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日常編(単発)
超ウルトラスーパー異常気象
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ある日、デープ国は千年に一度と言われる異常気象に見舞われていた。
「千年に一度って……後で気象データ千年分掘り返して裏を取ってやる」
「そういうところで謎の揚げ足撮ろうとすんなよ」
「でもなんなの?この超ウルトラスーパー異常気象って」
「マルセル知らねぇのか?気温が一瞬にして高くなったり低くなったり強風が吹いたり、短時間での異常気象のハ〇ピーセットって訳だ」
「わー害悪」
「そんな一言で済ます?」
「ほら、異常気象の弊害が早速やって来たぞ」
先程まで真っ青に染まっていた空は急激に鈍色に変わり、横なぶりの冷風と吹雪が吹き付けてきた。
「うぎゃー!急に寒い!」
「だろ?これに近い事がこれから何回も繰り返されるぞ」
「ななななんでクライブそんなにににに平然ととととしてるのののの?」
「俺は氷結魔法使いだからな。あと声震えすぎ」
「ほんと羨ましいやつだぜ。なぁマルセル、魔法頼む」
「うん……」
フーリとマルセルは互いに肩を寄せ合い炎魔法に当たった。
「あったけ~」
「あったかいね~」
「今は寒いかも知れないけど、これもすぐ変わっちまうぞ」
「いいじゃん~一時の安らぎだよ~」
幸せそうな顔して火にあたる二人だが、クライブの言う通りたちまち気候が変わり今度は熱帯気候へと移行した。
「うげー!急に暑!早く火消せ火を!」
「急にジメジメだね~」
「ツンドラ的なのから熱帯はきついわ。じゃあクライブ、頼む」
「何を?」
「何って、お前氷結魔法使いなんだろ?ちょっとはこの場を涼しくしろよ」
「そんなこと言われてもなぁ……力加減に文句言うなよ」
「そんなに不安なら魔法で凍り作って団扇で仰げば冷風が来るんじゃね?」
「させることが地味だなぁおい」
この短時間に汗をダラダラ流している三人だが、再び雲行きが悪くなったと思ったら今度は巨大竜巻が迫ってきていた。
「ぎゃー!デカ!」
「僕の部屋よりでかい?」
「う~ん……どうだろ?ちょっと測量してみるよ」
「そんなことはいいからさっさと逃げるぞ!」
三人は竜巻から逃げようと必死に走るが、それも虚しくダイ〇ン並の吸引力に負けてズルズルと引きずられていく。それに負けじとクライブは氷結魔法脚を地面と繋ぎ、マルセルは風魔法で体を押さえつけ暴風に対抗した。しかし……
「あーこれもう無理っすね!あはははは!」
魔法の心得がなんにもないフーリは為す術なく竜巻に吸い込まれていった。
「フーリ!」
「なんであいつ狂ってるんだよ」
「死がそこに迫ってからじゃない?」
「意外と緊迫したシーンなんだな」
しばらくして、竜巻はふっと消滅した。すると、巻き上げられていたゴミとか砂利とかが降り注いできた。勿論それらに混じってフーリも降ってきた。
「いてててて……腰打った。ついでに足の小指と薬指の間も打った」
「局部的だね~」
「うわっ、ほんとにゴミが降ってきた」
「クライブも酷いことを言うな~。僕はゴミって言うよりクズの方が表現的に好きだな」
「どっちもニュアンスは大して変わんねぇだろ」
「じゃあフーリも戻ってきたことだし、そろそろ帰らない?」
「へぇーマルセルが自分から帰りたいなんて珍しいじゃないか」
「だってこれ以上外にいると気が狂いそうだよ」
多分普段から気が狂っている三人だが、今回ばかりは命の危機を感じ家に帰ることにした。
「なんで俺まで頭おかしい枠に入ってるんだよ。完璧巻き添えだろ」
「何言ってんだお前?地毛が灰色で氷結魔法使えるやつは立派な変人だろ」
「それ言ったらマルセルはどうなるんだよ」
「こいつは地毛が白くて魔法が使える可愛いやつだ」
「わーい!フーリが褒めてくれた!」
「こいつだけ特別扱いかよ……」
こんなのはいつもの風景なのだが、この微妙な雰囲気の変化が天候の変化を起こしてしまったようだ。先程のように空色が暗くなり、強風が吹き始めた。ただ、強風とは言っても屋根が吹き飛ばされるレベルよりも強い。ちなみに今回はフーリが吹き飛ばされないようにクライブが氷で繋ぎ止めてくれた。
「風強!」
「ドライアイになる~」
「ドライアイくらいならまだ可愛いもんだろ?」
「え?やっぱり僕可愛い?」
「そうのじゃねぇけどそういうわけでもないな」
この状況で謎にデレデレしているマルセルだが、それも束の間、遠くから何かがこちらに向かって迫ってきているのが分かった。
「あれは……」
「大岩だね」
「めっちゃこっち来てるじゃん。平気かな?」
「多分平気じゃないと思うよ?」
「どうなるかな?」
「安い肉みたいにペラペラになるよ」
「僕お肉好き!」
「お前らな……もうちょっと緊張感を持て……」
フーリとマルセルがくださいことに興じている間に、もう大岩は目と鼻の先の距離まで詰まってきていた。
「あーあ。結局こういう感じで終わるわけね」
「なんの捻りもないオチの付け方だね」
「最後の最後でオチに対して文句言うな!」
こうして、三人は岩に潰されはしたが、千年に一度の異常気象を無事乗り越えたのであった。
「千年に一度って……後で気象データ千年分掘り返して裏を取ってやる」
「そういうところで謎の揚げ足撮ろうとすんなよ」
「でもなんなの?この超ウルトラスーパー異常気象って」
「マルセル知らねぇのか?気温が一瞬にして高くなったり低くなったり強風が吹いたり、短時間での異常気象のハ〇ピーセットって訳だ」
「わー害悪」
「そんな一言で済ます?」
「ほら、異常気象の弊害が早速やって来たぞ」
先程まで真っ青に染まっていた空は急激に鈍色に変わり、横なぶりの冷風と吹雪が吹き付けてきた。
「うぎゃー!急に寒い!」
「だろ?これに近い事がこれから何回も繰り返されるぞ」
「ななななんでクライブそんなにににに平然ととととしてるのののの?」
「俺は氷結魔法使いだからな。あと声震えすぎ」
「ほんと羨ましいやつだぜ。なぁマルセル、魔法頼む」
「うん……」
フーリとマルセルは互いに肩を寄せ合い炎魔法に当たった。
「あったけ~」
「あったかいね~」
「今は寒いかも知れないけど、これもすぐ変わっちまうぞ」
「いいじゃん~一時の安らぎだよ~」
幸せそうな顔して火にあたる二人だが、クライブの言う通りたちまち気候が変わり今度は熱帯気候へと移行した。
「うげー!急に暑!早く火消せ火を!」
「急にジメジメだね~」
「ツンドラ的なのから熱帯はきついわ。じゃあクライブ、頼む」
「何を?」
「何って、お前氷結魔法使いなんだろ?ちょっとはこの場を涼しくしろよ」
「そんなこと言われてもなぁ……力加減に文句言うなよ」
「そんなに不安なら魔法で凍り作って団扇で仰げば冷風が来るんじゃね?」
「させることが地味だなぁおい」
この短時間に汗をダラダラ流している三人だが、再び雲行きが悪くなったと思ったら今度は巨大竜巻が迫ってきていた。
「ぎゃー!デカ!」
「僕の部屋よりでかい?」
「う~ん……どうだろ?ちょっと測量してみるよ」
「そんなことはいいからさっさと逃げるぞ!」
三人は竜巻から逃げようと必死に走るが、それも虚しくダイ〇ン並の吸引力に負けてズルズルと引きずられていく。それに負けじとクライブは氷結魔法脚を地面と繋ぎ、マルセルは風魔法で体を押さえつけ暴風に対抗した。しかし……
「あーこれもう無理っすね!あはははは!」
魔法の心得がなんにもないフーリは為す術なく竜巻に吸い込まれていった。
「フーリ!」
「なんであいつ狂ってるんだよ」
「死がそこに迫ってからじゃない?」
「意外と緊迫したシーンなんだな」
しばらくして、竜巻はふっと消滅した。すると、巻き上げられていたゴミとか砂利とかが降り注いできた。勿論それらに混じってフーリも降ってきた。
「いてててて……腰打った。ついでに足の小指と薬指の間も打った」
「局部的だね~」
「うわっ、ほんとにゴミが降ってきた」
「クライブも酷いことを言うな~。僕はゴミって言うよりクズの方が表現的に好きだな」
「どっちもニュアンスは大して変わんねぇだろ」
「じゃあフーリも戻ってきたことだし、そろそろ帰らない?」
「へぇーマルセルが自分から帰りたいなんて珍しいじゃないか」
「だってこれ以上外にいると気が狂いそうだよ」
多分普段から気が狂っている三人だが、今回ばかりは命の危機を感じ家に帰ることにした。
「なんで俺まで頭おかしい枠に入ってるんだよ。完璧巻き添えだろ」
「何言ってんだお前?地毛が灰色で氷結魔法使えるやつは立派な変人だろ」
「それ言ったらマルセルはどうなるんだよ」
「こいつは地毛が白くて魔法が使える可愛いやつだ」
「わーい!フーリが褒めてくれた!」
「こいつだけ特別扱いかよ……」
こんなのはいつもの風景なのだが、この微妙な雰囲気の変化が天候の変化を起こしてしまったようだ。先程のように空色が暗くなり、強風が吹き始めた。ただ、強風とは言っても屋根が吹き飛ばされるレベルよりも強い。ちなみに今回はフーリが吹き飛ばされないようにクライブが氷で繋ぎ止めてくれた。
「風強!」
「ドライアイになる~」
「ドライアイくらいならまだ可愛いもんだろ?」
「え?やっぱり僕可愛い?」
「そうのじゃねぇけどそういうわけでもないな」
この状況で謎にデレデレしているマルセルだが、それも束の間、遠くから何かがこちらに向かって迫ってきているのが分かった。
「あれは……」
「大岩だね」
「めっちゃこっち来てるじゃん。平気かな?」
「多分平気じゃないと思うよ?」
「どうなるかな?」
「安い肉みたいにペラペラになるよ」
「僕お肉好き!」
「お前らな……もうちょっと緊張感を持て……」
フーリとマルセルがくださいことに興じている間に、もう大岩は目と鼻の先の距離まで詰まってきていた。
「あーあ。結局こういう感じで終わるわけね」
「なんの捻りもないオチの付け方だね」
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