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第3章
第3章 世界へようこそ 9
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9 いろいろ匂い
契約の直後にクローリーたちはは別室に案内された。
応接用の部屋ではなくむしろ倉庫のような場所だった。
これで薄暗く人気のない場所だったら焦るが、むしろ人は多かった。
出荷する商品を搬出したり整理したりで店の商会員でごった返していたのだ。
「こちらが香料ですね」
その一角にチュレンが案内してみせた。
「砂の国経由のシベットから、灰色琥珀まで色々ですよ」
他にも香木から何から様々だ。
「すっごい良い匂いー……のと臭ーいのがあるー……」
物によっては原料のままの状態の物もあり、動物の糞でしかないような物もあるからだ。
「できればー……アルコールに溶かしてあるやつが良いかなー」
アルコールに溶かした香料……すなわち香水である。
すでにそのまま小売りできるような状態にされているものだと割高ではある。
ただ、アルコールに溶かしてある香料というのは長期保存がきく状態でもあるのだ。
この場合のアルコールはお酒でも何でも良いわけではない。
純度が100%に近い無水アルコールである。
この世界で作れているのかどうかは判らないが香水があるということは当然あると考えるべきだった。
もしかしたら含水アルコールで作られているのかもしれないが、なにより手間が省ける。
薔薇の花の香りをつけるのにもかなり苦労したので一から作るよりも完成品を求めておいても良い気がしたのだ。
もっとも価格次第ではあるのだが。
原材料だけ集めてイチから物を作るのは大変な労力と設備が必要である。
手間は少しでも減らした方が効率は良い。利益は少なくなるが。
産業として考えるなら大量生産に向いたシステムの方が良い。
近現代に中間製造業が発達したように部品部品を外注に任せて、最終製造工程だけを自分たちで行う方が楽かな?と沙那は考えていた。
このスタイル基礎技術の向上には役に立たないのだが、最も手っ取り早いのだ。
将来的には別なことも考えるべきだったが、何よりも工業基盤がない上に人口も多いとは言えないアレクサンダー領で石鹸の製造を行うのだから当面は止むを得ない。
そして何よりも、海外との貿易の少ない帝国地域にとっては世界への交易の端緒となることは大きかった。
沙那はとりあえず花やハーブの香りの物ばかりを選んでみた。
単に彼女の好みで選んだだけだった。
汗や体臭と混じることで変化する香りを楽しむものよりも、ぱっと嗅いで不快にならない程度の薄めの香りを優先したためだ。
元々が日本人である沙那らしい感覚ともいえた。
後々になって分かるのだが、この世界……帝国世界ではむしろ強めの香りの方が好まれる。
衛生状態の差なのだろう。
価格はやはり高価だったが、沙那はホッとしていた。
石鹸の香りづけに必要な香水の量はそれほど多くないのだ。
絹の国といえども沙那が良く知っているような香水の小瓶は作れない。
どんな小さなものでも牛乳瓶以上に大きい。
その容量からすると、ではあるが。
もっとも量も多いだけに安価ではない。
とはいえ、ここにある小瓶一つで数十カチル作れるだけの量になる。
1カチルあたりドカル金貨1枚にもならない。
元が取れるどころかボッタクリ価格といえるくらいに儲かりそうだった。
「とりあえずお試しにこのくらいかなー?」
「その程度で宜しいので?」
「うん。試しにやってみるだけだしねー」
帝国の港で入荷を待つととても高くなるが、現状の生産量だと直接この町に買い付けにくるなら手荷物として運べる量でも十分だ。
必要な時に出張費を大目に持たせて人を派遣して買い付けしても良い。
沙那も脳内でそのくらいのコスト計算をしていた。
石鹸の納品時に購入でも良いかもしれないが、それだと数を数えられて必要量を把握されるだろうか。
それなら全てをここに納品しないで半数以上を帝国内で売りさばくとかもありかもしれない。
沙那の脳内でいろいろな考えが浮かんでは消えるが、おそらくクローリーも同じなのだろう。
それを証拠にクローリーはちらちらと沙那を見ながらニヤついている。
分かっているのだ。
もっとも、クローリーがただ単に沙那の揺れる胸を見ているだけとか、小さくなっても基本が裸のイズミを見て喜んでいるだけの可能性もゼロではないが。
* * *
「……これ、何スか?絹の国のお金なんスかねえ」
クローリーは渡された紙の束と、数枚の陶器の板を見て首を捻った。
「ドカル金貨での話してたと思うんスが」
沙那が脇から覗き込んだ。
書類の内容から小さな陶器の板が大量のドカル金貨と交換できるとある。
「あー。これ、為替だよー?」
沙那にとっては古い映画やドラマで見る小切手に近い感覚だ。
いやむしろ為替手形といった方が良い。
絹の国の銀行での商取引には定額の為替手形が使われる。
額が大きいと金貨を運ぶだけで重労働だし、なにより大量の金貨を持ち運ぶことが知れたら強盗に狙われる可能性もある。
そのために大きな交易都市などの商取引では銀行が保証発行した為替を用いるのが一般的だった。
今回の売り上げ代金である数万ドカルの金貨を運ぼうと思ったら、クローリーと沙那の2人だけではとても持てない。
荷車や馬車で運搬するレベルなのだ。
それを数個の陶器の板と書類にできるのはとても便利だった。
「どういう意味っスか?」
帝国には為替の概念がない。
通貨の金の含有量で価値が決まるからである。
ドカル金貨はその中でも最高の金の含有量を誇るために帝国内での基軸通貨になっているのだ。
いつもニコニコ現金払い。それが帝国の常識であった。
そもそも帝国の商業取引は絹の国ほど大きなものではないのだ。
帝国は軍事強国ではあるが、経済的には発展途上国でしかない。
「重さと利便性の問題かなー。大量の現金を持ち歩くのは危険な上に重くて嵩張るからー」
つまり目の前にあるのは割符と証明書類である。
然るべきところに持ち込めばちゃんと現金に換金してくれるはずである。
沙那の感覚だと銀行や郵便局なのだが、絹の国でも銀行がその役割を持っている。
更には大規模な商取引では現金ではなく為替をやり取りすることで決済する速度を向上させてもいる。
すべては信用であった。
実は紙幣なども本来は国が責任をもって定められた量の金を保証することで成り立っているものだ。
各領地で勝手に貨幣を製造することが当たり前の帝国と、小規模では現金、大規模なものは為替が事実上の統一通貨になっている絹の国との差だった。
絹の国のやり方はお金の流れを迅速かつ高速にするものであった。
これにより先物取引市場が成立し、資本の投資が雪達磨式に拡大することになる。
そして、それは国が維持されて信用を確保し続ける限りは無限である。
逆に言えば、絹の国が滅びたら全ては紙屑になってしまうため、大規模商人たちは絹の国を支えなくてはならない。
少々不満でも国を維持するための愛国心が生まれる。
まさにそこが狙いなのだろう。
絹の国はすでに国家の収入は税金でという中世経済を通り越して、投資や国債による大規模資本を集める産業革命の直前までに達しているのである。
経済力の差を間近に見て、クローリーは戦慄していた。
このままでは帝国はあっさり飲み込まれてしまうのではなかろうか。
それを感じて行動を始めたのが、交易に明るいテイルであったり、国外遊学をした経験を持つイストなどであった。
もしかしたら似たような人物は他にもいるかもしれない。
クローリーは考える。
では自分はどうなのだろうか。
今は交易で収支を増やすことで手一杯だが、領地を豊かにしたいという強い希望はある。
とはいえ絹の国を見た今はアレクサンダー領が生き残れる自信がない。
未来を見て反乱を起こしたテイルは正しかったのではないか。今ならそう思う。
隣でりんご飴を齧る沙那を見た。
エルフ。まさに彼の期待通りにその知識や知恵で領地を豊かにしようとしているではないか。
そして賢者が以前に話していた異世界召喚者の大魔法を超える何かの入手。
『火薬』とか言っていたか。
本当にそんなものがあるのならあるいは……。
しかし、実はクローリーはいくつか見落としていた。
一つは経済力は軍事力でもあるが、圧倒的な軍事力はそれを軽く凌駕できること。
沙那のいた世界の歴史でも何度も証明されている。
もう一つは『火薬』。
作れたとしても有効に利用するのは非常に難しい。
沙那のいた世界でも火薬が発明されてから、大砲や鉄砲に昇華するまでに1000年くらいの時間が掛かっているのだ。
そして、その時間を短縮する方法は沙那も賢者も持ち合わせてはいなかった。
「さーて、次は本命の野菜の種と種芋買いに行こ―」
石鹸の売り上げは予想以上の膨大な収益になったと同時に、今後色々やっていくための最初の活動資金なのだ。
クローリーはアレクサンダー領の今後に関わると考えると身が引き締まる思いだった。
沙那は……というと、美味しいものや色んなものを食べたいという欲求の方が遥かに強かった。
おそらくは今後の生活拠点となるアレクサンダー領内に、様々な作物を育て、豊かな食卓を!という思いからだった。
帝国の食事は不味い。それが沙那の感想だったのだ。
できればもっと果物も増やしたい。
もちろん収穫できるようになるまでに数年かかるものもあるだろうが問題ではなかった。
沙那はいまだにここが夢の中と信じていたからだった。
ファンタジックにあっという間ににょきにょき生えるかもしれない。
そう沙那は油断していた。
* * *
実際に沙那が念願のチョコレートを口にするまで数年かかることになる。
契約の直後にクローリーたちはは別室に案内された。
応接用の部屋ではなくむしろ倉庫のような場所だった。
これで薄暗く人気のない場所だったら焦るが、むしろ人は多かった。
出荷する商品を搬出したり整理したりで店の商会員でごった返していたのだ。
「こちらが香料ですね」
その一角にチュレンが案内してみせた。
「砂の国経由のシベットから、灰色琥珀まで色々ですよ」
他にも香木から何から様々だ。
「すっごい良い匂いー……のと臭ーいのがあるー……」
物によっては原料のままの状態の物もあり、動物の糞でしかないような物もあるからだ。
「できればー……アルコールに溶かしてあるやつが良いかなー」
アルコールに溶かした香料……すなわち香水である。
すでにそのまま小売りできるような状態にされているものだと割高ではある。
ただ、アルコールに溶かしてある香料というのは長期保存がきく状態でもあるのだ。
この場合のアルコールはお酒でも何でも良いわけではない。
純度が100%に近い無水アルコールである。
この世界で作れているのかどうかは判らないが香水があるということは当然あると考えるべきだった。
もしかしたら含水アルコールで作られているのかもしれないが、なにより手間が省ける。
薔薇の花の香りをつけるのにもかなり苦労したので一から作るよりも完成品を求めておいても良い気がしたのだ。
もっとも価格次第ではあるのだが。
原材料だけ集めてイチから物を作るのは大変な労力と設備が必要である。
手間は少しでも減らした方が効率は良い。利益は少なくなるが。
産業として考えるなら大量生産に向いたシステムの方が良い。
近現代に中間製造業が発達したように部品部品を外注に任せて、最終製造工程だけを自分たちで行う方が楽かな?と沙那は考えていた。
このスタイル基礎技術の向上には役に立たないのだが、最も手っ取り早いのだ。
将来的には別なことも考えるべきだったが、何よりも工業基盤がない上に人口も多いとは言えないアレクサンダー領で石鹸の製造を行うのだから当面は止むを得ない。
そして何よりも、海外との貿易の少ない帝国地域にとっては世界への交易の端緒となることは大きかった。
沙那はとりあえず花やハーブの香りの物ばかりを選んでみた。
単に彼女の好みで選んだだけだった。
汗や体臭と混じることで変化する香りを楽しむものよりも、ぱっと嗅いで不快にならない程度の薄めの香りを優先したためだ。
元々が日本人である沙那らしい感覚ともいえた。
後々になって分かるのだが、この世界……帝国世界ではむしろ強めの香りの方が好まれる。
衛生状態の差なのだろう。
価格はやはり高価だったが、沙那はホッとしていた。
石鹸の香りづけに必要な香水の量はそれほど多くないのだ。
絹の国といえども沙那が良く知っているような香水の小瓶は作れない。
どんな小さなものでも牛乳瓶以上に大きい。
その容量からすると、ではあるが。
もっとも量も多いだけに安価ではない。
とはいえ、ここにある小瓶一つで数十カチル作れるだけの量になる。
1カチルあたりドカル金貨1枚にもならない。
元が取れるどころかボッタクリ価格といえるくらいに儲かりそうだった。
「とりあえずお試しにこのくらいかなー?」
「その程度で宜しいので?」
「うん。試しにやってみるだけだしねー」
帝国の港で入荷を待つととても高くなるが、現状の生産量だと直接この町に買い付けにくるなら手荷物として運べる量でも十分だ。
必要な時に出張費を大目に持たせて人を派遣して買い付けしても良い。
沙那も脳内でそのくらいのコスト計算をしていた。
石鹸の納品時に購入でも良いかもしれないが、それだと数を数えられて必要量を把握されるだろうか。
それなら全てをここに納品しないで半数以上を帝国内で売りさばくとかもありかもしれない。
沙那の脳内でいろいろな考えが浮かんでは消えるが、おそらくクローリーも同じなのだろう。
それを証拠にクローリーはちらちらと沙那を見ながらニヤついている。
分かっているのだ。
もっとも、クローリーがただ単に沙那の揺れる胸を見ているだけとか、小さくなっても基本が裸のイズミを見て喜んでいるだけの可能性もゼロではないが。
* * *
「……これ、何スか?絹の国のお金なんスかねえ」
クローリーは渡された紙の束と、数枚の陶器の板を見て首を捻った。
「ドカル金貨での話してたと思うんスが」
沙那が脇から覗き込んだ。
書類の内容から小さな陶器の板が大量のドカル金貨と交換できるとある。
「あー。これ、為替だよー?」
沙那にとっては古い映画やドラマで見る小切手に近い感覚だ。
いやむしろ為替手形といった方が良い。
絹の国の銀行での商取引には定額の為替手形が使われる。
額が大きいと金貨を運ぶだけで重労働だし、なにより大量の金貨を持ち運ぶことが知れたら強盗に狙われる可能性もある。
そのために大きな交易都市などの商取引では銀行が保証発行した為替を用いるのが一般的だった。
今回の売り上げ代金である数万ドカルの金貨を運ぼうと思ったら、クローリーと沙那の2人だけではとても持てない。
荷車や馬車で運搬するレベルなのだ。
それを数個の陶器の板と書類にできるのはとても便利だった。
「どういう意味っスか?」
帝国には為替の概念がない。
通貨の金の含有量で価値が決まるからである。
ドカル金貨はその中でも最高の金の含有量を誇るために帝国内での基軸通貨になっているのだ。
いつもニコニコ現金払い。それが帝国の常識であった。
そもそも帝国の商業取引は絹の国ほど大きなものではないのだ。
帝国は軍事強国ではあるが、経済的には発展途上国でしかない。
「重さと利便性の問題かなー。大量の現金を持ち歩くのは危険な上に重くて嵩張るからー」
つまり目の前にあるのは割符と証明書類である。
然るべきところに持ち込めばちゃんと現金に換金してくれるはずである。
沙那の感覚だと銀行や郵便局なのだが、絹の国でも銀行がその役割を持っている。
更には大規模な商取引では現金ではなく為替をやり取りすることで決済する速度を向上させてもいる。
すべては信用であった。
実は紙幣なども本来は国が責任をもって定められた量の金を保証することで成り立っているものだ。
各領地で勝手に貨幣を製造することが当たり前の帝国と、小規模では現金、大規模なものは為替が事実上の統一通貨になっている絹の国との差だった。
絹の国のやり方はお金の流れを迅速かつ高速にするものであった。
これにより先物取引市場が成立し、資本の投資が雪達磨式に拡大することになる。
そして、それは国が維持されて信用を確保し続ける限りは無限である。
逆に言えば、絹の国が滅びたら全ては紙屑になってしまうため、大規模商人たちは絹の国を支えなくてはならない。
少々不満でも国を維持するための愛国心が生まれる。
まさにそこが狙いなのだろう。
絹の国はすでに国家の収入は税金でという中世経済を通り越して、投資や国債による大規模資本を集める産業革命の直前までに達しているのである。
経済力の差を間近に見て、クローリーは戦慄していた。
このままでは帝国はあっさり飲み込まれてしまうのではなかろうか。
それを感じて行動を始めたのが、交易に明るいテイルであったり、国外遊学をした経験を持つイストなどであった。
もしかしたら似たような人物は他にもいるかもしれない。
クローリーは考える。
では自分はどうなのだろうか。
今は交易で収支を増やすことで手一杯だが、領地を豊かにしたいという強い希望はある。
とはいえ絹の国を見た今はアレクサンダー領が生き残れる自信がない。
未来を見て反乱を起こしたテイルは正しかったのではないか。今ならそう思う。
隣でりんご飴を齧る沙那を見た。
エルフ。まさに彼の期待通りにその知識や知恵で領地を豊かにしようとしているではないか。
そして賢者が以前に話していた異世界召喚者の大魔法を超える何かの入手。
『火薬』とか言っていたか。
本当にそんなものがあるのならあるいは……。
しかし、実はクローリーはいくつか見落としていた。
一つは経済力は軍事力でもあるが、圧倒的な軍事力はそれを軽く凌駕できること。
沙那のいた世界の歴史でも何度も証明されている。
もう一つは『火薬』。
作れたとしても有効に利用するのは非常に難しい。
沙那のいた世界でも火薬が発明されてから、大砲や鉄砲に昇華するまでに1000年くらいの時間が掛かっているのだ。
そして、その時間を短縮する方法は沙那も賢者も持ち合わせてはいなかった。
「さーて、次は本命の野菜の種と種芋買いに行こ―」
石鹸の売り上げは予想以上の膨大な収益になったと同時に、今後色々やっていくための最初の活動資金なのだ。
クローリーはアレクサンダー領の今後に関わると考えると身が引き締まる思いだった。
沙那は……というと、美味しいものや色んなものを食べたいという欲求の方が遥かに強かった。
おそらくは今後の生活拠点となるアレクサンダー領内に、様々な作物を育て、豊かな食卓を!という思いからだった。
帝国の食事は不味い。それが沙那の感想だったのだ。
できればもっと果物も増やしたい。
もちろん収穫できるようになるまでに数年かかるものもあるだろうが問題ではなかった。
沙那はいまだにここが夢の中と信じていたからだった。
ファンタジックにあっという間ににょきにょき生えるかもしれない。
そう沙那は油断していた。
* * *
実際に沙那が念願のチョコレートを口にするまで数年かかることになる。
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