【R18】男しかいない世界に転生したら最初から性奴隷でしたが、優しいご主人様に買われたのでボクは幸せです【男の娘BL】

Episode20・行き道

　ご主人様がボクにドレスを……
　
　ボクは、嬉しくて仕方なかった。
　ドレスを買って頂けるのも嬉しかったけど、それ以上にご主人様と一緒に買い物に行ける事がたまらなく嬉しかった。
　
　一緒の馬車で町に行って
　ご主人様に洋服を見立てて頂く……

　想像すると幸せ過ぎていつの間にか顔がニヤけてきてしまう。

ぺちんっ…

　ボクは、両方の手で軽く頬っぺを叩き、顔を引き締めた後、軽く口角を上げて自分なりに可愛いと思う表情を作った。
　そしてスカートの裾を軽く摘まんで早足で城門に向かった。


◇
　
　
　城門近くに行くと、既に馬車が停まっている。そして横には、ご主人様が立っているのが見えた。
　ボクは、ご主人様に近づくと少し息を切らしながら声をお掛けした。


「ご、ご主人様、お待たせして申し訳ございません……はぁ、はぁ、はぁ……」

「どうしたゆうと、息を切らせて。走ってきたのか？」

「は、はい、お待たせしては、いけないと思って……はぁ、はぁ……」

「まったく……急ぐ必要など無いものを。髪が乱れてしまっておるではないか」
　そう言ってご主人様は、ボクの頭を撫でてくれる。

「も、申し訳ございません……ご主人様……」
　ご主人様に頭を撫でられて、ボクは、縮こまってしまった。

　ご主人様に触れられただけでドキドキしてしまう……
　あまり緊張しないようにしなきゃ。


◇


　城下町へ向かう馬車は、ご主人様とボクを乗せた一台だけだった。
　一応お忍びでという事みたいだけど、おそらくは、お城の騎士であろう人達が馬車の周りを囲むように馬を走らせていた。
　皇子様を一人で行かせる訳ないよね。
　
　馬車の中でボクは、ご主人様の隣にちょこんと座っていた。
　沈黙の空気は、苦手だし……
　何か話さなきゃって思うんだけど、どんな話題を振っていいのか思い浮かばない。

　それでも何か話かけなくちゃ、と考えていると、馬車が石を踏んだようで、突然大きく揺れた。

ガタンッ…
「きゃっ……」　
ドンッ…

　ボクは、腕を組んで堂々と座るご主人様にぶつかってしまった。

「も、申し訳ございません……」

「大丈夫か？」
ぐいっ…

　ご主人様は、ボクの肩に手を回すとご自分の方へと抱き寄せてくださった。
「あ、ありがとうございます、ご主人様……」


◇


　馬車での道中、ご主人様は、ずっとボクの肩を抱いてくれていた。
　ずっしりと体格の良いご主人様にくっついてると馬車の揺れも気にならず安心していられる。
　昨日みたいにキスとかして頂いてもボクは、全然構わないんだけど……


　その期待は、叶えられないままお店に到着してしまった。
　
「着いたようだな。降りるぞゆうと」
「はいっ♪　ご主人様」

　頭の中に思い浮かんでしまったエッチな妄想を振り払って、ボクは、ご主人様の後ろについて馬車を降りた。