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日常編(単発)
昔話
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昔々あるところに、リーダーと秘書さんがいました。秘書さんは山で芝刈をしてから川で洗濯をしに行き、リーダーは家でソシャゲをしていました。
「はぁ……あのクズ野郎、あとで寝首をかいてやる」
秘書さんが文句を言いながら下山すると、なんと川の近くにコインランドリーが出来ていました。
「こっちの方が良さそうですね」
早速コインランドリーの中に入ると、なんと洗濯機が一つしかありません。これには流石に秘書さんもびっくり仰天。
「なんだここクソですね」
しかし、他のお客さんもいないようなので、とりあえず使ってみることにしました。するとなんと!洗濯機の中で桃がどんぶらこ~どんぶらこと洗われていました。
「この世界擬音バグってるんですか?」
とりあえず秘書さんは流れ的に桃をかごの中に入れ、洗濯を済ませ帰宅しました。
「ただいま戻りました」
「おかえり~。あっ、星五確定キタ!」
「リーダー。洗濯してたら桃を手に入れましたよ」
「桃ねぇ……なんかちっちゃくない?」
「え?一般的に市場に出回ってるのより一回り大きいですよ」
「そうじゃなくてさ。普通洗濯行って拾ってきた桃と言ったら新生児がすっぽり入るくらいデカいはずだろ」
「桃の大きさまで責任持てませんよ」
「とりま切ってみるか」
リーダーは物入れをゴソゴソまさぐると、スチロールカッターを取り出してきました。
「それしか無かったんですか?」
「なけなしだよしゃあねぇだろ」
そう言いながらリーダーは強引に桃を半分にしました。しかし、中には赤ちゃんどころか空洞も無いようです。
「……いねぇな桃野郎」
「桃太郎でしょうそれを言うなら」
「まぁとりあえずこの欠片でも食ってみろ」
「あぁどうも。いただきます」
秘書さんは桃を一欠片口に入れました。
「ふぅん……ちょっと柔らかすぎますね」
「ふふふ……口に入れてしまったようだな」
「え?」
「その桃を食べたものは『桃勇者』として魔王退治に行く定めなのだ」
「は?」
「さぁ、行け秘書よ。魔王を退治し人々を恐怖から解放するのだ!」
秘書さんはリーダーから『世界一』と書かれた手のひらサイズの旗と現金を手渡されました。
「リーダー。あなた完全に魔王退治を舐めてますね」
こうして、この話は急展開を迎えたわけだが、流れ的に秘書さんは魔王ヶ島に向かうことにしました。
家を出発してから三十分。
「さて、流れ的にはそろそろ犬、猿、雉が出てくるはずなんですけど……」
すると、噂をすれば影がさすと言うのか、茂みの方から三つの影が飛び出てきました。
「欲望に従順な犬、フーリ!」
「早くこんな所から去りたい……。猿のクライブです……」
「僕の敵の死因はモンキーレンチによる打撲!モンキーのマルセル!」
「犬、猿、雉じゃなくて犬、猿、モンキーなんですね」
「僕以外猿みたいなやつしかいないからな」
「は?少なくとも俺の方が犬の素質があると思うんだが」
「モンキーレンチよりもメリケンサックの方が良かったな~」
「……で、あなた達はお供になってくれるってことですか?」
「報酬次第だな」
「現金な犬ですね……。あ、現金と言えば、さっきリーダーにお金渡されましたね」
そう言うと、秘書さんは現金十万FD(日本円にして約一千万円!)をチラつかせました。
「……どうです?」
「おいお前ら。魔王退治したいって言ってたよな」
「勝手に俺らの発言を捏造すんな」
「わーい!金が取れるぞー!」
マルセルは札束を強引に奪い取った。そして、彼らは大金と共に茂みの奥に消えていったのでした。
「これは……逃げられましたね」
勇者団に通報した。(もうめんどいんで『だである口調』に戻しますね……)
今秘書さんがいるのは魔王ヶ島。ここに来るまでの経緯は(面倒だから)省くが、なんか、ボートでぶーんって感じだ。
「うーん……構造が複雑で魔王がどこにいるか分かりませんね」
そうなのだ。この島は立地条件が最悪で、上り下りが激しく、所々がバリアフリーに配慮をした作りになっている。ついでに言うと、近くの駅まで徒歩二時間という最悪の立地でもある。
そして、その立地条件が災いし、構造が非常にわかりにくく、途中インフォメーションセンター的なのに寄ったがよく分からなかった。
完全に迷ってしまった。秘書さんは頭を掻きながら途方に暮れる。そんな時、リーダーから電話がかかってきた。
「はい、もしもし」
『おぉ秘書!元気か?』
「死にたいんですか?」
『元気そうだな。んで、お前に伝えなきゃいけないことがあってな』
「なんです?」
『実はさっき勇者団の方から電報があってな、どうやら魔王ヶ島に“指定区域破滅ミサイル”を打ち込むらしいよ』
「あら、ということは私はお役目御免というわけですね」
『そうそう。話が早いな~お前は』
「それで、そのミサイルはいつ打つ予定なんですか?」
『それがな、もう打っちゃったらしいよ』
これを聞いて秘書さんが空を見上げると、こちらに一直線に向かって来る小さな点のようなものが見えた。
「あ~見えました見えました。結局爆破オチに逃げるわけですね」
こうして、無事魔王は消滅し世界に平和が訪れた……と思ったら、国内政党の対立が激化し、国が二分化するのはエピソード2の話である。ちなみに、この話は『秘書島太郎』として現代まで語り継がれていない。
「はぁ……あのクズ野郎、あとで寝首をかいてやる」
秘書さんが文句を言いながら下山すると、なんと川の近くにコインランドリーが出来ていました。
「こっちの方が良さそうですね」
早速コインランドリーの中に入ると、なんと洗濯機が一つしかありません。これには流石に秘書さんもびっくり仰天。
「なんだここクソですね」
しかし、他のお客さんもいないようなので、とりあえず使ってみることにしました。するとなんと!洗濯機の中で桃がどんぶらこ~どんぶらこと洗われていました。
「この世界擬音バグってるんですか?」
とりあえず秘書さんは流れ的に桃をかごの中に入れ、洗濯を済ませ帰宅しました。
「ただいま戻りました」
「おかえり~。あっ、星五確定キタ!」
「リーダー。洗濯してたら桃を手に入れましたよ」
「桃ねぇ……なんかちっちゃくない?」
「え?一般的に市場に出回ってるのより一回り大きいですよ」
「そうじゃなくてさ。普通洗濯行って拾ってきた桃と言ったら新生児がすっぽり入るくらいデカいはずだろ」
「桃の大きさまで責任持てませんよ」
「とりま切ってみるか」
リーダーは物入れをゴソゴソまさぐると、スチロールカッターを取り出してきました。
「それしか無かったんですか?」
「なけなしだよしゃあねぇだろ」
そう言いながらリーダーは強引に桃を半分にしました。しかし、中には赤ちゃんどころか空洞も無いようです。
「……いねぇな桃野郎」
「桃太郎でしょうそれを言うなら」
「まぁとりあえずこの欠片でも食ってみろ」
「あぁどうも。いただきます」
秘書さんは桃を一欠片口に入れました。
「ふぅん……ちょっと柔らかすぎますね」
「ふふふ……口に入れてしまったようだな」
「え?」
「その桃を食べたものは『桃勇者』として魔王退治に行く定めなのだ」
「は?」
「さぁ、行け秘書よ。魔王を退治し人々を恐怖から解放するのだ!」
秘書さんはリーダーから『世界一』と書かれた手のひらサイズの旗と現金を手渡されました。
「リーダー。あなた完全に魔王退治を舐めてますね」
こうして、この話は急展開を迎えたわけだが、流れ的に秘書さんは魔王ヶ島に向かうことにしました。
家を出発してから三十分。
「さて、流れ的にはそろそろ犬、猿、雉が出てくるはずなんですけど……」
すると、噂をすれば影がさすと言うのか、茂みの方から三つの影が飛び出てきました。
「欲望に従順な犬、フーリ!」
「早くこんな所から去りたい……。猿のクライブです……」
「僕の敵の死因はモンキーレンチによる打撲!モンキーのマルセル!」
「犬、猿、雉じゃなくて犬、猿、モンキーなんですね」
「僕以外猿みたいなやつしかいないからな」
「は?少なくとも俺の方が犬の素質があると思うんだが」
「モンキーレンチよりもメリケンサックの方が良かったな~」
「……で、あなた達はお供になってくれるってことですか?」
「報酬次第だな」
「現金な犬ですね……。あ、現金と言えば、さっきリーダーにお金渡されましたね」
そう言うと、秘書さんは現金十万FD(日本円にして約一千万円!)をチラつかせました。
「……どうです?」
「おいお前ら。魔王退治したいって言ってたよな」
「勝手に俺らの発言を捏造すんな」
「わーい!金が取れるぞー!」
マルセルは札束を強引に奪い取った。そして、彼らは大金と共に茂みの奥に消えていったのでした。
「これは……逃げられましたね」
勇者団に通報した。(もうめんどいんで『だである口調』に戻しますね……)
今秘書さんがいるのは魔王ヶ島。ここに来るまでの経緯は(面倒だから)省くが、なんか、ボートでぶーんって感じだ。
「うーん……構造が複雑で魔王がどこにいるか分かりませんね」
そうなのだ。この島は立地条件が最悪で、上り下りが激しく、所々がバリアフリーに配慮をした作りになっている。ついでに言うと、近くの駅まで徒歩二時間という最悪の立地でもある。
そして、その立地条件が災いし、構造が非常にわかりにくく、途中インフォメーションセンター的なのに寄ったがよく分からなかった。
完全に迷ってしまった。秘書さんは頭を掻きながら途方に暮れる。そんな時、リーダーから電話がかかってきた。
「はい、もしもし」
『おぉ秘書!元気か?』
「死にたいんですか?」
『元気そうだな。んで、お前に伝えなきゃいけないことがあってな』
「なんです?」
『実はさっき勇者団の方から電報があってな、どうやら魔王ヶ島に“指定区域破滅ミサイル”を打ち込むらしいよ』
「あら、ということは私はお役目御免というわけですね」
『そうそう。話が早いな~お前は』
「それで、そのミサイルはいつ打つ予定なんですか?」
『それがな、もう打っちゃったらしいよ』
これを聞いて秘書さんが空を見上げると、こちらに一直線に向かって来る小さな点のようなものが見えた。
「あ~見えました見えました。結局爆破オチに逃げるわけですね」
こうして、無事魔王は消滅し世界に平和が訪れた……と思ったら、国内政党の対立が激化し、国が二分化するのはエピソード2の話である。ちなみに、この話は『秘書島太郎』として現代まで語り継がれていない。
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