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ひとりぼっちの休日

休日の午後は暇になる

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そのあとは、行きと全く逆の道を辿るだけで、なんの変哲もなかった。
家に着いた時には、まだ昼過ぎぐらいで、暁さんの帰りにはまだ時間があった。
彼女からは、何を食べてもいいと言われているので、お昼はなんとかなりそうだった。
ちょっと椅子に座って、物思いに耽けることにした。
未だに彼女に言えていないことがふたつだけあるのだ。
ひとつは言わずもがな、僕の病気のことである。
もうひとつは、頭に思い浮かべたくもない事だ。
無理やりに思い起こさせないようにしているほど、辛い事だった。
いつになったら彼女に全てを教えるのだろうか。
今はまだ1月の後半。
彼方はあと5ヶ月あると言っていた。
僕自身も、5ヶ月から7ヶ月ぐらいだろう。
隠したままにしてしまうのは、裏切ったも同然なので、やりたくない。
でも、なかなかこんなことは話せないだろう。
彼女にとっての心の拠り所になる必要があるのだから。
弱音は吐いていられないような気もする。
こんなことは、僕の悪い癖で、なるようになると思ってしまう。
きっと、未来の自分がなんとかしてしまうような気がするのだ。
そう思ってしまうと、もうダメなのだ。
いつも、何とかしなきゃなぁと思っている。
仕方なしに、話題を切り替える。
そう言えば、今の時代はまだまだ発展途上だと思うことがあった。
それは、公立高校の受験に関する話だ。
僕は、親の許可を取ることが出来ない状況にある。
そもそもとして、親と話すことすら出来ないのだ。
この状況でも、受けることが出来てしまうようになっているのだ。、
印鑑も署名もまともなものでは無い。
こんなんでいいのかとも思ったが、なんとか受験票を作ることが出来た。
まあ、もはや私立なんて、親についてなんて聞きもしなかったが。
金だけ払っておけば私立は受けられるようになっていた。
一切私立に行く気は無いので、関係ないが。
それでも、税金とかで運営されてるから、公立校ぐらいはしっかりした方がいいと思う。
考え事をしていると、時間が経つのは早いもんだ。
かなりの待ち時間があったはずのバスが、もう目の前にいた。
バスの中は混んでいなくて、快適だった。
そのあとは特に何事もなく家に着いたが、そこから問題があった。
昼食の準備が必要なのだ。
何となく、暁さんが準備しておいてくれるような気がするが、そんなことは無い。
手を洗って、料理をしようと思ったが、作れるものがない。
適当に冷蔵庫を漁ると、いくらか冷凍ご飯があったので、簡単にチャーハンにした。
今の時代、スマホに頼ればなんだってできるものだ。
調理方法などが纏まっているサイトの作り方通りにやればできてしまうのだ。

「いただきます」

家にひとりでご飯を食べる
なんで、何ヶ月ぶりだろうか。
とにかく1人で、寂しかった。
ちなみに、チャーハンの味はそこそこだった。
パラパラとまでは行かなかったが、ベタベタはしていなくて、良かったと思う。
まあ、暁さんが作れば、もっと凄いのができるのだろうが。
あと、この家の食器や調理器具はすごいと思う。
汚れがほとんどつかないので、洗い物がすごい楽なのだ。
洗い物も終わり、時計を見ると、まだ2時を回ったぐらいだった。
暁さんが帰ってくるまで、少なくともあと5時間はかかるだろう。
5時間はさすがに長い。
しかし、ネットを見ていれば、簡単に1時間ぐらい過ごせてしまうので、少し動画でも見ることにした。
久しぶりに、パソコンのパーツを調べると、新しい世代のものが出ていて、古い世代が安くなっていた。
それに、どんどんハイスペックになってきているらしい。
どうせ自分のお金もまだ残っているので、受験が終わったら新しく作る予定だ。
最高スペックでなんて組めないが、市販のよりかはいいのを作りたい。
あと、今度は真っ黒のパソコンを作ってみたい。
ただ、自分のお金の使い方は慎重に決めなくてはいけない。
軽いノリで何万も使えるような状況ではないからだ。
こんなふうに、ネットをみてしまうと、少しでもいいパソコンを作りたくなってしまう。
それに、現在最高スペックのパソコンなんかを動画にしている。
そういうのは、見てしまうと自分が組もうとしているのが低く思えてならない。
まあ、とにかく受験終わらせないとな。
しかし、ネットとは本当に恐ろしいものだ。
気づかないうちに何時間も経っているものだから。
もうそろそろ日も落ちそうになっている。
暗くなってきたので、一応雨戸を全部閉めておいた。
そういえば、ちょっとだけ彼女に楽をさせてあげたくなったので、風呂掃除をすることにした。
いつも使ってる浴槽の掃除だが、色々と機械化されていて、すごいの一言だった。
いつもは、使うだけなので知らなかったが、洗う前と後に水を流すことや、風呂の栓締めなどが全部自動化されていた。
おかげで、ものすごい速さで風呂掃除も終わってしまった。
風呂掃除も終わったしと思って、椅子に座ったら、彼女から連絡があった。
もうすぐ帰るとの事だった。
テキパキと返信をして、玄関の鍵を開けて彼女を待っていた。
玄関の鍵を開ける際に、ちょっと外を見たが、綺麗な夕映えが拡がっていた。

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