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1話 作戦遂行5日前

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コロロ:2075年5月。私たちは、北海道留寿都ルスツにあるJACKジャック日本支部 隊員セーフハウスに派遣はけんされました。大規模作戦だいきぼさくせん━━北部奪還作戦を遂行すいこうするためです。

ミミ:北海道のとあるみずうみにあるムゲンたい拠点きょてん撃破げきはする。それが対ムゲン部隊JACK第8部隊への指令。第8部隊は39名の少女隊員しょうじょたいいんで構成される大人数おおにんずうの部隊……。

カイ:ムゲン体は23年前。地球にちてきた隕石から発見された『ムゲン』という謎の超個体ちょうこたいが、あらゆる生物に寄生した姿だ。ムゲン体は宿主やどぬしの姿を兇悪きょうあく変貌へんぼうさせる。まぎれもない人類の脅威きょういとなった。

(バス内)

コロロ:(M)ここが、留寿都ルスツの日本支部隊員セーフハウスか……。

ミミ:「長らく使われてなかったんですよね、かなりボロいんじゃないんです?」

カイ:「いや、元はリゾートホテルだからな。風呂は大きいらしいぞ」

コロロ:(M)あ。お風呂って聞いて、みんな喜んでる。

ミミ:「ねぇ、コロロちゃん、どっちがたっっくさんムゲン体をブチのめせるか競争だね」

コロロ:「え?うっ…うん。そうだね」

カイ:「ミミ、気が早いぞ」

ミミ:「でも~、隊長!北海道って現在いま1番ムゲン体が闊歩かっぽしてるって有名なんですよね!うずうずしちゃいますよ!」

カイ:「だから私たちが派遣はけんされたのだ。皆んな、5日後に作戦遂行だ。それまでに移動の疲れを癒やしておくように。ウォーミングアップも忘れるなよ」

ミミ:「はーーい」

コロロ:「……はい!」
 
(夜 セーフハウス 廊下)

(銀色の飲料のみが売られる自動販売機前)

カイ:「お、コロロじゃないか。酒は飲んじゃダメだぞ」

コロロ:「あっ…いえ、そんなんじゃないです!って、お酒なんて飲みませんよ!」

カイ:「ふふっ、冗談だよ。でも、夜更かしは良くないな」

コロロ:「あっ、ごめんなさい。なかなか眠れなくて」

カイ:「(ため息)」

コロロ:「……?」

カイ:「実は……私もなんだ」

コロロ:「え?隊長が……めずらしいですね」

カイ:「コロロ、もしも私に何かあった時は悲しんでくれるか?」

コロロ:「隊長?隊長に何かあったら……って、悲しむに決まってるじゃないですか」

カイ:「いや、すまない。愚問だったか。私も隊員達に何かあったら……悲しいよ」

(間)

カイ:「私たち第8部隊についてはどう思う?」

コロロ:「……それってどういうコトですか?」

カイ:「第8部隊は優秀だよ。……全員、優秀だ。でも、全員がまだ少女だ」

コロロ:「隊長だって、若いじゃないですか。私と一つ違いですし」

カイ:「そうなんだが。……第8部隊はJACKジャック部隊の全部隊の中でも群を抜いていると、自信を持って私は言える。

カイ:チーム内の連携れんけいも取れている。信頼感は本当の家族以上かもしれない……それに全員のZ適正がSだ」

(間)

カイ:「それは何故なぜだかわかるか?」

コロロ:(M)私は理解していても、口籠くちごもってしまう。でも……隊長は第8部隊を家族と表現した。隊長にとっ
て、私たちはそれだけ大事な存在なのだ。

カイ:「改めて、言うことではないか」

コロロ:「JACKデザイナーベビー計画ですか」

カイ:「君は意外と図太いな」

コロロ:(M)隊長は一瞬、悲しそうな顔をした。私にさとらせないように。

カイ:「一時的な身体しんたい強化を目的として、脳波のうはに流すZ周波の……。Z周波への適性の高い人間を生み出す為のデザイナーベビー計画」

カイ:「デザイナーベビー。……私は本当に人間なのか?私たちは消耗品しょうもうひんなんじゃないか?時々、そう思うことがあるんだ」

コロロ:「ごめんなさい」

カイ:「え?」

コロロ:「私には隊長の言いたいことが……よく分かりません」

コロロ:(M)私は半分だけ嘘をついた。隊長が言いたいことは何となくだが分かる。戦う為に生み出された事による孤独。遺伝子操作ののちに生み出された命である事実。

コロロ:(M)でも……隊長は何にそこまで苦しんでいるのだろう。

(間)

カイ:「はははっ、すまない。変な話をしてしまったね」

カイのスマホがピコリと音が鳴る

カイ:「おっと、副隊長に夜更かしがバレてしまったみたいだ。部屋に戻るよ。ふふっ、副隊長に怒られてしまう。コロロも早く寝ないとだぞ」

コロロ:「私も部屋に戻ります」

カイ:「明日は作戦についての打ち合わせだ!ふふっ、打ち合わせ中に寝るなよ」

コロロ:「……寝ませんよぉ」
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