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日常編(単発)
夏祭り
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ある日、フーリ、マルセル、クライブは会議帰りに夏祭りに遭遇した。
「すげー人集りだな」
「食べ物が沢山あるからね」
「みんなそれ目的だよな」
「エッチだね」
「そう……なのか?」
祭りの為大通りは封鎖されており道の左右には多くの出店が並んでいる。
「いい匂いだね~」
「くっせぇよな」
「なんで否定的に捉えたんだよ」
並びゆく店は手前から順にたこ焼き、唐揚げ、焼きそばなど定番物が並んでいる。
「う~ん……なんかなぁ」
「なんだよフーリ。デープ国で一番でかい祭りに不満か?」
「不満ちゃ不満かな。なんたって出店のレパートリーが少なすぎる!なんだよ!この平凡な店の数々は!もっと奇抜なものを求めてるんだけどな……」
「まぁ確かに、お好み焼きもくじ引きも射的もだいたいあるからな」
「大きさだけで中身は伴ってないね」
「マルセル……お前言うなぁ」
フーリの言う通り平々凡々な店が立ち並びそれ目がけて人が列を作っている。しかし、太い人通りがある店だけを避けるようにうねっている。
「なぁクライブ、この避け方……」
「うん、既視感だな」
以前の七夕祭りの時にも同じような光景を以前見たことがある。そして、全員が避けている店をみると……。
「寄って来るっす!見るっす!食べるっす!今ならラーメン一杯三億FD……あっ!先輩らお疲れっす!」
やはりアインだった。浅黒い肌とハチマキを巻いたその姿からプロのラーメン屋さんに見えてきた。
「ほら~やっぱりこいつじゃねぇかよ」
「『ラーメン屋うっす』……。なんだこの安直な名前」
「『うっす』って……それってお前の口癖から取ったのか?」
「うっす!違うっす!臼から取ったっす!」
「関係ねぇのかよ!」
この屋台は他の屋台とまるで違うところは、椅子が三脚並べてあるところだ。本当にラーメン屋の屋台のようだ。
「で、メニューは?」
「うっす!ここに書いてあるっす!」
そう言って腕を差し出してきた。
「お前の腕に書いてあるのかよ!」
「うっす!どれにするっすか?」
「もうほとんど消えてて見えないよ……」
「あれ?そうっすか?じゃあ書き直すっすね」
アインはペンを取って書きにくそうに腕に文字を刻む。
「よし!できたっす!」
「どれどれ……字きったね!もっと丁寧に書けよ」
「これ以上は無理っすよ……」
「解読魔法使う?」
「あぁ、マルセル。頼む」
魔法とは本当に便利な代物だ。マルセルは魔法陣越しにめちゃくそ汚い字を解読する。
「う~んと、右から毒ラーメン、ゴミラーメン、クソラーメンだって」
「最低なもんしかねぇな」
「どれにするっすか?」
「どれにもしねぇよ!」
「あ、ちなみに席に座って何も注文しなかった場合お湯をぶっかけますよ」
「ひでぇ仕打ちだな」
「で、注文は何っすか?」
「な、何って……」
「じゅう~、きゅう~、はち~……」
「焦らすなよ!」
アインに焦らされ、さらに究極の三択を差し出されたクライブは当然注文などせず、時間切れになってしまった。
「はいクライブさん残念でしたー!時間切れの罰は全身火傷っす!」
「そりゃ随分と重症だな」
アインはミトンをつけると、躊躇することなく寸胴を持ち上げ中で煮えたぎっていたお湯をクライブ達目掛けてぶちまけた。
「考えが甘いよアイン……氷結!」
クライブの氷結魔法により一瞬で熱湯は氷の塊となってその場に落下しバラバラに割れた。
「わお……これかき氷屋に寄付しようぜ!」
「馬鹿、そんなことしたら死人が出るぞ」
「あわわ……クライブさん凄いっすね」
「そ、そう?」
「なにクライブ照れてんだよ」
英雄の末裔ととは言っても褒められれば嬉しいようである。
こうして、三人は謎の屋台に寄っただけで祭りを去ったのであった。
「はぁ……なんでもう帰えんだよ?フーリのことだからもっと祭りを堪能しようとか言い出すかと思ったのに」
「だってあれだけでお腹いっぱいだろ?」
「馬鹿野郎!疲労も空腹もピークだわ」
「じゃあこのまま何時ものとこ寄る?」
そう言ってマルセルはお酒を飲むジェスチャーをする。
「マルセル……お前分かってんじゃん!」
こうして、三人は普通の飲み屋に行って結局酔いつぶれたフーリとマルセルをクライブが担いでいくのであった。ちなみにアインは毒物を所持したという罪をまた一つ増やしていた。
「すげー人集りだな」
「食べ物が沢山あるからね」
「みんなそれ目的だよな」
「エッチだね」
「そう……なのか?」
祭りの為大通りは封鎖されており道の左右には多くの出店が並んでいる。
「いい匂いだね~」
「くっせぇよな」
「なんで否定的に捉えたんだよ」
並びゆく店は手前から順にたこ焼き、唐揚げ、焼きそばなど定番物が並んでいる。
「う~ん……なんかなぁ」
「なんだよフーリ。デープ国で一番でかい祭りに不満か?」
「不満ちゃ不満かな。なんたって出店のレパートリーが少なすぎる!なんだよ!この平凡な店の数々は!もっと奇抜なものを求めてるんだけどな……」
「まぁ確かに、お好み焼きもくじ引きも射的もだいたいあるからな」
「大きさだけで中身は伴ってないね」
「マルセル……お前言うなぁ」
フーリの言う通り平々凡々な店が立ち並びそれ目がけて人が列を作っている。しかし、太い人通りがある店だけを避けるようにうねっている。
「なぁクライブ、この避け方……」
「うん、既視感だな」
以前の七夕祭りの時にも同じような光景を以前見たことがある。そして、全員が避けている店をみると……。
「寄って来るっす!見るっす!食べるっす!今ならラーメン一杯三億FD……あっ!先輩らお疲れっす!」
やはりアインだった。浅黒い肌とハチマキを巻いたその姿からプロのラーメン屋さんに見えてきた。
「ほら~やっぱりこいつじゃねぇかよ」
「『ラーメン屋うっす』……。なんだこの安直な名前」
「『うっす』って……それってお前の口癖から取ったのか?」
「うっす!違うっす!臼から取ったっす!」
「関係ねぇのかよ!」
この屋台は他の屋台とまるで違うところは、椅子が三脚並べてあるところだ。本当にラーメン屋の屋台のようだ。
「で、メニューは?」
「うっす!ここに書いてあるっす!」
そう言って腕を差し出してきた。
「お前の腕に書いてあるのかよ!」
「うっす!どれにするっすか?」
「もうほとんど消えてて見えないよ……」
「あれ?そうっすか?じゃあ書き直すっすね」
アインはペンを取って書きにくそうに腕に文字を刻む。
「よし!できたっす!」
「どれどれ……字きったね!もっと丁寧に書けよ」
「これ以上は無理っすよ……」
「解読魔法使う?」
「あぁ、マルセル。頼む」
魔法とは本当に便利な代物だ。マルセルは魔法陣越しにめちゃくそ汚い字を解読する。
「う~んと、右から毒ラーメン、ゴミラーメン、クソラーメンだって」
「最低なもんしかねぇな」
「どれにするっすか?」
「どれにもしねぇよ!」
「あ、ちなみに席に座って何も注文しなかった場合お湯をぶっかけますよ」
「ひでぇ仕打ちだな」
「で、注文は何っすか?」
「な、何って……」
「じゅう~、きゅう~、はち~……」
「焦らすなよ!」
アインに焦らされ、さらに究極の三択を差し出されたクライブは当然注文などせず、時間切れになってしまった。
「はいクライブさん残念でしたー!時間切れの罰は全身火傷っす!」
「そりゃ随分と重症だな」
アインはミトンをつけると、躊躇することなく寸胴を持ち上げ中で煮えたぎっていたお湯をクライブ達目掛けてぶちまけた。
「考えが甘いよアイン……氷結!」
クライブの氷結魔法により一瞬で熱湯は氷の塊となってその場に落下しバラバラに割れた。
「わお……これかき氷屋に寄付しようぜ!」
「馬鹿、そんなことしたら死人が出るぞ」
「あわわ……クライブさん凄いっすね」
「そ、そう?」
「なにクライブ照れてんだよ」
英雄の末裔ととは言っても褒められれば嬉しいようである。
こうして、三人は謎の屋台に寄っただけで祭りを去ったのであった。
「はぁ……なんでもう帰えんだよ?フーリのことだからもっと祭りを堪能しようとか言い出すかと思ったのに」
「だってあれだけでお腹いっぱいだろ?」
「馬鹿野郎!疲労も空腹もピークだわ」
「じゃあこのまま何時ものとこ寄る?」
そう言ってマルセルはお酒を飲むジェスチャーをする。
「マルセル……お前分かってんじゃん!」
こうして、三人は普通の飲み屋に行って結局酔いつぶれたフーリとマルセルをクライブが担いでいくのであった。ちなみにアインは毒物を所持したという罪をまた一つ増やしていた。
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