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現れし弟編
その5 魔物襲来
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ルイスとマルセラは特に会話も無く教室に行った。中ではまだハンスが仕事をしているようだ。
「お前ら……もう仲良くなったのか!?いや、もしかして友達よりも深い関係に……」
「そんなことないですよ!筆箱取りに行くのに着いてきてもらってるだけです」
「そうか。……もしかして、マルセラが脅して強引に……とか?」
「そんなことないです!ルイスくんも何か言って!」
「ひっ!ごめんなさい!」
「お前やっぱり脅してだろ」
ハンスは冗談っぽく言ってきた。マルセラは少しムスッとしながら筆箱をとってカバンに押し込む。
「じゃあお前ら、気を付けて帰れよ」
「はい」
「はーい。じゃあルイスくん、帰ろっ……」
マルセラの言葉は、外から聞こえてきた叫び声によってかき消された。
「何!?」
「何があったんだ?」
「魔物だ!でかい魔物が出てきた!」
「魔物!?魔物の侵入なんて……」
マルセラの言う通り、ここはデープ国南部中央、国境から離れ高校に大学などが揃う都心だ。国境付近ならともかく、こんな半端なところで出現などありえない話だ。
悲鳴の聞こえてきた中庭は現在いる一年八組の教室のベランダから見てすぐ真下にある。
「先生どうしたらいいですか?魔物がいるときって教室から動かない方がいいんですかね?」
「う~ん……こんな状況のマニュアルなんてないからな……」
ハンスもマルセラもどうしていいか分からないようだ。
「……魔物は、近い人間になりふり構わず襲いかかる」
「え?」
「人間が魔物より圧倒的な力を持っていると誇示しない限り、確実に殺意を持って襲ってくる」
「ちょっとルイスくん!どうしたの?」
「生物基礎の魔物概説の一節だよ。このままここにいても、魔物の格好の的ってこと」
「そう……なのか?それじゃあとにかくここから離れるぞ!」
しかし、ハンスが二人を率いて教室を出ようとすると、突然校舎が轟音をたてて揺れだした。
「な、何!?」
「二人とも、机の下に隠れな……」
ハンスが二人を避難させようとした時、教室に影が刺した。窓の方を見ると、先程まで隣の校舎を写していた窓には二十メートル程の身長を誇る縦長の魔物が立っている。肩か垂れる八本のタコを思わせる足を持っており、そのうちの一本でこの校舎を叩いて攻撃していたらしい。見上げるとSF映画に出てきそうなエイリアンの顔をしており、目はオレンジ色にぼやっと光っている。ルイスが恐怖から窓際を離れられず、顔を凝視してしまうと、魔物もこちらを睨んできた。
「ひっ!」
突然の魔物を前に三人とも動けないようだ。そして、その魔物は一本の腕を窓に向けて刺すように伸ばしてきた。腕は徐々に徐々に窓に近づいてくる。
「っ!お前ら!伏せろ!」
ハンスが二人を窓から遠ざけ、腕から庇うように立った。その瞬間、腕は窓ガラスを突き破り教室内に侵入してきた。ガラス片は容赦なく降り注ぎ、ハンスの肌を傷つける。さらに、侵入してきた腕の先は刃のようになっているらしくハンスの右手は綺麗に切断された。
「うわぁ……い、痛い……」
魔物は一度手を抜き、こちらを見すえてもう一度腕を刺そうとした。ルイスは廊下側のドアに背をつけ、懐に入れていた趣味で改造した武器を握りながら震えていた。
「助けて……フー兄さん……」
そう呟いた時、地面から魔物に向けて氷の道が出現した。
「お前ら……もう仲良くなったのか!?いや、もしかして友達よりも深い関係に……」
「そんなことないですよ!筆箱取りに行くのに着いてきてもらってるだけです」
「そうか。……もしかして、マルセラが脅して強引に……とか?」
「そんなことないです!ルイスくんも何か言って!」
「ひっ!ごめんなさい!」
「お前やっぱり脅してだろ」
ハンスは冗談っぽく言ってきた。マルセラは少しムスッとしながら筆箱をとってカバンに押し込む。
「じゃあお前ら、気を付けて帰れよ」
「はい」
「はーい。じゃあルイスくん、帰ろっ……」
マルセラの言葉は、外から聞こえてきた叫び声によってかき消された。
「何!?」
「何があったんだ?」
「魔物だ!でかい魔物が出てきた!」
「魔物!?魔物の侵入なんて……」
マルセラの言う通り、ここはデープ国南部中央、国境から離れ高校に大学などが揃う都心だ。国境付近ならともかく、こんな半端なところで出現などありえない話だ。
悲鳴の聞こえてきた中庭は現在いる一年八組の教室のベランダから見てすぐ真下にある。
「先生どうしたらいいですか?魔物がいるときって教室から動かない方がいいんですかね?」
「う~ん……こんな状況のマニュアルなんてないからな……」
ハンスもマルセラもどうしていいか分からないようだ。
「……魔物は、近い人間になりふり構わず襲いかかる」
「え?」
「人間が魔物より圧倒的な力を持っていると誇示しない限り、確実に殺意を持って襲ってくる」
「ちょっとルイスくん!どうしたの?」
「生物基礎の魔物概説の一節だよ。このままここにいても、魔物の格好の的ってこと」
「そう……なのか?それじゃあとにかくここから離れるぞ!」
しかし、ハンスが二人を率いて教室を出ようとすると、突然校舎が轟音をたてて揺れだした。
「な、何!?」
「二人とも、机の下に隠れな……」
ハンスが二人を避難させようとした時、教室に影が刺した。窓の方を見ると、先程まで隣の校舎を写していた窓には二十メートル程の身長を誇る縦長の魔物が立っている。肩か垂れる八本のタコを思わせる足を持っており、そのうちの一本でこの校舎を叩いて攻撃していたらしい。見上げるとSF映画に出てきそうなエイリアンの顔をしており、目はオレンジ色にぼやっと光っている。ルイスが恐怖から窓際を離れられず、顔を凝視してしまうと、魔物もこちらを睨んできた。
「ひっ!」
突然の魔物を前に三人とも動けないようだ。そして、その魔物は一本の腕を窓に向けて刺すように伸ばしてきた。腕は徐々に徐々に窓に近づいてくる。
「っ!お前ら!伏せろ!」
ハンスが二人を窓から遠ざけ、腕から庇うように立った。その瞬間、腕は窓ガラスを突き破り教室内に侵入してきた。ガラス片は容赦なく降り注ぎ、ハンスの肌を傷つける。さらに、侵入してきた腕の先は刃のようになっているらしくハンスの右手は綺麗に切断された。
「うわぁ……い、痛い……」
魔物は一度手を抜き、こちらを見すえてもう一度腕を刺そうとした。ルイスは廊下側のドアに背をつけ、懐に入れていた趣味で改造した武器を握りながら震えていた。
「助けて……フー兄さん……」
そう呟いた時、地面から魔物に向けて氷の道が出現した。
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