝く艶やかな黒髪の束を、長い指先で静かに払いのけたのだった。
波乱を伝える風の音が、静けさを取り戻した広大な草原に響き渡っていた・・・
艶やかな漆黒の長い髪が、揺らめき立つ白銀のオーラの中で乱舞した。
その凛々しい唇が、今、竜狩人の呪文を紡ぎ始める。
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三つ首の竜の口から放たれた、火の粉を散す黒き破滅の爆炎が、シルバに向かって迸る。
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消し飛ぶ闇の炎の中に、尚も彼の声が響き渡り、彼の歩みは更に竜の元へと近づいていく。
『黎明の空を裂き 地をも砕いて我が手に宿れ そは天地の支配者』
シルバの肢体から揺らめき立つ炎のような白銀のオーラが、轟音と共に高く天空に伸び上がる。
黒き竜の口に、今度は、暗黒のを伴う紫の閃光が湧き上がった。
躊躇うことも臆すこともなくゆるやかに近づいてくるシルバに向かって、一直線に放たれる、リュ―インダイルの体をも貫き通したあの紫色の閃光。
だが、竜狩人の呪文を紡ぐ彼には、そんなものは全く通用しない。
揺らめき立つ白銀の光がそれを千々に打ち砕き、一瞬にして虚空へ離散させてしまう。
『終(つい)えることなき怒りの雷鳴 遍く大地 遍く天空 その全てより来たれ 我は欲する 其が力 空を裂き地を砕け ナーガ・オン・ザイオン(崇高なる雷の刃)』
その凛々しい唇が、最後の呪文を紡いだ時、暗黒の竜を睨み据えていた、深き地中に眠る紫水晶のような右目が、爛と輝きながら大きく見開かれたのだった。
とたん、眩いばかりに発光する白銀のオーラが、彼の長い黒髪と純白のマントを虚空に乱舞させたのである。
その手に握られた白銀の剣を横に切り返すと、凄まじい轟音が、天地に揺るがすように辺りに響き渡ったのだった。
虚空を満たしていた白銀の光が天空で破裂し縦長に伸び上がると、時を同じに、大地が振動し始めて、る巨大な閃光が、緑に萌える草原の地面を激しい爆音と共にめくり上げた。
まるで火山が噴火するが如く吹き上がった凄まじい光の帯は、地面を抉り取りながら渦を巻き、激しい破裂音と共に横長に伸び上がる。
天空と大地を、震わせるように波打つ脈動。
天地に伸び上がった二つの凄まじい閃光が、重なり合うように黒き竜の足元と頭上に浮かび上がると、それは、光の速さで十字に重なり、辺りを眩いばかりの光に満たしながら、黒き三つ首の竜を、一瞬にして縦横に引き裂いたのだった。
地獄からの叫びのような竜のが、迸る刃のような光に満たされた虚空に響き渡った。
苦悶にのたうつ三つの首が根元から両断され、黒き翼は千々に裂かれ、巨大な肢体から黒き鱗が弾け飛ぶと、雷にも似た白銀の閃光に貫き通された体は、光溢れる虚空の最中で千々に千切れ、黒き炎の撒き散らしながら跡形もなく離散していったのである。
その呪文の持つ凄まじい威力に、ウィルタールは、ただ、ひたすら驚愕して大きく眼を見開くと、あんぐりと口を開いたまま、その場で硬直してしまった。
眩い白銀の光の海が、音も立てずに静かに狭まっていく。
その最中に、ジェン・ドラグナの美しい刃の切っ先を地面に向け、純白のマントを翻しながら凛と立つシルバの後ろ姿があった。
漆黒の黒髪を急速に消えて行く光の旋風に棚引かせながら、彼は、ゆっくりとこちらを振り返る。
その時既に、あの暗黒の竜の姿は跡形もなく消し飛んでいる。
周囲を覆い尽くしていた光の海が、天と地に吸い込まれるように消えて行き、風渡る草原に元通りの静けさが戻った頃・・・
あれだけの術を放ちながらも、白銀の守護騎士シルバは、実に冷静で沈着な表情をして、緩やかな歩調でウィルタールの傍らに歩み寄ってきたのだった。
腰の鞘に白銀の剣を収め、純白のマント羽織る広い肩で大きく息を吐くと、彼は、その澄み渡る紫色の隻眼で、ゆっくりと、硬直しているウィルタールを見やる。
ウィルタールは、そんなシルバの端正で精悍な顔を、大きな青い瞳で、半ば呆然として見つめたままである。
そんな彼の表情に気付いて、シルバは、深き地中に眠る紫水晶のようなその隻眼の瞳を怪訝そうに細めると、思わず言うのだった。
「おい、どうした?その間抜け面は?」
シルバの大きな両腕が、ウィルタールが抱えているレダのしなやかな肢体を、彼の腕から静かに抱き取った。
「・・・・い、いえ・・・・竜狩人の呪文を、見たの・・・初めてで・・・その、なんて言うか・・・凄すぎて・・・・」
どこか戸惑ったような、しかし実に感心したような口調で紡がれたウィルタールの言葉に、シルバは唇だけで愉快そうに笑った。
その澄んだ紫の瞳を、長い睫毛を伏せたままでいるレダの顔に向けながら静かな口調で答える。
「おまえは、スターレットの・・・ロータスの大魔法使いの術を見たことがないのか?」
「いえ・・・見たことはありますが・・・あれほどの術など・・・・」
「・・・あいつの本当の力は、俺なんかよりよっぽど恐ろしいぞ・・・・
その昔、都を一つ、跡形もなく消滅させた奴だからな、あいつは」
何の気なしにさらりとそんな事を言いながら、シルバは、腕に抱えたレダの体を、ゆっくりと草の上に横たえ、彼女の脇腹の傷口を確かめるように静かに紫色の視線を動かしたのである。
出血も止まっている、それに、深かった傷が大分癒えている様子だ・・・。
「えぇ!?都を・・・消滅させた・・・!?」
シルバは、ふと、何かに気が付いて、ふと、傍らで素っ頓狂な声を上げ大きく眼を見開いたウィルタールの顔を仰ぎ見る。
唇だけで穏やかに微笑むと、落ち着き払った口調で言うのだった。
「おまえ、レダの傷を癒してくれたのか?」
「え?あ、はい・・・僕、まだまだ半人前なんで・・・そんなことぐらいしか、できませんから・・・
その傷の全てを、治せる訳でもないのですが・・・」
ウィルタールは、実に申し訳なさそうな顔をして、風に揺れている明るい茶色の髪に片手を入れると、小さくため息をついたのである。
「いや・・・・・・おまえはそのうち、いい術者になる」
「だといいのですけど・・・・」
その時、辺りを見回したシルバが、揺れる前髪の下で形の良い眉を潜めると、小さく首を傾げ、どこか鋭い響きのする声で、ウィルタールに問ったのだった。
「・・・ウィルタール・・・リュ―インダイルはどうした?」
シルバのその問いかけに、ウィルタールは、なにやら躊躇ったように、一度、大きなその青い瞳を閉じると、おずおずとその視線を彼の方へ向けて、潜めた声で答えたのである。
「それが・・・・レダ様をかばって、あの竜の攻撃をまともに受けてしまったのです・・・・今は、そこにいるようです・・・・あの竜に、切望の石も破壊されてしまいました・・・・これから、どうするのか・・・」
レダの腰に下がる【息吹】を入れた絹の袋を指差して、ウィルタールは、実に心配そうな顔つきでシルバの端正で精悍な顔を見つめすえた。
彼の言葉で全てを察したのか、シルバは、渋い顔つきをして、ふと、紫水晶の隻眼を、未だに意識を回復しないレダの秀麗な顔に向ける。
青珠の守り手が・・・・一人になってしまったと、そういうことか・・・・
レダのなだらかな額に刻まれた、青き華の紋章。
長い睫毛を閉じたままの彼女の秀麗な顔を、澄み渡る紫の右目で感慨深げに見やると、シルバは、その白く綺麗な頬にかかる藍に輝く艶やかな黒髪の束を、長い指先で静かに払いのけたのだった。
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