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第4章 富国弱兵
第4章 富国弱兵~2 ぱんつよ、あれが沙那の灯だ
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2 ぱんつよ、あれが沙那の灯だ
車輪貨幣は正式な名称ではない。
通称である。
アレキサンダー領独自の通貨だ。
陶器でできた円形で、金、銀、銅と分かりやすい色が付けられている。
色は塗料ではなく、魔法による色付けである。
その上に偽造を防ぐためでもあるが、更に魔法印がつけてあった。
利点は軽さと貴金属を使わない点だったが当然欠点もある。
ドカル金貨は金の含有量によって価値が保証されているのだが、車輪貨幣は一切入っていないところである。
つまり、信用で勝負するということだった。
アレキサンダー領内でしか使えないが、車輪金貨はドカル金貨と等価交換できると保証していた。
これは当初、ドカル金貨に換金しようと殺到された。
信用されていないのだ。
もっとも当初から予想されていたので、専売商品は全て車輪貨幣でのみ購入できるように制限された。
塩や砂糖をはじめとして石鹸や香辛料などが専売になっていた。
その代わり専売商品は相場よりかなり安く供給された。
これは転売業者を発生させた。
個人の購入制限をかけても、業者が個人個人から若干の上乗せ料金で商品を買い集めて領域外で転売するのだ。
結果的にクローリーの収入を大きく減らす行為なのだが、まったく気にしていなかった。
貨幣経済を広めるためと、車輪貨幣の流通のためだからである。
結果的には車輪貨幣がぐるぐる流通することになるので、それで目的は達成しているのだった。
何故なら貨幣が究極の目的ではなく、その先を見据えていたからだ。
また、転売業者は収入を元手に商売を始めることで街の繁栄にも繋がった。
一部は大規模な商会へ変貌して海外への交易も始めるようになる。
クローリーとしては彼個人の収益よりも領域の経済規模の方がずっと大事だったのだ。
それに石鹸や香辛料の交易で儲けようとはあまり考えてもいなかった。
クローリーの個人収入を宛にした領地経済が上手くいくはずはない。
クローリーが考えていたのはその先である。
先ずはアレキサンダー領ならではの産業を生み出すつもりだったのだ。
これにはヒンカが役立った。
繊維産業の工場化だった。
彼女が知る世界と同様に工業化の第一歩は、生活必需品であり大量生産に向いた繊維業である。
帝国世界……というよりもこの世界全体でも繊維産業はいまだに手工業だった。
そのために服などは安くないし、流通量も多くはない。
庶民は着たきりのままも多く、お洒落な服などとは無縁だった。
着替えを持てるだけでもかなりのものだろう。
だからこそ、低価格で服を供給するのは豊かさの象徴でもある。
クローリーは水車とセットで紡績機の開発をドワーフ職人に依頼した。
現在の彼らが持つ動力は水車だったからだ。
産業として成立すれば、他にはない強力な商品になるだろう。
さらにヒンカはその先を見据えていた。
異世界召喚者の中でもヒンカはスタートが大人だった分、沙那たちより色んなことに明るかった。
アレキサンダー領の発展に大きな影響を与える小さな幾つかを考えだした。
その中でも最も大きな影響は『規格』だった。
ヒンカのいた世界ではすでに確立していたもので、工業規格がある。
ネジならネジでも、太さやピッチなどが共通で作られるものだ。
この世界の工業製品はすべて一品ものである。
同じものを量産する発想はない。
せいぜいが、『おなじくらいのもの』を作る程度で、全く同じ規格の量産品を作るということは考えられてもいない。
この規格の統一は重要で、機械が故障したときにすぐに部品を交換できるか否かなどに関わってくる。
毎回一つ一つ、職人が現物合わせするのはとても効率が悪い。
ひどい場合はどうにもならずに終了ということもある。
それらを防ぐためにも進んだ社会は工業規格などが定められている。
ヒンカが最初に提唱したのは建築資材だった。
人口増加に対処するために集合住宅を作るために効率よく、手早く建てるためにだ。
具体的には2x4工法だった。
木材をすべて規格通りに事前に加工しておき、現場で簡単に組み上げられるようにしたのだ。
識字率が低く計算もできない工員を使うときに、『高さは柱2本ね。幅は4本で』などと指示しやすくするためでもある。
面取りまでしてある材料なら怪我もなくスピーディーに組み上げやすい。
その後も色んな規格を作っていったために効率化は凄まじかった。
ただ、欠点があるとすれば……。
ヒンカの出身国の影響で規格がヤードポンド法なのだった。
メートル法に慣れ親しんだ沙那だと全くピンとこない単位である。
そのほかの基準も全てがそうなので、沙那は先々慣れるまで苦労することになった。
もっとも、賢者は「ファンタジーらしいでござるな。ブホゥ」とあっさり受け入れてもいたが。
* * *
半年と立たずに急速に発展していく町並みは驚くほどだった。
同時に時代に置いて行かれてしまうものも数多くあった。
その一つが井戸だった。
上水道が引かれてもなお井戸をありがたがる人は少なくなかった。
新しいものに対する恐怖と警戒。
なにより、既知のものの方が信用できると感じる人は多い。
そのために有志で井戸を掘る行為はいまだによく見られた。
問題は、海が近く湿地が多いアレキサンダー領では飲料に適した地下水に当たることはかなり少ないことだった。
過半は海水混じりの塩水だ。
この井戸たちは結果的にのちのち石鹸製造に役立ってはいくのだが、今はただむやみに穴をあけているだけに過ぎない。
その中でたまに汚水のような茶色の水が湧き出てくることがあった。
油ではない。
濁った水というだけだった。
しかし、そこに偶然の発見があった。
「せんせーせんせー!さにゃせんせー!」
学校の生徒の一人が沙那を見つけて手を引っ張った。
子供は好きじゃない。と言いつつも何故か子供に懐かれる沙那は嫌々ながらもついて行った。
なんだかんだ言いつつも相手してくる沙那は、子どもたちには格好の遊び相手なのだ。
子供と一緒に遊べる大人が珍しい……というよりも沙那自身が半分子供だからだろう。
「この間、父ちゃんたちが掘った汚ったない井戸が面白いんだよ!」
「どこがー?」
案内されたそこは真新しい井戸で、掘削の途中で中止したようだった。
適当に材木で間に合わせの蓋がしてある。
「あれがー?何が面白いのー?」
「火がつくんだよー!」
「にゃ?」
子供が種火を近づけると、ぼおおおっと火の手が上がった。、
芯になるものもなく燃えている。
「……何これー!?」
「ね?ね?面白いでしょー」
「いやいやいやー!危ないってば―っ」
沙那はこれに似た映像を見たことがある気がした。
油田に立つ煙突の先端から炎が吹いている光景だ。
でも、石油が噴出しているような感じはしなかったが……。
「……ガス?」
特徴ある匂いもしてはいない。
彼女が良く知る都市ガスとは違う。
匂い付けがされていないのだ。
種類によってはそれと分かる匂いがするものもあるのだが。
「……だったら……危ないんじゃないのー?」
2x4工法による木造建築が多い、新開発住宅地に火の元は危険だった
火事になるかもしれないし、ガス爆発でもしたら目も当てられない。
「せんせー!飛び火してるよ?」
「え?」
「せんせーのお尻ー!」
沙那が自分の体を見てみると、小さな火と煙があった。
「せんせーのぱんつ燃えてるー!」
「うにゃーっ!?」
慌てて短いスカートをっパタパタと扇ぐ。
火傷もなく、すぐに火は消えたものの……縛っていた紐が焼き切れてしまい、燃え残りの布がはらりと地面に落ちた。
「せんせー!丸見え―!丸出し―!」
「出してないーっ!」
騒ぎに周囲から人々が顔を出した。
慌てて井戸の火を消そうと扇いだり、蓋をしている沙那の姿がある。
時折、ちらちらと肌色が見えた。
スカートが短いせいだ。
おじさんたちの視線は吸い込まれるように集中した。
なんといっても沙那は十分に魅力的な美少女なのである。
この世界では結婚適齢期でもある。
「せんせー、お尻丸見え―!」
「うるさいうるさいー!見えてないし、見せてないー!」
沙那は空気を遮断することで何とか消し止めた。
「いーい?報告してくるー!もう触っちゃだめだからねー!」
沙那は仲間たちの集まる詰め所に走った。
* * *
「あー……天然ガスか。ありうるのじゃ」
ヒンカは意外と冷静だった。
「地質によるが湿地で井戸を掘ってガスが出るのは良くあることじゃの。……ふむ」
何かを考えるように周りを見渡す。
賢者のところで視線が止まる。
「そういえば、お主。街の灯りが欲しそうなこと言っておったの?」
「ブヒッ?!」
「良いこと考えたのじゃ。ドワーフの職人に急いで連絡を取るのじゃ」
暫くして、薄い金属板を丸めて作ったパイプとガラスの覆いが用意された。
後日に装飾までされることになったが、街角を明るく照らす灯りが設置される。
ガス灯だった。
煤払いや管理に多少人手が必要になったが、常夜灯として夜中も明るさを確保することになった。
光度の高い電球はまだ作れないがガス灯なら構造は簡単だ。
町中の井戸が調査され、あちこちにガス灯が立った。
沙那や賢者たちの世界の電気の明るさには遠く及ばないが、それまでとは雲泥の差だった。
これは後に、永続光の魔法の構成要素の安価な代替品が登場するまで活躍することになる。
魔法の灯りはガスよりも電気よりも更に明るかった。
車輪貨幣は正式な名称ではない。
通称である。
アレキサンダー領独自の通貨だ。
陶器でできた円形で、金、銀、銅と分かりやすい色が付けられている。
色は塗料ではなく、魔法による色付けである。
その上に偽造を防ぐためでもあるが、更に魔法印がつけてあった。
利点は軽さと貴金属を使わない点だったが当然欠点もある。
ドカル金貨は金の含有量によって価値が保証されているのだが、車輪貨幣は一切入っていないところである。
つまり、信用で勝負するということだった。
アレキサンダー領内でしか使えないが、車輪金貨はドカル金貨と等価交換できると保証していた。
これは当初、ドカル金貨に換金しようと殺到された。
信用されていないのだ。
もっとも当初から予想されていたので、専売商品は全て車輪貨幣でのみ購入できるように制限された。
塩や砂糖をはじめとして石鹸や香辛料などが専売になっていた。
その代わり専売商品は相場よりかなり安く供給された。
これは転売業者を発生させた。
個人の購入制限をかけても、業者が個人個人から若干の上乗せ料金で商品を買い集めて領域外で転売するのだ。
結果的にクローリーの収入を大きく減らす行為なのだが、まったく気にしていなかった。
貨幣経済を広めるためと、車輪貨幣の流通のためだからである。
結果的には車輪貨幣がぐるぐる流通することになるので、それで目的は達成しているのだった。
何故なら貨幣が究極の目的ではなく、その先を見据えていたからだ。
また、転売業者は収入を元手に商売を始めることで街の繁栄にも繋がった。
一部は大規模な商会へ変貌して海外への交易も始めるようになる。
クローリーとしては彼個人の収益よりも領域の経済規模の方がずっと大事だったのだ。
それに石鹸や香辛料の交易で儲けようとはあまり考えてもいなかった。
クローリーの個人収入を宛にした領地経済が上手くいくはずはない。
クローリーが考えていたのはその先である。
先ずはアレキサンダー領ならではの産業を生み出すつもりだったのだ。
これにはヒンカが役立った。
繊維産業の工場化だった。
彼女が知る世界と同様に工業化の第一歩は、生活必需品であり大量生産に向いた繊維業である。
帝国世界……というよりもこの世界全体でも繊維産業はいまだに手工業だった。
そのために服などは安くないし、流通量も多くはない。
庶民は着たきりのままも多く、お洒落な服などとは無縁だった。
着替えを持てるだけでもかなりのものだろう。
だからこそ、低価格で服を供給するのは豊かさの象徴でもある。
クローリーは水車とセットで紡績機の開発をドワーフ職人に依頼した。
現在の彼らが持つ動力は水車だったからだ。
産業として成立すれば、他にはない強力な商品になるだろう。
さらにヒンカはその先を見据えていた。
異世界召喚者の中でもヒンカはスタートが大人だった分、沙那たちより色んなことに明るかった。
アレキサンダー領の発展に大きな影響を与える小さな幾つかを考えだした。
その中でも最も大きな影響は『規格』だった。
ヒンカのいた世界ではすでに確立していたもので、工業規格がある。
ネジならネジでも、太さやピッチなどが共通で作られるものだ。
この世界の工業製品はすべて一品ものである。
同じものを量産する発想はない。
せいぜいが、『おなじくらいのもの』を作る程度で、全く同じ規格の量産品を作るということは考えられてもいない。
この規格の統一は重要で、機械が故障したときにすぐに部品を交換できるか否かなどに関わってくる。
毎回一つ一つ、職人が現物合わせするのはとても効率が悪い。
ひどい場合はどうにもならずに終了ということもある。
それらを防ぐためにも進んだ社会は工業規格などが定められている。
ヒンカが最初に提唱したのは建築資材だった。
人口増加に対処するために集合住宅を作るために効率よく、手早く建てるためにだ。
具体的には2x4工法だった。
木材をすべて規格通りに事前に加工しておき、現場で簡単に組み上げられるようにしたのだ。
識字率が低く計算もできない工員を使うときに、『高さは柱2本ね。幅は4本で』などと指示しやすくするためでもある。
面取りまでしてある材料なら怪我もなくスピーディーに組み上げやすい。
その後も色んな規格を作っていったために効率化は凄まじかった。
ただ、欠点があるとすれば……。
ヒンカの出身国の影響で規格がヤードポンド法なのだった。
メートル法に慣れ親しんだ沙那だと全くピンとこない単位である。
そのほかの基準も全てがそうなので、沙那は先々慣れるまで苦労することになった。
もっとも、賢者は「ファンタジーらしいでござるな。ブホゥ」とあっさり受け入れてもいたが。
* * *
半年と立たずに急速に発展していく町並みは驚くほどだった。
同時に時代に置いて行かれてしまうものも数多くあった。
その一つが井戸だった。
上水道が引かれてもなお井戸をありがたがる人は少なくなかった。
新しいものに対する恐怖と警戒。
なにより、既知のものの方が信用できると感じる人は多い。
そのために有志で井戸を掘る行為はいまだによく見られた。
問題は、海が近く湿地が多いアレキサンダー領では飲料に適した地下水に当たることはかなり少ないことだった。
過半は海水混じりの塩水だ。
この井戸たちは結果的にのちのち石鹸製造に役立ってはいくのだが、今はただむやみに穴をあけているだけに過ぎない。
その中でたまに汚水のような茶色の水が湧き出てくることがあった。
油ではない。
濁った水というだけだった。
しかし、そこに偶然の発見があった。
「せんせーせんせー!さにゃせんせー!」
学校の生徒の一人が沙那を見つけて手を引っ張った。
子供は好きじゃない。と言いつつも何故か子供に懐かれる沙那は嫌々ながらもついて行った。
なんだかんだ言いつつも相手してくる沙那は、子どもたちには格好の遊び相手なのだ。
子供と一緒に遊べる大人が珍しい……というよりも沙那自身が半分子供だからだろう。
「この間、父ちゃんたちが掘った汚ったない井戸が面白いんだよ!」
「どこがー?」
案内されたそこは真新しい井戸で、掘削の途中で中止したようだった。
適当に材木で間に合わせの蓋がしてある。
「あれがー?何が面白いのー?」
「火がつくんだよー!」
「にゃ?」
子供が種火を近づけると、ぼおおおっと火の手が上がった。、
芯になるものもなく燃えている。
「……何これー!?」
「ね?ね?面白いでしょー」
「いやいやいやー!危ないってば―っ」
沙那はこれに似た映像を見たことがある気がした。
油田に立つ煙突の先端から炎が吹いている光景だ。
でも、石油が噴出しているような感じはしなかったが……。
「……ガス?」
特徴ある匂いもしてはいない。
彼女が良く知る都市ガスとは違う。
匂い付けがされていないのだ。
種類によってはそれと分かる匂いがするものもあるのだが。
「……だったら……危ないんじゃないのー?」
2x4工法による木造建築が多い、新開発住宅地に火の元は危険だった
火事になるかもしれないし、ガス爆発でもしたら目も当てられない。
「せんせー!飛び火してるよ?」
「え?」
「せんせーのお尻ー!」
沙那が自分の体を見てみると、小さな火と煙があった。
「せんせーのぱんつ燃えてるー!」
「うにゃーっ!?」
慌てて短いスカートをっパタパタと扇ぐ。
火傷もなく、すぐに火は消えたものの……縛っていた紐が焼き切れてしまい、燃え残りの布がはらりと地面に落ちた。
「せんせー!丸見え―!丸出し―!」
「出してないーっ!」
騒ぎに周囲から人々が顔を出した。
慌てて井戸の火を消そうと扇いだり、蓋をしている沙那の姿がある。
時折、ちらちらと肌色が見えた。
スカートが短いせいだ。
おじさんたちの視線は吸い込まれるように集中した。
なんといっても沙那は十分に魅力的な美少女なのである。
この世界では結婚適齢期でもある。
「せんせー、お尻丸見え―!」
「うるさいうるさいー!見えてないし、見せてないー!」
沙那は空気を遮断することで何とか消し止めた。
「いーい?報告してくるー!もう触っちゃだめだからねー!」
沙那は仲間たちの集まる詰め所に走った。
* * *
「あー……天然ガスか。ありうるのじゃ」
ヒンカは意外と冷静だった。
「地質によるが湿地で井戸を掘ってガスが出るのは良くあることじゃの。……ふむ」
何かを考えるように周りを見渡す。
賢者のところで視線が止まる。
「そういえば、お主。街の灯りが欲しそうなこと言っておったの?」
「ブヒッ?!」
「良いこと考えたのじゃ。ドワーフの職人に急いで連絡を取るのじゃ」
暫くして、薄い金属板を丸めて作ったパイプとガラスの覆いが用意された。
後日に装飾までされることになったが、街角を明るく照らす灯りが設置される。
ガス灯だった。
煤払いや管理に多少人手が必要になったが、常夜灯として夜中も明るさを確保することになった。
光度の高い電球はまだ作れないがガス灯なら構造は簡単だ。
町中の井戸が調査され、あちこちにガス灯が立った。
沙那や賢者たちの世界の電気の明るさには遠く及ばないが、それまでとは雲泥の差だった。
これは後に、永続光の魔法の構成要素の安価な代替品が登場するまで活躍することになる。
魔法の灯りはガスよりも電気よりも更に明るかった。
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